あさひ
【東証プライム:3333】「小売業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 会社の基本経営方針及び経営戦略
当社は『私たちは、自転車を通じて世界の人々に貢献できる企業を目指します。その企業目的に賛同し、参画するすべての人々が、豊かな人生を送れることを目指します。』という経営理念及び「あさひVISION2025」の実現を目指した行動計画に基づき、以下の方針を掲げております。
①全国各地への出店を進めるとともに、地域特性を活かした品揃えや、自転車をご利用されるシーンに合わせたライフスタイル提案型の展示を行なうなど、お客様のニーズに合わせた店舗展開をしてまいります。
②インターネット通信販売では、自社の「公式オンラインストア」に加え、「Yahoo!店」「楽天市場店」を展開し、未出店地域のお客様への対応に力を入れております。また、地域密着型のリアル店舗との融合による「ネットで注文・お店で受取り」サービスを展開し、より身近に、より便利に自転車を提供できることを目指し、OMO(注)戦略の強化に取り組んでいます。
③自社ブランド商品や当社が日本総販売代理権を有する「ルイガノ」などの海外スポーツサイクルブランドを中心に国内販売店に対して商品卸事業を行なっています。
④商品戦略では、お客様のニーズをつねに汲み取り「確かな品質で値ごろ感のある商品」を目指し、企画・開発に取り組んでおります。また、品質管理につきましては、商品のさらなる安全性の強化・向上を実現してまいります。
これらに基づき、今後も自転車専門販売店チェーンとして、世界の人々の自転車ライフの向上に努めてまいります。
(注) Online Merges with Offlineの略。ECと店舗が融合して、情報入手から購入、利用までをお客様の体験価値としてご提供する仕組み。
(2) 目標とする経営指標
①年間出店数
マーケティング機能の充実を図りながら、毎期15から20店舗を目処とした新規出店のペースを維持し、お客様のさらなる利便性の向上に努めてまいります。
②自社ブランド商品構成比率
お客様にとって最適な品揃えをコンセプトに、店舗におきましては自社ブランド商品と他社ブランド商品の品揃え構成比率を各50%前後に保っています。
③対売上高営業利益率
当社は自転車及び自転車関連商品販売が事業の大半を占めるため、本業の収益性が明確に表れる対売上高営業利益率を重視しており、8%を当面の目標とし、一層の効率的な運営による営業利益率の向上に努めてまいります。
(3) 経営環境及び優先的に対処すべき課題
今後のわが国経済の見通しは、原材料価格の高止まりや円安に伴う物価高などにより、依然として景気の先行きが不透明な状況が続くと想定しております。
自転車業界では、少子高齢化による利用者の減少傾向は続くものの、過年度までの大幅な新車販売台数の減少傾向から下げ止まりの局面を迎えています。また、2024年11月に改正道路交通法が施行され、自転車走行中の「ながらスマホ」と「酒気帯び運転」の厳罰化が大きな話題となるとともに、利用者の安全意識の更なる向上が求められています。
このような経営環境の中、当社では、お客様お一人おひとりのより充実した自転車ライフをサポートし、誰もが安全・安心に自転車を利用できる環境づくりを推進します。そして、自転車の新しい価値創造企業として「持続可能な社会の実現」と「当社の持続的な成長」の両立を目指してまいります。この基本方針のもと、中期経営計画「あさひVISION2025」における以下の4つの重点戦略を着実に推進します。
・「お客様との関係性強化(CRM(注)強化)」
お客様お一人おひとりの自転車ライフのパートナーとなり、自転車の社会的価値やその可能性に共感してくださる仲間づくりを推進します。具体的には、あさひ公式アプリと連動したプッシュ通知・配信の強化により、継続的な関係性構築を目指すとともに、サイクルメイト改定とアプリ連携サービスの充実を通じ、サイクルメイト加入者に対して公式アプリへの加入を促進し、より多くのお客様とのより良い関係性を築いてまいります。また、自転車ライフの楽しさを提案する自転車の総合情報サイト「ちりりん」の充実を通じて、モノ・コト・トキに関する様々な価値の提供に努めてまいります。
・「既存店の活性化」
お客様の購買行動の多様化に対応するため、店舗とECの特性を活かした利便性や顧客体験価値の向上を目指すことで、OMO戦略を着実に遂行し、更なるEC化率の拡大を推進してまいります。また、お客様のお困りごとに対応すべくサービスメニューの拡充に取組むことにより、今の時代に求められる「お客様とのリアルなつながり」を深化させます。
・「新しい店舗スタイルの開発」
持続的な事業成長戦略として、従来の郊外型店舗に加え、新しい店舗スタイルの開発と出店を推進し、より多くのお客様に当社のサービスや商品を提供できる体制を整備します。EC利用率が高く、修理需要の受け皿ともなり得る都市部での出店や初期投資を抑制した小型店舗の開発を通して、比較的小規模な商圏でも成立する「都市型店舗」フォーマットを活用したビジネスモデルの強化を進めてまいります。
・「事業領域の拡大」
自転車業界全体の活性化や仲間づくりを目指し、卸売事業や企業・団体向けの外商事業を拡大してまいります。卸売事業では、自転車業界最大のSPA企業として、当社の強みである物流網を最大限に活用しながら高品質で安全性の高いあさひブランド商品を全国の自転車販売店へお届けします。店舗・ECでのリユース事業についても更なる拡大を目指し、買取対象店舗数を増加させるとともに、買取・商品化・再販売の一貫体制の強化、物流の効率化、在庫の確保や商品供給の安定化を図り、低炭素社会・循環型経済の実現に貢献します。
(注) Customer Relationship Managementの略。当社では、「サイクルベースあさひ公式アプリ」を通じてお客様の自転車ライフがより便利で快適なものになるよう情報提供を行なうなど、お客様との関係性強化を進めるための取組みを指す。
(4) 企業価値向上に向けた取組み
東京証券取引所からの「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請を受け、株価純資産倍率(PBR)改善に向けた取組みを進めてまいります。
成長投資では、新規出店を中心とした店舗数の増加に加え、デジタル・ITや物流基盤の強化、SPAビジネスモデルの深化など、将来の成長を支える基盤づくりへの投資を促進してまいります。株主価値向上に向けた取組みとしては、財務の健全性を維持しながら、配当性向35%を目安とした株主還元を行なうことで継続的な増配を目指し、投資先として魅力あるものにしていきたいと考えております。
なお、2025年2月期の自己資本利益率(ROE)は、資本コスト(約5~6%程度)を上回る9.3%となりました。引き続き資本効率向上を図り、PBRの改善につなげてまいります。
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