企業兼大株主オリンパス東証プライム:7733】「精密機器 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、事業活動を通じて、健康・安心・心の豊かさといった世界の人々、社会の根源的な要請に応え、広く社会に貢献するという考え方を経営理念の「私たちの存在意義」として「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」と示し、すべての活動の基本思想としています。

 当社グループはこれからも、経営理念実現のために、革新的な製品やサービスを社会に提供し、事業の持続的成長と企業価値向上に努めていきます。

 また、2023年4月以降、「患者さんの安全と持続可能性」、「成長のためのイノベーション」、「生産性の向上」の3つを基本的な指針として掲げています。誠実で透明性のある企業であり続けるために、規制当局やステークホルダーと協力して、強固で持続的な組織の構築に努め、ヘルスケア業界ならびにESGを主導する企業となるべく、あらゆる取り組みにおいて顧客体験価値を中心に据えていきます。また、患者さんの安全を第一に掲げ、QA/RA(品質保証および法規制対応)に注力し、「グローバル全地域での品質システムと業務プロセスの統一を目指した改革の実施」「グローバルな品質・コンプライアンス機能の強化による、一貫した施策の展開」「コンプライアンス上の問題を解決したうえで、是正活動の完遂」等の取り組みを推進します。そして、長期的な戦略に沿った高品質な製品・サービスをさまざまな分野で提供し、事業の持続的成長と企業価値向上に努めていきます。

(2) 経営戦略

 当社は、2023年に公表した経営戦略に則って事業運営を行っています。

(長期的かつ持続的な成長のための戦略的な価値の源泉)

 「Shift to Grow」という新たなステージにおいて、成長と収益性の両面に注力することを念頭に、主要セグメントにおける当社の市場ポジションの拡大や、最終的に患者さんの体験価値と治療成果の改善を目指しています。これに資する長期的かつ持続可能な成長を支える価値の源泉として、「ⅰ)事業拡大とグローバル展開」「ⅱ)戦略的M&A」「ⅲ)ケア・パスウェイの強化」「ⅳ)インテリジェント内視鏡医療エコシステム」の4つを掲げています。

ⅰ)事業拡大とグローバル展開

 世界的な人口動態の変化と疾病発生の増加を受けて、当社の製品・サービスが対象とする疾患に対するソリューションへのニーズが高まる中、引き続き当社がリーディングポジションを持つ消化器科・泌尿器科・呼吸器科の3つの領域に注力し、「先進イメージング」「精緻な治療」「高付加価値ソリューション」を通じて、患者様のケア・パスウェイに最適なソリューションを提供します。

・主力の消化器内視鏡システム「EVIS X1(イーヴィス・エックスワン)」:2021年3月期に欧州、アジア、日本で、2024年3月期には米国、中国でも発売しました。スコープのラインアップ拡充も含め、今後さらなる拡販を目指します。

・シングルユース内視鏡:2022年3月期に気管支鏡を、2024年3月期に咽喉鏡を発売しました。2026年3月期には尿管鏡を発売予定であり、今後は十二指腸鏡、胆道鏡の領域においてもシングルユース内視鏡の発売を目指しています。(一部地域では未承認、未発売の技術を含みます)

・中国市場:当社にとって戦略的に重要な市場の一つであり、「臨床医の教育プログラムやトレーニングへの投資」「中国の医療従事者のアンメットニーズの探索」を継続します。また、中国国内に現地生産拠点を設立し、中国市場向けに中国国産製品を提供するための施策を加速しています。

ⅱ)戦略的M&A

 消化器科、泌尿器科、呼吸器科における既存の疾患領域や高い成長が期待できる関連分野において、タックイン M&A*の機会を通じて製品ポートフォリオを継続的に強化し、「臨床・治療ワークフローの変革」「ケアの向上」「事業の地理的拡大」を図ります。包括的なソリューションの提供によって患者さんの治療成果の向上に貢献していきます。

*当社のポートフォリオに合致し、既存のビジネスを補完・増強するためのM&A

ⅲ)ケア・パスウェイの強化

 当社は、医療水準の向上によって患者さんのアウトカムを改善することを目指しています。消化器科・泌尿器科・呼吸器科の3つの領域を中心に、早期発見や診断、ステージ分類、治療、予後のケアに至るまでのケア・パスウェイの中で、当社のソリューションを通して患者さんと医療従事者のエクスペリエンスを向上させ、より多くの患者さんに医療アクセスを提供し、診療の質と成果を改善します。

ⅳ)インテリジェント内視鏡医療エコシステム

 慢性疾患の増加と高齢化を受けて、より良い治療成果をより多くの人に届け、医療提供者と患者さんのエクスペリエンスを向上させながら、医療コストを抑えることの必要性が一層高まっています。当社はこのような課題に対して、コネクティビティ、AI、データインサイトを活用したインテリジェント内視鏡医療によるソリューションの提供を検討しており、「ワークフロー管理」「CAD*1およびリアルタイムな手技の支援」「AIによる臨床・業務インサイト」等を通じて、ユーザーエクスペリエンスを標準化していきます。AIを活用したインテリジェント内視鏡医療エコシステムは、新たなソフトウェアプラットフォームによって、お客様、当社、そして、パートナー企業との間で価値の共創を可能にし、プラットフォームのソフトウェアやアプリケーションのアップグレードによって、常にイノベーションを提供し続けるビジネスモデルに移行することを目指し、より精度の高い早期発見、診断、治療を実現していきます。

 2026年3月期には、クラウド型の統合された内視鏡アプリケーションおよびソリューションを提供する新しいサブブランドである「OLYSENSE*2」を立ち上げ、欧州および米国で上部および下部消化管の病変の検出、鑑別、分析を支援するCAD/AI製品である「CADIIE」を展開する予定です*3。(一部地域では未承認、未発売の技術を含みます)

*1Computer Aided Detection/Diagnosis:AIによる検出/診断支援

*2OLYSENSEはオリンパス株式会社および/またはそのグループ会社の商標です。すべての商標、ロゴ、ブランド名は、それぞれの所有者に帰属します

*3米国では、CADDIEは大腸ポリープが疑われる病変の検出を支援する目的でのみ認可されています。CADDIEには、CADDIEのポリープ検出機能がオンであり、使用中であることをユーザーが確認するための便利な機能として、「盲腸到達通知」AI機能が搭載されています。欧州では、CADDIEは「盲腸到達通知」AI機能および「粘膜洗浄度」AI機能を含む、大腸ポリープが疑われる病変の検出および診断を支援する機能が承認されています

(投資とイノベーションを可能にする取り組み)

 当社は、投資やイノベーションといった価値創造の取り組みを実現する基盤の強化のため、特に以下の4点に注力して取り組んでいます。

・QA/RA:一貫性のある強固な品質システム導入や体制強化によるQA/RAの改革および是正活動の完遂

・R&D:イノベーションの加速に向けたR&D投資のスピードアップと投資額の増加。より強固なイノベーション・パイプラインの構築、より積極的な戦略パートナーシップ推進、市場投入までの期間の短縮

・製造、サプライチェーンマネジメント:売上原価の改善、組織規模と拠点構造の最適化、プロセスの合理化とデジタル化、更なる効率化の追求

・GTOM(Global Target Operating Model):グローバルのガバナンスとオペレーションの継続的な改善。意思決定プロセスの明確化、イノベーション推進に向けたより効率的なリソース配分を可能にするハイパフォーマンスな組織の実現

(3) 品質保証・法規制対応の変革プロジェクト「Elevate」

 「Elevate」は、前期に開始した、複数年にわたる品質保証・法規制対応の変革プロジェクトです。規制当局に対するコミットメントを果たし、未来に向けて品質文化の基盤を強化するため、「設計および開発」「製造およびサプライヤーマネジメント」「サプライチェーン、市場導入・市販後の取り組み」「End-to-End(E2E)品質プロセス」の軸で、20の主要施策から構成されています。グローバルかつ機能横断型の強力なチームによって推進しており、全社的な変革の取り組みとして、4つの目標を掲げています。

 Elevateの実行により、製品のライフサイクルマネジメントの改善や、業務プロセスのデジタル化によるコスト削減と効率性の向上、製品の開発、認可取得、発売までのリードタイムの短縮といった効果も期待でき、この取り組みを当社グループの将来的なイノベーションや成長、収益性向上を実現するための重要な施策の一つとして位置付けています。

 当期も全社を挙げてElevateの取り組みを推進しており、引き続き順調に進捗しています。2026年3月期末までに規制当局に対する全てのコミットメントを果たすことを目指しています。

(4) 組織再編

 2025年4月に、事業部門である内視鏡事業と治療機器事業を消化器内視鏡ソリューション事業(GIS)とサージカルインターベンション事業(SIS)に再編成しました。この改編を通じて、より迅速な事業運営や地域間における一貫性の確保、縦割り組織の解消に加え、患者さんとお客様を中心とした事業成長の実現を目指します。

(5) 米国関税政策対応

 米国関税政策の影響は不確実性が高い状況ではありますが、医療現場に対する当社製品やサービスの提供継続を最優先とした上で、影響の低減に向けた対応を進めてまいります。

PR
検索