企業アズパートナーズ東証:160A】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。

(1) 経営の基本方針

 当社は、「私たちアズパートナーズは、『世代を超えた暮らし提案型企業』として、あらゆる世代の方々の幸せを追求し、私たちに関わる全ての人々が幸せになることを目指します。」を企業理念として、超高齢社会や著しい介護人材不足等の社会課題に挑み、あらゆる世代が希望と幸せに溢れる持続可能な社会づくりに貢献してまいります。

 介護サービス事業においては、「お客様(高齢者)第一主義の精神」を軸として、「精神的なサポート」、「安心・安全な暮らし」、「快適な住空間の提供」、「(お客様の)ご自分らしい生活」をサービス理念として掲げ、お客様が自身の暮らしに希望や想いを持ち、豊かな暮らしを実現することを目指しております。

 従業員行動規範は、「思いやり」、「謙虚かつ誠実」、「人の笑顔をつくる」、「自ら考え行動する」、「成長を楽しむ」、「信頼される」、「人を幸せにする」からなり、これらの実践を通して、従業員がやりがい持ち、成長を実感しながら、「お客様が望む暮らしを一緒に共創」してまいります。

 上記、企業理念、サービス理念、従業員行動規範に基づき事業を展開し、事業計画を堅実・着実に推進することにより、経営基盤が強化・成長するとともに、財務体質の安定に努め、社会に貢献いたします。

(2) 経営戦略

 当社は、「世代を超えた暮らし提案型企業」を使命として、超高齢社会、生産年齢人口の減少などの社会環境の中で、あらゆる方々の「暮らし」の課題解決、幸せの追求に取り組んでまいります。

 中核となるシニア事業の介護付きホーム事業は、超高齢社会の到来を迎え、「施設ではなく住まいでありたい」の想いで高齢者の「住まい」を提案してまいりました。そこで暮らすご入居者の良きパートナーとして支え続けるためには、スタッフの笑顔が基礎となるとの考えから、「EGAO link」を導入し、業務効率化と生産性向上を実現しています。この「EGAO link」を事業の核として、さらに生産性向上やデータに基づく根拠のある介護(科学的介護)を磨き、介護DXを推進してまいります。こうした強みを活かし、介護付きホームの大規模化による収益性向上を進めております。デイサービス事業は、他社と差別化した、在宅でお暮しの「ひとり」を感じている方の居場所としてのサービスを広げてまいります。高齢者の幸せを追求し、質の高いサービスを提供することにより、地域に評価され、稼働率向上につながるものと考えております。

 シニア事業を支える人材は、「EGAO link」による働きやすさと働きがいを訴求し、当社の理念に共感する新卒採用の実績を積み重ねております。今後は、いわば「介護DX人材」として、当社の中核人材、さらには介護業界を変える人材として育成してまいります。

 不動産事業では、安心・安全な街づくりに貢献すべく、老朽化した共同住宅を価値ある不動産に再生する提案を継続してまいります。さらにシニア事業運営の強みを活かし、介護付きホーム等の超高齢社会に求められる価値ある不動産開発(シニア開発)も広げてまいります。

 これらの事業について、今後は業界全体を変えていく強い想いで、「EGAO link」の紹介、「介護DX人材」による他法人に対する介護DXコンサルティングや当社のノウハウをシステム・アプリ化する成長戦略・成長機会を描いております。またシニア開発事業も、当社が運営する形態(自社運営)、他社の事業をサポートする形態(他社事業サポート)の両面を広げてまいります。

 このように、当社は、人口構造と社会環境の変化の中で、介護DXによりサステナブルな介護業界に変革する提案を続け、事業の継続性の観点から営業利益を重視して、持続的な成長を図ってまいります。

(3) 経営環境

① 都市部における要介護高齢者の急速な増加に伴う介護サービスの需要拡大

 当社のシニア事業の対象者である要介護高齢者の市場については、今後も拡大することが見込まれています。認知症高齢者の増加、世帯主が65歳以上の単独世帯や夫婦のみの世帯が増加していくこと、さらに都市部では75歳以上人口が急速に増加することが見込まれており、厚生労働省は、更なる介護サービスの基盤の整備が必要であると分析しています。(注1)

 特に、当社の介護付きホームの入居者の中心となる85歳以上人口については、2035年頃まで急速な増加が見込まれています。(注2)

(注1)厚生労働省社会保障審議会介護保険部会(第92回)(令和4年3月24日)資料1「介護保険制度をめぐる最近の動向について」17ページ

(注2)厚生労働省社会保障審議会介護給付費分科会(第217回)(令和5年5月24日)資料1「介護分野の最近の動向」11ページ

② 介護付きホームの「総量規制」と他の高齢者向け住まいの増加

 当社のシニア事業の中心となる介護付きホーム(特定施設入居者生活介護)については、2000年4月の介護保険制度において制度化されました。2006年4月より、地方自治体の介護保険事業(支援)計画に基づく「総量規制」が設けられ、多くの地方自治体では「公募制度」により新たな介護付きホームの選定を行っています。

 一方、介護付きホーム(特定施設入居者生活介護)の指定を受けていない住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅については、総量規制の影響も受けないことから、引き続き事業所数が増加しております。(注)

(注)厚生労働省社会保障審議会介護給付費分科会(第221回)(令和5年8月7日)資料4「特定施設入居者生活介護」10~13ページ

③ 生産年齢人口の急減に伴う介護労働市場の課題

 一方、人口構造の推移を見ると、今後生産年齢人口は急減することが想定されており(注1)、他の産業を含めた人材不足が予測されております。都道府県が推計した介護職員の必要数を集計すると、2040年度には約280万人(2019年度と比較して69万人の増加)(注2)となっており、ますます介護人材の確保は困難になると見込まれています。

(注1)厚生労働省社会保障審議会介護保険部会(第92回)(令和4年3月24日)資料4「介護保険制度をめぐる最近の動向について」資料1 20ページ

(注2)同資料 22ページ

④ 科学的介護と生産性の向上の取組み

 厚生労働省においては、「介護職員のやりがい・定着・キャリアアップにもつながる職場環境の改善に向けた先進的な取組を推進していくこと」、「具体的には、介護ロボットや ICT 等のテクノロジーやいわゆる介護助手の活用」などにより、「サービスの質の向上と業務負担の軽減を図ることが重要である」とされています。また、「介護現場において科学的介護の取組が進むよう2021年度介護報酬改定より開始されたLIFE(科学的介護情報システム)を活用した質の高い介護を進めていくことが必要である」(注)とされています。

(注)令和6年度介護報酬改定に関する審議報告(令和5年12月19日)

 こうした中で、当社は、2017年にIoT/ICTプラットフォーム「EGAO link」を開発、導入開始し、2020年にはすべての介護付きホームに導入を完了しております。また、当社では「EGAO link」に蓄積されたデータを活用した根拠のある介護(科学的介護)を推進しています。

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等

① IoT/ICTプラットフォーム「EGAO link®」による生産性向上

 生産年齢人口の減少に伴い、介護業界も人材確保が困難となっております。当社においては、まず従業員の働きやすさと働きがいを実現するため、ベンダーと共に、IoT/ICTプラットフォーム「EGAO link®」を共同開発しました。

 これにより、従来は紙で処理をしていた介護記録をスマートフォンで簡単に記録入力ができ、また、スマートフォンでご入居者のベッド上での状態を把握できることから夜間定期巡回業務をカットすることができる等、大きく業務効率が向上しました。

 「EGAO link®」の導入によって創出された時間を活かして、ご入居者の個別ケア・生活の質の向上に寄与するオペレーションを開発し、サービスの質の向上とともに、従業員のニーズ「働きがい・心理的報酬」にもつなげております。

 現在は「EGAO link®」により得られるデータや、記録システムに蓄積されたデータに基づく科学的介護(Evidence Based Care:EBC)を深化させ、さらにサービスの質の向上を図っております。2023年9月からは、さらに自立支援に向けた科学的介護のケアメソッドを追加することにより、自立度が大幅に改善するご入居者が各ホームにみられ、手ごたえを感じており、さらに浸透を図ってまいります。

② 働きやすさと働きがいの実現・アピールと運営方針に共感する新卒採用の好循環

 当社は「EGAO link®」と科学的介護を中心とした新しい方針を展開するためには、当社の理念や運営方針に共感する従業員を確保することが必要と考え、人材確保は新卒採用に重点を置いております。

 当社は「EGAO link®」による働きやすさ・働きがいを学生にアピールすることができ、3年連続で新卒採用170名以上を実現する好循環が生まれています。

 今後、さらなる生産年齢人口の減少に伴い、労働市場はますます厳しくなることから、従業員の働きがいの向上とそのアピールに力を入れてまいりたいと考えております。

③ 首都圏における介護付きホームのドミナント展開

 介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)は、サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームと異なり、介護報酬が包括報酬のため運営の自由度が高く、また、地方自治体の介護保険事業(支援)計画に基づく「総量規制」により参入障壁があります。当社の運営ホームはすべて介護付きホームであり、大規模事業者の中で運営ホームがすべて介護付きホームであることは当社の競争優位性となっています。

 当社は、この介護付きホームを、人口が密集し中高所得者が多く住む首都圏の国道16号線の内側を中心にドミナント展開(特定の地域に集中的に事業所を展開すること)しております。2024年3月末現在、27の介護付きホームを運営しておりますが、2025年3月期に2事業所、2026年3月期に4事業所開設し事業を拡大するとともに、展開エリアでの認知度向上を図り、稼働率向上を図っていきます。

④ 介護DXコンサルティングの事業化

 介護業界全体では、介護ICTの活用が進んでおりません。今後の生産年齢人口減少に伴い他産業を含めた人材不足が進みます。一方で、国は2024年度介護報酬改定において「生産性向上推進体制加算」を創設したり、科学的介護情報システム(LIFE)の活用を促進することにより、介護事業所のDX化を支援しています。

 こうした状況を踏まえ、当社の「EGAO link®」による業務効率化と生産性向上の経験・実績をもとに、パラマウントベッド株式会社を含む4社と協働して「EGAO link®」を広めていく活動を推進しています。当社は、「EGAO link®」の導入等の介護DXを進める介護事業者に対し、導入方法の指導、スタッフ向け研修等の支援・コンサルティングも広げてまいります。この介護DXのコンサルティングの事業化をさらなる成長戦略の柱として描いております。

 このように、当社として介護事業者のDX化を支援することにより、要介護高齢者の増加と担い手不足の介護業界の課題解決を担っていきたいと考えております。

⑤ シニア開発事業の拡大

 当社のシニア事業と不動産事業のシナジーを活かし、2022年に開設した「アズハイム三鷹」では、当社が老朽化不動産等の土地を仕入れ、当社負担で建物を建て、開設後に土地建物を売却する事業(シニア開発事業)が実現しました。当社の介護付きホームの経験・実績に基づく立地・建物仕様、高い稼働率等の運営実績を前提として、収益性が高い事業計画が立案できるため、ヘルスケアリートやファンドからの信頼性が高く、有利な条件での売却が可能となっています。(売却後も、売却先から当社が土地建物を賃貸し、当社のシニア事業として運営を継続します。)

 超高齢社会における介護付きホーム等の事業拡大ニーズを捉えて、収益性が高く、当社の強みを活かせるシニア開発事業を今後も伸ばしてまいります。

⑥ 不動産事業における財務上の課題

 当社における不動産事業は、シニア開発事業の土地取得・建築、ソリューション事業の販売用不動産の仕入等の資金として、主として金融機関からの借入等に依存しております。そのため、金利動向の変動による金利負担の増加や、在庫の長期化、固定資産の増加により自己資本比率が減少する可能性があります。

 したがって、これらの財務上の課題に対処する観点から、シニア開発物件は開発後の売却を前提とし、ソリューション事業の販売用不動産においても在庫の早期回転を重視しております。これにより、適正な在庫・固定資産の水準と財務バランスの安定性を鑑みながら堅実かつ安定的な成長を達成することを意識してまいります。

(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 当社は、事業を展開する各地域において、介護サービスを必要としている多くの方々にお客様それぞれのニーズに合わせて介護付きホーム(介護付有料老人ホーム)、デイサービス及びショートステイをご利用いただくという点から、また、売上・収益に直結する指標でもあることから、稼働率を重要指標としております。

 なお、介護付きホームの稼働率は稼働室数÷総居室数、デイサービスの稼働率はのべ利用者数÷(定員数×稼働日数)、ショートステイの稼働率はのべ稼働室数÷(総居室数×日数)であります。

 また、全社的にはシニア事業及び不動産事業を両輪として安定的に堅実に成長していくことが重要であると考えていることから、全社的な経営指標としては、営業利益としております。

 稼働率及び営業利益については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ⑤経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析について」に記載のとおりです。

より抜粋
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