エイチ・アイ・エス
【東証プライム:9603】「サービス業」
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企業概要
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「HIS Group Philosophy」に則り、HIS Group Purpose“「心躍る」を解き放つ”の旗印のもと、旅行業を中心に幅広い事業の展開を通じて、グループ全体の持続的成長を目指しています。そして、多くの出会いと繋がりを創出し、豊かでかけがえのない時間の創造、人々の相互理解を促進することで、世界の平和に貢献する企業でありたいと考えています。
HIS Group Philosophyの詳細について https://www.his.co.jp/company/philosophy/
(2)中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標
当社グループは、2030年に創業50周年を迎えるにあたり、持続的成長、パーパス経営の実現にむけて目指す姿を掲げ、具体的な経営目標及び方針を中期経営計画(FY2024-2026)として策定しています。
①創業50周年に目指す姿(Vision2030)
Vision2030 挑戦心あふれ 世界をつなぎ 選ばれ続ける企業に Change & Create |
当社グループが2030年に目指す姿として、Vision2030を策定しました。
《Vision2030 に込めた想い》
・創業の原点である「挑戦心」
当社グループが挑戦を続けるとともに、世界中の様々な挑戦を応援・支援することで、 社会とともに成長し、よりよい未来をつくってまいります。
・グローバルネットワークを活用し、世界をより近いものへ
国内146拠点、海外58ヵ国110都市145拠点(2024年10月末現在)のグローバルネットワークが当社グループの強みです。地域社会という小さくとも密接な関係にある世界から、地球外に広がる宇宙までがビジネスフィールドです。
・お客様から、社会から、HISグループ社員から、選ばれ続ける企業へ
当社グループだからこそできる独創的な価値を創出していくため、お客様や社会のニーズを第一に捉え、世代や国境を超えて、選ばれ続ける企業を目指してまいります。また、社員が働きがいを感じられる企業として、より良い環境づくりに取り組んでまいります。
②中期経営計画方針・アクションプラン概要(FY2024-2026)
連結経営・財務目標を達成するべく、中期経営計画の核となる方針は「コア領域の変革」と「新規領域への挑戦」です。具体的なアクションプランとして以下6項目を中心に取り組んでまいります。
・グローバルネットワークの活用
海外の事業においては、各国におけるインバウンド事業(日本からの受客)だけに頼らないポートフォリオの再構築に取り組みます。2026年10月期において、グローバルマーケット事業・新規事業2つの領域にて、営業利益の比率60%以上を目指します。
・生涯顧客の創造(LTV最大化)
今後、「旅」というシーンのみに留まることなく、お客様の生涯・日々の生活の様々なシーンにおいて、当社グループの商品・サービスに触れていただく機会を増やし、より身近に感じていただくことで、生涯顧客の創造に取り組みます。また、「日本における少子高齢化によるマーケット拡大の鈍化」と、「お客様の嗜好・購買行動の多様化」に対応していくため、AIを含む情報技術を駆使しながらCX向上と顧客接点の拡大を図ります。
・業務効率化・コスト構造改革
世界各国の予約手配業務を集約・移管し、効率化の推進に取り組みます。グローバルな視野での業務集約とDX推進による更なるデータ活用を実現し、生産性向上を目指します。
・旅行関連事業・非旅行事業の成長
旅行関連分野においては、収益性が高いホテル事業を中心に、非旅行事業においては、コロナ禍においても積極的に推進してきた新規事業への挑戦を今後も継続していきます。持続的な成長のため、ポートフォリオ再構築を目指します。
・M&Aによる成長(投資戦略)
当社グループの持続的な成長のため、安定的な投資サイクルの循環に取り組みます。旅行、旅行関連領域においては、既存事業を補完し、非旅行領域においては、将来性のある新たな事業への投資を検討します。
・人財戦略(人的資本経営)
“従業員一人ひとりの「心躍る」を解き放ち、変革が巻き起こる基盤構築”を目指し、3つの柱として「経営スピードの加速」「多様な人財の活躍」「エンゲージメントの向上」に取り組みます。働き甲斐を感じ、心躍る仕事をすることで、働きがい指数・人時生産性の向上へつなげます。
③連結経営・財務目標
| 2024年10月期 | 2025年10月期 | 2026年10月期 |
連結売上 | 3,500億円 | 3,900億円 | 4,300億円 |
連結営業利益 | 90億円 | 120億円 | 180億円 |
連結利益率 | 2.6% | 3.1% | 4.2% |
経常利益 | 72億円 | 100億円 | 160億円 |
自己資本比率 | 11% | 13% | 15% |
上記は、中期経営計画策定時に掲げた目標数値(2023年12月15日時点)
2024年10月連結決算の業績において、売上高は3,433億34百万円(前期比136.1%)、営業利益は108億54百万円(同663.8%)、経常利益は104億51百万円(同634.7%)となりました。
2025年10月連結決算の業績予想において、売上高は3,900億円(前期比113.6%)、営業利益は120億円(同110.6%)、経常利益は110億円(同105.3%)を見込んでおります。
・財務方針:
資本増強(本業の積み上げ)、有利子負債の削減、事業の取捨選択による、財務基盤の強化(自己資本比率の回復)
・配当についての今後の方針:
業績予想通りの実績となった際は、安定的かつ継続的な利益還元を再開
(配当性向:3ヵ年において10~15%を計画)
④サステナビリティへの取り組み
パーパス“「心躍る」を解き放つ”を掲げる当社グループの事業において、サステナビリティ推進は経営の重要課題であると認識しています。世界中の人々が「心躍る」ことができる前提には、人や地域との繋がり・相互理解、人権の尊重、人類を含めた動植物が生きる基盤となる健全な地球環境、そして世界平和が必要だと考えています。SDGsやESG課題への対応も含め、多様な人財の活躍、地域社会との共生、地球環境の保全、ガバナンス強化を推進し、当社グループ全体の企業価値の向上を目指すとともに、持続可能な社会の発展に貢献してまいります。
中期経営計画の詳細について https://www.his.co.jp/ir/plan/
(3)経営環境及び対処すべき課題
当連結会計年度における経営環境は、不安定な国際情勢、物価上昇、円安基調といった外的環境により当社グループの企業活動は影響を受けることが懸念されるものの、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果等もあり、緩やかな回復が続くことが期待されます。
このような経営環境の中、当社グループが対処すべき主な課題は以下のとおりです。
①グループガバナンスの強化
2024年11月25日付「当社連結子会社における雇用調整助成金の受給に関する調査及び2024年10月期決算発表延期のお知らせ」にてお知らせしましたとおり、当社グループにおける雇用調整助成金等の受給に関する問題の有無を確認するため、専門性・客観性を確保した外部専門家などにより構成される特別調査委員会を組成し調査を実施しました。
これにより2024年10月期決算発表と有価証券報告書の提出を延期し、また第44回定時株主総会における報告事項である「第44期(2023年11月1日から2024年10月31日まで)事業報告、連結計算書類ならびに会計監査人および監査等委員会の連結計算書類監査結果報告の件」および「第44期(2023年11月1日から2024年10月31日まで)計算書類報告の件」に関しては、株主総会継続会にて報告させていただきます。
このたびの各種調査の結果、当社連結子会社である株式会社ナンバーワントラベル渋谷においては、実際には就労した日に、休業したとする虚偽の申請をし、雇用調整助成金を不正に受給したと東京労働局に判断され、雇用調整助成金の受給額、違約金および延滞金を返還いたしました。当社においては、東京労働局に調査結果を報告した結果、受給した雇用調整助成金等の一部に過誤があると判断され、不適正な受給であった範囲に係わる受給金額を自主返還しました。また、2025年3月21日付「特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」のとおり、上記以外の連結子会社を含む当社グループ全体における調査結果においては、新たに当社連結子会社2社において不正受給、14社において不適正な受給が認められたとの調査報告書を受領しております。
当社は、特別調査委員会から受領した調査結果および再発防止策の提言を真摯に受け止め、今回露呈した労務管理をはじめ、内部統制の3ラインモデルの徹底などの課題に、グループを挙げて取り組んでまいります。そうして内部統制およびガバナンス体制を一層強化するとともに、私たちの創業の精神・行動指針・社会に提供しつづけていきたい価値を示した「HIS Group Philosophy」を体現することにより企業価値を高め、ステークホルダーの皆様からの信頼回復に努めてまいります。
②財務の健全化
自己資本の充実化の構築が目下の課題と認識しており、各事業セグメントでの収益率の向上と設備投資の見直しにより、フリーキャッシュフローの改善を図ります。また、当面の手元流動性を確保しながら、コスト削減の徹底による体質強化、本業での利益の積み上げと有利子負債の削減を進め、財務の安定性基準として自己資本比率20%以上、収益性の基準としてROE20%以上を当面のターゲットとし、健全な財務基盤の構築を図ってまいります。
③マテリアリティに基づく変化への対応
当社グループでは外部環境を「成長機会」と「事業リスク」として分析を行い、企業の持続可能性において取り組むべき7つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。各マテリアリティにおいては、中期経営計画の戦略に盛り込み、目標やKPIをおいて取り組んでいます。
・ビジネスモデルの変革
当社グループでは、各事業領域において、生産性の向上や収益性の改善が当面の課題と認識しており、解決に向けデジタルトランスフォーメーションを推進し、効率的な事業構造への変革を図り、事業ポートフォリオの再構築を目指してまいります。また、テクノロジーの進化とともに社会やビジネスが劇的に変貌を遂げている中で、既成概念に捉われることなく新たな可能性を見出し、あらゆる変化に対応し続けていくことで、持続的な成長へと繋げてまいります。
・サービスクオリティの向上
当社グループの持つグローバルネットワークやインフラを最大限に活用し、新たな体験価値の創造や、充実したサービスの提供を図ることで、高品質な商品やサービスの提供に努めてまいります。また、国内外においてサービスレベルの向上を図ることで、世界中のお客様に喜ばれ、ご支持いただけるよう取り組んでまいります。
・多様な人財の活躍
当社グループでは人財が当社グループの価値創造の源泉であると考えております。従業員一人ひとりがお互いの人格や個性、人権を尊重し合い、働きやすい職場環境を確保することで、自分らしく挑戦し、成長し続けること、そして多様性を力に変えていくことを目指し、DEIB(Diversity,Equity,Inclusion,Belonging)を推進してまいります。
・お客様への安心、安全の提供
安心・安全の提供には、提供するサービスの安全管理・品質管理が重要だと考えております。基幹事業である旅行事業においては、HIS独自の「品質安全管理ガイドライン」を作成し、HIS海外支店ならびにお取引先様にも周知を図っています。
また、お客様からお預かりした連絡先情報をはじめとする当社グループが保有する「情報」、及びそれらが流通するコンピュータやネットワーク等の「情報システム」双方を重要な「情報資産」と捉え、これら情報資産をあらゆる脅威から保護し、適切な安全管理を実現するため、情報セキュリティの確保が重要な責務であると認識しています。情報セキュリティ確保のために、組織的・技術的な管理体制を確立し、情報資産に対する不正アクセス・漏洩等を防止し、安全・適切な管理・運用を行ってまいります。
・地域社会との共生
国内外の様々な地域で事業を展開している当社グループにおいて、地域社会と良いコミュニケーションを保ち、地域の文化や歴史遺産、自然環境などの地域資源や、その土地の暮らしに敬意を払うことは重要だと考えています。地域社会と共に持続可能な社会の実現へ向けて取り組んでまいります。
・地球環境の保全
当社グループの各事業は、健全な地球環境を維持した上に成り立つものと認識しています。その実現に向けて、CO₂排出量削減、省エネルギー、廃棄物の削減、リサイクルの推進、無駄の排除など、環境の保全への取り組みを推進してまいります。
・ガバナンス強化
「(3)経営環境及び対処すべき課題 ①グループガバナンスの強化」記載内容とともに、リスク・コンプライアンス委員会の事務局であるリスク管理室により当社および子会社の役員、社員を対象にコンプライアンス・リスク管理研修を継続して実施し、コンプライアンスに関するさらなる意識向上をはかってまいります。
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