ガーデン
【東証スタンダード:274A】「小売業」
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企業概要
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
「イマをHAPPYに」という企業理念のもと、ご来店いただくお客様をはじめ、当社ガーデンに関わる人達が、幸せ・元気・笑顔になれる空間作りを経営の基本方針としております。
創業以来、カラオケ事業をはじめ、飲食事業、不動産事業等のM&Aを繰り返し、民事再生案件含め12社以上の企業再生を実現することにより発展を遂げてまいりました。各社の異なる価値観、多様な文化や企業風土をプラスに融合させるために、「GARDEN」という庭で手を取り合って歩んでいくという想いが社名に込められています。
また、当社のロゴの形を数字の6に見立て、「6」という数字が持つ「調和と融合・正しい選択と決断」という意味から、6つの行動指針を掲げております。
飲食事業の運営におきましては、ブランド力強化に向けたQSCA(Q=クオリティ、S=サービス、C=クレンリネス、A=アトモスフィア)の向上を目指しております。衛生的で安全な店舗運営の維持と従業員の動作工数の削減、提供スピードの向上に向けた既存店舗の内外装変更に取り組んでおります。
事業運営においては引き続き全従業員の健康管理の強化及び、店舗における衛生管理に十分配慮し、お客様に安全で品質の高い商品の提供を行うことができるように、日々「HAPPYな空間の提供」に向けて努めております。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社では、事業拡大・企業価値向上を目指し、営業利益率、ROA及びROEを重要な経営指標と位置づけております。
・営業利益率 10%以上
・ROA(総資産経常利益率) 10%以上
・ROE(自己資本当期純利益率) 10%以上
(3)経営環境
当事業年度におけるわが国経済は、訪日外国人が過去最多を更新し、訪日外国人旅行消費額も過去最高の実績となり、インバウンド需要が引き続き好調である一方で、長引く世界情勢不安や地政学リスクの顕在化、原材料及びエネルギー価格の上昇、円安の影響など依然として先行き不透明な状況です。
外食産業につきましては、原材料費の高騰で価格改定せざるを得ない状況が続いており、客単価は上昇したものの、物価高騰に伴い消費者の節約志向も進んでおり客数の伸び悩みがみられるほか、慢性的な人手不足などのマイナス要因による厳しい経営環境が続いております。
また、一般社団法人日本フードサービス協会の調査による令和6年(2024年)の外食需要の調査では、令和5年(2023年)5月8日以降の新型コロナ感染症の行動規制撤廃により、多くの業態でコロナ禍のダメージからの回復傾向がみられ、コロナ禍の中で健闘していた「ファーストフード」が昨年も引き続き牽引したことに加え、度重なる価格改定による「客単価の上昇」とあいまって、売上は前年比 108.4%となりました。
年間を通して訪日外客数は大きく増加し、2024年は過去最高だったコロナ禍前の2019年を上回り、「ディナーレストラン」などを中心に、外食の売上のプラス要因となっています。
しかしながら、コメ価格をはじめ原材料費の高騰で「値上げ」せざるを得ない状況が続いており、客単価は上昇したものの(103.9%)、一部企業では客数の伸び悩みがみられるなど、外食経営を圧迫しています。一方で、物価高騰に伴い消費者の節約志向も進んでおり、割引きキャンペーンや価格据え置きを実行する企業や、相対的に価格が安い「ファーストフード」等の企業が、堅調に推移する状況も見られました。
出典:一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査 令和6年(2024年)年間結果報告」
また、直近の株式会社富士経済の外食産業マーケティング便覧2024によると当社の主力業態及び成長ドライバーである『壱角家』『山下本気うどん』が属するラーメン、うどん市場の将来予測については2023年に引き続き人々の動きが活発化するなかで、イートインとの親和性が高い両業態の需要はさらに高まっていくとみられ、市場は続伸する見込みであるほか、水際対策のさらなる緩和によってインバウンド需要についても高まっていくとみられ、市場拡大に寄与していくことが期待されております。
(4)経営戦略
①M&Aによる成長
当社は創業以来、12社の株式をM&Aにより取得し既存事業とのシナジーによる規模の拡大、新しい飲食ブランドの獲得をしてまいりました。
また、M&Aにより被買収企業が持っていたフランチャイズ事業を引き継ぐことで直営事業以外の収益源を獲得し、社内ノウハウを積み重ねながらフランチャイズ店舗数の増加に取り組んでおります。
当社は飲食を運営する企業に対しM&Aをすることにより、被買収企業の店舗を当社の既存ブランドに業態変更することで収益力を強化、又は被買収企業のブランドをブラッシュアップし、さらに横展開することで企業収益を向上させることに注力して参りました。
被買収企業の店舗物件を取得し当社の既存ブランドに変更することで物件取得までの費用、時間を大幅に短縮、被買収企業のもつブランドを取得し業態開発の時間を省くことで効率よく運営することができます。
今後も当社は情報収集の強化に努め、過去に実施してきたM&Aにより社内に蓄積された知見、経験を活かし成長戦略の一つとして活用して参ります。
②直営店舗新規出店
当社では、主力とする2ブランド『壱角家』『山下本気うどん』の継続的な新規出店を計画しております。コロナ禍の序盤は1事業者あたりの給付金に留まり、営業補償が厚くなかったため、通常では空くことがなかったであろう好立地の路面店の撤退が相次ぎ、当社は新宿の歌舞伎町や神楽坂、渋谷の道玄坂など都心の一等地に店舗を借り上げ、いずれも黒字店舗として運営し大きな利益を積むことができております。
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| (単位:千円) |
2025年2月期実績 | 売上高 | 営業利益 |
壱角家(横浜道含む) | 10,258,841 | 2,193,161 |
山下本気うどん | 2,364,854 | 368,091 |
特に壱角家の既存店においては事業開始以来、乗降者数が20万人以上のターミナル駅を中心に、駅前型の立地にてドミナント戦略を展開しており、顧客が利用しやすい駅近の立地を戦略的に選定し今後も集客に取り組んでまいります。また、当社では物件取得に際し、不動産事業とのシナジーを発揮しており、不動産事業を持たない競合他社に比べ物件取得に優位性があります。レインズ(REINS)等の物件情報に直接アクセスすることができるため情報取得までの時間が短く、かつ自社運営サイトである「飲食店居抜き買い取り.com」では個人オーナーが撤退する際、売却をサポートする事業も行っているため、当該サイトから一般市場に出ていない情報をいち早く獲得できております。今後も不動産事業とのシナジーを活かし物件情報量、契約までのスピードを短縮するべく努力して参ります。
※1不動産物件情報交換のためのネットワークシステム/※2借主探しをオーナーから直接依頼された不動産業者/※3不動産売買に応じるお客様を見つけてくる仲介業者
『壱角家』では、2020年よりフードコートの出店に乗り出しました。各施設によるところではありますが、通常の居抜き物件、スケルトン物件ほどの内装費用はかからず、厨房設備と屋号看板の設置といった少額の投資で参入が可能ですが、入客数や利益も通常の路面店に匹敵することから投資回収を早期に完了させることができます。
上記のことから壱角家において既存店の出店立地は駅前で視認性の高い物件が大半を占めておりますが、今後は繁華街への出店と並行してフードコートへの出店を随時行っていきます。
山下本気うどん』はメディアの露出を積極的に行い、注目された業態であると認識しております。引き続き、集客力が期待できる路面店を中心に店舗を展開いたし、また、出店立地に関してはうどん競合チェーン店が少ない繁華街立地及びショッピングモール等のフードコートを中心に行い、引き続きQSCAの向上による店舗での集客に注力してまいります。
③アプリ、メディア活用
2022年2月期からの取り組みとして各業態においてスマートフォンアプリを導入し、顧客のリピートに注力しております。
2025年2月末現在、当社スマートフォンアプリのダウンロード数は58万人を超え今後もアプリにより通知機能を通して行う販促活動や、利用毎に貯まるスタンプ機能を利用し来店者数の拡大を行ってまいります。また、メディアに対しての積極的なアプローチに力を入れており、継続的なプレスリリースによる情報発信により新店舗出店、店舗でのキャンペーン、新商品の発売等を消費者へお伝えできる仕組みを取り入れております。同時に広告代理店に営業活動を委託、日本ハムファイターズの監督、新庄剛志氏を起用し、テレビ、雑誌、ウエブ媒体への露出を増やしブランドイメージの構築を行っています。
2022年4月にオープンした渋谷センター街入口のビルにおいては、1階を「壱角家渋谷センター街店」、2階を山下本気うどん渋谷センター街」とし、屋上の広告用3D電子ビジョンを活用し、PR店舗としての運用を目的として利益を積むことに加え、知名度向上を目指して可能性を探りながら挑戦を進めてまいります。
当社のアプリ会員情報調べによれば『山下本気うどん』においては顧客の73.9%が30代以下で構成されており、当社店舗に来店した同顧客からの情報発信による新規顧客の掘り起こし、リピーターとしての再来店動機につながるよう注力して参ります。
また、『壱角家』アプリは登録会員数44万ダウンロードを超え、多くのお客様にご利用いただいており、来店動機を喚起するための来店ポイントの付与(10ポイント獲得でラーメン一杯無料)、トッピングクーポン配布による集客を行っております。
※ 以下の図表は山下本気うどんにおけるアプリ会員情報となります。
④商品開発
壱角家ブランドで「醤油壱郎ラーメン」「濃厚魚介つけ麺」「冷やし中華」等の季節限定商品を随時投入した他、『山下本気うどん』はうどんの麺に抹茶やキャラメルナッツ等で味付けをしたデザート「ぅドーナツ」の商品開発・販売を行う等、顧客を飽きさせないよう、商品を一部定期的に変更しております。また、『山下本気うどん』の戦略として高単価商品として全体の客単価を引き上げるキラー商品を安定して開発していくことを重要視し、社内プロジェクトによる商品開発はもとより、外部のコンサルタントとともに開発を行ってまいります。
⑤販売促進策
各事業では一部商品の割引やその日限りの限定商品をお楽しみいただける毎月開催のフェア「壱角家の日」「すためしの日」「肉の日」等を実施しております。また、テイクアウト販売の強化を行い、新規顧客の獲得と既存顧客の維持に取り組みました。それ以外にも店舗の収益改善に向けた施策、徹底したコスト管理を進めるとともに、人材の積極的な採用や教育面の強化を実施し、業容拡大を図ってまいりました。また、『壱角家』『山下本気うどん』『情熱のすためしどんどん』『鉄板王国』においてスマートフォン向けにブランド公式アプリの運用を行っております。
スタンプカードを紙からデジタルへ移行し、非接触とするコロナ対策としての取り組みの他、来店データの蓄積・分析を行うことで、お客様に応じたクーポン配信や新商品の告知など、来店動機の喚起による販売促進強化を目指し運用しております。
⑥フランチャイズ事業・社内独立制度
フランチャイズ展開を加速することで、市場シェア率をさらに高め、オペレーションノウハウを蓄積し、ブランド力の向上・発展につながると期待しております。また当社は、売上のロイヤルティ等を通じて、確実に利益を積み上げられることもメリットと感じております。
社内独立制度は、「自分の店を持ちたい」という従業員を支援する取り組みとなります。店舗運営業務委託契約を結び、直営店舗と同様の食材仕入ルートや備品、設備を保障しており、一方で店舗管理や従業員の雇用はオーナーの裁量によるものとなります。2025年2月末時点で1名がオーナーとして独立して店舗を運営しております。
また、2025年2月期末時点で壱角家、肉寿司、一竜の屋号で日本国内にフランチャイズ加盟企業24社、31店舗を展開しており、海外においては壱角家の屋号でマレーシア1企業2店舗、タイ1企業1店舗を展開しております。今後も国内はもとより日本食文化の浸透を推進するべく海外へも出店をして参りたいと考えております。さらに、2024年3月より山下本気うどんのフランチャイズ加盟募集を開始し、今までラーメン、肉寿司業態で培ったフランチャイズノウハウを活用し全国へ広がる既存加盟企業へ出店を促進したいと考えております。
リテンションマーケティング(既存取引店と良好な関係性を維持して行くマーケティング活動)により、展開の止まった休眠及び離反加盟店を掘り起こし、更に迅速なサポート体制を維持することで顧客ロイヤルティ向上を実現し、新規展開に繋げます。
また、山下本気うどんの展開で培った、様々なメディアを組み合わせ、相乗効果を高めたメディア戦略をフランチャイズ展開に取り入れ、スピーディーに新規展開を推し進めます。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は、以下の通りであります。
①人材の採用・確保、社員教育の徹底
当社では人材の確保を事業成長の礎と考えております。飲食業界においては恒常的な人手不足に陥っていますが、優秀な人材採用するためには、労働関連法令を遵守した上で社員のライフワークバランスを重視した労働環境を社員へ提供することが必須条件だと考えております。当社では、シルバー層、女性、外国人等を積極に登用し優秀な人材を確保すること、また社員教育制度を充実させ、接客業として顧客から選ばれる店舗、会社の確立を目指しております。
②経営管理体制の強化
あらゆるステークホルダーのための適切な情報管理・開示体制の構築、コンプライアンス体制の整備、的確な経営方針の策定等のために漸次経営管理体制の強化を行ってまいります。
③衛生管理の強化、徹底
食の安心・安全の顧客への提供は、飲食事業を営む当社にとって最優先すべき事項であり、日頃からの衛生意識向上、作業手順の遵守を行い、品質管理担当者による臨店の実施により、徹底した衛生管理の強化を行ってまいります。
④新規出店地域の開拓
首都圏を中心に店舗展開しておりますが、国内では全国各地域から乗降者数、商圏小売額等を参考に物件を選定した上で新規出店を進めてまいります。
⑤新業態、新メニューの開発
既存の飲食事業については、業態の見直しや新メニューの開発を行うことによって常に消費者の嗜好に合った商品提供及び店舗運営を継続的に行っていくことが、当社の課題のひとつであります。現状は、社内担当部署及び各ブランドより提案された季節商品や外部企業とのコラボ商品を試食会を実施したうえで、販売の可否を検討し商品化を行っております。
⑥安定した食材・原材料の調達
ロシアのウクライナ侵攻及び物流の停滞による食材・原材料の高騰は、世界的に安定した供給に大きな影響を及ぼすものであります。また、国内においても鳥インフルエンザの影響のよる鶏卵・鶏肉の供給不足、価格高騰も課題となりますが、購買による仕入れルートの多様化によりお客様へ安定した商品を提供いたしております。
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