カドス・コーポレーション
【東証:211A】「建設業」
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企業概要
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営方針
当社は、土地の有効活用を希望する土地オーナーの情報、事業に適した用地の情報、新しい事業展開のために拠点を求めるテナント企業の情報を収集し、土地オーナーとテナント企業を引き合わせ、双方のニーズをつなげることで建築工事の受注に結び付けるビジネスモデルを「カドスLANシステム」と呼び、当社の強みと言えるビジネスモデルであると認識しております。これにより、土地の特性に合わせた最適な事業プランの提案から店舗の設計施工、テナント企業の出店までをトータルプロデュースしております。
また、「100年存続企業」が当社における長期ビジョンであり、「100年存続企業」を実現するために「売上高100億円」と「社員100人体制」の早期実現を目指して、お客様、株主、従業員の信頼と期待に応えることを基本方針としております。
(2)経営環境
①建設事業
当社の建設事業は、山口県・広島県を中心に主として流通店舗の設計施工を行っており、土地の特性に合わせた最適な事業プランの提案から店舗の設計施工、テナント企業の出店までをトータルプロデュースしております。競合企業の多くが、テナント企業の出店が決定した案件の施工を請負うことに集中しているのに対し、土地を活用したい土地オーナーへのアプローチを進め、活用することについて、土地オーナーから承諾を得た土地の情報を店舗設計図案とともにテナント企業に紹介し、土地の賃貸借契約につなげるマッチングを進める当社のビジネスモデルは、山口県・広島県の幅広い地域で認知を得ておりますが、まだ当社認知度が充分でない地域における商圏拡大の余地は充分に残っていると見込んでおります。また、建設業の担い手不足やコストの上昇については業界共通の課題として認識し、人材の確保や生産性の向上等を進めており、今後も課題解決へ向けて継続的に取り組んでいく方針であります。
②不動産事業
当社の不動産事業は、建設事業の営業活動の中で土地オーナーとテナント企業とのニーズがマッチングしないケースで、当社が両社の間に入り双方のニーズをつなぎ合わせることで案件を成立させるビジネスモデルが強みであります。つまり、不動産事業における主たる収入(売上)である不動産賃貸収入は、不動産事業のみの事業活動で増加するものではなく、建設事業の案件に付随して増加するものであり、収入に対応する人件費等の直接原価や販売費及び一般管理費の負担が少ないため、建設事業と比べて高い利益率となります。これまでの建設受注実績と不動産賃貸実績の両面からアプローチすることによる積み重ねが、複合案件を生み出し、不動産賃貸による不動産収入の獲得、さらには期間満了後には新たな建設受注の獲得につながることから、将来にわたって長期間安定した不動産収入と建設受注を獲得確保できる機会・情報が積み上がっていると認識しております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等及び中期的な経営戦略
①売上高伸長と併行して、売上総利益率の維持・向上に努めてまいります。
建設事業において質・量ともに広範に受注を獲得し、持続的な事業成長を目指す中で、利益率を重視した工事原価管理を徹底するとともに、安定収益の確保と財務体質の健全性を維持するため、安定的に高利益率を確保できる不動産事業の売上高割合も20%程度を堅持できるよう、成長に資する投資を着実に実施してまいります。
②財務健全性を維持しながら、株主価値の向上を目指してまいります。
財務健全性の高さを表す重要指標である自己資本比率の向上に努めると同時に、株主見地から投下資本の収益性を表す自己資本当期純利益率、また、株主還元の意味で重要な配当性向の向上に努めてまいります。東京証券取引所公表「2024年3月期決算短信集計〔連結〕(プライム・スタンダード・グロース)」の上場建設業平均値(自己資本当期純利益率7.87%、自己資本比率43.01%、配当性向44.16%)を参考に、資本政策上の当社の適正数値(自己資本当期純利益率10.0%、自己資本比率40.0%、配当性向30.0%)を目指してまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
(1)及び(2)に記載の、経営指標及び中期的な経営戦略を実行していくうえで、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は次のとおりであります。
①経営資源の選択と集中
本社を構える山口県は、人口減少や少子高齢化が急速に進む一方、福岡県と広島県については、就業・生活スタイルの変化に伴い、東京一極集中からのシフトの受け皿として、現状程度の商業・人口集積を維持するものと見込んでおります。したがって、建設事業においては、本社の売上規模は維持しつつ、人を含む経営資源を広島・福岡の両県に重点投入し、売上拡大に取り組んでまいります。
日本フランチャイズチェーン協会「フランチャイズチェーン統計調査(1989年~2022年)」によると、2022年のフランチャイズチェーン店舗数は約25万店であり、コロナ禍を背景に4年連続で減少しました。但し、一時の減少はあるものの全体的には増加基調で推移しており1989年以降に減少局面となったのは、リーマンショックが影響したと思われる2008年~2009年のみであります。また、国土交通省「建築着工統計調査(2013年~2023年)」によると、山口・広島・岡山・福岡の4県の工事費予定額はおよそ年間800億円程度、中でも人口規模が大きく、強い経済基盤を持つ広島県、福岡県の存在感は高いと言えます。
このような状況を踏まえて、当社は、今後、テナント企業の出店需要が高い山陽道(山口・広島・岡山)及び北部九州(福岡及びその周辺)を営業エリアとして、山口県・広島県に加えて西は福岡県及びその周辺、東は岡山県まで広く事業を展開する方針であります。また、同4県中の人口10万人超22市のうち、特にナショナルチェーン店舗施工実績10件未満の13市を進出余地のあるターゲット地域としてまいります。22市の当事業年度末時点の施工実績数値は以下のとおりであります。今後の営業力強化のため、ターゲット地域の地元不動産会社と業務提携を行い、土地オーナーの土地活用ニーズの掘り起こしを加速させる計画であります。当事業年度末現在、地元不動産会社との業務提携はありませんが、1市1社以上の業務提携を行うことを目標としております。
都道府県 | 市町村 | 施工実績 |
| 都道府県 | 市町村 | 施工実績 |
山口県 | 下関市 | 47件 | 岡山県 | 倉敷市 | 4件 | |
宇部市 | 44件 | 岡山市 | 1件 | |||
山口市 | 38件 | 岡山県合計 | 5件 | |||
防府市 | 35件 |
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周南市 | 26件 | 都道府県 | 市町村 | 施工実績 | ||
岩国市 | 20件 | 福岡県 | 北九州市 | 18件 | ||
山口県合計 | 210件 | 福岡市 | 2件 | |||
| 飯塚市 | 1件 | ||||
都道府県 | 市町村 | 施工実績 | 筑紫野市 | - | ||
広島県 | 広島市 | 28件 | 大野城市 | - | ||
福山市 | 14件 | 春日市 | - | |||
東広島市 | 5件 |
| 久留米市 | - | ||
尾道市 | 2件 | 大牟田市 | - | |||
廿日市市 | 2件 | 福岡県合計 | 21件 | |||
呉市 | 2件 |
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広島県合計 | 53件 |
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また、当社は敷地面積5,000坪以上の土地に複数のテナント企業を誘致した郊外型複合商業施設として「カドスタウン」の展開にも着手しており、既に山口県防府市及び宇部市において用地を確保しております。土地オーナーとナショナルチェーンの1対1対応よりも複数の土地オーナーと複数のナショナルチェーンのニーズをマッチングさせる多対多対応の相乗効果を想定し、複数のナショナルチェーン誘致で集客力を高め、用地のブランド力を引き上げます。当社はそれらの開発・一括管理で付加価値を提供するという構想を実現させる方針であります。
②継続的な設備投資
不動産事業については、将来性のある賃貸用不動産や借地権等の新規取得及び既存保有施設の維持更新を継続的に行うことで、保有資産価値の維持と賃貸収入の増加を図ってまいります。
当事業年度は、102百万円の投資を実施しました。今後もオフィスビル、物流関係の建物などをターゲットとし、投資を実施してまいります。当事業年度末現在はオフィスビル3件(山口県2件、広島県1件)、物流倉庫2件(山口県)を賃貸物件として保有しておりますが、事業エリアを福岡県、岡山県に拡げ、保有物件をさらに増加させていく方針であります。
③人材の確保と育成
65歳定年としておりますが、個人の健康状態・就労意欲に応じて個別に労働条件設定を行い、希望する年齢まで働ける環境を整えてまいります。また、従業員の目標設定、業績等の査定方法を明確化し、従業員の評価の適正化を図るとともに、業務に必要な資格取得を奨励して従業員一人一人の上昇志向と能力の向上を図っていく方針であります。
ビジネス機会を着実に取り込むためには施工能力強化が不可欠であります。当事業年度末現在、工事部門(原価見積部門、設計部門を含む)に所属する従業員は53人でありますが、今後も積極採用に努めてまいります。また、現場監督の組合せ改善、DXを活用した遠隔操作による現場監督、現場監督の人材育成、これらの施策を実行することにより、当事業年度の建設事業売上高における1人当たり年間完成工事高0.97億円からさらに増加させるべく取り組んでおります。
④環境保全への取り組み
サステナビリティを巡る課題への対応はリスクの減少のみならず収益機会の拡大にもつながる重要な経営課題であり、当社としては電力使用量の実質的削減が最も効果的な手段と認識しております。現状では、全事業の電力使用量が自社太陽光発電量の範囲に収まっておりますが、事業拡大に伴い、電力使用量が超過する場合には、調達するFIT電気に非化石証書(トラッキング付)を付加することで実質の再生可能エネルギーとする予定であります。
⑤建設工事受注の平準化
業界共通の課題である建設資材価格の上昇や建設技術者の不足により、条件交渉が長期化して工期が重なり、受注できないケース(機会損失)や外注費を含む建設コストの増加が懸念されます。これに対しては、テナント企業に対する工事請負金額の引き上げ交渉や、新卒・中途を問わない人材の確保・育成に加えて、建設技術者の効率的な配置ができるよう受注(工期)を平準化するため、契約までの営業・工事部門の連携強化に注力していく方針であります。
⑥財務基盤の強化
当社は、不動産事業を中心とする資金需要に対応するため、有利子負債による資金調達を行っておりますが、今後、金利の急激な変動や金融情勢の変化等の何らかの理由により計画どおり資金調達ができない可能性があります。特定の金融機関に依存することなく、案件ごとに金融機関に融資を打診し、融資シェアバランスを考慮して調達先を選定し、金融機関との良好な関係構築に努めてきた結果、現時点では手許資金は潤沢で資金調達余力を有しておりますが、引き続き一定の内部留保の確保を継続的に行い、財務基盤の強化を図ってまいります。
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