オーバル
【東証スタンダード:7727】「精密機器」
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企業概要
本文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当企業グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当企業グループは以下の経営理念を定めております。
『確かな計測技術で、 新たな価値を創造し、 豊かな社会の実現に貢献します。』
“確かな計測技術で”
-「流体計測技術」から将来を見据えた新たなビジネス拡大の可能性として、「計測技術」まで事業領域を拡大
“新たな価値を創造”
-お客様に付加価値の高いセンサ・ソリューション、そしてサービスを提供
“豊かな社会の実現に貢献”
-地球温暖化問題への取り組み。カーボンニュートラル、水素、アンモニア、メタネーションなどへの関連商品 を提供し、再生エネルギーのサプライチェーンに貢献
-SDGsの17の目標:「産業界のマザーツール」メーカーとして、商品を通して社会の営み、あらゆる産業を下支え
この理念達成のために、従業員が遵守すべき指針およびルールとしてオーバル行動指針、社内規程を定めております。これらは、社会の一員として会社および従業員が当然に遵守しなければならない基本的な事項として法令・規則を土台としております。さらに毎年、会社としての業務指針、企業方針、部門としての運営方針、部署としての業務目標を定めて、業務管理を実施しております。また、行動指針(コンプライアンス)要領書を定めて公正な風土作りに努めており、今後とも社会規範に則り、公明正大な経営に努めます。
(2) 目標とする経営指標
企業グループの存続と企業体質の改善を目指し、グループの競争力・企業価値・資本効率の向上を図るため、ROEについては10.0%以上の達成を目指しております。
(3) 経営環境および対処すべき課題
当連結会計年度における世界経済は、欧米での高金利水準の継続、ウクライナや中東情勢緊張の長期化、中国経済の成長鈍化、さらには米国の政策動向などが経済環境に悪影響を及ぼす懸念があり、先行きの不透明感が増しています。一方、わが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加により、景気は緩やかな回復傾向にあるものの、人件費の上昇による物価高が個人消費に影響を与え、さらに米国の政策動向に伴う貿易環境の不確実性も加わり、先行きは依然として不透明な状況が続いております。このような経営環境のもと、当社企業グループは、中長期経営ビジョンとして「アジアNo.1のセンシング・ソリューション・カンパニーへ」を掲げ、2032年3月期には、売上高200億円、経常利益29.5億円、親会社株主に帰属する当期純利益は20.0億円、ROE10.0%を計画しております。その計画の達成のために、2025年3月期を最終年度とするPHASE1「Imagination2025」では構造改革期として、既存の業務プロセスや組織構造を見直し、効率化と最適化を図ってまいりました。続くPHASE2「Imagination2028」でも、成長期として、これまでに整えた基盤を活かし、さらなる成長を実現しなければなりませんが、その実現に向けて、経営戦略上、優先的に対処すべき課題は以下となります。
① 収益基盤の強化
当企業グループ保有の既存技術を活用した派生製品およびリニューアル製品の開発により、収益の柱となる主力製品のラインナップを拡充し、安定的な収益増に取り組みます。例として、2024年秋に販売開始した電池式クランプオン超音波流量計は、お客様の声を反映し東京計器株式会社との共同開発により生み出された新製品です。工場やプラントのみならず、ビルや商業施設などへの拡販にも注力しております。
また、設計、生産方式、サプライチェーンの見直しを継続し、品質や納期の安定化を図るとともにコスト削減も実現します。特に生産方式に関しては、内製化と自動化の追求、製品ポートフォリオの見直しも含め、工場および設備稼働率の改善を行います。さらに、中国の子会社では設備投資を進めることで、生産品目の拡充や増産体制の強化により、納期短縮や効率化による収益力向上に取り組むと同時に、災害や地政学におけるリスクの低減にも継続して取り組んでおります。
② 持続的成長のための戦略的投資
エンジニアリング、生産技術および、材料管理など当企業グループが蓄積した技術・ノウハウを関連分野で活用するほか、社内ベンチャー制度を利用した新たな事業の創出を継続します。また、スマート封印システム「Lock‘n Lorry」は、当企業グループの技術・ノウハウを応用して、環境問題のみならず、各種課題を解決する次世代封印システム・キットとして開発した新たな分野に向けた新製品です。この「Lock‘n Lorry」はローリー車による食品輸送時に、安全衛生上必要な封印管理の課題をスマートフォンで管理することにより、ⅰ)輸送都度封印のために使われ大量廃棄されるプラスチック製結束バンドの不要化、ⅱ)タンク上部の高所作業の削減による安全性の向上、ⅲ)自動記録やペーパーレス化による作業効率および作業信頼性の向上を実現しております。
また、並行して既存事業の関連分野の企業や事業を買収(M&A)し、新たなビジネスや利益創出へとつなげることも継続します。
③ アジア市場の強化
当企業グループは、海外事業はリスク管理および経営資源の選択と集中の観点から、中国・韓国・台湾などの東アジア地区、およびシンガポールなどのASEAN地区を重点地域として、各地域の特性に応じたグローバル事業展開を継続しております。また、アジア各子会社・各代理店の販売チャネルを強化するとともに、相互連携および情報共有を密に行い、「アジアNo.1のセンシング・ソリューション・カンパニーへ」を目指し、グループ一体となった受注拡大に継続して努めております。
④ SDGs(持続可能な開発目標)への取り組み
これまで培った水素計測の技術を活かし、脱炭素化の未来を支える取り組みを引き続き推進いたします。具体的には、SDGsに資する脱炭素化関連製品である水素計測用流量計やアンモニア計測用流量計などをラインナップし、水素サプライチェーンにおける流量計測と校正のワンストップショッピング対応を継続的に実施いたします。さらに、水素計測用流量計のクオリティや精度向上を目的として、水素専用の校正設備「OVAL H2 Lab」(仮称)の稼働を2026年3月期中に計画しております。
また、当企業グループでは地球とオーバルが持続可能であるために、注力すべきテーマ「マテリアリティ(経営の重要課題)」を特定しました。気候変動が着実に進む未来の社会でも必要とされる会社になるために、今から何に注力すべきなのかを考え、経営戦略への組み込みを進めております。
⑤ 当企業グループの成長を支えるベースづくり
当企業グループの成長や変革の実現には、そのベースとなる人財の育成が不可欠であります。各種教育・研修制度を充実、将来を見据えた次世代を担う人財の育成、さらにはDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進を通じ、優秀な人財の確保と従業員エンゲージメントの向上を図り、従業員一人一人が快適でかつやりがいをもって生き生きと働ける職場環境を享受できるよう努めております。
⑥ ROE、PBRの改善
当企業グループは、2032年3月期にROE10%以上およびPBRの改善を目標としております。その実現に向けて、PHASE2「Imagination2028」ではROEとPBRの改善を以下の戦略に落とし込み、推進しております。ROEの改善に向けては、アジア市場および水素・アンモニア関連事業の拡大、既存技術を活用した新製品開発など、利益率の向上を目指した「成長戦略」、総資産回転率や工場稼働率の改善および生産性向上に取り組む「経営基盤強化戦略」、レバレッジの活用などによる資本収益性の向上やキャッシュフローの改善を図る「財務戦略」を各戦略に落とし込んでおります。PBRの改善に向けては、株主・投資家とのコミュニケーションの充実化や非財務情報を含めた投資判断に資する情報開示の充実など「IR戦略」を強化することで成長期待の醸成を目指します。さらに株主還元策として、計画期間3カ年の平均で「総還元性向70%以上」、「DOE2.7%以上」を目標とするとともに「機動的な自己株式取得」を実施する予定です。当企業グループは、今後も株主価値向上実現のため、収益性や資本効率の向上に取り組んでまいります。
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