企業兼大株主エフアンドエム東証スタンダード:4771】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、事業者のバックオフィス業務の効率化と改善を使命とし、金融機関をはじめとする多様なパートナーと連携しながら支援を行っています。特に、日本の事業者の99%を占める個人事業主や中堅・中小企業に注力しており、情報不足による不利益を解消するための取り組みを積極的に進めています。これらの事業者が抱える課題に向き合い、実用性と価値の高いサービスを提供することで、持続可能な成長を支援してきました。

 当社グループの企業哲学である「サービスの水道哲学」は、顧客の多様なニーズを的確に捉え、リーズナブルな価格で報酬以上の価値を提供することを基本理念としています。この哲学に基づき、全社員が愛される人物となることを目指し、「関わる全ての人と企業を物心両面で豊かにする」という目標を掲げています。この目標の実現を通じて、顧客との信頼関係を深め、社会全体に貢献することを重視しています。

 また、事業活動を通じて、わが国経済の活性化に寄与することを目指した経営を行い、時代の変化に対応しながら顧客にとって価値ある存在であり続ける努力を続けています。今後も、社会に必要とされる企業として、顧客やパートナーとともに成長を追求してまいります。

(2)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、収益力の向上を最優先課題として認識しており、経営成績や事業の進捗を正確に把握するために、売上高営業利益率や売上高原価率の変動要因の分析を重視しています。また、全社的にストック型ビジネスモデルを基盤として事業を展開しているため、契約継続率を重要な指標として捉え、持続的な成長を目指しています。

 今後の施策としては、各セグメントにおいて、地域金融機関や税理士、社会保険労務士といった既存チャネルのさらなる深耕を進めるとともに、新たな販売チャネルの開拓を積極的に行うことで、営業機会の増強とトップラインの引き上げを図ってまいります。また、マーケットの拡大や顧客ニーズの多様化に対応するため、属人的なスキルやノウハウに依存しないサービス提供体制を構築し、効率的かつ高品質なオペレーションを実現します。さらに、各社員が持つ暗黙知を形式知へと変換し、これを活用することでサービスの品質を向上させます。そして、蓄積されたデータと顧客とのタッチポイントを戦略的に組み合わせることで、画一的でない、顧客ごとにカスタマイズされたサービスを提供し、顧客満足度を向上させるとともに営業効率の向上を図り、ストック収益の安定的な増加を目指してまいります。

 ビジネスソリューション事業においては、人事労務クラウドソフト「オフィスステーション」シリーズのさらなる拡販を進めていきます。市場における認知度向上を図る一方で、ユーザビリティ向上のための追加機能開発や改善を継続的に行い、導入から稼働までの時間を短縮するためのフォロー体制を強化します。また、既存ユーザーに対しては、利用中のプロダクトの拡大を促進するエクスパンション施策を推進し、顧客生涯価値(LTV)の向上に努めてまいります。

 さらに、コストコントロールにおいては、各セグメントでAIの活用を促進しています。アカウンティングサービス事業における記帳処理工程の生産性の向上や、お客様との面談記録や事業計画の策定支援にAIを取り入れています。全社的にITツールの活用を進め、業務効率化とローコストオペレーションの実現を目指します。これらの取り組みにより、持続的な収益性の強化と事業基盤の安定化を図り、顧客と社会に価値を提供する企業として成長を追求してまいります。

(3)経営環境

 国内景気は、海外経済の回復基調に伴い一部の明るい兆しが見られるものの、物価高騰の影響は依然として続いており、消費者の節約志向や製造業の停滞が懸念されています。さらに、ウクライナ情勢の長期化、中東地域の緊張激化、円安の影響による原油・原材料価格の高騰が企業経営に負担を与え、厳しい経営環境が続いております。こうした状況下で、ゼロ金利政策の解除による金利上昇が中小企業の資金調達コストを押し上げ、特に資金繰りに課題を抱える企業にとって経営状況の悪化が懸念されています。これにより、中小企業経営は大きな転換期を迎えており、事業運営においては一層効率性が求められる時代となっています。

 事業運営においては、物価高への対応策として自社の強みを生かしたビジネスモデルの構築、省人化・デジタル化による労働生産性の向上が重要であるとともに、人材の採用・育成、従業員の賃上げなど働く環境の整備も喫緊の課題となっています。政府は2025年度の政策として、中小企業の付加価値向上や賃上げを促進するための支援策を拡充しており、継続的な賃上げを実現するための補助金や財政措置が強化されています。これらの施策は、ポストコロナ時代における経済社会の安定化を目指したものであり、当社グループはこうした政府方針に賛同し、その推進に積極的に取り組むことで、社会の発展に寄与してまいります。

 また、税制や行政手続きにおいても、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。2024年に完全施行された電子帳簿保存法に基づき、電子取引データの保存義務が求められるようになり、インボイス制度の本格運用により適格請求書発行事業者の登録が増加しました。これに伴い、多くの企業が請求書・領収書のデジタル化やキャッシュレス対応を進めています。さらに、2024年10月から適用が開始された従業員数51人以上の社会保険適用範囲拡大により、企業の管理業務が一層複雑化し、社会保険手続きの電子化が求められるようになりました。これらの法改正や制度変更は、企業にとって新たな負担となる一方で、業務効率化への取り組みを加速させる契機ともなります。当社グループはこうした変化をビジネスチャンスと捉え、効率化を支援するサービスを通じて、企業の負担軽減と生産性向上に寄与してまいります。

 社会全体でデジタル化が急速に進む中、企業のバックオフィス業務においても効率化や外部委託、ITツールの活用が進展しています。この流れは、当社グループが提供する「オフィスステーション」にとって市場拡大の好機となり、事業成長をさらに加速させる可能性を秘めています。「オフィスステーション」は、勤怠管理や給与計算、社会保険手続きなど、バックオフィス業務の効率化を実現するクラウド型ソフトとして、多くの企業にご活用いただいております。当社は創業以来培ってきたバックオフィス業務に特化したノウハウを活かし、このサービスの開発・提供を通じて、中小企業の労働生産性向上に貢献してまいりました。

 2025年度においては、企業が抱える課題に一層寄り添い、従来のサービスをさらに進化させることで、多様なニーズに応える体制を強化してまいります。これにより、社会に必要とされる企業としての役割を果たすとともに、持続可能な成長を目指して邁進してまいります。今後も各事業間のシナジーを高め、さらなるワンストップ・サービスの構築を図ってまいります。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① チャネルの深耕とさらなるシナジーを生む事業体制の強化

 当社グループは、バックオフィス業務の効率化を通じて事業経営の持続的な成長を支援することを使命としております。昨今、物価高や金利上昇、法改正による労務管理の複雑化など、企業を取り巻く環境は厳しさを増しており、事業計画の策定、公的支援の活用、人材採用、教育体制の構築など、多岐にわたる課題への対応が求められています。こうした支援を行う上で、金融機関や税理士、公認会計士、社会保険労務士との連携は欠かせません。当社は全国の地域金融機関がパートナーであること、専門家ネットワークを有することを独自の強みとし、これらの課題解決と事業経営の成長支援に貢献してまいります。当社グループは今後も革新的なサービスを提供し、地域経済の活性化と中小企業の成長を支援してまいります。

② 業務効率化による利益率向上への取り組み

 利益率向上のため、業務処理工程の見直しや比較的単純な情報処理、顧客からの問い合わせへの一次対応、顧客属性に基づく情報発信などにITの積極活用を進めております。これにより、業務効率化を図るとともに、付加価値の高いサービス提供を実現してまいります。また、属人的なサービスは品質の均一性を欠きやすく、量的・質的な限界を迎えるリスクがあるため、オペレーション分野だけでなく営業分野においても効率化と提案内容の統一化を進め、より多くの顧客に効率的かつ適切にアプローチできる体制を構築しております。さらに、属人的なスキルやノウハウに依存しない全社的なサービス体制を追求することで、高品質なサービス提供を可能にするとともに、顧客満足度の向上に努めております。画一的ではなくパーソナライズされたサービスが求められていると認識し、顧客のエンゲージメントを高めるため、蓄積されたデータの活用や顧客との接点を戦略的に組み合わせることで、価値あるサービスを提供してまいります。

③ 付加価値の高いサービスの開発

 「オフィスステーション」シリーズは、HR領域における従業員情報の管理や季節ごとに発生する業務のIT化を支援するため、機能開発とシリーズ展開を進めてまいりました。企業の管理部門では、入社・退社に伴う各種申請、社会保険・年金の申告、年末調整といった労務業務に加え、従業員のスキルや資格の管理、評価制度の運用、キャリア形成支援など、人事全般にわたる業務が行われております。これらの業務は複雑化が進む一方で、効率化と精度向上が求められています。

 近年、HR領域では多くのツールが出現しておりますが、複数のツール併用による情報連携の複雑化や既存ツールとの機能重複が課題となるケースが増加しています。当社グループでは、労務から人事まで幅広い業務に対応しつつ、必要な機能を選択して導入できる「アラカルト方式」を採用し、企業の多様なニーズに応えています。また、顧客生涯価値(LTV)の最大化を目指して開発の優先順位を明確化し、機能改善を進めております。

 さらに、「オフィスステーション」シリーズを導入した企業がデータ活用とIT化を通じて労務管理や人材戦略に基づく課題解決を実現するためには、システムを使いこなせる状態にまで支援することが不可欠です。当社グループは、カスタマーサクセスの体制を強化し、導入から運用、さらには人材データ活用を見据えた伴走型支援を提供することで、企業の生産性向上と人材活用の最適化に貢献してまいります。

④ 優秀な人材の確保と育成

 当社グループのさらなる成長を実現するため、優秀な人材の確保と育成を重要な課題と認識しております。当社の最大の財産である「人」を基盤に、「他社で3年で学ぶことを1年でマスターする」という教育方針のもと、業務理解を進め営業力を強化すると共に、人間性を育むことで、社員一人ひとりの成長を支援しています。社員が能力を開発し続けることは、サービス品質の向上だけでなく、経営成績の向上を支える重要な原動力となります。また、育児・介護との両立が可能な環境の整備、有給休暇取得促進、成果を正当に評価する仕組みの構築など、全社員が能力を最大限発揮できる職場づくりを進めております。さらに、当社の理念やカルチャーに共感し、長期的に活躍できる人材を迎え入れることを目指しています。採用後は、早期に戦力化できる育成体制を整えることで、社員と会社双方が成長できる関係性を築きます。人材への中長期的な投資を継続することで、持続的な成長を支える組織体制の強化に取り組んでまいります。

⑤ セキュリティ体制の強化

 当社グループは、提供するサービスに関連してユーザーの個人情報や機密情報を取り扱っており、これらの保護を最重要課題として取り組んでおります。安心してサービスをご利用いただくために、セキュリティ監視体制の強化を図り、自社内の体制構築のみならず、外部業者による脆弱性診断を継続的に実施しております。これにより、最新の脅威やリスクへ迅速に対応し、必要な対策を講じることでサービスの安全性を確保しています。また、当社グループでは「情報セキュリティ基本方針」を定め、この方針に基づいて情報資産の管理と保護を徹底しております。具体的には、データの暗号化、アクセス権限の厳格な管理、不正アクセス防止を目的としたファイアウォールやセキュリティソフトの最新化など、技術的な対策を施しております。さらに、セキュリティ体制の向上には人的な取り組みも欠かせないものと認識し、全従業員を対象とした定期的な教育・研修を実施しております。これにより、セキュリティ意識の向上と実務知識の習得を促進し、内部からのリスク軽減を図っております。加えて、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクを最小化するための内部監査や改善プロセスを整備し、継続的なチェックと改善を行っています。これらの取り組みを通じて、技術的・人的両面からの対策を高度化し、ユーザー企業からの信頼に応える体制を構築してまいります。今後も、セキュリティ対策の強化を事業運営の重要な柱と位置付け、安心・安全なサービス提供を目指してまいります。

⑥ コーポレート・ガバナンスの強化

 当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するため、コーポレート・ガバナンスの適切な機能を重要な経営課題と認識しております。事業活動においては、顧客の個人情報や会員企業の機密情報など、重要な情報資産を取り扱う機会が多く、これらの保護と管理が事業運営の根幹を支えるものと考えております。不正アクセスやサイバー攻撃、従業員の過誤などにより情報が漏洩した場合、当社グループの社会的信用が著しく低下し、経営成績や財政状態に重大な影響を及ぼすリスクがあります。これらのリスクを回避するため、業務フローの厳格な運用、継続的かつ定期的な情報管理、インサイダー取引防止に関する社内教育の実施、保管データへのアクセス制限を徹底しております。さらに、コーポレート・ガバナンスの実効性を高めるため、内部監査体制を整備し、コンプライアンスに関する定期的なチェックと改善を進めております。これにより、適正かつ効率的な事業運営を実現するとともに、事業基盤の強化を図ってまいります。引き続き、ガバナンス体制のさらなる強化を通じて、社会的責任を果たし、企業価値の向上に努めてまいります。

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