オリエンタル白石
【東証プライム:1786】「建設業」
へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「人と技術を活かし、常に社会から必要とされる集団を目指す。」の経営理念のもと、公共事業を中心とした社会基盤の整備と維持管理にかかわる事業活動を通じ、社会の発展に貢献できるよう努めております。そして、社会から支持され、信頼される企業となることによって業績の向上を図り、企業価値を高めていくことを経営の基本方針としております。
(2) 経営環境及び会社の対処すべき課題
公共投資市場は、防災・減災対策や将来を見据えたインフラ老朽化対策の推進、整備新幹線の着実な整備やリニア中央新幹線プロジェクトの推進、全国の高速道路の大規模更新工事及び4車線化といった事業が引き続き展開され、今後の建設需要は底堅い見通しであるものの、世界的なインフレの影響による鉄鋼や木材など建設資材の高騰、高齢化や若年層の入職者減少による人手不足の深刻化、時間外労働の上限規制に伴う協力業者を含めた人件費等の上昇等により、経営環境はより厳しさを増すことが予想されています。また、アメリカの通商政策の不透明感や地政学的な要因など今後の全世界的な動向についても不確実な要素が多く、より緻密でタイムリーな対応や戦略が求められるものと考えられます。
このような環境のもと、当社グループでは、主力事業の強化のため公入札における総合評価力の強化による受注確保への対応、当社グループの持つ特化技術採用に向けた技術営業の推進、競争力を高める研究開発・設備投資の推進、教育の充実と多様な人材活用による組織強化、生産性向上とコスト競争力向上等の戦略を進めてまいります。又、工事現場における長時間労働を是正するため、生産性の向上、社員能力の向上という観点から“人材の育成”“生産性の向上” “働き方改革” の3つの課題をテーマとして対策を進めております。同時に、当社グループの事業を支える協力会社に対して社員研修、資格取得の支援により技能労働者の確保への環境整備も進めてまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、これまで培ってきた経営資源をもとに、「事業」、「投資」、「財務」、「サステナビリティ」に対する戦略を構築し、長期ビジョン「オリエンタル白石グループ2030年の将来像」に向け一丸となって挑戦と前進を続けるため、2023年度(2024年3月期)を初年度とし、2025年度(2026年3月期)までの3か年を対象とした「中期経営計画2023-2025~さらなる成長に向けた競争力の向上と新たな挑戦~」を策定しスタートさせております。この中期経営計画では、オリエンタル白石グループの2030年像を「人財と技術の多様性を活かし、社会インフラ整備の様々な需要に応え、挑戦と前進を続ける企業集団」とし、グループの2030年の将来像に向け、基幹事業の充実、連結事業の強化、新規・周辺事業による事業領域の拡大、サステナブル経営への取組を進め、企業価値の一層の向上に努めてまいります。
中期経営計画の主な内容は、以下のとおりであります。
中期経営計画の基本方針
①国土強靭化、インフラ老朽化対策などの社会的課題の解決に貢献し、これを業績の向上につなげる。
②基幹事業のさらなる充実、連結事業の強化、新規・周辺事業の成長と領域拡大を推進しグループ全体の発展を図る。
③DXや技術開発、他社・他業種との連携により、事業生産性を高める。
④教育、研修など“人への投資”を促進し、競争力豊かな人財の構築を図る。
⑤バランスのとれた投資、還元戦略を実行する。
⑥カーボンニュートラルに向け、脱炭素施策の推進と技術開発を継続する。
中期経営計画における経営指標目標(2026年3月期)
企業価値向上と成長戦略
持続的な売上の増加と収益の向上
売上高 730億円
営業利益 62億円
親会社株主に帰属する当期純利益 45億円
成長事業の基盤固め
投資額 220億円
D/Eレシオ 0.29倍
株主に対する還元効率
自己資本当期純利益率(ROE) 9%以上
配当性向 50%以上
総還元性向 70%程度
PBR 1倍以上
(事業戦略)
基幹事業(PC土木、ニューマチックケーソン/一般土木、補修補強、PC建築)
・公共工事におけるシェアと実績の拡大
・ニューマチックケーソンの橋梁と治水設備等への事業拡大
・事業量の確保と収益力の維持を図る
・プレキャストコンクリートのすう勢の中でのPC構造の採用を拡大する
連結事業(鋼構造物事業、港湾事業)
・新設橋梁と補修補強のバランスの中で売上・利益の拡大を図る
・港湾、土木の中小工事で受注・売上を確保するとともに今後本格化するカーボンニュートラルポートプロジェクトへの準備を進める
新規・周辺事業(工場製品外販、地域戦略事業、橋梁維持管理事業、官民連携事業、海外事業、環境事業)
・成長投資、技術開発、生産性向上、他社・他業種との連携、顧客基盤の強化
新規・周辺事業の領域拡大を図ることで基幹事業の拡充、連結事業の強化にも寄与
生産性向上
・プレキャスト化促進
・機械、船舶の機能強化
・情報通信、DX等、新技術の活用
・施工の遠隔化、自動化
・工事、現場支援システムの構築
(投資戦略)
・基幹事業や連結事業の拡充と強化、新規・周辺事業の拡大を図る
経常投資(既存事業継続投資) 50億円
成長投資(成長機会創出投資) 110億円
戦略投資(資本業務提携) 60億円
投資総額(2023-2025年度) 220億円規模
*戦略投資(資本業務提携)資金として伊藤忠商事株式会社への第三者割当増資により約50億円を調達
(財務戦略)
営業CF(堅実なCF創出力の向上)と財務CF(財務健全性を維持した有利子負債の活用、資本業務提携による第三者割当増資)を経常投資・成長投資・戦略投資へ投下し好循環を生み出すことにより企業価値を高めると共に、安定した配当の継続に加え、上記投資の成果と資本効率を踏まえた機動的な自己株式取得を実施します。
(サステナビリティ戦略)
・環境(カーボンニュートラルの実現に向けた取組)
2030年度目標 CO2排出量(Scope1,2) 19,000t-CO2
売上高原単位21t-CO2/億円
削減率 約31%(2021年度比)
・人材戦略
人財と技術の多様性を活かす働きやすさと働きがいのある魅力的な企業づくり
・ガバナンス・対話
グループの持続的な成長を支えるガバナンスとステークホルダーとの対話の充実
当該経営数値目標を採用した理由は、当社の経営方針・経営戦略を理解する上でステークホルダーにとって重要な指標であり、目標に対する進捗状況を継続的にモニタリングし、実現可能性の評価等を行うことが可能となるためであります。
(中期経営計画最終年度の業績予想)
中期経営計画最終年度となる2026年3月期の連結業績予想について、受注面では、補修・補強分野の受注において今年1月に発生した中国自動車道の事故の影響や競争の激化により受注量の減少が予想されるものの、首都圏を中心とした大型ポンプ場等のニューマチックケーソン工事の発注が旺盛な事に加え、新たな連結子会社の受注を取り込む事により昨年度を超える受注量を想定しております。引き続き、当社の得意とする技術や特化工法の採用を推進し選別受注に努めるとともに、グループ内のシナジーを活かし技術優位性が発揮できる難易度の高い工事にも取り組んでいきたいと考えています。
売上面では、前期からの豊富な繰越受注残高はあるものの、大阪モノレール、北海道新幹線工事などの一部大型工事の進捗の遅れやニューマチックケーソン工事の発注が想定よりも遅れている影響で、既存の基幹事業においては若干の減少になりそうですが、新たな連結子会社の売上を加え2025年3月期を超える売上高を確保する計画です。また、売上面に対する事故の影響ですが、大規模更新の継続工事の繰越受注残が全社的に確保されており、該当工事及び同種工事における影響は総じて限定的になると考えています。
利益面では、昨年実績を下回る見込みです。これは、大型工事の竣工に伴う設計変更による収益の押し上げが今年度は見込めないことや、大型ニューマチックケーソン工事については、着工後の早期段階の工事が多く最盛期は次年度以降になるため、今年度の利益率向上への貢献がそれほど期待できないことなどによるものです。
上記のことから、2026年3月期の連結業績予想を下記の通りとしておりますが、中期経営計画経営指標目標に向け改善を目指すとともに長期ビジョンの推進に向け努めてまいります。
2026年3月期の連結業績予想
売上高 660億円
営業利益 43億円
親会社株主に帰属する当期純利益 28億円
(2025年1月に発生した重大事故)
2025年1月27日当社施工工事において、作業員2名が死亡し、3名が負傷する重大事故が発生いたしました。ご遺族、被災された皆様、関係者の皆様、株主の皆様をはじめとする多くのステークホルダーの皆様に多大なご迷惑とご心配をおかけしましたこと改めて深くお詫び申し上げます。
今回発生した重大事故に対して、発生原因の分析、同種工事における再発防止策を策定し全社に周知指導するとともに、新たに社長を本部長とする「安全統括本部」を設置し、工事部門や技術部門、管理部門、工場、機材センター、業革推進部、様々なプロジェクトやタスクチームと連携し、全社的な安全管理体制の強化を図ってまいります。また、安全統括本部を中心として、安全施工、安全対策への指導、支援を行うとともに、安全性、施工性を高める機械や設備、DX、そして社員の安全教育・安全研修などに、さらに注力してまいります。
役員・社員一同、今回の事故に真摯に向き合い、心より反省し、危機感をもって、“安全のオリエンタル白石” の実現に向けて一丸となって今後とも取り組んでまいります。
- 検索
- 業種別業績ランキング