イー・ギャランティ
【東証プライム:8771】「その他金融業」
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企業概要
(1) 経営方針
当社グループは、経営の基本理念として以下を掲げ、当社グループのサービスをご利用頂くことにより、お客様がさらに新しい夢を実現していくことが当社グループの最大の願いであり、その結果として企業価値を増大させ、株主の皆様を始めとしたステークホルダーの方々に貢献してまいります。
1.信用リスクの引受けによる信用供与と適正な社会資源の配分を通じて、企業の新たな挑戦と活力のある社会成長に貢献します。
2.自社の経営資源に拘らず、信頼できるパートナーとの協力と自社の専門性に基づき、常に先進的かつ夢の広がる金融サービスを創造します。
3.自分で考え、行動でき、信頼される魅力に溢れた社員を育成し、自由な発想を活かせる企業を目指します。
(2) 中期的な経営戦略
昨今の倒産件数の増加や金利の上昇、労働人口の減少など外部環境の変化に伴い、保証ニーズ上昇や事務アウトソーシング志向、融資から企業間信用への移行など、当社サービスへの需要が高まってきております。また、当社内部においてはこれまで採用した人材の成長や営業基盤の拡張、当社独自の企業データベースの充実が進んでおります。こうした環境の変化は当社の今後の飛躍的な成長へのギアチェンジをはかる好機と判断し、中期経営計画「Accelerate2028」を策定いたしました。
以下の取組みにより、データベース整備を求める安定成長からリスク引受力向上と資源投入により加速度的成長へシフトさせます。
・ 充実した当社独自の企業データベースと流動化を前提とした積極的リスク引受
・ 営業資源の投入増加とデジタル化の推進による効率的な売上増加
・ 新チャネルと新商品の投入及びマーケティング強化による顧客母集団拡大
・ 既存顧客へのサービス充実等による継続率と保証増額率の一層の引き上げ
・ 周辺ビジネスを実施する企業との連携強化に伴う、顧客にとっての商品価値の向上
なお、当社の中期経営計画「Accelerate2028」については、当社ウェブサイトにて開示しております。
(3) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
4月に発表された内閣府の月例経済報告では「景気は、緩やかに回復しているが、米国の通商政策等による不透明感がみられる。」とされており、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されますが、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクが高まっております。加えて、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響なども、我が国の景気を下押しするリスクとなっており、引き続き不透明な経済環境が続いております。
こうした環境を見据えた上で、倒産動向や経済環境の変化をより一層注視しながら慎重なリスク判断を継続したリスク受託を展開する一方で、営業効率の向上を背景としてこれまで取り込めていなかった新規顧客の取り込みを強化し、リスク引受ポートフォリオの分散を目的とした小規模な契約の契約数を増加させるとともに、今後予想される倒産件数の増加による保証サービス需要の高まりに対応すべく営業体制を強化することにより、企業活動における保証サービスの浸透を図ります。
さらに、当社グループの中長期的な業容拡大に向けて、以下の課題に積極的に取組んでまいります。
① 信用リスク受託規模拡大のための既存販売提携先との関係強化及び販売網拡充
マーケットメイク機能の向上という目的のもと、分散に耐えうる大量の信用リスクを契約先から受託するため、既存の販売提携先との関係強化及び新たな販売網を拡大することにより信用リスクの受託規模拡大を図ります。現状、当社グループは本事業分野において最大規模のマーケットシェアを有しており、幅広い販売網を構築していることが競争力の源泉の一つになっていると考えております。当社グループは、既に地方銀行を中心とした全国的な販売網を構築しておりますが、提携先地方銀行との関係をより一層強化していくとともに、地方銀行以外の金融機関や様々な業態の提携先を拡大し、信用リスク保証サービスに限らず周辺事業のサービスにおいても、さらなる販売網拡充に取り組みます。
② 企業の信用情報データベース拡充による審査力強化及びデータベースを活用した事業展開に関する取組み強化
当社グループは、日本国内において最大級の法人向け信用リスク保証会社であり、企業間取引における様々な情報を取得し、膨大な企業の信用情報データベースを保有する日本でも有数のビッグデータ企業であります。日々収集している動的な情報を活用し、信用リスクを定量的・定性的に分析することで、タイムリーかつより柔軟な価格や保証枠の設定を行いながら信用リスク受託に取り組みます。そのために、審査力を更に強化し、引受けた信用リスクの度合いに合わせてセグメント化した価格体系の導入に取り組んでまいります。
さらに、日々増大する信用関連情報のデータベースを活用し、システムにより倒産確率を自動計算することで個社ごとに精緻な倒産確率を算出するなど、審査業務の自動化を推進してまいります。
今後は、これらのデータベースビジネスを核とした成長戦略を展開するとともに信用情報データベースを活用した事業展開に関する取組みを強化してまいります。
③ 契約継続率及び増額率の向上
当社のビジネスモデルはストック型であり、新規契約の獲得とともに契約数の増加に伴い既契約の維持及び既存顧客からの増額依頼を増やすことが重要となっております。従いまして、保証機能以外の付加価値を高めることや、既存顧客へのサービス充実等による顧客満足度の向上に取り組んでまいります。また、保証の周辺分野の金融サービスを提案していくことや、顧客からの要望を定期的に収集するプロセス等を用意し、既存顧客との関係強化に取り組み、契約継続率及び増額率の向上を図ってまいります。
④ 契約数の増加に対応するバックオフィス体制の強化及びシステム化の推進
今後の積極的なリスク引受けに伴い、契約数が加速度的に増加することが想定されます。こうした契約数の拡大に対応するため、営業支援体制の強化やITを活用した営業体制の整備などバックオフィス体制の強化に努めます。また、支払遅延などの情報収集力の拡充と審査ロジックの整備、リスクに応じた保証料率の引き上げなどバックオフィス業務のさらなるシステム化を推進してまいります。
⑤ デジタル技術を活用したスムーズなサービス提供の実現
中小企業をターゲットとして、各企業の与信管理のプラットフォームの中核として活用できるWEB商品投入による顧客基盤の拡大や審査データベース拡充を前提とした審査速度の向上を強みとして大企業・中堅企業の事務削減ニーズに対応した顧客システムとの連携体制の促進を進めるなど、異なる事業環境に置かれる様々な企業がリスクを回避したいと思った時に、いつでもどこでも当社グループのサービスを利用できるようサービス全体のデジタル化をより一層進め、付加価値の高いサービスを実現できる環境づくりに努めてまいります。
⑥ 営業資源の増加及び営業活動の効率化による顧客の裾野拡大
今後予想される保証サービスへの需要の高まりに備え、営業人員を増加させ、集中的な研修の実施や標準的な販売方法の導入を行うとともに契約傾向分析から契約に至るパターン分析及び営業の「型」の浸透とデジタル化を進めることで早期戦力化を図り、営業資源の増加に取り組みます。また、営業効率の向上を背景としてこれまで取り込めていなかった新規顧客の取り込みを強化し、企業活動における保証サービスの浸透を図ります。
⑦ 保証対象債権の拡大
企業間取引の信用リスク受託220兆円に加え、クラウドレンディングやクラウドファンディングを含む直接金融252兆円、融資等の間接金融526兆円の分野の保証なども企業間取引のリスク受託の対象とし、保証対象債権の拡大を図ります。また、国内に留まらず海外での保証事業や各国間のリスク引受けの仲介など、総合商社が設立母体となっている強みを発揮し、海外展開も視野に入れてまいります。
⑧ 周辺事業への進出
既存金融機関や多様な企業との協業による債権買取等の資金化ニーズへの対応やリアルタイムの融資可否の判断、入金の管理督促業務、システム連動による取引金額管理など幅広いアウトソーシングニーズに対応したサービス展開を行うことにより、信用情報データベースの利用方法の拡大を通じて新たな価値創造を行います。また、請求書発行事業、M&A仲介をはじめとするマッチング事業など企業間取引の信用リスク受託のノウハウを活用できる周辺分野への参入も視野に入れ、事業規模を拡大してまいります。
⑨ 株主還元強化と資本効率向上
当社グループは、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要な課題の一つと位置付けており、配当性向50%以上を目標としたうえで、増配もしくは配当の維持を行う累進配当を継続して実施する方針としております。また、財務指標としてROE及びROIC20%以上を目標として掲げておりますが、更なる株主還元の強化と資本効率向上を目的として継続的かつ機動的な自己株取得を行うべく、2028年3月期末までの間に100億円の自己株式取得を実施することで、目標とする財務指標を達成するとともに、DOEの継続的な向上を目指してまいります。
⑩ 成長投資の拡大
企業間取引のクレジットリスク受託の潜在市場に対する当社グループの現在の浸透度は約10%未満となっており、膨大な市場の開拓余地が存在しております。従いまして、残り約90%以上のマーケット開拓を実現すべく、積極的に営業人材への投資やIT・DX投資を徹底して行います。また、企業間取引のクレジットリスク受託が広く認知されるよう新たな提携先との新商品投入やマーケティング強化により、顧客母集団の拡大を図るとともにブランド構築のための投資も行ってまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、事業の成長性と収益性を重視する観点から、連結経常利益を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として位置付けております。当連結会計年度における経常利益は5,203百万円となり、経常利益目標5,200百万円を達成し、上場以来19期連続の目標達成となりました。引き続き当該指標の向上に取組みます。
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