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【東証グロース:7694】「小売業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針・経営戦略
「当社グループは、『日本の未来をECでつくる』というミッションを掲げ、ブランド・メーカーのEC事業を総合的に支援するとともに、自社でD2CブランドやECプラットフォームを運営し、法人向け・消費者向け双方にビジネスを展開しております。株式会社富士経済が公表した「通販・e-コマースビジネスの実態と今後2025」によれば、2024年のEC(物販)市場規模が14.6兆円であったことに対し、2025年の見込みは15.1兆円、2026年は15.4兆円と、着実に成長を続けていくことが予想されております。このため、今後も各ブランド・メーカーが継続的にECビジネス展開に注力していくことが予測されます。
また、当社グループはこれまでのEC支援実績に加え、今後はソーシャルコマース支援が新たな事業の柱となると見込んでおります。Statista社が公表した「Social commerce in Japan」によれば、2025年のソーシャルコマース市場規模が約1.1兆円と予想され、今後ByteDance社からTikTokShopがローンチされれば、一気に市場は急拡大していくことが予想されております。
これまでライブコマース特化型アプリケーション「Peace you LIVE」の運営を通じて、様々なソーシャルコマースやライブコマースの実績・ノウハウを蓄積してまいりました。今後はTikTokを筆頭としたSNS上でのマーケティングの戦略設計から、販促計画の立案、コンテンツ制作や、物流までを一気通貫でサポートする「ソーシャルコマース総合支援」を本格的に開始します。さらに、ソーシャルコマース専門クリエイター事務所「ピースクリエイション」を設立することで、ソーシャルコマース市場における確固たる地位の確立を目指します。
このような成長市場において、当社グループがその機会を最大限に活かし持続的な成長を遂げるためには、後述する経営戦略の着実な実行と経営課題への的確な対応が不可欠であると考えております。
① Oneコマース
<成長戦略>
a) 契約数・1社当たり契約単価増加
Amazonや楽天市場といった主要ECプラットフォームから、自社ECサイト、ソーシャルコマースまでを網羅するクロスチャネル戦略の策定・実行を行い、より多くの取引先のニーズに対応できる体制整備を進めてまいります。また、エージェントAI群を活用し「データ×テクノロジー×メソッド」を掛け合わせた独自のマーケティング「いつも.データマーケティング(iDM.)」を活用し、データドリブンな意思決定とPDCAの高速化することで、顧客の事業成長に貢献し、契約数の増加と1社当たり契約単価の向上に取組んでまいります。具体的なサービスとして、「3C調査エージェント」を活用したECコンサルティングサービス、売れるページを企画・構築するための「ページ作成エージェントAI」、効果の上がったクリエイティブを提案する「デザインデータプラットフォーム」、マーケティングデータをワンクリックで多角的に分析できる「いつも.ダッシュボード」など順次リリースしてまいります。
b)大手プラットフォームやECツールベンダーとの連携
大手プラットフォーム等の戦略的なパートナーとして、他社と差別化された最先端のマーケティング支援やサービス開発を行うことで、顧客の事業成長に貢献します。各社と連携を密に取り、協業やイベント等を通じて顧客獲得のモデルを確立し、契約数の増加に取組んでまいります。
c)ソーシャルコマースの総合支援
TikTokShopが今後ローンチすれば、ソーシャルコマース市場は急拡大すると予測されています。私たちは既に「ピースユー」というライブコマースプラットフォームや、ソーシャルコマース専門クリエイター事務所の設立を通じて、戦略設計から、販促計画の立案、コンテンツ制作や、物流までを一気通貫でサポートする「ソーシャルコマース総合支援」を本格的に開始することで、契約数の増加と1社当たり契約単価の向上に取組んでまいります。
② 協業ブランドパートナー
<成長戦略>
a) 取扱いブランドの増加
新規ブランド・メーカーとの取引開始を推進するとともに、複数ブランド展開されている既存の取引先様に対しては、別ブランドとの新規契約へ繋げるなど、顧客満足度の向上に通じた深耕営業にも注力し、契約ブランド数及び展開プラットフォーム数の拡大に努めてまいります。また、TikTokShopなど新たなECプラットフォームへの出店支援を積極的に推進してまいります。
b) 取扱いブランドの成長
当社グループは、取引先であるブランド・メーカーとの緊密なコミュニケーションを基盤とし、ブランド価値の最大化を共に目指すビジネスパートナーとしての役割を重視しております。この考えのもと、引き続き良好な関係性の維持・強化に努め、当社グループが運営を担う公式ECサイトの持続的な成長を実現してまいります。
c) TikTokShopを始めとしたソーシャルEC小売店舗の開設
当社グループは、TikTok ShopをはじめとするソーシャルEC小売店舗の開設支援を通じて、顧客の多様な商品群を直接消費者に販売する事業を開始します。この取組により、拡大するソーシャルコマース市場において、顧客の早期売上創出に貢献することを目指してまいります。
③ 共創・自創バリューアップ
<成長戦略>
a) 自社ブランドの開発、取扱いブランドの販路拡大
スノーアパレルを主力で販売する「ビーラン」では、季節変調による商品構成や滞留在庫等が収益を圧迫していたため問題の解決に取り組んでまいりました。現在は商品MDの抜本的見直しによりペットやアウトドアブランドなどの通年販売可能な高付加価値商品の開発・拡充、物流コスト削減などのサプライチェーン最適化を行い、早期の黒字化と安定的収益基盤の確立を目指し、冬期偏重の収益構造からの脱却を図ります。
b) 共創ブランドの開発、取扱いブランドの販路拡大
自然派コスメブランドの「KohGenDo」においては中国国内での「一般貿易」の許認可を取得しました。この重要な進展を機に、中国本土の広大な消費者市場へのアクセスを確立し、現地のニーズに合致した販売チャネルの戦略的な開拓及びブランド認知度向上のためのマーケティング活動を、2026年頃から積極的に展開いたします。これにより、「KohGenDo」ブランドの海外事業における成長を加速させ、当セグメントの収益拡大に貢献することを目指してまいります。
④ ECプラットフォーム
<成長戦略>
a)ライブコマースサービスの市場拡大
TikTokShopが今後ローンチすれば、消費者がSNS上で商品を発見し、そのまま購入に至るという「出会って買う」流れはますます加速し、ライブコマースも、これまでの単なる販売チャネルではなく、ブランドと顧客がリアルタイムで繋がり、共感を醸成する重要な場として発展すると予測しています。ライブ配信を通じた商品販売の効率性向上とユーザー体験のさらなる強化を図り、国内ライブコマース市場における事業基盤の拡大を推進してまいります。具体的には、ソーシャルコマース専門クリエイター事務所「ピースクリエイション」の設立を通じて、販売実績の高いクリエイター及びライバー(配信者)の新規獲得と育成・支援プログラムの充実、ユーザーインターフェース(UI)及びユーザーエクスペリエンス(UX)の継続的な改善、並びに出店ブランド及び商品ラインアップの拡充を通じて、プラットフォーム全体の活性化と流通額の増大を目指します。また、ライブコマース特化アプリとして提供している「Peace you LIVE」の販売効率を高め、市場拡大に向けた強化に向けて取組んでまいります。
b) 中国向けコミュニティ販売の販路拡大
中国市場においては、富裕層や特定コミュニティをターゲットとした会員招待制のコミュニティ販売プラットフォーム「ICE CREAM」を展開しており、現在参加するコミュニティリーダーの数は数千名規模にまで拡大してきております。また、これまで同アプリケーションの改良により、ユーザーの利便性向上を目的とした大幅な改修を実施したことや上海に実際の商品を触ることが出来る店舗を設置したことにより、「リアルな体験を行ったユーザーがオンラインで購入する」という新たな商流を構築いたしました。今後も快適な購買体験を提供し、既存会員の満足度向上と新規会員獲得によるプラットフォームの認知度向上を図るとともに、取扱い商品カテゴリーの拡充及び日本ブランドの誘致を強化することで、中国市場における売上規模の拡大に努めてまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、売上高の成長と売上総利益額を重要な指標とした経営を行っております。Oneコマースでは、新規ブランドの獲得と、既存取引先当たりの契約単価上昇、協業ブランドパートナーでは、新規ブランドの獲得に加え、継続ブランドの成長を促進、共創・自創バリューアップでは、ビーラン社による商品MD改善や売上連動型生産体制を通じた適正在庫と販売力強化、ECプラットフォームでは、ピースユー社によるGMV(流通取引総額)の最大化を通じて、売上高及び売上総利益の増加を目指してまいります。
(3)経営環境
株式会社富士経済が公表した「通販・e-コマースビジネスの実態と今後2025」によれば、2025年に15.1兆円(対前年比103.1%)の市場のうち、Amazonや楽天市場などECプラットフォーム市場がEC市場全体の約80%を占めており、市場拡大を牽引していますが、今後のEC市場は大きく変化していくと予測しています。各ECプラットフォームは、ビジネスモデルやターゲット層に違いはありますが、TikTokShopをはじめとするソーシャルコマース市場や、SHEINやTemuをはじめとする中国発の越境EC市場の急成長が注目されています。また、消費者の購買行動にも大きな変化が起こっています。目的型の検索「探して買う」から、発見型の検索「出会って買う」という購買行動がSNSの普及で年々増加し、最近ではAI型の検索「おすすめで買う」という体験も普及し始めています。当社グループは、このような市場や消費者の変化に合わせた新サービス開発や人材育成を行うことにより、業績拡大の余地が大いにあると捉えています。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
① EC総合支援会社の強みの再構築
近年のECマーケティングの高度化に伴い、データに基づいた意思決定、施策の精度と実行速度がより重要になると予想されます。当社グループは、単なる効率化やAI導入ではなく、成果に繋がる施策を組み込んだAIエージェントを開発し、データに基づいた課題発見から高速な解決、再現性のある支援モデルの構築を目指してまいります。
② 新たなソーシャルコマース市場への進出
消費者の購買行動が目的型検索から発見型検索へ移行する傾向を受け、当社はEC総合支援に加え、ソーシャルコマースの総合支援へと事業領域を拡大します。そのため、多くの顧客にサービスを提供できる組織体制の構築、多様な人材の獲得・育成、テクノロジー投資の加速を早期に実現する計画でおります。
③ 子会社ビーランでの構造改革
スノーアパレルを主力販売するビーランは、商品MD改善や売上連動型の生産体制、物流体制や取引条件変更などを実施し、ビジネスモデル変革を実施してまいります。また、冬場偏重の収益構造の平準化に向けた、通期で販売可能な商品展開の構築と、高価格帯の新ブランド開発による新たな市場への進出を計画してまいります。
④ 人的資本への投資
当社グループは、多岐にわたる事業モデルと顧客に対応するため、EC事業をプロデュースできる人材の採用と育成を推進します。そして、経験や勘だけに頼るのではなく、エージェントAI群を活用し「データ×テクノロジー×メソッド」を掛け合わせた「いつも.データマーケティング(iDM)」を核とした再現性のあるEC支援モデルを確立することで、顧客のEC売上向上や、自社運営するプラットフォームに貢献する体制構築を目指します。これらを実現するためには人的資本への投資を不可欠と捉えております。
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