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企業概要

 文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

<当社グループの経営哲学>

 当社グループは、「P.A.I.」(パーソナル人工知能)の開発と普及を通じて、現在・未来における人々の可能性と価値を最大化することを目指します。

「P.A.I.」(パーソナル人工知能)は、人々が自己の知識・価値を探求し、理想の人生を全うするための時間を確保するための技術です。その根底には人々の自由と尊厳の確保があります。現代社会では、多くの人々が労働に多くの時間とエネルギーを費やしていると考えています。

 当社グループは独自の技術を用いて、人々の行動や言動が記録された多様なライフログデータを安全に保管し、学習させることで、デジタルクローンとして個々の意識を再現し、デジタル社会における労働として利用することを目指しております。これにより、既存の労働という概念は変わり、非創造的で非生産的だった労働は「P.A.I.」(パーソナル人工知能)に任せ、個人はより価値ある活動に集中できると考えております。

現代は様々な企業・国家などが、人々の知識や思考を凌駕するAIの開発に取り組んでいます。そのようなAIが身近

となった社会においては、人々は思考すること、発想すること自体を投げ出すことがあるかもしれません。しかし、

古代ギリシャの哲学者ソクラテスが尊重した「


」(古代ギリシャ語を日

 本語訳)という古代ギリシャの格言に象徴されるように、知を愛し探求することは人間の基本的な権利だと考えております。

「P.A.I.」(パーソナル人工知能)はその名のとおり、個々人の意識を再現することを目指したAIであり、あくまで非生産的な労働をAIに代替することを目的としております。そのため、当社グループはAIと人々が互いに共存し、人々の知の追求を尊重した世界の実現を目指してまいります。

 これらの経営哲学を基に、当社グループは、「ラボーロからオペラへ」と「私たちの存在を永遠にする」の2つをミッションに掲げ、全ての人が自分のAIである「P.A.I.」(パーソナル人工知能)を持つことによって、労働(Lavoro)から解放され、アーティスティックな営み(Opera)に没頭することができる世界の実現を目指して研究開発及びサービスの提供を行っていくことを、経営の基本方針としております。

 また、これらの方針を基に、当社グループは次の変革の実現を目指してまいります。

<社会的変革>

・知の追求と自己実現

当社グループは、古代ギリシャの哲学者ソクラテスが尊重した「


」(古代ギリシャ語を日本語訳)という古代ギリシャの格言に象徴されるように、人々が知を愛し探求することを推奨します。人々による知の追求、自己実現の追求を可能とする環境及び社会の実現に向けて、取り組んでまいります。

・テクノロジーによる業務効率化及び生産性の向上

 当社グループは、人々の時間と労力の浪費を防ぎ、人々が自己の知識や価値を高めることに集中できる環境及び社会の実現に向けて、「P.A.I.」(パーソナル人工知能)の研究開発を進め、研究の中の一部をプロダクト化しマネタイズしてまいりました。こうした取組みが、企業内の業務効率化の推進、生産性の向上に寄与しております。今後もクライアントに対して有効なシステムないしプロダクトの構築を続けてまいります。

・社会的課題への取り組み

 当社グループは、多くの人々が労働に多くの時間とエネルギーを費やしている現代社会における課題を解決し、変革することを目的として、事業を推進してまいりました。「P.A.I.」(パーソナル人工知能)の研究開発の推進、研究開発を活用したプロダクトの提供により、今後も社会的課題の解決を実現するソリューションを提供することを目指します。

<個人への変革>

・知の追求と自己実現

 当社グループは、人々の時間と労力の浪費を防ぎ、人々が自己の知識や価値を高めることに集中できる環境および社会の実現に向けて、「P.A.I.」(パーソナル人工知能)の研究開発を進め、研究の中の一部をプロダクト化しマネタイズしてまいりました。人々の個々の自己実現を追求できる環境を整えるべく、研究開発の推進およびソリューションの提供に努めてまいります。

(2) 経営環境

 日本は少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少が進んでおり、生産年齢人口は2020年の約7,500万人から、2062年には5,000万人を割り、2070年には約4,500万人まで減少すると予想されております(出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」)。こうしたなか、労働生産性向上が国内全体で大きな課題となっており、これを解決する手段の1つとしてAI技術が近年注目を浴びています。

 一般社団法人電子情報技術産業協会「注目分野に関する動向調査2023」によれば、独自に開発したLLMを活用しプロダクトをマネタイズする当社グループの事業が属する生成AIにおける国内市場は成長を続けており、生成AIの利活用により、2023年には1,188億円、2025年には6,879億円、2030年には1兆7,774億円にまで成長するとされております。データからパターンと傾向を学習し画像生成、音声生成、動画生成、テキスト生成の形でアウトプットを行う生成AIは、幅広い業種での業務での活用が期待され、2030年の市場は2023年対比で15倍の成長を遂げる見通しです。

 さらに、当社グループは上述の「P.A.I.」(パーソナル人工知能)のTAM(Total Addressable Market、獲得しうる最大の市場規模)について、次の要素を掛け合わせることで約12兆円(3,600万人×240時間×1,400円)と試算しております。

・日本のホワイトカラー労働者:約3,600万人(注1)

・1年の内、非生産的な業務にかける時間:240時間(1日1時間を当該労働時間と仮定し、240営業日を乗算)

・イメージされるサービス単価(正社員の平均時給の7割):1,400円(注2)

(注) 1.総務省統計局「令和4年 労働力調査年報」より、2022年における「管理的職業従事者」、「専門的・技術的職業従事者」、「事務従事者」及び「販売従事者」の就業者数の合計が3,628万人であります。

2.厚生労働省令和2年度版「厚生労働白書」より、正規雇用者(正社員)の平均時給1,976円(2019年)に、サービスとして広く浸透させるために企業にコスト削減メリットをもたらすことを前提とした場合、イメージされるサービス単価として0.7を乗じて算出しております。

(3) 中長期的な会社の経営戦略

① AX Products&Trading事業 Communication Intelligence「AI GIJIROKU」の展開
・ビジネスシーンにおけるAIアシスタント及びVoice-to-Text市場におけるシェアの獲得

 英語・スペイン語の同時翻訳サービスで話題を集めるVerbit社(2021年11月時点の企業価値が2,000億円以上)や医療業界における文字起こしサービスを得意とするNuance社(2022年3月にMicrosoft社が197億ドル(円換算レートは、2022年3月の月中平均1ドル=118.43円を使用し2.3兆円)で買収完了)など、文字起こしサービスの市場の大きさはグローバルに認知されています。当社グループでは文字起こしサービスを総称し「Voice-to-Text」の市場と呼び、今後、このVoice-to-Textサービスのニーズは更に拡大していくと考えられ、グローバルに広がっていくと想定しています。先述した2社などは汎用的な音声認識技術でも認知しやすい英語を軸としたプロダクトを強みにしているのに対し、当社グループは、英語などの言語に比べて同音異義語が多いことで音声認識が相対的に難解なアジア圏の言語でのVoice-to-Textサービスを強みにしています。当社グループはこの強みを活かしたさらなる事業成長を企図し、2023年6月に人力による文字起こし事業を買収し、当社グループが人力による完璧な精度の文字起こしサービスを提供可能になるだけでなく、AIによる自動文字起こし精度を100%により近づける学習サイクルループを自社内で保有し、回すことが可能となっております。これらの強みを活かし、当社グループは、日本でのVoice-to-Textの市場シェアを獲得し、さらにはアジアに展開していきます。また、これらテキストデータ、社内のコミュニケーションデータを全て保管するクラウドデータレイクソリューションとしての価値を確立し、それらデータを基に業務を代替するAIを構築し提供していきます。

・その他プロダクトの展開

 また、今後展開するその他のプロダクト(「AIスケジューラー」や「AIコールセンター」など、当社グループの要素技術を活用した多様なサービスを想定)も広げていくことで更なる収益拡大を目指します。単なるSaaSプロダクトではなく、個人、グループ、企業ごとにパーソナライズされたサービスを展開することで、優位性の高いユーザー満足度を獲得していくプロダクトを展開していきます。

② alt IDによるプラットフォームの展開~当社グループのビジョンであるデジタルクローン完成に向けた施策
・alt IDの概要

「alt ID(オルツID)」は、当社グループの提供する各種サービスをひとつのIDで使用できる統合管理システムであります。

Communication Intelligence「AI GIJIROKU」や当社グループが今後展開するプロダクトでは、各種サービスのユーザーは、今後、当社グループの他のサービスへのアクセスが自動化(シングルサインオン)(注)されます。これにより、当社グループのサービス群は「alt ID」により統合連携されている状態となり、当社グループが運営するこれらの統合管理システムは人工知能サービスのプラットフォームとして機能することとなります。

(注) シングルサインオン(SSO):IDとパスワードを一度入力するだけで複数のサービスにログインして利用できる仕組みです。一度認証を受ければ、別のサービスを利用する場合にも追加の認証は不要となります。SSOがない環境では、SNSなどのWebサービス、ECサイトなどのWebアプリケーション、グループウェアなどのクラウドサービスを利用する際には、個別にIDとパスワードを入力し複数回の認証を受ける必要があります。しかし、SSOなら個別に認証を受ける必要はなく、1つのIDとパスワードでいわば「まとめてログイン」することができます。

・個性学習したalt IDの深化

 当社グループの各サービスは、ユーザーの行動を学習素材とすることでユーザー固有の思考や価値観をサービスに反映し、ユーザーの利便性を向上させるように設計されています。

「alt ID」で連携されたサービス群は、各サービスで学習されたモデルを相互に反映し合うことで、プラットフォームに含まれるすべてのサービスが個(各ユーザー)に最適化されていきます。

 各サービスから個の個性や特徴を学習していくそれぞれのユーザーに紐づけられた「alt ID」の思考は、学習元の個に近づいていきます。当社グループが目指す「デジタルへの思考の同期」はかくして実現へと向かっていくと考えています。当社グループは、この実現が可能だが限りなく時間を要するものであると認識しながらも、目指すことに足を止めることはありません。「alt ID」に紐づいた個の価値観(個性モデル)はユーザーのデジタルクローン生成に活用でき、ここで生成されたデジタルクローンは最終的にユーザーと同じような価値観をもち、それを基準とした決断を代行することによって、個のDXが達成され、様々なビジネスシーンの変革をもたらすと共に膨大なビジネスポテンシャルを孕んでいくと確信しています。

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

AX Products&Trading事業は、サブスクリプションモデルでの提供を行い、収益が継続的に上がる所謂ストック型のビジネスモデルとなっています。そのため、月次売上高及び月次有料アカウント数を指標としております。

AX Research&Solutions事業は、コンサルティング、PoC、本番開発等の、収益が上がるのが一度限りの所謂フロー型のビジネスモデルとなっています。そのため、当該事業においては売上高といった基礎的な数値を指標としております。

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 今後当社グループが成長を遂げていくために優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は、以下のとおりであります。

① 競合優位性のあるAIプロダクトの開発・拡販による顧客基盤の拡大

 当社は創業より一貫して「P.A.I.」(パーソナル人工知能)の要素技術に関する研究開発を進めつつ、AIの活用を検討するクライアントとのPoCや本番開発の支援を提供してきました。そして、2020年1月にはCommunication Intelligence「AI GIJIROKU」をtoB・toCの双方で提供開始し、収益化及び認知拡大を図ってまいりました。市場全体の状況としては、AI関連技術の発展が目覚ましく、Communication Intelligence「AI GIJIROKU」の基となる音声認識技術に関しても、それを利用した他社サービス・プロダクト等は、今後も多数のものが登場すると考えられます。

 そういった環境のなか、当社グループは競合優位性のあるAIプロダクトの開発・拡販を一層推進し、顧客基盤を拡大することで、今後も成長を続けると考えられるAIビジネス市場の中でさらなる事業成長を実現してまいります。

② AX Research&Solutions事業による収益の安定化

 当社グループの事業が属するAIビジネスの市場は成長を続けておりますが、PoCや技術導入・システム開発の需要は景況感や各企業のビジネス環境の変化等に影響を受ける可能性があり、またフロー型のビジネスであることから、特定時期において売上及び利益の変動が発生する場合があります。これに対し、当社グループはストック型のビジネスであるAX Products&Trading事業を拡大するとともに、サービス継続率の向上等に取り組むことによって、収益の安定化に努めてまいります。

③ 組織体制の整備

 当社グループの継続的な成長には、事業拡大に応じて優秀な人材を採用し、組織体制を整備していくことが重要であると考えております。当社グループの理念に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用していくために、積極的な採用活動を行っていくとともに、従業員が働きやすい環境の整備、人事制度の構築を行ってまいります。

④ 内部管理体制の強化

 当社グループは成長段階にあり、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。このため、当社グループとしては、管理部門の整備を推進し、当社グループ全体としてのコーポレート・ガバナンスを充実していくことで、経営の公正性・透明性を確保し、リスク管理の徹底や業務の効率化を図ってまいります。

⑤ 財務基盤の強化

 当社グループは、継続的にサービスを提供していくとともに、既存サービスの機能改善や新規サービスの開発に取り組むために、手許資金の流動性の確保が重要であると認識しております。このため、金融機関との良好な取引関係の構築や一定の内部留保の確保を継続的に行い、財務基盤の強化を図ってまいります。

⑥ 業績の黒字化について

 当社グループは、昨今のAI市場の成長に伴いマーケットシェアの獲得を優先するとともに、足許の生成AIにおける競争優位性を確保すべく、積極的に広告宣伝費及び研究開発費への投資を行っており、当連結会計年度までの業績は当期純損失となっております。今後も一定期間赤字が継続するものと考えておりますが、当社グループとしても黒字化を図っていくことの重要性は認識しております。具体的にはCommunication Intelligence「AI GIJIROKU」における単価の向上及びマーケティングの効率化等により、今後黒字化を図っていく予定であります。

⑦ 海外展開について

 当社グループのCommunication Intelligence「AI GIJIROKU」の販売について、今後、アジア諸国への海外展開を検討しております。

 このような状況において、現地政治情勢の変化等により事業運営に支障をきたす事態が生じた場合、自然災害や伝染病等が発生した場合、当社グループの事業展開に係る法規制等の成立・改正が行われた場合、当社グループの事業の海外展開に一定の影響が及ぶ可能性があります。そのため、迅速な情報収集と適切な対応を検討する体制の構築に努めてまいります。

より抜粋
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