ウチヤマホールディングス
【東証スタンダード:6059】「サービス業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、2006年10月の設立以来、『幼・青・老の共生』をコンセプトに事業子会社である株式会社さわやか倶楽部を通じ、高齢者介護施設の運営、カラオケ・飲食店舗の運営、不動産事業等の事業活動を展開してまいりました。現在は介護事業・カラオケ事業を中心として、地域社会に必要とされる企業となること及び顧客に安心・信頼していただけるサービスの継続的な提供を行うことを経営課題として日々事業活動に取組んでおります。
(2) 経営環境
当連結会計年度における我が国の経済は社会・経済活動の正常化に伴い、インバウンドの増加や賃上げ率の上昇などによる雇用・所得環境の改善が進み、緩やかな景気回復の動きがみられました。一方、円安による原材料価格の高騰、国際情勢の不安定化など、世界経済は依然として先行き不透明な状態が続いております。
このような環境の中で当社グループが運営する介護事業におきまして、2024年度は医療、介護、障がい福祉サービス等報酬の改定も同時に行われる、いわゆる「トリプル改定」の年となります。なお、介護保険制度改定では、①地域包括ケアシステムの深化・推進②自立支援・重度化防止に向けた対応③良質なサービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり④制度の安定性・持続可能性の確保、の4つの視点に基づいた内容が定められております。また、介護報酬の改定率についてはプラス1.59%、内訳としては介護職員の処遇改善分がプラス0.98%、介護職員以外の処遇改善分がプラス0.61%となりました。
今後の介護事業をとりまく状況として、65歳以上の高齢者数は2025年には約3,657万人、2042年には約3,878万人となることが予測されており、IT化による介護負担の軽減が期待されております。
しかし、デジタル化の進展だけでは人間性を低下させる可能性があるためテクノロジーを活用し、利用者様にとって最適なサービスを提供するためのデータ集積、業務の改善や効率化を進めることで職員の負担を軽減し、利用者様、職員にとってより良質な時間創出を図れる運営が必要となります。その上で、多様化する高齢者ニーズへの対応スキル向上、科学的根拠に基づいたデータ基点でのケアの最適化、利用者様の生活の質(QOL)向上、介護現場における働きやすい職場環境づくりの強化に取組んでおります。その為、当社グループが展開する介護事業におきましては、より専門性をもつ従業員を育成する社内認定資格制度において、あらたに利用者様の生活の質の向上を目的として、排泄ケアを中心とした多職種連携でのチームケアの実践に取組める人材育成を目的とした「排泄ケア専門士」、認知症ケアにおける基本的な知識や理念を理解し、多職種連携による効果的な認知症ケアの実践を目指す「認知症ケアリーダー」および介護ロボット等のテクノロジーを活用し、業務の改善や効率化を進めることで職員の負担を軽減し、利用者様、職員にとってより良質な時間創出を図れる人材育成を目的とした「ケアクリエイター」3種の認定資格を開始しております。
また、カラオケ事業および飲食事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響は収まったものの、コロナ前の生活習慣が元に戻ることはなく、完全な回復と言えるまでの状況には至っておりません。その他、原材料をはじめ光熱費や物流費、さらに人手不足に伴う人件費の増加など、さまざまなコストの上昇が見込まれ、想定よりも回復に遅れが見られております。
このような環境下、当社グループは各事業分野において、課題の対処を強化するとともに新しい生活様式を意識した営業スタイルの確立やビジネスモデル、商品開発等を行い環境の変化に順応していきます。また、当社グループの従来の事業における需要が改めて見直される機会になるとも考えられ、今後さらに従業員教育を徹底し、専門知識の習得とサービスの質の向上により競合他社との差別化を図ってまいります。
(3)中期経営戦略
当社グループを取り巻く環境は、各セグメントにおいて、その状況にも相違があります。介護事業におきましては、今後日本国内の高齢化が加速して行くと考えられている現状において、これまで以上に利用者、入居者との信頼関係を構築していく必要があると考えられます。また一方でカラオケ事業、飲食事業におきましては、環境は一段と厳しいものになると予想されており、新規出店、既存店リニューアル、不採算店のスクラップによる安定的な成長を目指し、企業間、店舗間における競合への対応が必要となると考えられます。
このような状況の下、当社グループでは、主要となる事業セグメントにおいて、個々の持つ特徴を強く打ち出し差別化を図っていきたいと考えております。
セグメント別には次の目標を掲げております。
①介護事業
有料老人ホーム年間200床の開設を目標としております。各事業所の全国展開を確実に推進するため、新たに進出する地域において地域社会との交流を活発に行い、認知度と信頼関係を強化するとともに、高齢者サービスへの需要に対して適時に対応することでビジネスの拡大を図ってまいりたいと考えております。
また、安定した施設開設を行うためにも、物件の情報収集と、行政機関との関係の構築を行ってまいります。
②カラオケ事業
既存店舖におきましては、来店客数の増加を見込むため、アプリ会員や65歳以上のゴールドメンバーを積極的に募集し、リピート率の向上に努めてまいりたいと考えております。
新規出店に関しましては、経済環境及び消費動向等を慎重に見極めて、出店地域や方針などを柔軟に検討していきます。全国展開を進捗させることで企業の認知度、関心、注目度を高めていくことが可能となると考えております。
③飲食事業
既存店の店舗力の強化に注力をして行きたいと考えております。サービスや商品の強化を随時行うことで、顧客の信頼や安心感を高め客数の向上を図るとともに、店舗の個性を磨き、足を運んで頂ける店舗づくりを行うことで、消費環境の変化などの影響を受けない体質へと改善して行きたいと考えております。また、継続して、カラオケ店舗と居酒屋店舗の顧客の回流を促進することで、効率的に収益の向上を図ってまいります。
④不動産事業
主に、賃貸マンションの賃貸・管理業務と不動産物件の売買・仲介業務を行う予定です。また、不動産市況等の情勢を見極め、収益物件の取得および販売用不動産などの調査も適宜行い、迅速に対応してまいります。
(参考)中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)
①定量目標
決算年月 |
| 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2028年3月期 |
実績 | 予想 | 計画 | ||
売上高 | (千円) | 29,105,853 | 29,639,017 | 32,593,608 |
営業利益 | (千円) | 208,513 | 591,516 | 727,244 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | (千円) | 2,051,278 | 272,880 | 351,384 |
親会社株主に帰属する当期純利益率 | (%) | 7.0 | 0.9 | 1.1 |
総資産回転率 | (回) | 0.9 | 1.0 | 1.3 |
財務レバレッジ | (倍) | 2.2 | 2.0 | 1.8 |
ROE | (%) | 15.4 | 1.9 | 2.4 |
(注)中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)①定量目標は、2025年5月20日に公表したものであります。
②定性目標
人財の育成により、これまで以上に高いレベルでの社会貢献を目指す。
企業の成長を通じてステークホルダーの幸せを追求し、様々な課題にチャレンジをする。
a. 成長戦略
・既存事業に親和性のある新規事業の開発に努める。
・3つの事業の柱を中心に、よりハイレベルなサービス提供を実現し、差別化を図る。
・介護事業を中心にM&A等の情報収集に努め、積極的に取組む。
b. ガバナンス体制の強化
・経営に対するチェック機能の充実・意思決定の迅速化による経営効率の向上を図る。
・コンプライアンス委員会を中心として、更なるコンプライアンス管理体制の強化を図る。
c. 人財教育
・社内教育システムを充実させ、より社会性の高い人財の育成を図る。
・成長をフォローする環境を整え、定着率向上を図る。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
(1)及び(3)に記載の経営方針及び中期経営戦略を実行する上で、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりです。
当社グループは「幼・青・老の共生」をコンセプトとして、「幼年~青年~老年、共に楽しく過ごせる社会作り」を目指し、介護施設やカラオケ店舗の運営を中心とした事業展開を図っております。
今後は、国内外の経済情勢、自然災害、新型コロナウイルス感染症等の影響についても留意しつつ、更なる広域展開を志向し、各事業子会社、各事業セグメントにおける対処すべき課題を適宜精査し、その都度適切な対応策を講じてまいります。
当社グループとして、現在事業の拡大・推進にあたり重要な課題として認識している事項は、以下のとおりであります。
(特に優先度の高い対処すべき事業上及び財務上の課題)
当社グループでは、今後の成長戦略を着実に遂行していくためには、従業員の確保と育成強化が必須であると認識しております。また、今後の65歳以上の高齢者数は2025年には3,657万人、2042年には約3,878万人となることが予測されており、IT化による介護負担の軽減が期待されております。
そのため、当社グループでは社内認定資格を新設し介護技術の向上と併せて介護ロボット等のテクノロジーを介護現場で活用できる人材育成に注力しております。業務の改善や効率化を進めることで職員の負担を軽減し、利用者様、職員にとって良質な時間の創出に取組んでおります。
(その他の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
(全社)
① 人材育成の方針
当社グループの属する介護事業、カラオケ事業及び飲食事業では慢性的に労働力不足の問題を抱えております。当社グループにおきましては、対応策として採用に力を入れるのはもちろんですが、OJTを中心とした技術指導だけではなく、従業員研修制度に基づく各種取組において個々の成長をフォローし、職責や当社グループに対するロイヤリティーを高めることで定着率の安定化を図ってまいります。
② 管理体制の強化
当社グループとして、今後事業規模を拡大していくにあたり、人材の育成とともに管理体制を強化し、企業統治をより機能的に行っていくことが重要であると考えております。当社グループにおいては、管理・統制機能を担う各管理部門及び経営企画室を持株会社である当社に集約し、企業グループとして一体的な管理ラインを構築・運用することで、正確かつ効率的な企業統治に努めております。
(介護事業)
① 事業展開地域の拡大
当社グループは、介護事業の中心となっている介護付ホーム(特定施設入居者生活介護)については、介護保険施設等にかかる総量規制の対象となっていることから、従来以上にスピード感をもって新規開設を図るべく、全国の自治体による公募に参加し、開設の認可を得られるように努めると同時に、親和性のある新規事業の開発に関する情報等も積極的に収集するなどして、事業規模拡大の方策を検討してまいります。
② 接遇レベルの向上
当社グループの介護施設の入居者のほとんどの方が要介護認定者であり、そのような方々に快適な生活を提供するためには、自立支援の観点を持ち、過剰なサービスとならないために配慮することが不可欠であり、その見極めには知識や経験、正しい情報が必要となります。それらを適切に行っていくためにも、自社の研修制度を充実させ、それらを通じて、従業員の能力向上を図るとともに、本質的なサービスの質の向上を果たし、少しでも多くの入居者の満足感や信頼が得られるように努めております。
③ 施設レベルの向上
介護施設において、利用者に安心、安全にお過ごし頂くためには、介護職員による接遇レベルの向上のみならず、施設の安全性や信頼性を確保する必要があります。当社グループでは、災害時を想定した防災訓練の実施や、日々のクリンリネスの徹底、厨房の衛生検査の実施などにより、安全、衛生管理に取組んでおります。また、介護事業においては、介護保険法や老人福祉法をはじめとする関係法令の周知は不可欠であることから、研修委員会等を通じて知識や技術指導を行うとともに、コンプライアンス委員会主導の下、コンプライアンス推進会による法令全般に係る指導の徹底に努めております。
④ 有資格者の確保
介護サービスの提供にあたり、看護師やケアマネジャー、介護福祉士等の有資格者の確保は不可欠であり、法令遵守の観点からも、有資格者の安定した雇用は重要な課題であると考えております。当社グループでは、有資格者の採用にあたって、知識・経験等を十分に考慮するとともに、入社後においても、能力や実績に応じて適宜待遇面の見直しを行うなどして、安定的な採用と定着率の向上を図っております。
(カラオケ事業・飲食事業)
① 遠隔店舗の店舗力強化
当社グループのカラオケ事業及び飲食事業は、福岡県を中心とした九州地区から関東まで、広範囲に渡る地域展開を行ってまいりました。今後も全国展開を継続していくためには、各店舗が安定的に収益を生み出すことが必要であり、そのためには、管理体制、教育体制の強化を図り、迅速な問題の把握とその解決に努めなければならないと考えております。WEB会議等を活用し遠隔店舗の情報を迅速に掴むとともに、店舗力の客観評価を行い、適切に改善策、対応策を打ち出すことができる体制の構築に努めてまいります。
② 競争激化と他社との差別化
カラオケ事業及び飲食事業においては、各地域での競合が激しさを増しております。当社グループとしては、競争力のある商品力、サービス力、価格設定等を随時検討するとともに、既存店舗の業態変更やリニューアルを行うなどして、対応策を講じてまいります。
③ 衛生管理の強化
衛生上の事故を予防し、顧客の信頼を保つことは、継続的に運営する上での前提となります。当社グループでは、専任の環境パトロール担当者を設置し、クリンリネスのチェックを行っている他、全店舗において外部業者による定期的な衛生検査を導入しており、客観的な検証を通して衛生管理の精度の向上に努めております。
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