ウイングアーク1st
【東証プライム:4432】「情報・通信業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(経営方針)
当社グループは、「Empower Data, Innovate the Business, Shape the Future.情報に価値を、企業に変革を、社会に未来を。」というビジョンを掲げており、社会に存在する様々なデータを活用することで、多くの企業にイノベーションをもたらし、その結果として、より良い社会を実現することを目指しております。現在、スマートフォンやIoTの普及により、日々生み出されるデータは加速度的に増加して、働き方改革等による業務の効率化のニーズも高まっております。当社グループは、この様々なデータ(ビッグデータ)を「新しい資源」として捉えており、この資源を活用して企業や社会に様々な価値をもたらすソフトウェア及びサービスの提供を行っております。
(当社グループの強みと経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
・独自のテクノロジー
当社グループは、創業以来、企業の情報活用に特化した独自の技術開発に取り組んできました。超高速集計、データの仮想統合、IoTデータのリアルタイム処理は代表的な特長的技術であり、当社グループの競争力の源泉となっています。それぞれ技術は高度で難解なものですが、「誰でも簡単」に利用することができ、素早く効果をあげられるようにシンプルで直観的に使用できるユーザーインターフェイス(UI)を備えたソフトウェア及びサービスとして提供しております。なお、研究開発活動及びソフトウェア開発のコア部分は、すべて自社グループ内で行っております。
・強力なビジネスチャネル
当社グループの販売モデルは、パートナーを介した間接販売が主となっております。大都市圏で大企業や官公庁の大型案件を得意とするSIerや地方を拠点とするSIer、特定領域に特化したコンサルティングファームやクラウドシステムの構築を専業とするクラウドSIer等多くのパートナー企業と契約しており、日本全国のシステム開発案件をカバーするソリューション/サービス提供体制を構築しております。これにより、継続的な案件創出と営業コストの抑制が可能となり、効率的な販売活動が可能となっております。なお、2021年2月期に、当社グループのソフトウェア及びサービスの販売だけではなく、パートナーとともに新たな市場を開拓していくという考えのもとパートナー制度を改定しました。今後もパートナーとより良い関係を築き、双方のビジネスの発展に努めてまいります。
-契約パートナー数推移(注) (社)
決算年月 | 2021年2月 | 2022年2月 | 2023年2月 | 2024年2月 | 2025年2月 |
契約パートナー数(累計) | 486 | 535 | 547 | 587 | 621 |
(注)当社パートナー向けプログラム「WingArc1st Relationship Platform(WARP)」において、各契約カテゴリーでの期末時点における解約パートナーを除いた契約パートナー数の合計。
・厚いリカーリングレベニュー
当社グループが提供するソフトウェア及びサービスについては、ソフトウェアライセンスや導入時のサービス提供等継続的な契約を前提としない取引と、ソフトウェアの保守サポート契約、サブスクリプション契約やクラウドサービスの利用契約のような継続的な契約を前提とした取引により構成されています。継続的な契約を前提とした取引は、導入企業が増加するにつれて年々売上収益が積みあがるリカーリングビジネスと呼ばれる収益モデルであり、これらのビジネスから得られる収益(リカーリングレベニュー)は、当社グループの収益の安定化と継続的な拡大に大きく貢献しております。
-リカーリングレベニュー (単位:百万円)
決算年月 | 2021年2月 | 2022年2月 | 2023年2月 | 2024年2月 | 2025年2月 |
ライセンス/サービス(注)1 | 6,966 | 7,657 | 8,884 | 9,844 | 11,213 |
リカーリング(注)2 | 11,318 | 12,175 | 13,464 | 15,908 | 17,494 |
売上収益合計 | 18,285 | 19,833 | 22,349 | 25,752 | 28,708 |
リカーリング比率 | 61.9% | 61.4% | 60.2% | 61.8% | 60.9% |
(注)1.ソフトウェアライセンスや導入時のサービス提供等継続的な契約を前提としない取引に係る売上の合計。
2.保守、サブスクリプション(ソフトウェアの購入ではなく、利用期間に応じて料金を収受する契約形態)、クラウド等、継続契約を前提とした取引に係る売上の合計。
また、当社グループは契約継続率をリカーリングビジネスの最も重要なKPIの一つとしております。高い契約継続率を維持することによって、既存の契約は最大限維持しつつ、新規契約を積み上げ、持続的な成長を実現してまいります。
-契約継続率(注)1
決算年月 | 2021年2月 | 2022年2月 | 2023年2月 | 2024年2月 | 2025年2月 |
契約継続率 | 93.8% | 93.2% | 95.6% | 94.0% | 93.7% |
(注)1.「SVF」「invoiceAgent」「Dr.Sum」「MotionBoard」の保守契約において、当該期間の更新対象契約の総数に対して実際に契約が更新された金額ベースでの割合。
上記の他、EBITDAを重要な指標としており、2025年2月期の目標数値及び実績は以下となります。
(単位:百万円)
| 目標数値 | 実績 | 増減 | 増減率 |
EBITDA | 9,470 | 9,650 | 180 | 1.9% |
(参考)売上収益 | 27,600 | 28,708 | 1,108 | 4.0% |
当社グループは、日本国外に拠点を置く多くの外資系ソフトウェアベンダーと異なり、自社内に営業、開発、サポートすべての機能を有しております。これにより、営業部門やサポート部門が収集した様々な顧客ニーズを開発部門が素早く製品化するといったことが可能となり、当社グループの強みの一つとなっております。
(経営環境)
当社グループの主要な市場である国内ソフトウェア市場は、企業の業務効率化や競争力強化のためのDX投資が引き続き拡大。加えて総務省やデジタル庁が主導する2025年度末を移行期限とする「自治体情報システムの標準化」に関するシステム更新が各自治体で進んでおり、公共領域でのIT投資も活発になっております。
このような状況のもと、我が国のソフトウェア市場は2023年度から年平均7.8%成長し、2028年度(予測)には3兆6,637億円となることが見込まれております(注1)。また、DXの進展に伴い、クラウドサービスの利用がコミュニケーション等でのフロント領域からより内部の業務システムに拡大し、さらにAIと様々なクラウドサービスの連携が進むことからクラウド市場は今後大きく拡大すると予想されており、2023年度から年平均10.9%成長し、2028年度(予測)には2兆9,078億円に達することが見込まれております(注1)。
(注)1.株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2024年版」ソフトウェア市場規模推移(ソフトウェア市場、SaaS/PaaS市場)
(成長戦略)
新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、企業は働き方改革や新しい環境での競争力強化のため、DXに積極的に取り組んでおります。また、2022年1月にリモートワークやペーパーレスを後押しする改正電子帳簿保存法が施行(2024年1月本格施行)、2023年10月にはインボイス制度が導入され、企業間取引に関する文書の電子化が急激に進展しております。当社は、このような市場の大きな変化をチャンスと捉え、2022年1月に5か年の「中期経営方針」を発表しました。「企業のDXを推し進めるデータプラットフォームの実現」を柱に据え、主にクラウドビジネスでの大きな成長を計画しております。このプラットフォームをベースに、BDSは企業間取引の変革を実現する「企業間DX」、DEはデータの価値を最大限に高め、生産性の向上や新しいビジネスの創出に資する「企業内DX」に取り組んでまいります。当該期間中に当社が達成を目指す目標は以下となります。
<中期経営目標>
・クラウド成長率 40%(2022年2月期~2027年2月期平均)
・リカーリング比率 75%(2027年2月期)
クラウド比率 40%(2027年2月期)
・EBITDA 120億円(2027年2月期)
(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
(1)クラウドビジネスの拡大
現在の当社グループの売上収益の大半は、ソフトウェアから生み出されておりますが、企業のDXへの取組みが広がる中、迅速な導入が可能で初期コストが低く、他のシステムとの連携が容易なクラウドサービスの市場は拡大しております。このような環境の中、当社は2022年1月に発表した「中期経営方針」でクラウドをベースとした「企業のDXを推し進めるデータプラットフォームの実現」を掲げ、2022年2月期から2027年2月期のクラウド売上の年平均成長率40%及び2027年2月期の全社売上に占めるクラウド売上比率40%を目標としております。なお、2025年2月期におけるクラウド売上の成長率は前期比22.5%、全社売上に占めるクラウド売上比率は18.3%であるため、目標達成に向けクラウドサービスの強化を進めてまいります。
・開発体制の強化
当社グループでは、クラウドサービスに関する継続的な新機能の開発や性能向上のため、開発体制の強化を進めておりますが、優秀なエンジニアの獲得はますます難しい状況になっております。最先端技術への積極的な取組みや働き方改革を進め、エンジニアにとって魅力的な環境を提供するとともに、外部リソースも活用し、柔軟な開発体制を構築してまいります。
・アライアンスの推進
当社グループが提供するクラウドサービスは、当社グループのみがサービスを提供するのではなく、様々な特徴を持つ企業と密に連携することで、スピーディに包括的なサービスを提供することを目指しております。今後もサービスレベル向上のため、様々な企業との連携を行ってまいります。
(2)リカーリングビジネスの拡大
当社グループは、製品、サービスの一度限りの提供ではなく、継続的に顧客にサービス提供を行い、その対価をサービスの提供期間に応じて受け取る「リカーリングビジネス」を推進しております。「リカーリングビジネス」の利点は、業績の安定化、業績の予見性の向上、顧客とのリレーションシップの維持等ですが、一方で、顧客の維持管理コストの増加等のデメリットもあります。そのため、当社は「リカーリングビジネス」に特化した部署を組織し、上述したシステムによる効率的な顧客管理と専任チームによる離脱防止対策を行うとともに、顧客への追加商材の提案による売上の向上を目指しております。なお、2025年2月期における「リカーリングビジネス」に係る売上である「リカーリングレベニュー」の売上全体に占める比率(リカーリング比率)は60.9%であり、売上の拡大と共に当該比率の向上に努めてまいります。
・契約継続率の維持向上
「リカーリングビジネス」は一度契約して頂いた顧客に如何に継続的にご利用いただくかが最も重要となるため、当社グループでは、「契約継続率」をKPIとしております。専門部署にて顧客の利用状況や課題をヒアリングし、きめ細かな対応を行うことにより、当該数値の維持向上に努めております。2025年2月期における「契約継続率」は93.7%となり、引き続き高い水準を維持しております。
(3)公共・自治体領域への進出
総務省やデジタル庁が中心となり、人的・財政的負担を軽減し、地域の実情に即した住民サービスの向上に注力できるようにするとともに、新たなサービスの迅速な展開を可能とすることを目指し、各自治体の情報システムを標準化する取り組みが2025年度を目途に進められております。当社グループは、これまでも多くの自治体にソフトウェアやクラウドサービスを提供してまいりましたが、今後は新たな自治体向けソリューションを提供し、自治体職員の業務不可低減や自治体サービス向上に資する取り組みを行ってまいります。
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