企業アルファパーチェス東証スタンダード:7115】「卸売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営方針・経営戦略等

 当社グループは、「わたしたちは、MROを中心とする包括的な商品とサービスを提供することを通じ、サプライヤー、そしてパートナーとともに、お客様の価値の創造と間接コストの削減を実現し、日本の産業の変革と再活性化に貢献します」を基本理念として掲げております。

 当社グループの対象市場は、多品種・少量かつ一件あたりが少額という特徴を持っており、当社グループの主要顧客である大企業グループにとって、①内部統制上の適切な購買管理と、②商品選定から、購買、支払までに至る購買プロセスコストや人手の削減、および③購買単価の低減は大きな課題となっています。一方、当社グループでは、MRO、FMの調達に特化したITシステムとサプライヤーの全国ネットワークを持ち、顧客グループからサプライヤーまでを含む多数当事者間のITシステムを相互接続するシステム運用能力を持つことから、多品種・少量・少額市場において、全ての取引当事者のDX(Digital Transformation)化を支援することができます。当社グループでは、このIT技術と事業の仕組みを用いて、多品種・少量・少額市場における「規模の経済」と「DX」を実現することを通じ、日本の産業界全体の効率化を実現するとともに、当社グループ自体の業績を向上させることを目指してまいります。

 また、「私たちが大切にすること」という企業グループ共有の価値観については、

・新しい価値の創造に向けた強い情熱

・変革を実現するための機動性と柔軟性

・全ての業務における卓越性と誠実性のたゆまぬ追求

・仕事を通じた一人ひとりの成長と幸福の実現

 の4点を掲げております。

 当社グループの基本理念および私たちが大切にするものは、2006年に制定したものですが、現在もその経営の基本理念および企業グループとしての価値観に関する変更はありません。

(2)経営環境

MROの物販市場における近年の大きな変化は、個人および中小事業者向けのBtoC(個人向け)型オンライン販売の急速な普及です。株式会社MonotaRO、株式会社ミスミグループ本社、株式会社大塚商会などの電子商取引のプラットフォームベンダーが、従来、MRO商品販売の担い手であった機械卸商社などのシェアを奪い、売上を伸ばしています。これは、個人および中小事業者向け市場において、それまでオンラインでMRO商品を買える適切な仕組みがなかったためと考えられます。一方、日本の大企業グループでは、以前より企業グループ毎に独自のITシステムを活用しており、また、それぞれ異なる社内ルールでMRO商品の購買を行っております。

 このような事業環境の下で、当社グループは、大企業グループの既存のITシステムや大手ERP(Enterprise Resources Planning:統合業務基幹システム)ベンダのシステムと共存、あるいは一部機能を置き換えることが可能な電子購買プラットフォームを提供していることから、大企業グループ向けのMRO物販市場で、一定の地位を占めています。しかしながら、2023年の大企業向けMRO物販の内、電子商取引化が取引効率改善に大きく寄与するロングテール(多品種・少量・少額)型MRO物品の市場規模を当社グループでは約1兆円と推計しています。その前提に立つならば、現状の当社グループの総合シェアは数%にとどまることから、需要開拓の余地は極めて大きいと考えております。特に、当社グループのお客様の中心である大企業グループの連結内部統制強化へのニーズは年々高まっており、多品種・少量・少額品に対する購買プロセスを子会社、関係会社を含む連結グループ会社全体でシステムの管理下に置くことができるという当社グループのITシステムと仕組みへの関心が自ずと高まると考えております。

 FM事業の顧客である国内の商業施設市場は、新型コロナウイルス感染症の影響で大きな影響を受け、2020年から2021年前半までは、それまでインバウンド需要に支えられてきた宿泊施設や都市部の小型店舗を中心に、新規の投資案件が激減しました。しかしながら、2021年後半から、その事業環境を逆に生かすテイクアウト店舗の改装・開店や、売れ筋商品の変化に対応した郊外店舗の売り場改装案件が増加し、2022年においては多店舗展開のコンビニエンスストアやファストフード店舗の改装および新規開店が活況でした。この活況には、新型コロナウイルス感染症の影響により変化した消費者の行動パターンに対応した売り場への再構築や、テイクアウト需要の高まりに対応したドライブスルー型店舗の出店増等、一過性の需要増にとどまる可能性がある案件が含まれていますが、2022年後半からは、新型コロナウイルス感染症収束後の本格的な人の屋外活動増を期待したホテルの改装案件などの需要回復も始まりました。2023年においては新型コロナウイルス感染症が収束に向かったことによりビジネスホテル向けの大型改装案件が急増した事に加え、多店舗展開のコンビニエンスストアの清掃・修繕案件やファストフード店舗の改装・新規開店件数も高止まりを維持しました。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの経営上の目標は、当社グループが提供するITシステムと仕組みを通じて、日本の産業界全体の効率化とDXを進めることを通じて、当社グループ自体も収益を上げることであり、その目標達成状況を計る指標は、当社グループのサービスの普及度を測ることができる連結売上高と当社グループの連結営業利益額となります。なお、MRO事業においては大手企業グループとの新規契約の獲得が大切ですが、契約時から本格的な売上計上時までの間のITシステム開発や相互接続に要するリードタイムが2~3年に及ぶ案件が多く、また当社グループのサービス導入後の商品購入額の増加は5年以上の長期にわたって継続するケースが多いことから、新規契約件数を単年度の経営管理指標としては用いておりません。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下の項目と認識しております。

 当社グループにとって、DX(Digital Transformation)市場の拡大は大きなビジネスチャンスになっています。また、大手ERPベンダーの主力システムの保守が2027年に終了すること、働き方改革関連法により建設業界の時間外労働制限が2024年4月から他業界と同一となること、などの事業環境の変化は、当社の独自の強みをアピールする上での絶好の機会になります。このような環境の下、当社グループにおきましては、以下の3項目を対処すべき課題と認識しております。

①知名度の向上による新規顧客の更なる開拓

 2022年12月の東京証券取引所スタンダード市場への株式上場前の、当社グループの新規顧客獲得の上での最大の障害は、当社グループの知名度の低さでした。株式の上場により一定の知名度向上は実現しましたが、今後も広報活動、IR活動の充実化や、他のプロモーション施策との相乗効果を通じて更なる知名度向上を実現し、新規の大型企業グループの顧客開拓を進めることが重要で、それが一番目の課題です。

 MRO事業においては、当社グループの中心的な顧客である大企業グループが、間接材購買のシステム更新を検討する機会は、顧客内で稼働中のITシステムの更新時期にほぼ限定されており、5~6年に一回となります。ただし、システム更新の検討は数年間をかけて行われるため、顧客との長期間の接触と営業努力がないと、当社サービスの採用には至りません。

 FM事業においては、既存のサービス提供者が何らかの理由によって顧客の信頼を失いつつある状態や、顧客が当該サービスを受けるための社内の仕組みを変更しようとしている時期が当社参入の機会であり、不定期での機会到来となります。この拡販の機会をタイムリーに捉えるためには、継続的な顧客との接触による情報収集と、タイムリーかつ説得力のある提案が必要です。

 日本には売上規模1千億円以上の規模の上場企業(金融機関を除く)が7百社以上存在し、それ以外に非上場の大企業もあります。これらの重要な潜在顧客全てと常時接触を保つことは、当社の営業リソースの制約上困難です。その不足を補えるのが、当社の知名度向上によるお客様からの引き合いの増加です。当社の知名度向上と、その知名度を当社への信頼につなげる営業活動が、新たなビジネスチャンスを獲得していくために必須の要件となります。

②IT人材、およびコンサルティング人材の中途採用での獲得

 MRO事業において当社グループの新規顧客開拓を加速するためには、顧客企業グループのニーズを的確に捉えた提案を行い、かつ、その提案を顧客グループのITシステムと当社グループの提供するITプラットフォームの連携によって実現できる人材を質と量の両面で増員することが必要です。当社グループのMRO事業のお客様が当社グループに期待する提案は、難易度が高いものとなることが多いため、その期待に適う人材の獲得は容易ではありません。またFM事業においても、クラウド型のローコード・アプリプラットフォームを活用した顧客毎の専用アプリの開発等、IT技術の積極的な活用を進める人材が必要です。

 新卒で採用した従業員を高スキルのIT、コンサルティング人材に育成するためには長い時間を要することから、中途での優秀な人材の採用が必須となります。当社グループは中途採用については経験豊富ですが、優秀な人材獲得のためには当社グループ自体の魅力を更に高める必要があり、当社グループがコンプライアンスや財務基盤において不安がないことに加え、成長企業であり、新たに当社に入社する従業員にとって絶好の成長の場であることを、対外的に、幅広く示し

 ていくことが不可欠です。

③コンプライアンスの遵守、および適時適切な情報開示

 当社は、会社設立後、初期の段階からコンプライアンス遵守の管理体制を構築してきたほか、適時適切な情報開示を行うため、株式上場前から上場企業の開示業務の経験者を採用しております。ただし、開示基準やコンプライアンスの遵守項目は環境に応じて随時変化しており、その変化に着実に追従して、正確な手続と開示を漏れなく行うことは高難度な業務です。当社グループでは、この点につき、今後、更に経験、知見を深めるとともに、専門家の的確なアドバイスを適

 宜取得することにより、迅速かつ誤謬のない適切な開示に努めてまいります。

 当社グループはこれらの課題を解決し、従来以上に新規顧客の開拓に注力して、売上の拡大およびそれに伴う営業利益の拡大を目指してまいります。

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