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【東証グロース:7794】「その他製品」
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企業概要
当社グループの研究開発活動は、(ⅰ)生産技術に関する研究開発、(ⅱ)新製品に関する研究開発、(ⅲ)製造装置及び方法に関する研究開発の3つのカテゴリーにおいて、優先順位を考慮して実施しております。
開発テーマは開発審査会を経て選定され、年度計画の下で開発作業を行っています。また、半期単位で開発報告会を開催して、進捗状況を社内に周知しています。
当連結会計年度における研究開発費の総額は、268,670千円であります。当連結会計年度の第3四半期連結会計期間から、生産部においても開発活動の一部を担う体制ができ、研究開発費は大幅に増加いたしました。
研究開発活動の結果、当連結会計年度において、①宝石原石の成長条件の開発、②大型単結晶の開発、③研磨速度の高速化、について成果がありました。
研究開発活動の結果の具体的な内容は、以下に示すとおりです。
なお、当社グループは、ダイヤモンド単結晶の製造、販売、開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(1) 生産技術に関する研究開発
当連結会計年度においては、原石の生産に関する開発を実施してまいりました。当社グループは以前から原石成長条件の確立のための基礎的な検討を行ってきましたが、実際に原石を作製し、これから宝石を製作し、そのカラーなどの評価を実施しました。成長条件による宝石のカラーへの影響は、反応ガス組成、ガス圧力、マイクロ波パワー、成長温度、等の多岐に渡るパラメーターの影響を把握し、宝石として販売可能なGカラー以上のグレードの宝石を安定的に生産できる条件を開発しました。その条件で作製した原石を、SFDに販売し、SFDは宝石を試作して、このようなグレードの宝石が製作できることを実証しました。
SFDの宝石ビジネスを軌道に乗せるには、一定量以上の宝石を生産することが必要となります。このために、原石を生産するための種結晶サイズを成長装置ごとに決定し、実際にその生産を行うことで歩留や異常事態の発生について検証しました。これらの活動を行ったことで、当社グループの原石生産は順調に実施できるようになりました。
(2) 新製品に関する研究開発
当社グループが想定している新製品は、応用分野によって分かれており、以下のとおりであります。
①ダイヤモンド半導体デバイス開発等に必要な素材の開発
a.ウエハの開発
ダイヤモンド半導体デバイス等の製作において必須の素材であり、2インチウエハの実用化を目指しています。当社グループは2024年11月に大型ウエハ開発のロードマップを開示しました。そこには以下のような順序で開発を行うことを表明しました。
①25x25mm以上の単結晶開発
②1インチウエハの開発
③4個の25x25mm単結晶の接続によって、2インチモザイクウエハの開発
④50x50mm単結晶の開発
⑤5個の50x50mm単結晶の接続によって、4インチウエハの開発
このロードマップの①は2025年2月に到達する計画としましたが、2025年2月13日に30x30mm単結晶の実用化を開示することができ、この期限を守ることに成功しました。この大型単結晶の開発は、地道な単結晶の大型化を進めてきた成果であり、世界最大の単結晶を開発した成果として各方面から注目を浴びました。
1インチウエハは、この大型単結晶を切断することで製作できますが、表面状態やエッジの処理等の付帯的な加工技術が必要で、当連結決算年度には実用化できませんでした。
b.各種エピタキシャル基板の開発
現在開発が進められているダイヤモンドデバイスは、パワーデバイス、耐放射線デバイスから量子デバイスまで多岐に渡っています。各開発においては特性の異なったダイヤモンドが要求されます。特に、ダイヤモンド単結晶基板上に不純物原子をドーピングしたり、高純度の薄い膜を形成した、エピタキシャル基板が必要な場合が多くあります。開発するデバイスによって異なる要求に応えるため、当社グループは以前からB(ボロン)をドーピングするエピタキシャル成長技術を開発し、低濃度及び高濃度のエピ成長基板を販売してきました。
近年、デバイスの構成上、層間の絶縁特性を従前以上に要求される場合があり、N(窒素)をドーピングしたエピタキシャル層を新たに製品に加えました。このNドーピング層と、何も不純物が無いノンドープ層を、低抵抗Bドーピング基板上に形成することについても依頼が多数あり、このような構造のエピ基板も出荷しております。
この様に多様なユーザーからの要求に対応するには、当社グループのエピ成長装置が不足していることが判明しましたので、装置を増強すべく、生産部においてこのための装置改造に着手しました。2025年8月にはこの設備が整い、生産能力が従来の2倍に増強できる見込みです。
c.当社グループが出荷できる各種の基板
既に発売して来た各種の基板、エピ成長基板をまとめると、当社グループは以下の表のようなラインナップを持っております。非常に多種類の製品を実用化しておりますが、ユーザーからの要求に応えて更なる開発を継続しております。
②光学部品として必要な高品質結晶の開発
ダイヤモンドは、熱伝導率が高く、熱膨張係数が小さいため、高エネルギービームの光学部品として適した材料です。また、X線を透過するのにも適しています。このような特性の組み合わせとして、強力なX線ビームを作り出す放射光施設で使う光学部品(特にモノクロメーターと呼ばれる部品)をダイヤモンド化することが、期待されています。
モノクロメーターに使用する結晶は、極限までの高品質とする必要があり、当社グループはこの結晶の開発を進めています。この用途の場合は、X線ロッキングカーブ半値幅(FWHM)が理想値である4.1arcsecに近いことが必要ですが、当社グループは既に10arcsec以下の単結晶が製作できることを確認しています。
(3) 製造装置及び方法に関する研究開発
2022年11月に稼働しました島工場に、産総研などとの共同研究の成果である、新型成長装置を導入しました。この装置によって、成長面積が拡大出来ることが判明しました。さらに成長面積を拡大して、4インチウエハの製造時にも利用できるように、成長装置内のホルダー等の部品について、検討を継続しています。
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