アミタホールディングス
【東証グロース:2195】「サービス業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年3月26日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「持続可能社会=発展すればするほど自然資本と人間関係資本が増加する社会」の実現を基本理念とし、経営の効率性、健全性及び透明性を確保した上で、株主・顧客・取引先・従業員・地域社会など全てのステークホルダーとの関係性及び利益を重視したステークホルダー経営を目指しております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、成長性・収益性については売上高、営業利益及び営業利益率、経常利益及び経常利益率を、資本効率についてはROE(株主資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)を経営の重点指標としており、これらの改善及び向上を行うことを目標としております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、2022年11月に2030年の事業ビジョン「エコシステム社会構想2030」を発表し、2030年までに「社会デザイン事業」の確立を目指しております。
その2030年までのロードマップとして、2024~2025年度を基盤整備期として位置づけ、社会デザイン事業の中核サービスであるCyano Projectを中心に、事業や商材間のシナジーを創出する業態改革を完了させ、収益の安定化に取り組みます。並行して、2027年度にかけて姫路循環資源製造所におけるサーキュラーマテリアル(循環資源)の製造工程の完全自動化に取り組み、製品価値の向上と無人化によるサービスの高度化を図ります。2028年度以降は、MEGURU STYLEの事業化と各地への展開によるMEGURU PLATFORM(※1)の稼働を目指します。2030年には、MEGURU PLATFORMによる事業を確立させ、エコシステム社会の実現を目指す戦略です。
基盤整備期には、以下5つを重要戦略として取り組みます。
商品戦略 | 持続可能な企業経営・自治体運営に向けた移行戦略支援の強化・高度化 | 〇Cyano Projectの商品力強化 〇MEGURU STYLEの開発 |
生産戦略 | 資源やESG関連情報など、多様な情報を収集・編纂・分析・活用する仕組みと体制の強化 | 〇移行戦略に必要な情報を収集・編纂・分析・活用する機能を高度化させる専門部署の設置 〇循環資源製造所における製造プロセスの自動化推進 |
関係性(仕入)戦略 | 経営戦略の実行に向けた継続的・計画的なパートナーシップの創出 | 〇サーキュラーリンクス(株)の事業拡大 〇SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の積極活用 〇(一社)エコシステム社会機構の積極活用 〇海外事業展開に向けた他社協業の加速 |
マーケティング戦略 | 啓蒙から販売まで一貫したマーケティング施策の実施・実行体制の確立 | 〇経営者/意思決定者を対象としたマーケティングチャネルの構築 |
組織戦略 | イノベーションのジレンマから脱却する組織改革の完了 | 〇従業員の自己組織化・リーダーシップの発揮を促進する新人事制度の施行・定着 〇会社-部門-個人まで一気通貫の目標管理体制の構築・運用定着 |
また、2030年までの重要取り組みは以下となります。
■2025~2027年度
<国内>
〇Cyano Project 商品力強化・提供拡大、インバウンドマーケティングを駆動力とした案件獲得
〇サーキュラーマテリアルの新商材開発
〇サーキュラーリンクス(株)における新商品開発
〇MEGURU STYLEのサービス開発
<海外>
〇マレーシアにおける社会デザイン事業の展開
■2028年度以降
<国内>
〇MEGURU STYLEの事業化・展開
〇サーキュラープラットフォームの構築
〇サーキュラー4.0の開発
<海外>
〇インドネシアにおける再資源化事業の収益化
※詳細につきましては、当社webサイト(https://www.amita-hd.co.jp/ir/strategy.html)にて公表しておりますのでご参照ください。
※1…MEGURU PLATFORMは、生産と消費の好循環を実現する仕組みであり、互助共助コミュニティ型の資源回収ステーション「MEGURU STATION®(めぐるステーション)」と、良質な資源と情報が集まるサーキュラーマテリアル製造所「MEGURU FACTORIES(めぐるファクトリーズ)」から構成されます。
(4) 経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
企業を取り巻く状況に目を向けますと、内需主導で緩やかな回復が続くと予想される一方で、ウクライナ情勢や中東情勢をはじめとする国際情勢は不安定化が続く見込みです。具体的には、地政学リスクに基づくグローバルサプライチェーンの不安定性の継続、米国大統領による関税引き上げをはじめとする経済・外交政策や、それを受けた国内外経済の行方、異常気象や自然災害リスク、更には金融政策の転換や政治的な動きなどに十分留意する必要があると考えております。また、技術革新や社会的価値観の変容が進み、政治・経済・社会それぞれの面で既成概念や既得権益が大きく変化する転換期にあるとも考えております。
そうした中、2025年1月20日にトランプ米国大統領が就任し、早々にパリ協定からの離脱を発表しました。トランプ政権の発足に先立ち、世界最大の投資会社であるブラックロックは気候変動対策グループ(NZAM)から脱退し、これを受けて日系企業を含むアメリカの大手企業を中心に、自社のESG取り組みを見直す動きが拡大傾向にあります。加えて、経済政策として一部輸入品に対する関税引き上げを掲げるなど、多国間協定によるグローバルマーケットから二国間協定によるインターナショナルマーケットへと世界経済のルールが変化しつつあります。
このようなブロック経済が進行し、更には世界的な資源枯渇や気候変動リスクの顕在化が一層加速する中で、今後世界では、自社活動の抑制につながる「守りのESG(Scope3:企業バリューチェーン全体の排出量を把握する指標)」を超えた、より本質的な企業成長と自社活動の拡大に繋がる「攻めのESG(Scope4:製品・サービスがライフサイクルを通じて発揮する便益(削減効果))」への取り組みを求める動きが加速すると考えます。特にブラックロックによるNZAM脱退は、短期的にはESG投資への影響が懸念される一方で、長期的には企業や投資家がScope3からScope4を重視し、「実際の脱炭素貢献」を示す方向へシフトする契機になると捉えております。当社グループは従前より「守りのESGから攻めのESGへのトランジションストラテジー(移行戦略)」の必要性を掲げています。2021年からは、顧客企業が気候変動対策や生物多様性に対する取り組みが必要とされる市場において、自社の製品・サービスを展開していくための事業開発を統合支援する「Cyano Project」を提供しております。現在の社会潮流は、まさにこの「Cyano Project」の存在意義を発揮すべき局面が到来したものと捉えております。
また海外においても、マレーシアやインドネシアを含むASEANでは、サーキュラーエコノミーの推進によって約4,200億ドルの市場が生まれると言われており、当社グループにとって追い風の時流と捉えております。
このような状況の中で、当社グループは「未来デザイン企業」として、2030年ビジョンの実現に向け、社会の持続性と関係性を向上する「社会デザイン事業」の確立に向けた商品開発・展開を引き続き推進してまいります。2025年は中期経営計画において、市場展開へ向けた基盤整備期を完了させる年であり、持続可能な企業経営・地域運営を支援するサービスの開発及び展開に引き続き注力するとともに、市場開拓に資する啓蒙・広報から営業販売戦略までを一気通貫で設計するインバウンドマーケティングの構築・運用や、価値創出力向上に資する組織改革を継続推進いたします。また、企業等との戦略的パートナーシップ及び共創事業構築の推進や、一般社団法人エコシステム社会機構(ESA)への参画等を通じた市民・自治体・大学・官公庁等との連携も拡大することで、社会デザイン事業の展開に向けた基盤整備を進展させ、2030年ビジョンの実現へとつなげていきたいと考えております。具体的には以下のとおりです。
<持続可能な企業経営の支援領域:統合支援サービスCyano Project>
啓蒙・広報・営業・販売まで一貫したインバウンドマーケティング施策として、顧客の興味・関心を惹きつけ顧客獲得に繋げるシンポジウムやセミナーを開催予定です。加えて、グループ会社やパートナー企業等のネットワークを活用した営業の強化、外部パートナーと連携した新商材開発をはじめとする商品設計の再構築に引き続き取り組むとともに、ソリューション力を高めるための人財育成を強化してまいります。堅調なICT・BPOによる企業のサーキュラーマネジメント支援を行う「サステナブルBPOサービス」においては、サーキュラーリンクス株式会社にて、業務効率化やサービス品質向上に加え、新サービスの開発・提供等を図ります。廃棄物の100%再資源化による単純焼却・最終処分ゼロと、関連するGHG排出ゼロを推進する「ダブルゼロ・エミッションサービス」においては、カーボンニュートラルやネイチャーポジティブに寄与する新たな循環資源の開発・提供、工場の脱炭素化やサステナブル調達のトータル提案、回復・拡大する半導体産業に向けた北九州循環資源製造所でのシリコンスラリー100%再資源化の強化、労働力不足対応と生産性向上に資する生産機能の自動化・機械化への投資などに取り組んでまいります。
<環境認証審査サービス>
引き続き市場が堅調な中で、新規受注を拡大していくための組織体制の強化等を図ります。
<海外事業>
海外事業統括子会社ACDを軸に、マレーシアでの100%再資源化事業の拡大や未利用バイオマス資源の利活用事業等の新たな事業開発、インドネシアでの合弁会社による100%再資源化事業の2027年度開始を目指した事業基盤の構築に向けた取り組みに加え、アジア・大洋州地域にて国内でのノウハウを活かした循環型社会の仕組みづくりに係る市場開拓を行ってまいります。
<持続可能な地域運営の支援領域:Co-Creation City>
地方自治体の4大課題を「関係性の増幅」と「循環の促進」で解決するまちづくりコンセプト「Co-Creation City構想」の開発・展開に向けて、自治体向け資源循環ソリューション「MEGURU COMPLEX」の開発や、互助共助コミュニティ型資源回収ステーション「MEGURU STATION®」の面的展開を継続してまいります。「MEGURU PLATFORM」の構築に関しては、消費動向やトレーサビリティを含む資源情報等を価値化するデジタル情報プラットフォームの構築等に係る取り組みや、2023年から実施している内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期」において「MEGURU STATION®」を軸にしたプラスチックのサーキュラーモデルの構築及び展開に向けた活動等を継続してまいります。
<パートナーシップ領域>
発起参画している一般社団法人エコシステム社会機構(ESA)での活動への積極的な参画や、様々な企業や自治体との連携・協働プロジェクトを実施してまいります。
さらに「社会デザイン事業」を支える経営基盤として、企業文化の醸成(新人事制度の構築完了、週32時間就労への挑戦、Well-beingを高める環境整備等)や価値創出力を高める組織・人財開発、戦略的な資本施策、ステークホルダーとの関係強化・社会的認知度の向上等に繋がる施策など、良質な経営資源の増幅に向けた仕組みづくりに引き続き取り組んでまいります。
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