キムラタン
【東証スタンダード:8107】「繊維製品」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、2025年4月に創業100年を迎えましたが、次の100年に向けた新たな事業展開として、「衣・健・住」を軸とした戦略的ビジネスモデルを推進しています。この3領域への集中投資とシナジー創出により、収益性の向上と社会的価値の両立を目指していまいります。
「衣」ブランド価値の再構築と差別化による収益力強化
当社の原点である子ども服事業は、「キムラタンらしさ」を追求した独自のブランド価値の確立により、競争優位性を高めてまいります。現状の経営資源を有効に活かすために差別化された領域への集中戦略に転換し、ターゲット層を絞り込み、エッジの効いたブランドポジショニングにより、顧客ロイヤルティの向上と収益性の改善を図ってまいります。
「健」少子高齢社会に対応したヘルスケア領域への展開
当社はこれまで園児見守りサービス「cocolin」を通じて、保育施設内の安全・安心を支援してまいりましたが、少子高齢化を踏まえ、高齢者を対象とした熱中症対策を含む「室内見守り」分野へ事業領域を拡大します。
特に高齢者の室内での熱中症が深刻な問題となっている状況を踏まえ、高齢者向け見守りサービスの開発に着手し、熱中症アラート機能等を備えた商品・サービスを提供することで、新たな収益機会を創出してまいります。
「住」資産性・社会性を兼ね備えた不動産事業の拡大
生活の基盤である「住」領域では、以下の4つの収益モデルを通じて、安定的かつ成長可能な事業基盤の構築を進めます。
① 賃貸不動産の保有による安定収益の確保
収益性の高い賃貸資産の保有により、企業経営に必要なキャッシュ・フローの安定化を図ります。
② 空き家の再生・再販売
約900万戸とも言われる日本の空き家問題に対し、当社はリノベーション等を通じて、低価格・高付加価値な中古住宅として市場に再供給。資源の有効活用と地方活性化を両立させます。
③ 不動産小口化投資商品の提供
不動産特定共同事業の許可を活かし、再生物件を小口化・証券化して投資家に提供。利回りに加え、ESG視点からの再生型資産運用という新たな投資価値を創出します。
④ 地域密着型のマッチングプラットフォーム運営
地方移住やリノベーション希望者と、地元工務店・デザイン事務所をつなぐマッチングサイトを構築。地域経済への波及効果を生み出しながら、当社のプラットフォームビジネスとして収益化を図ります。
以上の「衣・健・住」の各領域において、社会課題の解決と収益性の両立を図ることで、持続可能な成長と企業価値の最大化を実現してまいります。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、2025年3月期において営業利益1億34百万円、経常利益10百万円を計上いたしましたが、最終損益では46百万円の純損失を計上する結果となりました。この結果を真摯に受け止め、今後の持続的成長に向けては、収益力の一層の強化と安定的かつ健全な財務基盤の構築が喫緊の課題であると認識しております。
① 不動産事業の戦略的拡大と基盤強化
2024年8月、当社はリノベーションによって中古物件の資産価値を再生するノウハウを有するイストグループを子会社化し、「再販事業」を当社の新たな事業の柱として位置づけました。また、同年9月には株式会社メディカグループより「HOUSEリサーチ」事業を譲受。これにより、中古住宅を取得したい一般顧客と住宅会社をつなぐマッチングプラットフォームへと刷新を進め、再販事業との相乗効果を通じた新たな収益源の創出を目指しております。
さらに、2025年2月には、不動産特定共同事業の許可を保有する株式会社SwanStyleの株式取得を決定。これにより、個人投資家からの資金調達を可能とする小口不動産投資スキームの導入を進め、不動産関連収益モデルの多角化と投資家層の拡大を図ります。
当社グループでは、不動産ビジネスの中核をなす「賃貸事業」「再販事業」「不動産特定共同事業」「マッチング事業」という4領域のバランス最適化を志向しており、物件選定・取得、リノベーション、販売チャネルに至るまでの体制をグループ全体で構築することで、経営資源を最大限に活用し効率的な事業運営を図ってまいります。
今後も、物件ポートフォリオの最適化や物件仕入における積極的な情報収集とスピーディーな意思決定を行い、不動産事業の中長期的な利益成長を目指してまいります。
② アパレル事業:ブランド価値再構築と収益体質の改善
アパレル事業においては、売上の拡大よりも「キムラタンらしさ」の再構築によるブランド価値の向上を最優先課題とし、顧客セグメントの再定義と選択と集中による差別化戦略を推進しております。具体的には、特定のニッチ層に向けた商品開発を強化し、ブランドロイヤリティの高い顧客基盤の構築を目指します。
また、SNSを中核としたデジタルマーケティング施策を通じてブランド認知の再拡大と新規顧客獲得に注力するとともに、粗利益率の向上、在庫消化率の改善による事業体質の改善に取り組んでおります。これにより、アパレル事業の収益性回復と再成長への道筋を明確に描いてまいります。
③ ウェアラブル事業:事業領域の拡張と中長期的成長戦略
ウェアラブル事業においては、2025年3月期も導入園数および利用園児数が順調に増加し、保育現場での事故防止への関心の高まりを追い風に、今後も安定した成長が見込まれます。
一方で、国内出生数の減少という構造的課題に対応すべく、当社はウェアラブルIoTの応用領域を保育領域にとどまらず高齢者福祉・介護分野へと拡張する方向で舵を切っております。
2025年3月には、高齢者向けの室内熱中症リスク軽減をテーマに、ミツフジ株式会社との資本業務提携契約を締結いたしました。これは、高齢者の室内事故防止や健康モニタリングへの技術応用を通じて、新たなソリューション型サービスとしての収益モデルの構築を目的としています。
今後は、園児見守り領域と高齢者見守り領域の両輪による事業展開を推進し、中長期的に社会課題の解決に資する成長エンジンの確立を図ってまいります。
当社グループでは、これらの取り組みを通じて、持続的な増収・増益の実現を目指すとともに、キャッシュ・フローの最大化と自己資本の充実を図り、経営の安定性を高めてまいります。加えて、今後の成長戦略においては、M&A・アライアンスを含めた柔軟かつ機動的な経営判断を通じて、企業価値の長期的な向上に一層努めてまいる所存です。
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