企業キッズウェル・バイオ東証グロース:4584】「医薬品 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは、「バイオで価値を創造する-こども・家族・社会をつつむケアを目指して-」を企業理念に、「こどもの力になること、こどもが力になれること」を経営ビジョンとして掲げ、これまでの事業活動で得てきたバイオ医薬品の研究開発に関するノウハウ等を最大限活用し、2つの事業領域において研究開発を推進しています。

 バイオシミラー事業では、より多くの患者様が安心して継続的な治療が受けられる環境の実現を目指しています。また、細胞治療事業(再生医療)においては、特に小児疾患や希少疾患に苦しんでおられる患者様やそのご家族、更には治療に携わる医療従事者の方々を支える革新的な治療法の開発に取り組んでいます。

(2) 経営環境

 「第1 企業の概況 3 事業の内容 (1)事業環境」に記載しております。

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 バイオ医薬品の研究開発には膨大な時間と費用を必要とし、収益計上ができるようになるまでの期間が非常に長いため、短期的な経営指標による実績評価を行うことは一般的に適していません。そのため、当社グループにおいては、研究開発型バイオベンチャーとして、バイオシミラー事業及び細胞治療事業(再生医療)のそれぞれの事業特性に応じた中長期的かつ客観的な経営指標を設定しています。

 バイオシミラー事業においては、既に4製品が上市されており、パートナー製薬企業へのバイオシミラー原薬等の供給による販売収益、及びパートナー製薬企業の販売実績に応じたロイヤリティ収益を売上高として計上しています。一方で、「安定と成長の両立」の実現のためには、当該事業の更なる成長と安定的な収益獲得に向けて、上市済みバイオシミラーの安定供給体制強化及び収益性改善のための追加開発投資、そして継続的な新規バイオシミラー開発投資が欠かせません。そのため、バイオシミラー事業においては、効率的な開発投資の実行と、収益と開発投資のバランスを取ることを目的として、当該事業単独での継続的な営業黒字を経営指標として定めています。

 一方で、細胞治療事業においては、研究開発投資が先行する事業ステージにあることから、開発品ごとに研究開発費用及び中長期的な開発計画を策定し、その進捗・達成状況を経営指標としています。

 なお、バイオシミラー事業と細胞治療事業を含む当社グループ全体としては、事業の着実な推進と安定的な連結営業黒字化の実現を目指し、構造改革等を通じた事業間の連携強化、業務効率化、人的資源の最適化等にも取り組んでいます。

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 上市済みバイオシミラーの安定供給体制の構築及び収益性の改善と、新規バイオシミラーの開発

 バイオシミラー事業において、当社は上市済みバイオシミラーの原薬等をパートナー製薬企業に供給しておりますが、一部製品では需要が当初想定を大幅に上回って推移しており、安定供給を維持するためには、供給体制の再構築と運転資金の最適化が課題となっています。また、日本の薬価制度では、上市時のバイオシミラーの薬価は原則として先行品の70%に設定される上、医療機関との価格交渉等を受け、年次の薬価改定においてその薬価は頻繁に下落します。加えて、原薬製造を委託している海外市場における物価上昇や為替市場における円相場の下落 が製造費  用を上昇させ、当社の利益率に影響を及ぼしています。これらに対応し収益性を改善するためには、原価低減策の推進やバートナー製薬企業に対する供給価格等の調整も必要です。

 既存バイオシミラーの安定供給維持及び収益性向上と並行して、バイオシミラー事業の更なる成長に向けては、これまでの開発・製造経験を通じて得たノウハウ等を活用して、新規バイオシミラーの開発にも注力する必要があります。既に、新規バイオシミラーの開発については、上述のとおりカイオムとMBIとの間でMaster Service Agreementを締結し、新規バイオシミラーの細胞株構築に着手しております。

 更に、安定供給体制の強化に向けては、バイオシミラーの開発から製造・供給までをカバーする国内初のサプライチェーン構築と安定供給の実現を見据え、昨年よりアルフレッサ ホールディングス及びカイオムとの協議を開始し、加えて当社の取引先でバイオシミラーを含むバイオ医薬品の製造及び製造施設の整備に豊富な実績を有する台湾のCDMOであるMBIとも協業の可能性について協議を進めてまいりました。その後、上述のとおり厚生労働省「医療施設等施設整備費補助金(バイオ後続品国内製造施設整備支援事業)」に採択されたことを受け、同補助事業の目的であるバイオシミラーの原薬・製剤製造施設の国内候補地での整備を通して、国内産のバイオシミラーを安定供給できる体制構築に向けて取り組んでまいります。

 また、事業価値最大化に向けては、日本市場への依存からの脱却も重要な課題です。上市済み及び新規バイオシミラーのいずれについても、売上拡大と製造規模の拡大による製造単価の低減、海外売上高と海外製造費の両立による為替変動リスクの緩和を目指し、パートナー製薬企業との協業を通じた海外市場への展開にも積極的に取り組みます。今後も限られた資金と人財をより効率的に活用し継続的な成長を実現できる事業モデルへの変革を推進してまいります。

② 再生医療等製品等の研究開発

 研究開発投資が先行する事業ステージにある細胞治療事業(再生医療)においては、資金調達とのバランスを強く意識した、効率的かつ適正な研究開発投資の実行が求められます。そして、早期にパートナー製薬企業と提携することで、エスカトルとしての開発費負担と開発リスクの低減を実現する必要があります。早期提携実現のためにも、SQ-SHEDに関する基礎研究、非臨床試験、製造プロセス開発、特許出願等に関する投資を継続してまいります。

 なお、世界的に十分な治療法がない疾患に対する医薬品の創出を目指す細胞治療事業において、海外展開は必須の取り組みです。既に米国食品医薬品局(FDA)のガイドラインに準拠したMCBの製造は完了しておりますが、今後、海外での臨床開発に向けて、海外製薬企業や医療機関、開発受託機関等との協議を推進してまいります。

③ 開発品ポートフォリオの最適化

 当社グループは両事業で複数の開発品目を保有しており、限られた経営資源を効率的に投下して最大限の成果を創出すべく、提携先の製薬企業等や業務委託先との協業の下、各開発品の価値最大化に努めております。一方で、バイオシミラー及び再生医療等製品を取り巻く環境は、市場動向、技術革新や各疾患領域における標準治療法の変化、更には競合他社の開発状況等、日々変化しています。当社グループは、これら社内外の様々な要因を総合的に勘案し、開発品目の優先順位の見直しや、新規テーマの立ち上げ、開発中止の判断等を適切に行い、開発ポートフォリオの最適化を継続的に図ってまいります。

④ 高品質な原薬等の安定供給体制の確立

 バイオシミラーや細胞治療(再生医療)を事業化する上で、高品質な原薬等の安定供給は極めて重要な要素です。当社は、バイオシミラー事業において、高品質な原薬の製造プロセス開発と安定供給体制の確立・維持に長年取り組んでおり、これまで日本国内において承認されているバイオシミラー19製品中4製品の開発と3製品の安定供給に携わってまいりました。これは、バイオベンチャーとしては類を見ない実績であり、当社の強みを形成する重要な基盤となっています。このようにバイオシミラー事業で蓄積した製造技術・品質管理等の豊富なノウハウ等を、エスカトルでの細胞治療事業に横展開することで、バイシミラー原薬等のみならず、再生医療等製品においても、高品質な原薬の安定供給体制の早期確立を目指しております。また、これにより、当社グループにおける開発品目の優位性を確立し、ひいては事業価値最大化を図ってまいります。

⑤ 提携による事業推進

 当社グループ開発品目の開発・事業化を円滑に進めるためには、当社グループの強みである製造プロセス開発・原薬製造を活かすために、開発品ごとに最適なパートナー企業、CDMO、臨床試験受託機関等との連携が必須です。また、細胞治療事業で取り組む研究活動においても、自社独自の発明技術を軸としながらも、アカデミアやバイオベンチャー等外部で生まれる新しい科学的知見や技術を積極的に取り込み、SQ-SHEDの強みと組み合わせることで、革新的で競争力のある再生医療等製品の創出につなげていきます。

 このような提携の効果は、研究開発力の強化や事業リスクの分散、資金調達の多様化等多岐にわたり、企業価値の最大化に直結します。今後も、バイオシミラー事業における新規バイオシミラーの開発や、細胞治療事業における革新的な治療法の創出に向けて、戦略的なパートナリング活動を積極的に展開してまいります。

⑥ コンプライアンス・リスク管理体制及びコーポレート・ガバナンスの強化

 当社グループが円滑にパートナー企業等との提携関係を構築・維持し、研究開発活動を推進していくためには、社会的信用の維持・向上が不可欠であると認識しております。当社の取引先は上場企業や公的研究機関といった高い社会的信頼性を有する組織が多く、こうした企業や機関と信頼に基づく健全な取引関係を維持していくためには、当社グループの信用力が重要となります。このような認識の下、当社グループは小規模な組織ではありますが、コンプライアンス意識の醸成とリスク管理体制の強化に継続的に取り組んでおります。また、全てのステークホルダーに対して組織的かつ的確に対応できる体制を構築するため、コーポレート・ガバナンスの改善を進め、経営の公正性・透明性を高めてまいります。

PR
検索