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【東証:143A】「サービス業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは社是に「事業家創発」を置き、理念に「世界的視野を持った事業家たちが差別化された事業を通じて社会の進化に貢献する」を掲げ、近年の我が国における人口減少や高齢化、地域衰退をはじめとする様々な社会課題を、産官学金(注)の共創によってイノベーションを起こし、社会の持続力を高めていく「創発型社会」の実現を目指しております。
各事業共にメディアを起点として各領域に新規参入しており、現在は地方創生・オープンイノベーション・ベンチャー振興の3つの領域で事業を展開しております。またメディア型サービスだけではなく、当該事業領域に存在する様々な課題・顧客ニーズに対応したソリューション型サービスを提供することで、当該事業領域をとりまく包括的な課題を特定し、その後に継続的で幅広い課題解決が可能となるプラットフォーム型サービスを立ち上げております。これによって持続的で安定的な収益基盤を確立してまいりました。当社は企業と自治体、スタートアップと日系大企業、求職者と企業など、各領域においてステークホルダー間の接触機会の創出並びに相互理解を深めることに貢献しております。当社の提供するサービスを通じて、国内外で産官学金の連携・創発を生み出し、新たな知恵・技術の組み合わせによる社会課題の解決を図ってまいります。
(注) 産官学金:「産業界」と「官公庁」並びに「学術機関」「金融」をまとめた表現のこと。
当社の売上高の成長と事業開発の変遷は以下のとおりです。
売上高及びセグメントごとの売上高構成比は以下のとおりです。
なお、各セグメント利益については、公民共創事業は131百万円、グローバルイノベーション事業は138百万円、メディアPR事業は260百万円となっております。
(2) 経営環境
当社は、複数の領域でメディア、ソリューション及びプラットフォームを展開しており、展開する事業を通じて、各領域に変革をもたらすことができると認識しており、各事業の将来的にアプローチできる市場を合算し「社会トランスフォーメーションに関わる市場機会」と定義しております。また、現在のターゲット市場は約1,000億円規模と想定しており、うち公民共創事業は約600億円と試算しており、成長可能性が高い事業領域であると考えております。
(注)上記は各セグメントの市場規模を合算した数値を記載しております。個別の算出方法については、後述するセグメント別の市場規模をご参考ください。
(公民共創事業)
現在、人口減少や少子高齢化に伴って地域経済が縮小する一方、地方自治体は社会変化に伴い多様化する公的ニーズへの対応や、職員数の減少に伴い効率的・効果的な行政運営が求められている中で、民間企業のノウハウやアセットを活用する官民連携の必要性が高まっております。特に、業務のデジタル化による行政職員の業務効率化や住民の諸手続きの効率化による住民サービスの向上、医療、防災や見守りなどのデータの利活用による地域課題の解決など、自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)領域は今後拡大が見込まれています。デジタル庁によるデジタル田園都市国家構想推進交付金などの財政面での後押しもあり、自治体のデジタルトランスフォーメーション市場は2021年度の520億円から2030年には1,760億円(注1)にまで拡大が見込まれています。
同事業における他社への優位性は、当社はBtoGに特化した領域に早期に参入し、独自サービスとして展開するBtoGプラットフォームを中心に、メディア及び各種ソリューションを展開している点です。また、独自の記事制作ノウハウを活かし2014年から運営しているメディア「自治体通信」は自治体職員からの高い認知・ブランドを得ていることや、元行政職員が10名以上在籍(2024年3月末時点)していることで、顧客である民間企業に対して自治体の課題にあった提案が可能であることも競争優位性の源泉となっております。
当社が提供する、主にBtoGマーケティング・販促及びBtoGに特化したBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)に係る市場は、将来的にアプローチできる市場が約3,300億円(注2)、今後のターゲット市場が約1,310億円(注3)、現在のターゲット市場が約600億円(注4)と推計しております。
(注) 1.出所:株式会社富士キメラ総研「2023 デジタルトランスフォーメーション 市場の将来展望 市場編」
2.以下[1]に[2][3]をそれぞれ乗じた数値を合算して算出。
[1]国(省庁、独立行政法人、国立大学法人等)及び地方公共団体の官公需の総額:約26兆円。官公需とは、国や地方公共団体等が、物品購入や工事の発注、役務・サービスの提供依頼を行うことであり、官公需の金額はすなわち企業の売上高と認識。
※出所:中小企業庁「官公需法に基づく「令和5年度国等の契約の基本方針」の概要等について」
[2]各業種における広告宣伝費は売上高比率で0.64%と仮定。(経産省「2022年企業活動基本調査確報-2021年度実績-」データより、各業種の売上高における広告宣伝費率を0.64%と算出)
[3]各業種におけるBPO率を売上高比率で0.67%と仮定。(経産省「2022年企業活動基本調査確報-2021年度実績-」における全産業の売上の合計に対して、矢野経済研究所「BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査(2022年度)」の市場規模の割合を元に算出)
3.以下[1][2]を乗じた数値に対して、[3]をそれぞれ乗じた数値を合算して算出。[2]については、当社が主に支援するサービスが建築土木以外のため。
[1]地方公共団体の官公需契約の総額:約16.7兆円(中小企業庁「令和3年度地方公共団体による中小企業者の受注機会の増大のための措置状況等調査結果」)
[2]建築土木以外の案件は金額ベースで約60%
※出所:「官公需契約の手引 平成30年度版」
[3]各業種の売上高における広告宣伝費率を0.64%、BPO率を売上高比率で0.67%と仮定。
4.上記で算出した今後のターゲット市場約1,310億円に対して、直近1年間に公示された入札案件の全32カテゴリのうち、当社がカバーしている16カテゴリの公示案件数の割合(45.8%)を乗じて算出。(株式会社うるる「入札リサーチセンターの入札動向マンスリーレポートの直近1年間(2022年9月~2023年8月)の公示案件を対象に当社にて算出)
(グローバルイノベーション事業)
1990年代以降、IT技術の急速な発展・普及やグローバル化に伴い、様々な業界で破壊的イノベーションを起こし、効率的かつ急速に世界市場を席巻するケースが増えております。このような競争環境下では、自社のリソースのみで短期間でイノベーションを生み出すことが困難であり、外部のアイデアや技術を自社内で活用しイノベーションを起こす「オープンイノベーション」は、日本企業にとっても必要不可欠な戦略となっております。
同事業における他社への優位性は、成長産業に特化した情報ポータルサイト「BLITZ Portal」において、約310万社以上(2024年3月末時点)の国内外の企業データベースを保有しており、他社の類似サービスと比しても多くの企業情報を掲載しております。また、成長産業の市場やスタートアップ、技術の動向をまとめた独自レポートや、米国に拠点があり現地のスタートアップと取材など直接の接点を得られることで、日系大手企業と海外スタートアップのマッチングのサポートも可能となっております。
当社が提供するデータベース・各種調査に係る市場は、将来的にアプローチできる市場が約3,800億円(注1)、今後のターゲット市場が約1,500億円(注2)、現在のターゲット市場が約350億円(注3)と推計しております。また2022年11月には政府より「スタートアップ育成5か年計画」が発表され、スタートアップへの投資額を2027年度に10倍を超える規模(10兆円規模)へと拡大、ユニコーン企業社数も2022年時点の6社から2027年までの5年間で100社まで増やす目標が掲げられており、今後も国内外でのオープンイノベーション領域の市場は活発化していくものと見込んでおります。
(注) 1.「情報サービス業」のうち「データベースサービス」と「各種調査」の市場規模(出所:経済産業省 「特定サービス産業動態統計調査 2022年」)
2.「情報サービス業」のうち「データベースサービス」の市場規模(出所:経済産業省「特定サービス産業動態統計調査 2022年」)。同事業の主力サービスが、成長産業に特化した情報ポータルサイト「BLITZ Portal」であるため。
3.当社の主な顧客ターゲットが売上100億円以上の日系企業であり、国内の売上100億円以上の企業数約1.4万社(中小企業庁「成長志向の中小企業の創出を目指す政策の検討成果と今後の方向性 2023年」)と、主力サービス「BLITZ Portal」の顧客単価約250万円(2023年8月実績)を乗じて算出。
(メディアPR事業)
昨今のクチコミサイトやSNSの浸透により、様々なステークホルダー(顧客・求職者・社員・株主・パートナー企業等)とメディアとの接点が日常的に拡大しており、企業の情報戦略はこれまで以上に多面的な展開が求められております。一方、企業が意図しない情報や事実と異なる情報が公開され続ける等、企業のブランドが毀損されるリスクも懸念され、特に採用需要の旺盛な成長企業において、企業ブランディングのニーズは高まっております。
同事業における他社への優位性は、1999年に創刊したメディア『ベンチャー通信』をはじめ、「ベストベンチャー100」といった様々なメディアを運営しており、ベンチャー業界メディアとしての歴史・ブランドや、メディア運営で培った取材・編集力を有しております。そのため、特に、経営者が伝えたいメッセージを、読者に対してわかりやすく伝える記事制作ノウハウを活かし、成長ベンチャー企業の魅力やビジョンを発信することで、ブランディング及び採用支援を行っております。
当社が展開する成長企業向けのブランディング及び採用支援に係る市場は、将来的にアプローチできる市場が約2,900億円(注1)、今後のターゲット市場が約200億円(注2)、現在のターゲット市場が約50億円(注3)と推計しております。
(注) 1.同事業の主力商品の主な顧客が情報通信業であり、また採用活動を行っているのが従業員数10名以上の企業であると仮定し、「経済センサス-活動調査」(令和3年)、経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」より推定した従業員数が10名以上の情報通信業の企業数約37,500社に対して、「中途採用状況調査2021年版」(株式会社マイナビ)、「中途採用状況調査2021年版」(株式会社マイナビ)に基づき推計した非上場企業の採用平均予算約775万円を乗じて算出。
2.上記で算出した、従業員数10名以上の情報通信業の企業に対して、「中途採用状況調査2021年版」(株式会社マイナビ)に基づき推計した非上場企業の採用ブランディングに係る平均予算の約53万円を乗じて算出。
3.同事業が主にベンチャー企業を対象にしたサービスであるため、特許庁「スタートアップが直面する知的財産の課題に関する調査研究報告書(令和3年度)」の未上場のベンチャー企業数約7,900社に対して、同事業の顧客単価約64万円(2023年3月期の実績)を乗じて算出。
(3) 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な経営指標
当社は、持続的な成長と企業価値の向上を目指しており、主な経営指標として売上成長率、営業利益率、成長領域である公民共創事業におけるソリューションサービスの売上高及び契約社数、プラットフォームサービスのMRR(Monthly Recurring Revenue)及び契約社数を特に重視しております。
(4) 経営戦略
(当社の強み・特徴)
当社の強み・特徴は、メディアを起点として、ソリューションやプラットフォームを立ち上げる事業展開スタイルであると考えております。各セグメントで同様の事業展開をしてきたことで、現在ではサービス区分ごとの売上及び売上総利益はプラットフォームサービスが最大となっております。またプラットフォームサービスはSTOCK売上が中心であるため、グループ全体の売上においてもSTOCK売上が過半を占め、安定した財務基盤が確立されております。
① 独自の事業展開スタイル
当社は、社会課題を背景にメディアを起点としてソリューション及びプラットフォームを立ち上げる事業展開スタイルと、それを実現するためのノウハウや組織能力を有しております。
具体的な事業展開におけるポイントは以下のとおりです。
(1)社内に制作人員を抱えており、メディア立ち上げに係る費用を抑えられるため、売上総利益率が高く、また当社が培った制作ノウハウを活かし効率的なコンテンツ制作が可能
(2)メディア広告掲載を通じて顧客基盤を構築
(3)取材を通じて業界関係者とのネットワークを広げ、業界メディアとしてのポジションを確立
(4)メディア広告掲載をきっかけに顧客のニーズを把握し、そのニーズにあったソリューションを開発、提供
(5)業界の構造を理解することで、各業界のニーズにあったプラットフォームを立ち上げる
また、上記を実現する組織能力として、社会課題と向き合い自ら事業立ち上げを行う事業家人材の採用・育成をベースとしながら、メディア立ち上げのための編集力・コンテンツ制作力、カスタマイズ性の高いソリューションを顧客へ提案を行うための課題解決型の提案力、プラットフォームを立ち上げるための事業開発力を有しております。
各セグメントの事業開発の実績は以下のとおりです。
セグメント | サービス区分 | 開始時期 | 詳細 |
メディアPR事業 | メディア | 1999年~ | 『ベンチャー通信』創刊。その後各種メディアを立ち上げ |
ソリューション | 2007年~ | ベストベンチャー100カンファレンスの開催 | |
プラットフォーム | 2019年~ | 「HIKOMA CLOUD」開始 | |
公民共創事業 | メディア | 2014年~ | 『自治体通信』創刊 |
ソリューション | 2019年~ | テレマーケティングサービス開始 | |
プラットフォーム | 2022年~ | 「BtoGプラットフォーム」開始 | |
グローバルイノベーション事業 | メディア | 2015年~ | イノベーションメディア(現「TECHBLITZ」)開始 |
ソリューション | 2016年~ | 大型サミットの開催、企業調査サービスの開始 | |
プラットフォーム | 2021年~ | 「BLITZ Portal」開始 |
具体的に、公民共創事業のケースでは、地方公共団体の歳出規模が15兆円(注)を超える巨大なマーケットでありながら、行政運営上の課題は類似性が高いにも関わらず自治体間での課題解決手法の情報流通が限定的である点、また自治体向けにビジネスを展開している民間企業も、営業活動の非効率性に課題を持っていることを認識いたしました。また、行政の特性上、紙文化が根強く、雑誌メディアとの親和性が高いと考え、自治体向けの情報誌『自治体通信』を創刊し、顧客基盤を獲得いたしました。その後、各社の課題をヒアリングする中で、営業活動において自社のノウハウやリソースが不足しているという課題を認識したため、それを解決するために自治体への架電業務を代行するテレマーケティングサービスやイベントサービスを立ち上げ、市場調査やリード獲得支援、更には自治体職員との直接の接点の場の提供をいたしました。ソリューションを通じて各社の更なる課題を把握し、またメディア運営を通じて様々な行政職員の課題を認識することで、民間企業と自治体をつなぐプラットフォームの可能性を感じ、「BtoGプラットフォーム」を立ち上げるに至りました。
(注)平成26年度の官公需総額15.2兆円(中小企業庁「令和3年度地方公共団体による中小企業者の受注機会の増大のための措置状況等調査結果)
② プラットフォームを中心とした安定収益基盤
先述した事業展開の結果、当社の売上高の約60%はSTOCK売上(注1)となっており、主にオンラインメディア掲載に係る月額の広告掲載料やプラットフォームサービスの月額利用料により安定した収益基盤を構築できております。なお、STOCK売上に含まれる、各サービスの契約期間は原則1年間となっております。また、そのSTOCK売上の中でもプラットフォームサービスが約69%とサービス区分の中で最も高い割合となっております。更に、売上総利益の約47%がプラットフォームの売上総利益(注2)となっており、収益面でも牽引しております。
(注)1. 主要サービスは「HIKOMA CLOUD」、「ベンチャー通信Online」、「BLITZ Portal」、「BtoGプラットフォーム」等です。
2. 各サービス区分に分類できない売上原価が約16百万円発生したため、メディア、ソリューション、プラットフォームに区分される売上総利益の合計値に対しての割合を記載しております。
3. 2024年3月期数値を記載しております。
4. 主要サービスの解約率は、「HIKOMA CLOUD」(月次解約率:4.0%)、「ベンチャー通信Online」(月次解約率:4.8%)、「BLITZ Portal」(年次解約率:29.8%)、「BtoGプラットフォーム」ライトプラン(年次解約率:53.1%)、スタンダードプラン(年次解約率31.6%)、となっております。
(当社の成長戦略)
当社は公民共創事業を成長領域と位置づけ、同事業の成長によりグループ全体の成長を目指してまいります。また、メディアPR事業及びグローバルイノベーション事業については、STOCK売上の積み上げを中心とした安定成長・収益性を担保いたします。
さらに、新規事業の取り組みとして、既存事業において新たなソリューションを開発、また新たな第4の市場開拓も行うことで、さらなる高い成長を目指してまいります。
収益性の観点では、売上総利益が70%台(注)を維持しており、今後も特に公民共創事業に積極的な投資をしながらも、グローバルイノベーション事業及びメディアPR事業のマーケティングコストの最適化及び、バックオフィス業務の業務効率化を行いコストの最適化を図ることで収益性を改善してまいります。
(注) 2024年3月期実績(75.3%)。なお、過去2期間の売上総利益率実績は2022年3月期(76.1%)、2023年3月期(76.8%)と推移。
成長戦略の詳細は以下のとおりです。
① 公民共創事業を成長領域とした売上拡大
企業向けに自治体に対するマーケティング活動を総合的に支援する「BtoGプラットフォーム」、企業向けに自治体に対する営業活動の各プロセスに対する業務支援を行う「テレマーケティング」及び「ウェビナー」サービスに注力し、短期的には契約社数の増加を図り、中長期的には提供サービスの付加価値を高めることで契約社数及びLTV(注)の最大化を図ってまいります。
(注)LTV: Life Time Value(顧客生涯価値)の略称。
具体的な施策及び、設定している重要KPIは以下のとおりです。
なお、重要KPIとして設定しているソリューションの実績は以下のとおりです。
サービス区分 | KPI | 2024年3月期実績 | 前年同期比 |
ソリューション | 売上高(千円) | 101,452 | 96.7% |
契約社数(社)(注1) | 122 | 134.1% | |
プラットフォーム (注2) | MRR(千円) | 9,326 | 211.4% |
契約社数(社) | 59 | 107.3% |
(注1)当該期間に契約した取引先の総数を記載しております。
(注2)BtoGプラットフォームのスタンダードプランとプレミアムプランのSTOCK売上を対象とし、MRRは当該期末時点の各プランの合算数値、契約社数は当該期間に契約した取引先の総数を記載しております。
また、当事業が成長し続けるメカニズムとして、ソリューションをきっかけとしてプラットフォームの取引につながり、またプラットフォームを通じて顧客ニーズを把握することで新たなソリューションを提供する、というクロスセルが発生しやすい構造があります。さらに、各サービスを提供する過程で自治体に関するデータやメディアのコンテンツが蓄積されることや、元自治体職員が多数所属している強みを活かすことでサービスの付加価値向上につながり、LTVが最大化できると考えております。また、当社は複数領域で事業展開をしており、各事業で保有している顧客資産を活かして部門間でクロスセルが可能であることも、事業成長に寄与するものと考えております。
詳細は以下図をご参照ください。
② 新しい領域の開発及び、既存領域において新たなソリューションを開発
新規事業開発として、当社のメディア・ソリューション・プラットフォームという独自の事業展開スタイルをGX(注)、生成AI、事業承継、医療など新たな領域へ拡大、また既存の事業領域において営業BPO関連やHR関連サービスなど新たなソリューションを開発することで、継続的な成長を目指してまいります。
(注)GX:Green Transformationの略称。化石燃料をできるだけ使わず、クリーンなエネルギーを活用していくための変革やその実現に向けた活動。
③ 適切なコストコントロールによる収益性の改善
当社のコスト構造として、売上総利益率が70%台を維持しており、柔軟で機動的な販管費の設計が可能であると考えております。売上原価については、雑誌発刊に係る各種コストを現状維持し、また公民共創事業で展開するテレマーケティングについては自社のコールセンターの生産性を向上、各プロダクトに係る開発コストは最適化を図ることで、高い売上総利益率を維持してまいります。販管費については、成長領域である公民共創事業に対して営業人員の採用やマーケティングに係る積極的な投資を行いながらも、それ以外の事業についてはマーケティングコストなど最適化及び低減を図ります。また全社共通費についても、各バックオフィス業務の効率化を図ることで、コストの低減を図ります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
(1)及び(4)に記載の経営方針及び経営戦略を実行していく上で、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。
① 組織・管理体制の強化
経営環境の変化に対し、柔軟かつ迅速な意思決定を機動的に対応できる組織づくりを目指し、経営効率化の観点から、管理部門の生産性の向上に努めてまいります。
また管理部門の人員確保と育成強化を充実させ、今後は株主の皆様を始めとするステークホルダーに対して、的確な情報を掲示又は開示すると共に、財務報告の適正性や経営を継続していく上でのコンプライアンス体制を強化し、企業としての社会的責任に応えてまいります。
② 人材採用及び育成
当社における他社への優位性は、当社理念を体現する「世界的視野を持った事業家たち」にあります。事業家の採用・育成は最も重要な経営課題の一つであり、魅力的な仕事内容や育成環境、報酬体系の整備は欠かせません。また、中期経営計画においても、営業人員の増加及び戦力化を前提とした計画を策定しており、今後、様々な採用チャネルを活用して優秀な人材の獲得を推進してまいります。また入社後の早期戦力化についても、教育制度等を充実し、メンバーの成長をサポートしてまいります。
③ 個人情報の保護及びセキュリティ対応
プラットフォーム事業者の個人情報の取り扱いと保護については、近年世界中で高い関心が寄せられております。当社では各事業において個人情報を取り扱っており、それらの情報保護の観点から情報セキュリティシステムの強化と共に、個人情報保護の社内体制整備を進めてまいります。
④ 公民共創事業におけるマーケットシェア拡大と付加価値の向上
公民共創事業の成長においては、マーケットシェアの拡大とサービスの付加価値向上による顧客単価向上が必要不可欠と考えております。これらを実現するために、商品力強化やメディア認知度向上、カスタマーサクセス強化、蓄積された顧客データを生かしたサービス付加価値向上等に取り組んでまいります。
⑤ 既存領域における新たなソリューションの開発及び新市場の開拓
当社グループが今後も持続的に成長していくためには、既存領域における新たなソリューションの開発と新領域の開拓が課題であると認識しております。既存領域における新たなソリューションの開発においては、営業BPOや人材関連サービス等の開発に取り組んでまいります。また、新市場の開拓においては、GXや生成AI、事業承継、医療等も含めた新市場の調査・事業検討を行ってまいります。
⑥ 財務上の課題
無借金経営を行っていること、安定的な営業キャッシュ・フローにより財務基盤を確保していることから、本書提出日現在において財務上の課題として認識している事項はありません。しかしながら、成長戦略を実現するために資金を必要とする場合に備え、適時に資金調達を実施するために直接金融や間接金融など資金調達手段の多様化を進める必要があります。
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