企業兼大株主オートバックスセブン東証プライム:9832】「卸売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 自動車産業を取り巻く環境が過去に類を見ないほど大きな変革期を迎え、社会、クルマ、人の暮らしとともにお客様のニーズにも大きな変化が生じていくことが想定されるなか、企業経営にはこれまで以上に迅速で果断な意思決定が求められます。

 このような状況下において、当社は、意思決定および企業変革のスピード向上を目的として、従来の執行役員制度に代えて、事業統括制度を新設いたしました。同制度では、事業統括というポストを戦略的事業単位ごとに配置し、各事業の成長と目標の達成を第一の目的としつつ、全体最適の観点から各事業を有機的に結びつけ、全社戦略を推進する役割を担うことで事業ポートフォリオ運営の強化を図ってまいります。

 また、当社グループにおいては、新たに「挑戦・創造・感謝」をグループ行動理念として定めました。私たちはこれからの経営環境の変化や未来のクルマ社会、そして「安全」や「豊かさ」の実現といった、クルマを利用されるお客様のニーズへ想いを巡らせながら、既存事業のさらなる進化を図るとともに、従来の枠組みに捉われず新たな事業領域へ挑戦し、価値創造を行うことで、長期的かつ持続的に企業価値向上を図ってまいります。

 そして、車という存在がなくてはならない世の中となった今日、当社グループに期待されるさまざまな社会課題の解決を目指し、人とクルマが共存し続けられる持続可能な社会と当社グループの持続的成長に向け、「社会の交通の安全とお客様の豊かな人生の実現」に貢献し続けます。

 こうした思いから、当社グループは「Beyond AUTOBACS Vision 2032」を掲げ、その実現に向けた成長ステージへ移行するための取り組みを、迅速、果断な意思決定によって推進するとともに、当社グループはこれからも、クルマを通じた「社会の交通の安全とお客様の豊かな人生の実現」を願い、お客様と社会にとってなくてはならない企業グループを目指してまいります。

(2)経営環境

 日本経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により制限されていた社会経済活動の正常化を背景に、内需を中心として持ち直しの傾向にあり、またインバウンド需要の回復もあって全体としては緩やかな回復傾向にあります。一方で、不安定な国際情勢に起因する原材料やエネルギーコストなどの高騰、急速な円安の進行やそれに伴う物価高など、経済の先行きについては依然不透明な状況です。国内の自動車関連業界に目を向けますと、世界的な半導体不足などが徐々に解消されることで新車販売台数は回復基調にあるものの、サプライチェーンや物流の混乱など、業界としても不安定な状況がしばらく継続するものとみております。

 こうした中、100年に一度の変革期を迎えている自動車産業においては、電動化や自動運転化など、技術革新が着実に進行しています。また、サステナビリティへの意識の高まりを背景に、多くの企業がカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを進めており、世界的にEV(電気自動車)をはじめとしたZEV(ゼロエミッション車)への対応が加速しています。

 当社グループが強みとする国内のカーアフター市場では、同市場のみならず、その周辺の事業領域においても、カーシェアリングや車のサブスクリプションサービスのような新たなサービスの提供も始まっています。また、お客様の購買行動の変化によってネット販売を通じた商品購入の比率がさらに高まってくるとの見立てから、業界の枠を超えた競争がいっそう激化していくことが想定されます。さらに、少子高齢化による顧客構成の変化、顧客ニーズの多様化など、当社を取り巻く環境は今後も大きく、急速に変化するものと予想されます。

 なお、当社が加盟する自動車用品小売業協会(APARA)発表の2022年4月から2023年3月までの協会加盟企業4社の店舗売上高合計は4,008億33百万円で、前年比1.1%増加いたしました。また、同期間の新車販売台数※1は約438万台(前年比4.0%増)、中古車登録台数※2は、約302万台(前年比4.6%減)となりました。2022年1月から12月までの自動車整備に関わる市場総売上※3は、5兆7,388億円(前年比3.4%増)となり、2年ぶりに増加しました。

※1 日本自動車販売協会連合会 発表 登録車と軽自動車の合計

※2 日本自動車販売協会連合会 発表 普通乗用車と小型乗用車の合計

※3 日本自動車整備振興会連合会 発表

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 事業上の課題

 自動車業界においては、世界中でEV(電気自動車)をはじめとしたZEV(ゼロエミッション車)の普及が始まり、自動運転車も実用化に向けた実証実験が着実に進展しています。また、サステナビリティへの意識の高まりやデジタル化の進展により、社会、クルマ、人のくらしも変化し、当社グループを取り巻く経営環境も、今後さらに大きく、そして急速に変化していくものと考えます。

 当社はこうした環境変化へ迅速に対応し、お客様のニーズを的確に捉え、それに応じた施策を速やかに実行できるよう、新たな中期経営計画の策定を検討しており、2024年3月期で5年目を迎える「5ヵ年ローリングプラン」では、業界の垣根を越えた連携や事業基盤の強化などを進めており、業績も一定の底上げを図ることができました。当社グループは、先に掲げました「Beyond AUTOBACS Vision 2032」と今後の新たな中期計画に基づき、これからも着実に成果を積み重ね、確実な成長へとつなげてまいります。

 カーアフター市場は成熟期を迎えているといわれますが、当社は、国内オートバックス事業をさらに進化させるとともに、新たなマーケットの創造にも挑戦して「出かける楽しさ」を提案し続けてまいります。そのためには、クルマを持つことによって生じるお困りごとや煩わしさの解消に加え、クルマとともにある生活を豊かにするための「利便性」を向上させることが重要であると考えております。その施策の一つとして、2023年4月にカーライフ総合情報サイト「MOBILA(モビラ)」をリリースし、そうしたお困りごとや煩わしさを解消し、出かけるきっかけを積極的に提案していく取り組みをスタートいたしました。今後は、カーライフ総合情報サイト「MOBILA(モビラ)」も活性化させ、オートバックスの各店舗とともに、クルマに乗る全ての人に安全・安心とワクワクを提供してまいります。

 また、オートバックスの各店舗においては、ネットとリアルの融合により、商品購入やクルマを持つことによって生じるお困りごとや煩わしさを解消し、利便性向上のための取り組みを推進することで「小売業としての進化」を図るとともに、DX戦略を推進し、お客様とより深く、より長く、直接的につながることで「小売業からの進化」を図ってまいります。

 海外事業におきましては、現在、9つの国と地域で、卸売・小売事業を展開しております。当面は軌道に乗りつつある卸売事業を確立させることを優先し、オートバックスブランドの浸透を図り、その国や地域の理解を深めます。小売事業の展開は、卸売事業の状況を踏まえた上で決定することとし、その進出方法については、直営にこだわらず現地企業とのパートナーシップに基づく現地企業のオペレーションによる展開を含めて柔軟な展開を検討いたします。

 次に当社は、当社グループの強みを活かし、国内オートバックス事業とのシナジーが期待できる分野としてディーラー・BtoB・オンラインアライアンス事業に取り組んでおります。

 ディーラー事業におきましては、事業の収益性や成長性に加えて、欧米を中心とする自動車メーカーの動向から今後のマーケット動向を見通し、それを国内オートバックス事業の変革に役立ててまいります。さらにEV(電気自動車)をはじめとしたZEV(ゼロエミッション車)の販売にも着手しております。

 BtoB事業におきましては、商品の卸売りとフリートサービスの2つの事業を展開しています。商品の卸売りにおいては当社のマーチャンダイジングの強みを活かし、フランチャイズ加盟法人への影響も考慮の上で、新規取引先の開拓を推進しています。また、フリートサービスについては、カーシェアリングなどの普及により、法人所有車両台数が増加していくことを見据えて法人営業を強化し、法人所有車両のメンテナンスや車検の需要を積極的に取り込んでまいります。さらに、オンラインアライアンス事業におきましては、先のカーライフ総合情報サイト「MOBILA(モビラ)」のようにお客様とつながり続ける仕組みを充実させていくとともに、当社グループが掲げる「ネットとリアルの融合」を牽引する役割を果たしてまいります。

 また、2023年4月より経営執行体制を変更し、車買取・販売の台数を全国で拡大させることで当社グループ店舗への来店頻度を高めることを企図して、国内オートバックス事業から、車買取・販売にかかる事業を「カートレーディング事業」として独立させました。さらに当社グループ内の不動産をいっそう有効活用することを目的として、不動産にかかる機能を「プロパティデベロップメント事業」として集約し、事業化いたしました。今後、これらの2つの事業についてもさらなる収益の拡大と効率化を追求してまいります。

 こうした一連の事業展開を支えるため、人的資本への戦略的な投資による人材基盤の強化を進めてまいります。人材は単なる「資源」ではなく「資本」であり、その価値を最大限に引き出し、高めていくためにも人材開発にかかる投資は不可欠です。特に整備士の確保は喫緊の課題であり、整備士を増やすことによって国内オートバックス事業を中心とする既存のビジネス領域の維持・拡大を図ります。また、人的資本への投資は、サステナビリティ経営の観点からも重要であり、当社ではダイバーシティこそが企業のレジリエンス(強靭性)に繋がると考えています。個々の多様性を尊重し、チームで成果を出し続け、変化を恐れず柔軟な発想で新たな価値を創造できる人材の集団を育てること、また、そうした人材が生まれる企業風土を醸成することにも注力してまいります。

 さらに、事業ポートフォリオ上の事業活動を通じて得られるあらゆる情報を収集・整備し、それらの情報を活用してビジネスを進化させるため情報基盤の構築を進めております。今後、当社は、ITやDXを駆使して特定業務や業務フローのデジタル化を進めるとともに、情報基盤から得られる情報やその分析結果をお客様や社会のニーズとマッチさせながら、商品・サービスやビジネスモデルの変革へとつなげてまいります。

② 財務上の課題

 当社グループの持続的成長の実現のためには、既存の事業の効率を改善しながら継続するだけではなく、成長領域への投資と新たな事業の育成も必要です。新たな価値創造に向けた挑戦を継続していく上では、各事業をROIC(投下資本利益率)で「見える化」して管理できるよう、モニタリング体制を強化し、事業ポートフォリオの見直しや入れ替えを継続して実施してまいります。事業ポートフォリオの見直しや入れ替えにあたっては、事業の収益性や成長性はもちろんのこと、他事業との連携可能性、さらにその事業が社会課題の解決に貢献できるかどうかという視点も加えて判断します。そして、グループの強みを最大限に発揮できるよう、事業ポートフォリオの再構築を進めてまいります。

 これら事業ポートフォリオ見直しによる投資収益管理の強化と各事業単位での見える化による資本効率の向上に加え、計画期間である5年間の累計総還元性向100%とした安定的かつ機動的な株主還元の実施が財務上の課題となっております。

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益、ROEであります。

 2024年3月期の目標値は、売上高2,430億円、営業利益123億円、親会社株主に帰属する当期純利益74億円、ROE5.8%であります。

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