企業兼大株主オリエントコーポレーション東証プライム:8585】「その他金融業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの理念、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 理念等

 当社グループは、存在意義や使命としての「パーパス」並びに大切にする価値観である「バリュー」をグループ共通の「理念」として定めております。また、理念に基づき、社会・ステークホルダーへの基本的な向き合い方を明確化した「オリコがめざすサステナビリティ」を掲げております。

〔パーパス〕

 その夢の、一歩先へ

Open the Future with You

〔バリュー〕

 正しさを求める 信頼を育む

 未来を想う   挑戦を楽しむ

〔オリコがめざすサステナビリティ〕

 私たちは、「その夢の、一歩先へ」というパーパスを掲げています。これには、お客さまをはじめとするステークホルダーの皆さまのパートナーとして、一人ひとりのいまと未来に親身に寄り添い、真摯に向き合い、時には熱意をもってリードするという私たちの想いが込められています。

 私たちがめざすのは、誰もが豊かな人生を実現できる持続可能な社会。イノベーションの力で様々な社会課題を解決し、未来の世代へと継承していきたいと考えています。

 そのために、私たちは信頼されるパートナーとして、すべての企業活動を通じて社会に貢献し、社会価値と企業価値の両立を追求してまいります。

(2) 経営戦略、経営環境及び対処すべき課題等

① 前中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)の振り返り

 当期におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加等を背景に、景気は緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、景気の先行きは、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響や、関税引き上げ等、米国の政策運営による各国経済への影響が懸念されており、依然として不透明な状況が続いております。また、金融市場の変動等には十分注意する必要があるものと認識しております。

 このような状況のなか、中期経営計画最終年度となる2025年3月期につきましても、「Transformation Now! ~お客さま起点で価値を創造する新時代の金融サービスグループへ~」をスローガンに掲げ、4つの事業戦略(①重点市場の深耕と新規事業の探索②顧客ニーズを起点としたマーケットイン型営業の確立③異業種・先端企業との協働による新たなサービスの創出④プロセスイノベーションの深掘)に基づくアプローチを徹底してまいりました。

 厳しい経営環境を踏まえ、リスクリターン、コストリターンに基づく事業ポートフォリオ運営の更なる高度化を図り、金利上昇等、環境が変化するなかでも持続的な成長軌道を確立するための強固な収益基盤の構築に努めてまいりましたが、前中期経営計画における経営目標(経常利益、ROE、営業収益一般経費率)についてはいずれも未達となりました。主な要因として、重点市場と位置付けた海外事業における貸倒関係費の増大や、事業構造改革の遅れにより収益力低下に歯止めをかけることができない中で、金利上昇という逆風が影響しました。

 一方で、「グリーン」「デジタル」「オープンイノベーション」を切り口とした社会課題解決に繋がる有望なサービスの萌芽が見られます。具体的には、性能規定与信を活用したデジタルカードやデジタル分割払いに加え、オープンイノベーションを活用したアキカツローンやOBS(Orico Business payment for SME)など、社会課題解決に寄与する新商品・サービスをリリースいたしました。さらに、株式会社みずほ銀行との連携に加え、独自の経済圏を有するイオンフィナンシャルサービス株式会社、楽天グループ株式会社などとの提携・協業関係を相次いで構築しております。今後、こうした新商品・サービスの拡大や独自経済圏を梃子に事業基盤を拡充させてまいります。

 経営基盤、財務規律の面では、2022年6月にこれまでの監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行するとともに、取締役会における独立社外取締役の比率も3分の1以上に引き上げ、ガバナンス体制の一層の充実を図りました。また、新たな理念を策定するとともに、サステナビリティを経営の上位概念に位置付けて取組みを強化した結果、脱炭素に向けた取組みと開示が評価され企業の環境や気候変動対策への取組みを評価する国際的なNGOであるCDPから、全世界の回答企業の上位2%であるAリスト企業として認定されました。加えて、サステナブル投資のファンドや他の金融商品の作成・評価に広く利用されているESG指数への組入れも果たしております。具体的には、FTSEの世界的なESG指数シリーズであるFTSE4Good Developed Index並びにFTSE4Good Japan Indexの2銘柄、及びGPIFが採用するESG指数6銘柄のうち5銘柄に組入れをされております。

 人財戦略においては、めざす姿として「会社と社員が互いに成長できるWin-Winな関係構築を通じた社員エンゲージメントの最大化」を掲げ、オリコで働くすべての社員が仕事を通じて“自分らしく活躍できる”会社に向けて「自律的なキャリア形成支援」「ミッションを軸とした人事制度」「働きやすい環境の整備」を軸に人事制度を見直し、望まない転居転勤の廃止やジョブポスティングの導入を行っております。また、財務規律においては、外部格付が「A+」まで上昇したことにより資金調達基盤が安定いたしました。

② 今中期経営計画(2026年3月期~2030年3月期)の取組方針

 2030年3月期を最終年度とする5ヵ年の中期経営計画策定にあたり、昨年4月に制定した新たな理念(パーパス:その夢の、一歩先へ)を踏まえ、10年後のめざす社会、めざす姿を再定義しました。

 今中期経営計画期間における当社グループを取り巻く経営環境については、少子高齢化、金利ある世界への回帰、デジタル化・キャッシュレス化の進展、所有から利用へ流れが加速するなど、大きな転換点を迎えております。とりわけ、生成AIを中心としたテクノロジーの急速な進展により、現時点では想像できないインフラ・サービスの登場などのゲームチェンジが起こりつつあると想定されます。

 これらを踏まえ、当社グループの強みであるこれまで紡いできた英知と信頼の証である審査・回収などの与信の力とAIなどのテクノロジーをかけあわせ、さまざまなお客さまに安全・安心・便利な金融サービスを提供することで、社会課題や金融ニーズに応えていき、新たな金融シーンを創出していきたいと考えています。

 

  めざす社会 誰もが豊かな人生を実現できる持続可能な社会

 

  めざす姿 「与信 X テクノロジー」で新たな金融シーンを創りだす先進企業

        ~お客さまの笑顔と豊かな未来のために~

         ※「X」=かけあわせることでのイノベーションとトランスフォーメーションのエックスの両義的な意味

 

 10年後のめざす社会・めざす姿を実現するために、優先的に取組むべき重要課題としてマテリアリティの見直しを行いました。当社グループの商品やサービス等を含むあらゆる戦略の根幹を成す位置づけにあり、「何のためにその事業を行うのか」「商品・サービスを開発・販売するのか」「その施策を行うのか」を、マテリアリティを起点に決定します。

 テクノロジーの進展により、決済手段の多様化とキャッシュレス化が進行していますが、不正や金融犯罪の問題も深刻化しています。お客さまが安全・安心かつ利便性高くキャッシュレスサービスを利用できる環境を整えることは、リテール金融事業者としての当社グループの最重要課題です。また、日本の企業の99%を占める中小企業においても、キャッシュレス化や業務効率化のニーズが高まっています。

 今後、ますます社会経済状況が複雑化し、価値観やライフスタイルも変化するなかで、お客さまが自分らしい生活を築くための多様な商品やサービスのニーズが一層高まると考えられます。また、社会構造の変化に伴い、フリーランスや在留外国人、高齢者、単身世帯、スタートアップ事業者など、お客さまの属性も多様化する見込みです。ニーズや属性が多様化していくなかで、生活を支える金融サービスを皆さまがより便利に利用できるようにすることは、当社グループにとって重要な使命であり、社会全体の活力を高めるためにも欠かせません。

 上記を踏まえ、新たな4つの成長牽引マテリアリティと2つの経営基盤マテリアリティを定めました。なお、マテリアリティの見直しの過程においては、内外の有識者との議論及び経営会議・取締役会における複数回の議論を重ねております。

《成長牽引マテリアリティ》

①個人や中小企業にとって安全・安心・便利な「キャッシュレス社会」実現への貢献

 キャッシュレスの進展に伴う不正の増加・巧妙化は重要な社会課題です。中小企業DX支援(企業間決済、売掛金決済保証等)の領域は、人手不足等社会課題の解決にもつながる取組であり、企業価値と社会価値の両立を図る上で極めて重要と判断しました。

②お客さま一人ひとりのニーズを捉えた新たな顧客体験価値の創造

 今後10年の間に、お客さまの属性・ライフスタイル・価値観が一段と多様化すると見込まれ、当社グループは分割払いや決済保証などの領域で貢献することが求められています。多様なニーズを先取りした新たな金融サービスの提供は、当社グループのみならず社会全体の活力を高める上で特に重要と判断しました。

③地域経済活性化への貢献

 地域経済活性化は、当社グループ及び加盟店・提携先金融機関等ビジネスパートナーの商圏の維持・拡大において重要です。ビジネスパートナーと連携し地域の個人・中小企業に円滑な金融を提供し、販路拡大や労働力不足対応にも貢献することはめざす社会実現のうえで不可欠と整理したため、マテリアリティとしました。

④循環型社会・脱炭素化実現への貢献

 セカンドハンドやリユース等のマーケットでプレゼンスを有する当社グループに対し、ビジネスを通じた循環型社会実現へのステークホルダーの期待値は潜在的に高いと整理しました。所有から利用への価値観の変化等を先取りした新たなサービスの提供は事業面でも重要であります。

《経営基盤マテリアリティ》

①イノベーションを後押しするインクルージョン&ダイバーシティの推進

 インクルージョンこそイノベーションの源泉と当社グループでは位置づけ、多様な属性・バックグラウンド・強みを有する役職員が、多様な外部のステークホルダーと連携し、自ら挑戦のうえイノベーションを起こせる組織となっていくことを当社グループは志向しています。経営基盤強化・事業面の成功の必須条件と位置づけており、マテリアリティとしました。

②コーポレートガバナンス・リスクマネジメント

 強みである与信力(審査・オペレーション・回収含む)の担保及び強化と、グループ経営高度化等ガバナンス強化は事業成功の前提となる重要課題と認識しています。

 新たな中期経営計画においては、足元の課題を踏まえつつ、10年後のめざす姿「与信 X テクノロジーで新たな金融シーンを創りだす先進企業」からバックキャスティングし、「オリコならではの金融モデルの確立」を最終年度の到達点として定めました。

オリコならではの金融モデルの確立

 

マテリアリティ(重要課題)解決を起点にオリコの代名詞となる事業領域を確立

◆従来型の信販モデルから発展的に脱却 ⇒ 真にお客さまを軸とした事業モデルへの転換を実現

(お客さまに選ばれ続ける企業へ)

◆オリコの強み(=紡いできた英知と信頼)である与信・回収・オペレーション等をテクノロジーの力で磨きをかけ競争優位の源泉として確立

 

 今中期経営計画の期間は5年間とし、前半3年間で、早期に事業構造改革を完遂し、捻出された経営資源を成長領域に振り向け、分割払い・企業間決済・個人向けリース等、前中期経営計画の成果を活かして、競争優位性のある事業の基盤固めをしたうえで、後半2年間では、市場シェアの拡大・収益獲得を加速化し、今中期経営計画の期間中、早期にPBR1倍超を実現してまいります。

 この実現に向けて、経営目標と4つの事業戦略・4つの経営基盤戦略を策定いたしました。

《経営目標》

PBR1倍超を実現するために、以下の財務上の経営目標を定めました。

 

2028年3月期

2030年3月期

経常利益

250億円超

500億円超

ROE

7.5%以上

12%以上

営業収益一般経費率

60%未満

50%台前半

《事業戦略》

①事業構造改革の完遂

・前中期経営計画からの継続課題である事業構造改革や海外事業の抜本的見直しを含め、不採算分野の縮退、事業効率化、経営資源の再配分を通じ、事業ポートフォリオの再構築を早期に完遂

・リアルとデジタルのタッチポイント最適化と営業のやり方/型づくり等を含めたマーケットインの営業改革を実践

②新たな体験価値提供を通じたお客さまとのエンゲージメント強化

・マテリアリティに掲げる新たな顧客体験価値の創造に向けて、eオリコを入口としてお客さまに新たな体験価値を提供し、ロイヤリティやエンゲージメントを高めることで、当社グループ独自のネットワーク経済圏を構築(お客さまから選ばれ続ける企業へ)

・リスクベースドプライシング導入等も含め、与信・回収・オペレーションの更なるレベルアップを通じたお客さまの獲得とリテインを促進

③中小企業等への信用供与・生産性向上支援

・安全・安心で利便性の高い「キャッシュレス社会」実現へ貢献するため、法人与信モデル高度化を梃子にした信用供与拡大に加え、キャッシュレス等のDX支援を拡充(地域経済、ひいては日本全体の経済活性化にも貢献)

④サーキュラーエコノミー市場の深耕

・循環型社会・脱炭素化の実現へ貢献するため、リユースやリサイクルに対する意識の高まりと所有から利用への潮流を捉え、リテール領域での資源循環市場を深掘

※株式会社みずほ銀行との連携に加え、大手事業者等の提携・協業を梃子に独自経済圏を深耕し、②③④をスケーリング

《経営基盤戦略》 事業戦略を推進するうえで不可欠な経営基盤を重点的に強化

①デジタル/AI利活用の徹底拡充

・強みである与信・回収・オペレーションを更にレベルアップするとともに、組織全体の生産性向上やマーケティング・商品開発力を高めるべくデジタル及びAIの組織ケイパビリティを強化

②コーポレート・ガバナンス/リスク管理/ALMのレベルアップ

・国内外の子会社管理を含めたグループガバナンスの実効性向上に加え、与信モデルやRAF高度化、金利上昇局面でのALM強化

③人的資本経営/人財戦略の更なる進化と働き方変革

・『個』が成長・協働し、変革・改善を起こす人材集団を形成。多様な人材が最大のパフォーマンスを発揮する基盤を構築

④「新たな金融シーンを創り出す先進企業」の実現に向けたカルチャー変革

・理念の共感・実践を軸に、インナーブランディング、組織開発、BPX(ビジネスプロセストランスフォーメーション)・AIX(AIトランスフォーメーション)等さまざまな取組を通じ、めざす姿にふさわしい企業カルチャーへ変革

《資本政策》

「財務健全性、成長投資、株主還元の最適なバランスを実現」することを資本政策の基本方針とし、株主還元については「配当を基本に実施」することとしております。

 配当政策については、「累進配当を基本とし、連結配当性向30%から40%を目安に実施」することといたします。

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