企業クオリプス東証グロース:4894】「医薬品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1)経営方針

 当社は、『こころ 動かそう いのち つなごう』を標語として、ひとびとが、命ある限り、健康で幸せな生活を送るために、技術とこころ、科学と人間をつなぎ、世界中のひとびとの健康と人生に貢献する新たな医療を作り出していくことを経営理念としております。当社はヒトiPS細胞由来の細胞加工物の製造方法に関する研究開発を推進し、安定的かつ効率的で、安全で信頼性の高い細胞加工物を生み出す高レベルな生産技術を確立した上で再生医療等製品としての製造販売の承認を目指しております。また、ヒトiPS細胞由来の再生医療等製品に限らず、新しい細胞製品の製造・実用化にも取り組み、その周辺技術とともに次世代の革新的な細胞治療モダリティを提供してまいります。

(2)経営環境

 2023年3月期における我が国経済は、新型コロナウィルス感染症による行動制限が緩和され、景気の持ち直しがみられました。しかしながら、各国の金融政策やウクライナ情勢等による為替相場の急激な変動や資源・エネルギー及び原材料価格の高騰等もあり、当社を取り巻く経営環境においては不確定な要因も多く、依然として景気の先行きは不透明な状況が続くと予想されます。

 当社は、再生医療等製品の研究開発を行っていますが、経済産業省 商務・サービスグループ 生物化学産業課が2020年に公表した資料(再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業 複数課題プログラムの概要 https://www.meti.go.jp/policy/tech_evaluation/c00/C0000000R01/200302_regenerative_medicine_1st/regenerative_medicine_1st_05.pdf)等に記載のとおり、国内における再生医療の将来市場規模は、2020年は950億円に対し、2030年には1兆円、2050年には2.5兆円まで拡大すると予測されています。また、世界における再生医療の将来市場規模も、2020年は1兆円に対し、2030年には12兆円、2050年には38兆円まで拡大すると予測されています。

 再生医療について、国内外の数多くの企業や研究機関等により技術革新は急速に進んでおります。

 日本では、2014年11月に施行された「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(以下、「再生医療等安全性確保法」)及び「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、「医薬品医療機器等法」)により、再生医療分野の産業化が加速しておりますが、本格的な普及段階までには至っておりません。

(3)経営戦略

 当社の経営戦略は以下のとおりであります。

① 大阪大学との共同研究開発を通じて、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの研究開発の推進、製造販売承認申請を日本国内で行い、適用拡大を推進するとともに本製品の販売体制を整備すること。

② ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの製品製造体制の確立及び受託サービス事業を推進すること。

③ 各病院にヒトiPS細胞由来心筋細胞シートを搬送するロジスティックス体制を構築すること。

④ 海外市場でも、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートを普及させるため、大手製薬企業等との提携を行うこと。

⑤ ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの更なる改良、より侵襲性の低い製品開発等を通じて、マーケットの拡大を図ること。

⑥ 経営基盤の安定化及び成長性を図るために、心臓のみならずヒトiPS細胞を使い、他臓器の製品開発を行い、製品パイプラインの充実を図ること。

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は研究開発費が先行するタイプの企業であり、また過年度より損失を計上していることから、ROEやROAなどの財務指標は、当面、当社の経営指標として馴染まないものと考えております。したがって、各パイプラインにおける研究開発の進捗状況を経営上の目標の達成状況を判断するための指標としております。

 なお、当社は、従来の創薬系バイオベンチャー企業が直面する、安定的な売上が計上されないまま研究開発費が先行する企業とは異なる経営を目指しております。具体的には、製造拠点を自社で保有している強みを生かし、上市製品がなくてもCDMO事業で売上を安定的に獲得することにより、Cash burn rate(手元流動性が減る速度)を抑え、財務体質の強化を図ることで、投資家への収益還元を早期に実現することを目指しております。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社はヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの早期実用化を目指し、引き続き、大阪大学による医師主導治験の支援を行うと共に、下記の課題に対して経営陣、社員一丸となって取り組んでまいります。なお、現時点で当面の運転資金は確保していることから、優先的に対処すべき財務上の課題で特筆すべきものはありません。

① 再生医療等製品承認申請に向けた医師主導治験の支援

 虚血性心疾患による重症心不全を適応症としたヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの承認取得に向け、大阪大学による医師主導治験(治験後半)の支援を引き続き実施します。また、確立した商用を見据えたスケールのヒトiPS細胞由来心筋細胞シートに係る高収率製法による治験用再生医療等製品の受託製造、同製法で作製した製品の品質特性及び非臨床試験を実施し、PMDAとの相談等を交え、承認申請に供するデータの創出に取り組んでまいります。

② 承認申請・商用製品を目指した更なる製造の安定・堅牢化

 最優先課題である、虚血性心疾患による重症心不全を適応症とした承認取得、商用製品の製造を目指し、品質安定化のために製造及び品質管理技術の標準化レベルの向上を図り、堅牢性の高い製造工程を維持すると共に、本製品を広く普及させるための様々な輸送環境に耐えうる適切な保存・輸送技術の検討に取り組んでまいります。

③ 再生医療等製品製造販売業許可申請に向けた準備

 製造販売承認申請時期を見据え、当社の製造販売業許可取得に向け、法的要求事項である三役体制の設置、及びGQP省令並びにGVP省令に基づく、当社の事業規模に見合った合理的なガバナンス体制を構築してまいります。

④ GCTP体制の構築、製造業許可申請に向けた準備

 これまでに経験してきた治験製品製造の実績を基に、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの商用製造に向けた再生医療等製品の製造管理及び品質管理基準(GCTP省令)に基づく体制の構築に取り組んでおり、当事業年度は承認申請に向けたデータ取得活動を進めて参ります。また、これまでに類のない複数のプロジェクトを管理可能とする再生医療に特化した製造及び品質管理統合管理システムの開発を進めており、CDMO事業を含めた効率的な管理を実現すべく2024年3月期の稼働を目指しております。

⑤ 販売流通及び情報提供等の体制の整備

 基幹業務システムの導入、並びにロジスティクス、適正使用に必要な情報提供及び期限・条件付き承認された場合の試験・調査に関するデータの収集・管理に係る体制の整備・構築に取り組んでまいります。また、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの国内販売については、当社自身での販売及びプロモーション活動を行い、販売先を確保する方針であり、必要なリソースの確保を行っておりますが、しかるべきタイミングで医療機関との交渉を開始し、販売先の確保を進めます。

⑥ 海外展開と効能追加の検討

 海外でのビジネス展開に向け、理想とする候補企業のプロファイル(循環領域に強い製薬企業、当該領域の技術を持つ企業等)を検討し、医師主導治験のデータ等を基に候補企業にアプローチを行います。また、海外開発用ヒトiPS細胞株について、諸課題の洗い出しを含めた検討を進めてまいります。さらに、虚血性心疾患に続く効能追加を視野に入れながら、解決すべき諸課題を抽出し、対応してまいります。

⑦ 新規開発パイプラインの拡充と進展

 当社の持つ大量製造技術に基づき開発、製造されたヒトiPS細胞由来細胞を、独自の専用カテーテルによる新たなアプローチで心臓へ移植する治療技術や体内再生因子誘導による治療薬のみならず、引き続きヒトiPS細胞由来心筋細胞及びそのシートの適用拡大に向けた臨床開発、新しい細胞を用いた新規開発パイプラインの拡充を続けます。また、それらのパイプラインについて、試作品の開発、治験の実施準備など製品化に向けた取組みを進展させてまいります。

⑧ 人材の確保及び獲得

 当社は社歴が浅く小規模な組織であるため、今後の企業価値向上に向けては、研究開発活動のみならず全社的に人材の確保及び拡充が重要な課題であると認識しております。次世代の治療技術に係る研究開発、多様な事業計画に基づく高度なキャリア形成を可能とする優位性を生かし、人材の育成及び積極的な採用により、優秀な人材の確保及び拡充を図ってまいります。

⑨ 知財戦略

 第三者との共同研究開発を含む当社での研究開発活動により獲得した知的財産権を確保し、また第三者の知的財産権を侵害しないための体制整備を構築していることが将来の事業活動を推進していく中で重要な課題であると認識しています。そのため、当社の知的財産権を維持及び確保し、また第三者の知的財産権を侵害しないよう、顧問弁理士と緊密な連携を図り知的財産管理を行ってまいります。

⑩ Cash burn rate(手元流動性が減る速度)を抑える取り組み

 当社は、研究開発型の企業であり、研究開発にかかる先行投資として長期にわたり多額の資金を必要とするため、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなる状況が継続しております。当社は早期の営業活動によるキャッシュ・フローのプラスへの転換に向け、製造販売承認に向け取り組んでいるものの、再生医療等製品の研究開発期間は長期に渡ることから、上市製品がなくてもCDMO事業での売上を安定的に獲得することや、支出の抑制を通じて、Cash burn rate(手元流動性が減る速度)を抑える取り組みを行ってまいります。

より抜粋
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