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【東証グロース:9219】「サービス業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「あらゆる判断を、Data-Informedに。」をパーパス(企業の目的)として掲げ、「すべての人がデータという武器を有効に用いて論理的に考え、合理的に判断する社会」の実現を目指しています。
当社グループは、業界リーディングカンパニーに対し、データに基づく判断・意思決定(Data-Informed Decision-Making(以下「DIDM」という。))支援を行っています。データインフォームドにおいては、人間が思考する際に、一般的なデータ分析のアウトプットに加え、生成AIなどから得られた情報群を「考えるための材料」として適切に提供することにより、人間の思考が拡張されていくことが理想の姿です。
当社グループは、創業以来、長年にわたって培ってきたデータ分析にまつわるノウハウやアセット群を活用すると共に、昨今、注目されている生成AIなどの新たな情報処理技術を取り入れて、クライアント企業の「データ“も”用いた判断」を核とした業務変革を推進し、事業成長・業績改善および競争力強化を実現します。
(2) 経営環境
各企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進は、データ活用による業務効率化やAIアルゴリズム実装に対する需要を高めていると考えております。また、日本政府による「Society5.0」の提唱やDX推進を目的としたデジタル庁の創設、生成AI等の技術革新・一般社会への普及等もあり、ビッグデータの活用やAIアルゴリズム技術等の社会実装を目指す機運がますます高まっております。そうした流れの中で、当社グループのデータインフォームド事業が内包されるビッグデータアナリティクス(BDA)・テクノロジー市場、及びそれを含むAI市場は拡大し続けております。この中でも特に関連の深い国内ビッグデータ/アナリティクス市場は、IT専門調査会社 IDC Japan株式会社によると、企業のビジネスの可視化需要によるビジネスインテリジェンス(BI)市場の継続的拡大、データ活用環境整備に即した構造化データウェアハウス/非構造化データストア等の成長を背景として、2027年までの年間平均成長率(CAGR)は14.3%で、2027年には支出額が3兆541億円に達すると予測されています。(出典:2024年3月21日IDC Japan 国内ビッグデータ/アナリティクス市場 ユーザー支出額予測:産業分野セクター別、2022年の実績と2023年~2027年の予測)
このように、当社が事業を営むビッグデータアナリティクス・テクノロジーの市場は、継続的に高い成長率を維持すると予想しています。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高の成長と利益ボラティリティの抑制を可能とする体制の構築を推進しています。この実現に向け、営業利益を起点とするKPIツリーを作成し、3つの指標を開示することといたします。
1.単体売上高:年間取引高区分別顧客・売上構成
2.単体コア営業利益率:費用内訳・1人当たり売上高情報
3.子会社売上高:各プロセス実施件数
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは「顧客理解No.1カンパニー」をビジョンに掲げ、中長期的な企業価値の最大化を目指しております。持続的な成長と強固な経営基盤の構築のため、以下の課題に優先的に取り組んでまいります。
1.継続的な売上規模の拡大と利益の確保
当社はこれまで、顧客に深く入り込む一気通貫型のサービス提供を通じて、難易度の高い経営課題の解決に取り組んでまいりました。こうした取り組みから得られた知見やノウハウは、自社プロダクトの開発に活かされるなど、当社グループの競争力の源泉となっております。当社グループは精鋭人材を中心としたサービス提供体制を維持しつつ、生産性の向上に努め、単純な人員増に依存せず売上規模の拡大を目指してまいります。
また、市場環境や成長段階を踏まえ、利益水準についての方向性を変更いたします。今後は事業の成長と並行してコスト管理の徹底にも取り組み、安定的な利益の確保に注力してまいります。
①長期契約の獲得
当社グループは、データ分析を活用したコンサルティングや情報基盤の構築、アプリケーションの開発・仕組化といった業務を主軸としております。なかでも、当社グループの強みを最大限に発揮できるのは、高度な経営課題を抱え、豊富なデータと投資余力を有するクライアント企業であると考えており、そうした企業との長期的な関係構築や、1社あたりの取引範囲の拡大が重要な課題であると認識しております。
現在は、分析から仕組み構築まで一気通貫で支援できる付加価値が評価され、主要なクライアント企業において深耕を進めておりますが、今後はさらに、資本業務提携や共同プロジェクトの実施、人材交流の促進等を通じて、より強固で持続的な関係の構築を図ってまいります。
②プロダクト領域の拡大とサービス提供体制の強化
当社グループは、これまで各業界の大手企業に対して提供してきたデータ活用診断や情報基盤の構築、アプリケーション開発・仕組化といった業務を通じて、技術力とノウハウを蓄積してまいりました。これらの知見を活かし、現在は自動化・省力化に寄与する汎用的な自社プロダクトを複数開発・提供しており、独自のアルゴリズムや特許技術を用いた高い品質と競争力のある価格設定を強みとして、契約件数のさらなる拡大を目指しております。
今後は、販売パートナーとの連携や当社グループ人員による営業活動に加え、展示会等のイベント出展や新たなマーケティング手法の導入など、多角的な取り組みを通じて、プロダクト領域における一層の拡販に取り組んでまいります。
また、こうしたサービスやプロダクトを安定的に提供し続けるためには、優秀な人材の確保と育成が不可欠であると考えております。当社グループでは、大規模な一括採用を行うのではなく、少数精鋭の人材を採用し、短期間で高い能力を発揮できるよう育成する体制を構築しております。さらに、外部パートナー企業とも連携し、当社業務への理解を深めた専属メンバーとの協働を通じて、生産性の向上とサービス品質の維持・強化を両立させながら、提供体制の拡充に努めてまいります。
③投資活動とM&Aの推進
当社グループはこれまで、既存サービスおよびその周辺領域における成長を目的として、継続的に投資活動を推進してまいりました。今後も、既存プロダクトにおける新機能の開発や、新たな事業・プロダクトの創出に向けた先行的な投資を継続してまいります。
また、M&Aの活用による非連続的な成長も重要な手段と位置づけております。既存サービスの提供価値や提供規模の強化、サービス領域の拡大、ならびに企業の持続的成長に必要な人材の獲得等を目的として、引き続き積極的にM&Aを推進し、持続的な競争力の強化を図ってまいります。これにより、当社グループ全体の競争力を一層強化してまいります。
④利益水準の確保
当社グループはこれまで、売上の拡大を最優先に位置づけるとともに、利益については当該年度の配当原資を確保できる水準を目安としながら、積極的な投資活動を推進してまいりました。
今後は、これまでの方針を見直し、成長投資と並行してコスト管理の精度を高めることで、一定水準の利益を安定的に確保することを目指してまいります。これにより、中長期的な企業価値の向上と財務の健全性を両立させてまいります。
2.クライアント企業へのサービス提供品質向上
当社グループは、社員一人ひとりがプロフェッショナルとしての自覚を持ち、常にクライアント企業の期待を上回る高品質な成果を迅速に提供することを心がけてまいりました。こうした姿勢が、当社グループの競争力の源泉であると認識しております。
その競争力を支えているのは、「戦略コンサルティング」「データ・サイエンス」「データ・エンジニアリング」「プロダクト開発」という4つのコアケイパビリティであり、これらは創業以来の実績とともに蓄積・強化されてまいりました。今後も、これらのケイパビリティを持続的に高めていくため、従業員への教育・育成体制の充実を図るとともに、高い付加価値を提供できる人材に対して適切な環境・制度を整備し、クライアント企業へのサービス品質の一層の向上に努めてまいります。
①技術力の研鑽
当社グループが中核的なケイパビリティとして位置づけている「戦略コンサルティング」「データ・サイエンス」「データ・エンジニアリング」「プロダクト開発」の4領域においては、生成AIをはじめとした新たな技術や知見が日々生まれており、継続的な習得と対応が求められております。
当社グループでは、従業員のみならず取締役も含めた全社的な体制で、最新の技術情報の取得やスキル向上に努めております。特に重要な分野においては、外部専門家を招聘し、定期的な意見交換や討議を行うことで、知見の深化と応用力の強化を図っております。今後も、必要に応じて業務委託契約や学術機関との共同研究等を拡充し、技術力の一層の向上に取り組んでまいります。
②サービス提供速度の維持・向上
当社グループが強みとする迅速なサービス提供は、単に技術力だけでなく、経営課題の本質を把握し、データを用いた分析を的確に業務へ組み込む力に支えられております。こうした力を発揮するには、当社独自の分析思想や業務プロセスを深く理解することが不可欠であり、新たに加わる従業員に対しては、徹底した教育を行っております。
また、プロジェクトをチームで推進する体制を整えており、属人性を排した対応によりサービス提供のスピードと品質を両立させております。今後も、業務の自動化や仕組み化、ノウハウの形式知化を進めることで、さらなるサービス提供速度の向上に努めてまいります。
③従業員の労働環境の整備
当社グループは、2019年夏よりリモートワークの試行を開始しており、新型コロナウイルス感染症の拡大時にも柔軟に対応し、全従業員が混乱なく在宅勤務を継続できる体制を整えてまいりました。
一方で、従業員の労働環境の整備は、企業としての責務であると同時に、当社の競争力を高めるうえでも重要な要素であると認識しております。このため、労働時間の正確な把握や定期的なヒアリングを実施し、必要に応じて制度やツールの見直し、備品の貸与・購入支援等を行っております。加えて、オフィス環境についても、衛生面への配慮や十分な作業スペースの確保を継続的に行い、従業員が安心して能力を最大限に発揮できる環境づくりに取り組んでおります。
3.内部管理体制の強化
当社グループは、成長段階にある企業でありながらも、取締役をはじめとする経営陣およびコーポレート部門(経営基盤強化本部)が中心となり、全社的に高度な内部管理体制の整備と運用に努めてまいりました。また、ミドルオフィスの体制強化により、フロント業務との連携を深め、実務に即した統制が図られるよう組織体制を構築しております。
今後のさらなる事業領域の拡大を見据え、柔軟性と迅速性を両立した内部管理体制の一層の進化と強化に取り組んでまいります。
①コーポレート・ガバナンスの確実な実施
適切なコーポレート・ガバナンスの実現に向け、代表取締役CEO、代表取締役COO、業務執行取締役、執行役員、各部門長(Division Leaderや経理財務部長等)が出席する営業会議等の重要な会議体には常勤監査役も参加し、議論の健全性と業務執行の透明性を担保しております。
また、こうした会議体にとどまらず、個別案件の進捗状況に関しても、業務執行部門とコーポレート部門が相互に情報を確認し合い、高度なガバナンスの実効性を確保しております。今後、事業の拡大に伴い議論や意思決定の複雑化が見込まれる中、外部専門家やシステムの導入も適宜検討しながら、ガバナンス体制の確実な運用を継続してまいります。
②リスク・コンプライアンスに関する取り組みの強化
当社グループでは、業務遂行上のリスクを適切に把握し、必要な対応策を講じるため、経営基盤強化本部長を委員長とするグループ・リスクマネジメント委員会を設置しております。同委員会では、毎四半期に定例会を開催し、業務フローに即したリスクの洗い出しや、重点テーマを設定した議論を通じて、リスク管理体制の強化に努めております。
また、コンプライアンスに関する取り組みについては、総務人事部が中心となり、各部門と連携しながら継続的な課題の把握と改善に取り組んでおります。これにより、法令および社会的規範の遵守意識の定着と運用の徹底を図ってまいります。
③情報セキュリティの強化・セキュリティ強度の維持
当社グループは、クライアント企業の経営情報や機密情報、トランザクション(取引)データ等、重要な情報を取り扱う機会が多いという事業特性を踏まえ、情報セキュリティの強化に継続的に取り組んでおります。
社内ガイドラインの整備や従業員への教育に加え、外部専門家による定期的なセキュリティチェックも実施しております。個人情報の取扱いについては、取扱量の最小化や運用管理体制の整備を徹底しており、プライバシーマークの取得も継続的に維持しております。今後も、確実な運用にとどまらず、社内教育・研修の強化や、セキュリティ関連システムの導入・改善を通じて、より強固な情報セキュリティ体制を構築してまいります。
4.流動性の確保及び企業価値の拡大
当社の流通株式比率は、上場時に実施した公募および売出しにより、取引所が定める形式要件を充足しております。
今後も、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、事業の着実な推進とあわせて、IR活動の強化や資本市場との建設的な対話に取り組んでまいります。加えて、実施可能な資本政策についても適宜検討を行い、流動性の確保に努めてまいります。
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