アズ企画設計
【東証スタンダード:3490】「不動産業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、『空室のない元気な街を創る』の経営理念のもと、不動産販売事業、不動産賃貸事業及び不動産管理事業を展開しております。当社グループの最大の強みは空室の改善力であり、今後も、不動産販売事業においては、その力を活かして収益力の落ちた不動産を生まれ変わらせて不動産投資家へ販売するビジネスを深化させていきます。東京本社開設以来、大きな収益源へと成長しており、今後も不動産販売事業を中心に、会社全体の事業規模を拡大してまいります。また、不動産賃貸・管理事業については、営業活動の強化と、ITを活用した管理業務の効率化により、スケール(受託戸数)の拡大を行うことで安定収益源を確保するとともに、空室・遊休地に対する多様なソリューションについても深化させていきます。
(2) 経営環境
当連結会計年度における国内経済は、賃上げなどによる雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の拡大効果などから、緩やかな回復基調となりました。一方でエネルギーや原材料価格の高騰による物価高もみられます。
不動産業界においては、日本銀行のマイナス金利解除、追加利上げが実施されたものの、不動産需要への影響は限定的で、引き続き底堅く推移しています。潤沢な投資マネーを保有する海外投資家の国内投資用不動産への投資マインドも旺盛です。但し、物価高や働き方改革関連法施行に伴う建築コストの上昇、各国の金融政策に起因する金融市場の変動など、不動産マーケットに影響を及ぼす事象には引き続き注視してまいります。
(3) 経営戦略等
当社グループでは、中期経営計画(2025年2月期~2027年2月期)(2024年7月11日付公表。以下、「中期経営計画」といいます。)を推し進めており、「営業利益」や「1人当たり営業利益」を重視した経営に取組んでおります。本中期経営計画では、「営業利益10.8億円」「1人当たり営業利益1,800万円」を目標値とし、従前より販売事業の規模を拡大させるために取組んできた取扱物件の大型化と多様化に加え、営業利益向上に向けた取組み、社外との連携に向けた取組みを加えた大きく3つの取組みを進めています。
① 営業利益向上に向けた取組み
営業利益向上を目的に、一部収益不動産の長期保有により、イ)内部成長(保有する不動産の収益性向上)の充実と、ロ)ストック収益(保有期間中の賃料収入)の拡充の2つに取り組んでまいります。短い保有期間は当社の強みですが、物件を選んで長期間保有する間に、難易度の高い賃料交渉や時間のかかる大規模なリニューアル工事、管理経費の削減などに取組み、販売時の利益率を向上させることが可能となります。また、保有期間を伸ばすことで、保有期間中の賃料収入増加による安定的な営業利益の積上げも期待することができます。
② 社外との連携に向けた取組み
営業強化による持続的成長だけでなく、非連続的な成長に向けて取組むべき対象領域を以下の10分野に分け、戦略的業務提携やM&A、連携(取引)先の拡充や提供サービスの活用等を進めてまいります。
流通・再生領域(イ~ホ)
イ、DX効率化(デジタルトランスフォーメーション)
ロ、仕入
ハ、バリューアップ(商品化):ビル、レジデンス
ニ、販売
ホ、資金調達:コミットメントライン契約・当座貸越契約、クラウドファンディング
賃貸管理領域(ヘ~ヌ)
ヘ、DX効率化(デジタルトランスフォーメーション)
ト、AM(アセットマネジメント)
チ、BM(ビルマネジメント)
リ、オーナー管理
ヌ、PM(プロパティマネジメント)
③ 販売事業の規模拡大に向けた取組み
旧中期経営計画(2022年2月期~2024年2月期)(2021年12月14日付「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」(以下、「計画書」といいます。)にて公表)では、当社グループの成長戦略として「取扱物件の大型化」「利益管理の見直し」「取扱商品の多様化」を掲げ、取扱高や取引件数の増加に向けた取組みを進めてまいりましたところ、価格帯の向上については、旧中期経営計画で目標としていた3億円以上の物件の取扱いを中心とすることができたものと評価しております。したがいまして、本中期経営計画においては、さらに目標値を向上させ「5億円以上」へと変更しております。また、多様な商品種別を取扱うことで、マーケットのニーズに合わせてその時々でニーズの高い商品に寄せることも可能となっております。
上記を踏まえ、以下のとおり、取扱高や取引件数の増加を目指したこれまでの取組みにつきましても、引き続きさらに強化してまいります。
イ、価格帯の向上(大型化):5億円以上の物件を取扱いの中心とし、10~20億円規模の取扱いを
拡充することで、融資のつきやすい投資家層へのアプローチを進めております。
ロ、商品種別の多様化:従前は、取扱物件の中心はレジデンスでしたが、事業用物件の取組みも増
加させていくことを目指します。レジデンス以外の種別(オフィス・店舗)の取扱比率を上げ
ることで、不動産投資家からの様々なニーズに応える体制を整えてまいりました。また、区分
所有不動産の取扱いも推進しております。
なお、①~③においては企業成長の柱として不動産販売事業での取組みが多くを占めておりますが、不動産賃貸事業・不動産管理事業からの収益は、安定収益として位置付けており、その安定収益で固定費を賄えるまで成長を図ってまいります。上記①に挙げた保有期間を伸ばすことで得られる保有期間中の賃料収入は不動産賃貸事業の拡大に繋がり、不動産販売事業で販売した収益不動産の管理受託の獲得増加による管理手数料の増加も不動産管理事業の拡大に繋がり、安定収益の拡充を図ってまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
不動産マーケットにおいては、エリアやアセットタイプごとに状況に違いがありますが、特に当社グループが取扱う都心や首都圏の優良なオフィス・店舗ビルやレジデンスは、空室率や賃料が安定的に推移していることもあり、国内外の不動産投資家の需要は依然として高く推移しています。一方で、日本銀行により政策金利が段階的に引き上げられており、引き続き金融動向には注視してまいります。
このような状況下における、当社グループの事業別の課題は、以下のとおりであります。
① 不動産販売事業
付加価値を生み出す開発力を高めることが当面の課題であると認識しております。物件の付加価値を向上させて収益力を高めるには、これまでよりも大規模な工事や専門的な交渉など、難易度の高いバリューアップが必要となるため、ノウハウの蓄積及び人材育成、組織力強化を進めてまいります。また、当該事業においては資金需要が旺盛であり、かつ機動的な資金も必要であるため、多様な資金調達手段を確保し、更なる財務基盤の強化を進めてまいります。
近年取組んでいる不動産開発事業では、工期管理と高騰する建築価格への対応が課題であると認識しております。物件の竣工時期が想定どおりにならない場合、業績に影響を与える可能性もあるため、当初見込んだスケジュールどおりの建設が進むようにする必要があります。また、建築価格が上昇しており、当初想定した物件の収益が変わってしまう場合、業績に影響を与える可能性があります。それぞれ対処するために、当社グループ内での管理能力の向上と協力会社との連携をはかってまいります。
② 不動産賃貸事業
イ.不動産賃貸領域
中古物件を借り上げ、又は取得し、リニューアルにより高収益が得られる不動産に再生する力を継続的に高めることが当面の課題であります。そのためには、企画力・開発力・デザイン力を強化し、バリューアップできる対象物件・手法の拡大をしてまいります。
ロ.空間再生領域
賃貸住宅の空室率が上昇する中であっても他物件と差別化できるリノベーション提案力、物件の選定力を高めることが当面の課題であります。そのためには、取引先との関係を強化しリノベーション提案力を高めることと、物件選定力を高めるための人材育成を進め、長期不稼働になっている建物や遊休地を保有する不動産所有者から所有不動産の再生利用を受託できる能力の強化を進めてまいります。
また、民泊事業では、インバウンド需要が上昇する中、当社グループの施設を選んでいただけることが課題だと認識しております。その為にも、一般的な宿泊施設としてだけでなく、他社とは異なる明確なコンセプトを持った宿泊施設とするべく企画力を強化してまいります。
③ 不動産管理事業
顧客である不動産所有者より信頼して不動産管理を任せて頂けるよう、不動産関連知識のさらなる向上に努めてまいります。また、金融や税務といった専門的な知識・知見も不可欠であり、専門家である方々との連携も強化してまいります。
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