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【東証スタンダード:5589】「情報・通信業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
(1)会社の経営方針について
当社は「全ての会員様に利便性を提供すること」を基本理念に、自動車流通支援サービスをコアビジネスと位置づけ、中古車流通に関わる総合的なサービス・情報を取り扱う「ASNET」の運営を行ってまいりました。今後も「顧客満足度向上並びに中古車流通に関わる全ての企業・ユーザーに使いやすく頼られる企業」であり続けることを信念に、新規サービスの事業化に積極的に取組み、ステークホルダーの皆様のご期待に沿える事業成長・企業価値向上の実現に努めてまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、中古車取扱事業者がインターネット上で中古車を売買することのできる会員制サービスプラットフォーム 「ASNET」を運営する事業を営んでおります。当社は経営上の目標達成状況を判断するための指標として「ASNET」における「取引台数」を用いております。その理由は、当社はASNET事業において顧客による車両の落札、出品若しくは成約の都度、手数料を受領しており、これが売上の大部分を構成しているためです。
(なお、ASNETにおける取引台数の状況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しております。)
(3)経営戦略について
当社は、ASNET事業拡大のための経営戦略として、主に①ASNET会員数の拡大及び②ASNET取引台数の拡大を図ることとしております。うち①については中古車販売店、新車ディーラー、整備板金工場、ガソリンスタンド、輸出事業者等、あらゆる中古車取扱事業者を対象に、当社の営業リソース及び代理店を用いて取り組むこととしております。また②についてはASNETの機能改良及びASNETに掲載されるデータの活用や連携による利用拡大を図ることとしております。
(4)経営環境について
以下に事業セグメントに関連する業界動向について記載いたします。なおASNET事業は、インターネット上で、ASNETの会員である中古車取扱事業者が国内で中古車を出品・落札することを代行又は仲介するサービスを提供しており、当社の属する業界の市場規模及び市況は、(i)中古車全体の流通数及び(ii)中古車売買におけるインターネットを介した取引動向によって左右されます。
(i)は新車・中古車の保有者から中古車流通市場に流入する台数の動向が影響を及ぼしますので、自動車市場規模及び中古車流通市場に関する動向及び見通しを記載します。なお中古車については、自動車の名義変更等の諸登録手続きが行われた台数が発表されていることから、一部においてこの数値も用いて説明いたします。また、(ii)に関しては、オートオークション取引におけるインターネット等を介して場外からオークションに参加できるサービスや、店頭取引の動向が重要となるため、それぞれの動向に関する見通しを記載します。
①自動車市場規模
我が国の自動車業界について、(一社)日本自動車販売協会連合会、(一社)全国軽自動車協会連合会の発表統計によりますと、2024年の登録車及び軽自動車の新車販売台数合計は、一部メーカーにおける生産停止等の影響を受け、前年同期比7.5%減の442.1万台と大きく減少しました。一方、軽自動車を含む中古自動車登録(届出)台数については前年同期比1.0%増の649.8万台と、ほぼ前年並みとなりましたが、月別では、前年対比が落ち込む月も見られる等、不安定な状況が続きました。また、(一財)自動車検査登録情報協会によりますと、2024年3月末時点での軽自動車を含む自動車保有台数は、8,257万台(前年同期比11.7万台増)と引き続き増加傾向で推移しました。
このように、新車の販売台数や中古車の登録台数は経済情勢等に応じて増減する傾向にありますが、保有台数については引き続き安定的な状況で推移していくと見込んでおります。
(注)矢野経済研究所「2023年版 自動車アフターマーケット総覧」
②中古車流通市場
中古車流通市場においては、消費者が新車ないし中古車を購入する際に下取もしくは買取された車両が主な供給源となり、買取事業者・新車ディーラー・リース会社・中古車販売店等を介して業販市場・小売市場(輸出市場を含む)に流入し、最終的な需要者(消費者、解体業者、輸出業者)に流出するという構成となっていることが一般的です。
中古車流通市場のうち業販市場においては、オークション取引が主要な取引形態であり、2020年から続くコロナ禍による新車供給・販売の停滞等を背景とした中古車供給量の減少や、一部の新車メーカーにおける生産停止等の影響で出品台数は増減いたしますが、我が国の中古車流通を代表する取引形態であることには変わりありません。ただし、近年、大手中古車販売店が仕入元を業販市場(オークションでの落札)から消費者からの買取にシフトする動きや、大手買取業者等が買い取った中古車をオークションでの売却から自社店舗での小売にシフトする動きが見られるほか、新車ディーラーが販売拠点において中古車の取り扱いを強化する動きも見られております。またオークションを介さない取引も徐々に増加傾向にあり、今後、オークション取引のシェアが変動することも考えられます。
(注)矢野経済研究所「2023年版 自動車アフターマーケット総覧」
③ASNET事業を取り巻く環境
自動車の市場規模は、長期的には少子高齢化や人口減少といった構造的な変化等を背景に、緩やかに縮小することも見込まれておりますが、前述のように自動車保有台数は安定的かつ漸増傾向にあり、中古車流通市場が直ちに縮小するような状況にはありません。ただし、シェアリングビジネスの普及により自動車に対する一部の消費者のイメージが「保有」から「利用」へシフトすること、国際的な環境規制の強化に対応するため各自動車メーカーでEV(電気自動車)をはじめとする次世代車の普及が計画されていること等により、自動車を取り巻くビジネスモデルが大きく変化することも考えられます。
中短期的には、我が国の家計部門における可処分所得が伸び悩む中、新車の高機能化に伴う価格高騰が進み、今後は自動車保有台数に占める中古車の割合が高まることが見込まれます。さらに、中古車業販市場に目を向ければ、燃料価格の高騰による輸送費の上昇や、人手不足や働き方改革等を背景とした自動車輸送能力の縮小が進む中、売り手から買い手へダイレクトに輸送するといったシンプルな流通構造が求められると見込んでおります。このほか、自動車の検査規格の整備や検査機器の高度化等により中古車の取引に対する不安が抑制され、インターネットを介した流通が拡大すると見込んでおり、当社ASNET事業のうちASワンプラサービスに対するニーズは今後拡大するものと見込まれます。
また、新車の供給不足等により中古車の需要は高まっておりますが、供給量の減少に伴って流通量の減少及び価格の高騰傾向が見られます。しかし、インターネットを介した中古車流通については、オートオークション会場外からインターネットを介して取引に参加するためのシステム整備が進んでおり、主要オートオークションにおける会場外からの取引参加率は概ね50~60%に達する等、そのニーズは今後も堅調に推移するものと見込んでいることに加え、インターネットでの取引がベースとなっている業者間取引の拡大により、当社ASNET事業の属するインターネットを介した中古車流通市場の需要は拡大する見込みです。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、以下の事項を「優先的に対処すべき課題」として認識しております。
①会員数の増加と利用頻度の向上
当社が手がけるASNET事業を成長させ収益力を強化するには 、「新規会員の獲得」と「既存会員の利用促進」が重要であると考えております。当事業年度においては新車の供給制約の緩和等により新車代替が進んだことで中古車の流通台数が増加した結果、ASNETの総流通台数は前年を上回る結果となり、また、新規会員獲得のための営業施策を引き続き実施した結果、2024年12月末の会員数は80,613、うち新規入会件数4,342件、前年同期比3,252会員の増加、(ただし当該入会会員がASNETで取引を行わないこともあるため、会員数の増加が業績の拡大に繋がるとは限りません。)となりました。
2025年度においても、新たな顧客開拓に注力し、新規会員の獲得においては、中古車取扱事業者のほか、自動車関連事業者を含めた幅広い事業者を対象に営業活動を展開するほか、各種広告媒体を通じてASNETの知名度向上を図ります。一方、既存会員の利用促進においては、定期的な営業活動や代理店施策の実施、ANSETの機能強化及び既存サービスの内容拡充を図ることで顧客満足度の向上と稼働会員の増大へと繋げてまいります。
(ASNET会員の推移については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」 に記載しております。)
(注)稼働会員とは、当該年においてASNETで1台以上の車両売買を行ったASNET会員をいいます。
②中古車情報の取扱車両台数の増加
ASNETの特徴は、全国各地のオートオークション会場にある車両や中古車販売店に展示されている在庫車両をASNET 上で横断的に検索・落札ができることです。この利点を伸ばすためには、提携するオートオークション会場数とASワンプラの出品台数を増やしていくことが重要であると考えます。そのために当社は大手オートオークション会場をはじめとする全国各地のオートオークション会場や大手中古車販売店等と引き続き提携関係を維持しつつ、中古車販売整備システム会社との提携や、新たなオークション会場との提携並びに店頭在庫の出品会員の獲得に努めます。
(なお、ASNETにおける掲載台数の状況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しております。)
③人材の採用と教育
優れた人材の確保と育成は、企業の成長には欠かせないと考えております。会員獲得のための営業部門やASNETの保守や機能拡充を図るためのシステム部門を中心に、優秀な人材の採用とその育成を図ります。
④システム機能の向上・刷新
将来に向けたASNET事業の発展・拡大のためには、システム機能の向上が必要不可欠であると考えます。そこで当社は、子会社であるAUTOSERVER VIETNAM CO.,LTD.とともにASNETの開発体制を強化し、機能の拡充やアプリ版の開発等に取組むことでさらなる利便性向上を実現していきます。
⑤経営組織力の強化と内部統制
経済環境の変化や競争の激化が予想される今後に向けて、的確な内部統制制度の整備運用に努め、スピードと正確性・適正性を両立する強固な経営組織力の構築を目指します。
なお、当社では2024年12月末時点で、取引銀行8行と極度額72億円の当座貸越契約を締結しており、急な資金需要にも耐えられる体制を構築しているため、当社としては現状財務体質に重要な課題はないと考えており、財務上の課題は記載しておりません。
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