企業兼大株主アース製薬東証プライム:4985】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年3月28日)現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社グループは、経営理念「生命と暮らしに寄り添い、地球との共生を実現する。」を掲げ、人々の健康と快適な生活の実現に真摯に向き合い、高品質な商品を提供し続けることで、社会と共に着実な成長を遂げております。また、経営理念の実現に向け、以下の行動様式(アースポリシー)及び価値観(アースバリュー)を定めております。

(アースポリシー)

 ・ お客様目線による市場創造

 ・ 熱意・創意・誠意

 ・ すぐやる・必ずやる・最後までやる

(アースバリュー)

 ・ 全員参画

 ・ コミュニケーション

 ・ 人がすべて

(2) 経営環境

当社グループを取り巻く経営環境を以下のように認識しております。

[家庭用品事業]

 国内においては、物価の上昇が続く中、賃上げの継続傾向により、消費者物価指数は上昇しています。しかしながら、生活において身近な商品の価格上昇が続いており、消費者の節約マインドが強くなることによって個人消費を下押しするリスクを含んでいます。また、中国においても長引く不動産市況の低迷により個人消費・内需の停滞が懸念されています。加えて、タイでは、コロナ禍からの経済回復が遅れており、消費の弱さが見られます。こうした状況に関する当社グループへの影響を注視する必要があります。

 一方、東南アジアにおけるベトナム、マレーシア、フィリピンにおいては底堅い内需を下支えに経済成長が継続するものと考えており、当社グループの取り組みがマッチし、高い成長が期待されると推察しています。

[総合環境衛生事業]

主要な顧客層である食品関連業界をはじめ、医薬品関連業界、包材関連業界において異物混入対策などの衛生管理対策ニーズは高水準であり、全体的な事業環境は好調を持続すると考えています。しかし、労働人口の低下や物流の「2024年問題」、ウクライナの情勢不安の長期化などに起因するコストの高騰に伴い、これまで締結している契約内容の縮小もしくは解約を要望する顧客側の動きなど、事業成長を一時的に抑圧する要因も抱えています。

(3) 優先的に対処すべき課題

当社グループは経営理念「生命と暮らしに寄り添い、地球との共生を実現する。」のもと、2024年~2026年(3ヵ年)の中期経営計画「Act For SMILE COMPASS 2026」をスタートしています。本中期経営計画では、前中期経営計画の課題を認識した上でグループ再編を中心とした抜本的な構造改革を行う期間と位置づけ、変化が早い事業環境の中でも持続的な成長を続けていくための変革を確実に実行してまいります。

① 2026年定量目標

2026年12月期の定量目標を以下のとおりに定め、取り組みを進めています。

 なお、当該定量目標の各数値については、有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。

 

 

2023年実績

2024年実績

前年増減

2026年計画

収益力

連結売上高

1,583億円

1,692億円

+109億円

1,700億円

 

(海外売上高)注

売上比率

175億円

11.1%

217億円

12.9%

+42億円

+1.8pt

250億円

14.7%

 

営業利益

63.7億円

64.2億円

+0.5億円

70億円

 

営業利益率

4.0%

3.8%

△0.2pt

4.1%

 

当期純利益

41.0億円

34.7億円

△6.2億円

43.0億円

資本効率

ROE

6.3%

5.1%

△1.2pt

7.2%

 

ROIC

5.6%

5.5%

△0.1pt

5.4%

 

WACC

4.6%

4.7%

+0.1pt

4.1%

財務健全性

D/Eレシオ

0.15倍

0.07倍

△0.08倍

0.3~0.4倍

株主還元

DOE

4.0%

3.9%

△0.1pt

4%台維持

(注)海外売上高は、当社管理会計ベースの数値であり、内部相殺取引などの連結調整は含みません。

② 家庭用品事業の課題
[海外の売上拡大]

成長ポテンシャルの高い海外での展開を成長ドライバーと位置づけ、本中期経営計画では、「現地法人を軸にした成長戦略の遂行」「各エリアの中長期計画と連動したサプライチェーンの整備」「成長を支える人財の拡充」といった強化策を掲げ、取り組みを進めています。

具体的には、海外事業は現地法人による展開と輸出の2軸で展開しています。ASEANにおいては、タイ、ベトナムは海外展開における収益の中核を担うべく、市場シェアの向上と売上拡大の両立を推進し、また、マレーシア、フィリピンでは販路拡大と事業基盤の構築を推進しています。とりわけタイでは、確固たるブランド地位を築いており、特に虫ケア用品は、近い将来のタイ国内の市場シェアNo.1の獲得を見据え、積極的な拡大を進めています。

中国では、急速な市場環境の変化を受け、オンラインチャネルを重視する戦略からリアル店舗を展開する小売業への製品導入を重点的に行う戦略への転換を進めています。

輸出では、現在の主要展開国・エリアである中東や台湾、北米等をはじめとした、世界約50カ国・地域に製品を輸出しています。既存展開国での取り組みを進めるとともに、各エリアにおける成功事例の横展開を行い、売上の拡大を加速させています。

こうした海外事業の拡大に伴い、生産供給能力の拡大が必要となっています。円滑な商品供給体制の確立と利益拡大に向けて、グループ間・エリア間でのリソースを活用しながら、各エリアの中長期計画と連動した全体最適の視点でのサプライチェーン体制の整備を行います。また、このような積極的な事業拡大のためにはグローバルシフトに向けた人財の強化が欠かせません。グローバル人財の育成と現地採用を含めた人財確保を積極的に推進していきます。

[収益構造改革]

当社はコロナ禍を背景にした急激な消費者の行動変容に対応すべく、日用品カテゴリを中心に積極的なカテゴリ拡大を進めてまいりました。一方で、原材料価格高騰の影響による原価上昇、金融政策の見直しによる不安定な為替、物価上昇による消費マインドの冷え込みなどにより、外部環境は大きく変化しました。また、展開カテゴリを拡大した余波で、ブランド投資が分散し、入浴剤や洗口液カテゴリへの資源配分が不十分となり、市場シェアの低下を招くことにつながりました。こうした状況の変化に対して、「ブランド・品目の“選択と集中”」「ブランド価値の向上」といった施策に取り組んでいます。

ブランド・品目の選択と集中に当たり、当期は目標として掲げていた品目数30%の削減を実施しましたが、更なる効率化を目指すべく、今後も上市品目の見直しを進めてまいります。これに加えて、低下傾向にある入浴剤、洗口液の市場シェアに歯止めをかけるべく、マーケティング投資の配分を見直し、市場シェアの奪還とブランド強化を目指してまいります。

一方、収益性の確保の観点から虫ケア用品を中心に価格改定を実施しており、今後も市場環境を踏まえながら、ブランド強化と並行して進めてまいります。

また、これまでも課題となっていた虫ケア用品の返品について、廃棄ロスの低減施策を営業部門・SCM部門を中心に積極的に推進しています。前中期経営計画期間中に構築した基幹システムを活用し、生産管理から販売管理まで一元的に管理し、需給調整機能を進化させたことで在庫の圧縮、効率化が進み、キャッシュ・フローの大幅な改善につながっています。需要予測の精度を向上させ、在庫の適正化を図り、機会ロスの未然防止に努めてまいります。さらに、今後も気候変動に起因して、虫ケア用品の販売期間の長期化が予想され、シーズン晩期の需要が増えるものと見込まれます。こうした状況を受け、虫ケア用品の年間定番商品化に向け、業界全体と協力し取り組んでまいります。このような取り組みにより環境負荷低減はもちろん、廃棄費用の削減による利益率の改善を見込んでいます。

以上の取り組みを踏まえ、カテゴリポートフォリオ管理の実施を進め、収益構造の改善を目指してまいります。

[グループ経営力強化]

当社は積極的なM&Aを進めて、事業及び製品領域を拡大させてまいりました。一方で、グループ、国内外を跨いだコスト改革、シナジー創出についてはこれまでも取り組んでまいりましたが、十分な成果を生み出すに至りませんでした。こうした課題を受け、「組織再編によるコストシナジーの創出」「戦略的M&A」「投資採算性の向上」を掲げて取り組んでいます。

当社と株式会社バスクリンは2026年の経営統合に向けて両社のシステム統合、経営資源の再配分などの検討を進めており、グループでのコストシナジーを生み出すことを目指しています。

M&Aについては、アースグループにおける課題解決手段の一つとして位置付けており、推進体制の構築に加え、M&Aのロング/ショートリストの再整備やM&A成就後の統合推進体制の刷新を行ってまいります。

こうした取り組みに併せて、在庫の最適化を通したキャッシュ・フロー改善など資産効率の向上を推進します。また、投資機会の拡大に対して借入金を有効活用し、バランス・シートのコントロールを行ってまいります。今後は収益性の改善に向けた取り組みの他、資本効率にも重点を置き、資本コストを意識した経営を実践してまいります

③ 総合環境衛生事業の課題

総合環境衛生事業におきましては、主要な顧客層である食品関連業界や医薬品関連業界、包材関連業界における食中毒予防対策や異物混入対策などの衛生管理対策が必須となっており、当社グループが専門的な知識や技術、ノウハウをもって提供する高品質の衛生管理サービスへのニーズは依然として高い状況です。また、サステナブル調達への取り組みは、大手企業を中心に強化されています。このような状況の中、人、専門性、技術力、教育、労働安全、事業基盤、事業創出という7つのテーマに注力し、引き続き、私たちの使命である衛生管理に関する最先端の知見とハイレベルな技術力でお客様の高い品質環境を実現し、長期的な企業価値の向上を目指すとともに、かけがえのない地球環境を維持・保全し、社会の健全な発展に持続的に貢献します。具体的には、引き続き、彩都総合研究所を拠点に研究・技術開発や人財教育を進めるとともに、IoT・AIなどのデジタル技術を活用したサービスの提供、食品安全に関する監査業務の拡大、ライフサイエンス分野での展開の強化を図り、年間契約の金額の増加による安定した収益拡大を目指します。

家庭用品事業及び総合環境衛生事業の取り組みを進めることにより、新中期経営計画の最終年度である2026年は構造改革の成果の一部が顕在化し始めるものの、あくまで通過点であると認識しています。2024年~2026年の3ヵ年は準備期間と捉え、2027年以降の飛躍的な成長を目指してまいります。

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