企業兼大株主カナデビア東証プライム:7004】「機械 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。

(1) 経営方針、経営戦略等

① 経営方針

 当社グループでは、基本理念である「Kanadevia Value」を定めており、本基本理念の下、長期ビジョン、経営戦略等を実施していく経営体系を構築している。

 当社グループの基本理念「Kanadevia Value」

② 経営戦略等

 当社グループでは、基本理念「Kanadevia Value」の下、2050年に目指す姿である「サステナブルビジョン」及び2030年に向けた長期ビジョン「2030 Vision」を掲げるとともに、2023年度を初年度とする3か年の中期経営計画「Forward 25」を実施している。

「サステナブルビジョン」では、「環境負荷をゼロにする」、「人々の幸福を最大化する」を目標に、ビジョン実現に不可欠な要素である7項目(「カーボンニュートラル」、「資源の完全循環」、「環境復元力の最大化」、「災害激甚化への対応」、「サステナブル調達」、「人々の幸福の最大化」、「コーポレート・ガバナンスの高度化」)を、「成功の柱(マテリアリティ)」として設定している。これら「成功の柱(マテリアリティ)」ごとに、関連する社会課題の認識、課題に対する施策を明確化し、2050年までの目標(KPI)とロードマップを策定し、各種取組みを推進していく。

 また、「2030 Vision」では、「サステナブルで、安全・安心な社会の実現に貢献するソリューションパートナー」として、「脱炭素化」、「資源循環」、「安全で豊かな街づくり」の各事業分野における社会課題の解決に積極的に取り組み、既存事業の持続的成長と、成長事業の創出・拡大を目指していく。

 そして、2023年度~2025年度の3か年の中期経営計画「Forward 25」では、グローバルな社会的課題の解決に向け、以下のとおり3つの基本方針に基づく重点施策に取り組んでいく。

 中期経営計画「Forward 25」

1.既存事業の持続的成長

(1)海外事業の伸長

Waste to X(廃棄物中の再利用可能な金属やエネルギーの回収・利用)事業、原子力関連事業、水事業を中心に、当社グループで協力して事業伸長に取り組んでいる。2024年度はKanadevia Inova AG.のWaste to X事業の伸長により、当社グループ全体の海外売上高比率が49%となり、2025年度までの目標としていた40%を達成することができた。デンマークのBabcock & Wilcox Renewable Service A/S(現 Kanadevia Inova Denmark A/S)の買収など、Waste to X プラント運営・メンテナンス会社の買収により継続的事業を拡大しているほか、英国でバイオガスプロジェクトに関する事業開発や運営などを行っているIona Capital Ltd及びそのグループ会社の買収等により、Waste to X事業領域の拡大を進めている。

(2)事業構造改革の推進

 社会のサステナビリティと会社のサステナビリティの観点から事業評価を行い、事業ポートフォリオの見直し・改革を進めている。2024年度は、経営の効率化の観点から、当社の完全子会社のうち、日立造船プラント技術サービス㈱を当社に吸収合併したほか、㈱プロモテックの当社への吸収合併(2025年4月1日付)、また㈱エイチアンドエフの全発行済み株式の㈱アマダへの譲渡(2025年5月1日付)を決定するなどの改革を行った。

(3)継続的事業の拡大及び新設事業の収益改善

2025年度に継続的事業の売上高割合50%、新設事業の黒字化を目指し、新たな事業モデルの創出、DX推進による製品・事業の高付加価値化等に取り組み、収益力の強化を図っている。2024年度は当社連結売上高に占める継続的事業の割合が41%であった。

2.成長事業の創出・拡大

 重点投資分野である脱炭素化事業、資源循環事業、水事業、ライフサイエンス関連事業等において、積極的な投資を行っている。

 脱炭素化事業では、水素発生装置の中核機器である水電解スタックの量産工場を山梨県都留市に建設する80億円規模の設備投資を決定した。また、Power to Gas、浮体式洋上風力発電等の分野において、補助金事業を活用した開発投資を行っている。資源循環事業では、国土交通省による実証事業を活用し、下水汚泥から得られるメタンを資源として再利用する技術開発への投資を行っている。さらに、脱炭素化及び資源循環が融合する領域における開発投資として、ごみ焼却施設から発生するCO2の利活用に関する研究を、補助金を活用して進めている。

3.持続可能な経営の推進(企業価値の向上)

 人的資本の強化、事業活動の脱炭素化、DX戦略の推進、リスク管理の徹底に取り組んでいる。

 人的資本の強化では、管理職人事制度の改革、65歳定年制の導入など人事制度の改革を進めた。また、特に健康経営を推進しており、産業医や健康保険組合等とも課題を共有し、健康経営優良法人「ホワイト500」の認定を受けるなど、各種施策を推進している。さらに、2024年10月1日付の商号変更に合わせてブランディング推進の取組みを進め、職員のエンゲージメント向上を図っている。

 事業活動の脱炭素化について、2050年度に自社の活動および自社のバリューチェーンにわたるGHG(温室効果ガス)排出量を実質的にゼロにすることを目標とし、各種取組み、情報開示を推進している。ESGデータ集2024において、自社活動によるGHG排出量を示すスコープ1、2の開示範囲を、当社グループ20社から同98社に拡大し、さらに国内排出分の第三者保証を取得した。また、自社のバリューチェーンにおけるGHG排出量を示すスコープ3の開示を開始した。2024年度のGHG排出量データは、2025年秋頃発行予定のESGデータ集2025に記載予定である。さらに、当社は2024年11月に開催された国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)の「ジャパン・パビリオン」に初出展し、CO2の高効率回収を実現する廃棄物燃焼技術を中核とした、風力発電やメタネーション等を含むシステム・パッケージを展示したほか、当社社長が講演を行い、資源循環による環境負荷低減に向けて挑戦する当社の姿勢について説明した。

 DX戦略の推進については、役職員が業務に利用するための生成AI環境の構築やISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証の取得など、戦略推進のための基盤整備が進んだほか、DX人材の育成も併せて進めている。

 リスク管理の徹底については、重要な戦略リスクの特定、リスク許容度の定義及びこれに基づく戦略的なリスク管理を行う仕組みを導入、推進するために社長直轄のERM (Enterprise Risk Management)室を新設した。今後、ERM室の統括の下にグループリスクのマネジメントを進めていく。

③ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、中期経営計画「Forward 25」の最終年度となる2025年度における目標を、受注高7,000億円、売上高6,200億円、営業利益270億円(営業利益率4.4%)、ROE8.2%とした。また、長期ビジョン「2030 Vision」では、2030年に営業利益率10%の達成、ROE10%超、海外事業比率50%、継続的事業の比率50%超、2030年代のできるだけ早い時期に売上高1兆円の事業規模を目指す。

(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 中期経営計画「Forward 25」の中間年度(2024年度)の業績は、海外子会社のKanadevia Inova AG.及びそのグループ会社の伸長等に加え、円安の影響もあって、受注高、売上高、営業利益、経常利益、及び親会社株主に帰属する当期純利益がいずれも期初の見通しを上回る結果となった。

 当社グループでは、中期経営計画「Forward 25」の重点施策を実行することで、収益力強化を推進し確実に成果をあげることを目指すとともに、当社グループが持続的な成長と企業価値の向上を目指すうえで重要な課題となる、安全管理の徹底にも引き続き取り組んでいく。

 当社グループにおける不適切行為について

 当社は、当社グループのうち舶用エンジン事業を行っている連結子会社において不適切行為が行われていたことが判明したことを受け、2024年7月17日付で当社グループから独立した外部有識者で構成される特別調査委員会を設置し、透明性及び実効性を確保した調査を実施した。かかる調査の結果、2025年3月25日及び同年4月30日に公表したとおり、舶用エンジンのほか、可燃ごみ焼却施設、し尿処理施設、橋梁、鋳物製品、特殊バルブ等の事業・製品について、一部に不適切行為が行われていたことが判明した(以下、特別調査委員会の調査の結果判明したこれらの不適切行為を「本件不適切行為」という)。

 当社グループとしては、本件不適切行為が明らかになったことを厳粛に受け止め、以下の再発防止策に取り組んでいくことに加え、特別調査委員会の提言をもとにさらなる実効性の高い再発防止策を策定・実施することで、ステークホルダーからの信頼回復に努めていく。

<再発防止策>

 本件不適切行為のうち個々の事案に対して、計測等システム及び業務プロセスの見直し並びに品質管理体制の強化など、それぞれの性質に応じた対策を実施しているほか、各不適切行為に共通する対策として、以下の事項に取り組んでいる。

①経営トップによるコミットメント

 経営トップがコンプライアンスの徹底を繰り返し発信することにより、当社グループとして不正を絶対に行わないことを役職員に認識させ、また、ステークホルダーに対して、当社グループ全体として不正防止に真摯に取り組む姿勢を示す。

②組織風土改革・意識改革

・当社グループとして、Kanadevia Valueをはじめとする当社の理念や規範をもとにありたい姿を具体化し、役職員がこれを理解し実践できるよう経営トップからメッセージを発信する。

・如何なる理由があっても不正を拒絶し、何か不安や懸念があればお互いに速やかに共有し、適切に問題解決を図ることができる職場づくりを促進する。

・組織の縦割り化や業務の属人化を防ぐために、人事ローテーションの活性化を図り、長期間、一人の担

 当者が同じ業務に従事しないような仕組みを構築する。

・職員一人ひとりが不正を拒絶できる倫理観を持つことができるよう、自身の役割・責任に対する意識を

 高めることに着眼した啓発・教育・トレーニングを実施する。

③業務プロセスの改善

・各部門の業務管理規程と業務の実態を照合し、不正につながるプロセスの排除及び業務所掌の見直し

 を行い、不正を防止できる実効性のある業務管理規程に改訂する。

・経験の浅い職員でも適切に業務を遂行できるよう、業務プロセスの可視化・標準化を推進するとともに

 業務の効率化を行う。

④品質不正防止の取組み

・社長を委員長とするコンプライアンス委員会の下部組織として、品質コンプライアンス委員会を設置

 し、各部門の品質に関係する業務の適切性や、本件不適切行為に関わる是正措置の実施状況についてモ

 ニタリングを行う。

・グループ内職員向けの品質相談窓口や、同業他社で発覚した品質不正につき当社グループにおいて同様

 の事案がないかをただちに調査し、問題がある場合は改善する仕組みを構築する。また、特別調査委員

 会の調査結果・提言等及び当社グループの再発防止策について役職員への周知を図る。

⑤品質保証部門の人員確保

 人員補強のほか、品質保証業務に必要な素養・スキルが得られる教育を実施する。

⑥取締役会の監督機能強化

 重大なコンプライアンス違反あるいは可能性がある事案が判明した場合は、速やかに取締役会に報告し、取締役会においてコンプライアンス、内部統制及びエンタープライズリスクマネジメントに関わる議論を徹底する。

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