アルプス技研
【東証プライム:4641】「サービス業」
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企業概要
経営者の認識については、以下のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「社会や企業の発展も技術開発も、人と人との心のつながりが基本である」との意味をこめた『Heart to Heart』の経営理念に基づき、日々高度・多様化する顧客の「技術要請」に的確に応えるべく技術系アウトソーシングサービスを行ってまいりました。
今後も、当社の経営資源を顧客と共有することにより、顧客の経営効率化に資するとともに、課題解決に繋がる提案や付加価値の高いサービス提供を行い、当社の事業価値向上に努めてまいります。また、社内では技術者が自律的にキャリアアップしていく仕組みを取り入れ、さらに高度な技術者を育成してまいります。
グループ戦略につきましては、既存事業はもとより、創業50周年を迎えた第二創業として、2018年に開始した農業・介護事業、強みである技術力を生かした「ものづくり」事業、人材の国際的流動化に対応したグローバル事業の成長を目指し、グループのシナジーを強化しています。引き続き、社会課題解決型の新規事業創出に取組み、企業価値の向上に努めてまいります。
(2)目標とする経営指標
当社は、継続的な成長及び収益の向上を実現させるため、「自己資本利益率(ROE)」及び「親会社株主に帰属する当期純利益」を重要な経営指標と考えております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社は、2023年7月に第12次5ヵ年計画「技術を活用し共創社会のパートナーへ挑戦」をテーマに掲げております。具体的には、技術系アウトソーシング事業の新領域への挑戦、新たな収益の柱を創る、持続可能で豊かな社会の創生へ貢献、デジタル化で多様な人材が活躍する組織・風土の醸成に資する取組みを、着実に実行してまいります。
① 技術系アウトソーシング事業の新領域への挑戦
AI・ロボティクスなど先端技術の発展を契機として、技術者が身に着けるべき技術スキルが変化します。また、技術者が活躍できる業務領域も変化していきます。当社グループは、創業以来培ってきた育成ノウハウを活用し、常に最先端の技術を身に着けた技術者を育成してまいります。さらに、その身に着けた技術を活用し、既存の枠に捉われない新たな業務領域へ挑戦してまいります。先端技術の発展により生まれる新たな製品・サービスや、社会変化によって新たに技術が必要となる業種や事業へ先手を打って挑戦してまいります。
② 新たな収益の柱を創る
社会的課題を解決すべく進出した農業・介護事業は、当社グループが培ってきた人材サービスのノウハウや技術力を活かし、育ててまいりました。今後は一層、テクノロジーとの融合を強化し、事業の拡大と収益力の向上に取り組んでまいります。ものづくり事業は、高成長が期待できる医療・宇宙・農業・環境分野を中心に、付加価値の高い製品をつくり、事業規模の拡大を目指してまいります。グローバル事業は、人材サービスの領域・地域を広げ、現地で新たな事業創出に取り組んでまいります。これら農業・介護・ものづくり・グローバル事業を技術系アウトソーシング事業に続く新たな収益の柱となるよう挑んでまいります。
③ 持続可能で豊かな社会の創生へ貢献
一人ひとりが生き甲斐や遣り甲斐のある心豊かな生活を送ることが出来る未来型ケアハウスや、地域が持つ資源に付加価値を与え産地と消費地をつなぐサプライチェーンの構築を実現してまいります。さらに、これまで積み重ねてきた技術力と育んできた人間力を活かし、起業家精神のもと新規事業を創出することで、地方創生に貢献してまいります。
④ デジタル化で多様な人材が活躍する組織・風土の醸成
デジタル化した経営資源、構築したプラットフォームを活用し、業務効率化を進め、業務プロセスおよびビジネスモデルの変革に挑戦してまいります。社員一人ひとりが働く環境、成長できる環境、挑戦できる環境を充実させ、エンゲージメントの高い多様な人材が活躍する風土を醸成してまいります。
(4)経営環境及び対処すべき課題
当連結会計年度(2024年1月1日~2024年12月31日)におけるわが国経済は、個人消費に足踏みがみられたものの、堅調な企業業績によって緩やかながら回復基調で推移いたしました。一方で、国内外における金融政策の影響、米国の経済政策の不確実性や中国経済の先行き懸念、地政学リスクの高まりなどによる海外景気の下振れが、わが国の景気を下押しする可能性があります。このような環境の下、当社グループは無期雇用型技術者派遣事業をコアとしており、採用・教育・営業の仕組みを変革し、高度技術者集団としてのブランドの確立を図るため、「さらなる技術力を共創し、顧客の欠かせない存在となる」、「創造性、柔軟性を育むことで、一人ひとりが人間力を高める」、「新規事業の成長と、働きがいがある組織を構築し、アルプスブランドを高める」の諸施策を推進しております。社会環境が大きく変化し、技術の進展も加速されていく中で、顧客の量的・質的要望に応えるとともに、技術者と顧客の最適な組み合わせによる高付加価値サービスの提供により、企業価値の向上を持続させていくことが重要な課題と認識しております。また、新規事業分野として挑戦している農業や介護関連分野においても、既存事業とのシナジーを強化し、新たな事業の柱に成長させることが企業価値向上への課題と認識しております。
当社グループが対処すべき主要な経営課題は、以下のとおりであります。
① 採用の強化
当社グループの主要事業である技術者派遣事業においては、人材獲得競争が激化している状況の中でも、顧客からの即戦力かつ高度技術を有する人材の要請が高まっております。一昨年より、働き方改革に即した給与制度の一部見直しや、働きやすさをサポートする仕組み等の強化を図り、社員数の安定的な増加に力を入れております。優秀な新卒社員の獲得に向け、技術者と連携した施策を講じるほか、学生の意向に沿った採用企画を実行しております。また、全役職員一体となり連携を活かしたリファラル採用を駆使する等、国内のみならず海外を含めた多様な採用チャネルを強化してまいります。
② 技術力の強化
当社グループでは、技術者が高い志をもって、自らの技術力を向上させることが企業価値の源泉であるとの思いのもと、創業以来、技術者教育には特に力を入れてまいりました。なかでも、生成AIをはじめとする先端技術や環境対応技術といった成長分野を中心に、顧客のニーズに特化したカスタマイズ研修や、技術者の長期キャリア形成を目的としたシニア人材を含む年代別キャリア開発研修、次代を担う若手人材向けのマネジメント研修等に取組み「顧客の欠かせない存在となる」よう努めております。
さらに、積極的に「チーム派遣」を推進するために、高度な技術力を有するに留まらず、工程管理やマネジメントにも長けた、いわゆる「チームリーダー」を育成すべく、リーダー養成の研修を実施し、市場価値の高い高度技術者を養成してまいります。また、座学の研修のみならず、ものづくりの現場に携わることも、技術者、とりわけ若手の社員にとっては実践的な技術力を身に付けるために必要な経験であるとの認識から、OJTの場を多く設けるとともに、アルプスロボットコンテストや新入社員の技術発表会等により、グループの垣根を越えて「ものづくり」の技術力を高めてまいります。
③ 営業力の強化
当社グループの主要顧客である自動車、半導体、電機メーカーなど大手製造業各社においては、国際競争力強化の必要性から、今後も引き続き、開発設計部門における効率化の流れは継続するものと思われます。その影響により、複数名の技術者をまとめて派遣する「チーム派遣」や、開発工程の一定部分を受託する「プロジェクト受注」への要請は一層の高まりをみせております。
このような環境変化に対応すべく、営業部門の強化、拠点体制の見直し、営業と技術者との連携強化を図ることで、「チーム派遣」や「プロジェクト受注」等を積極的に開拓してまいります。また、「チームアルプス」というビジョンのもと、営業担当者のみならず、技術者自身も顧客ニーズへの迅速な対応と付加価値の高いサービス提供を行うことで、高水準の契約単価を実現し、社員の処遇を高め、より優秀な人材が集まる好循環の実現に注力してまいります。
④ 国際化への対応
アジア圏における経済成長を睨み、上海と台湾、ミャンマーに現地法人を構え、人材育成事業と製造業各社に対するエンジニアリング事業(プラント設備、機械・設備機器等の設計・製作・据付及びメンテナンス並びに人材サービス)を展開しております。
さらに、現地における人材確保等、当社グループの有する強みを活かし、国内グループ各社と海外現地法人とが緊密な連携を図ることで、製造業各社のグローバル戦略にも積極的に対応してまいります。引き続き、地政学的リスクを考慮しながら、新たな地域の開拓に向け検討を進めてまいります。
⑤ グループ戦略
当社グループでは、新たな企業価値を創る取組みとして、アウトソーシングサービス事業の強化はもとより、㈱アルプスアグリキャリアや㈱アルプスケアハートを中心に農業・介護を始めとする新たな事業分野の拡大を進めております。また㈱デジタル・スパイスを中心に、農業用ロボットの開発販売を担う㈱ⅮONKEYや当社受託開発部門が連携して、ものづくり事業の拡大に挑戦しております。なお、当社受託開発部門は、介護事業者向けのシステムを内製化しております。
さらに人材サービスのみならず、「共創社会のパートナー」となるべく地方創生への取組みなど、これまで培ってきた技術力、ものづくりの強みを融合した新規事業を展開してまいります。
⑥ コンプライアンス及びCSR(企業の社会的責任)への取組み
当社グループでは従来「企業倫理憲章」を始めとした社内ルールを制定するとともに、法令・社会倫理規範遵守のための社内体制を整備し、コンプライアンス教育を徹底してまいりました。コンプライアンスは経営の重要課題の一つと認識し、今後も引き続き取組んでまいります。また、当社は企業市民としてサステナビリティ基本方針に則り、環境経営の推進や、財団、NPO法人を通じた起業家育成・教育・コミュニティ活動等の社会貢献活動を支援してまいります。
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