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星2つ 企業兼大株主住友不動産  企業概要

(1)基本方針、ガバナンス及びリスク管理

 基本方針

当社は、住友本社を継承した住友グループの総合不動産会社として、430年もの歴史を刻む“住友の事業精神”を経営理念として継承しています。世界で最も永続している企業グループの一つである住友グループは、「信用を重んじ、浮利を追わない」、「自身を利するとともに社会を利する」といった事業精神を脈々と受け継いできました。住友不動産グループでは、これら先人の教えを踏まえ、信用を大切に、目先の利益を追わず、自己の経済価値だけでなく、先々まで世に必要とされる持続的な社会価値を一体的に創出することを経営理念に掲げ、事業展開を進めてまいりました。

この企業姿勢をコーポレートスローガン『信用と創造』として掲げ、何よりもステークホルダーとの信頼関係を大切に、高い目標を掲げ、新たな発想で新分野を開拓し、挑戦する、“新しい価値を創造”することを行動指針としております。また、『より良い社会資産を創造し、それを後世に残す』を基本使命とし、各事業を通じて環境をはじめとする様々な社会課題の解決に取り組みつつ、企業価値の最大化を目指すことを経営の基本方針としております。

不動産業は、人々が働き、住まい、交流する拠点形成や関連するサービスを創出し、人々の生活を豊かにする使命を負った社会的意義の高い事業です。当社の主要な開発手法であるオフィスや住宅を中核とする再開発事業では、木造家屋が密集するなど災害リスクの高い地域で、堅牢な耐火建築物への建替えを実施し、地域防災性を大きく向上させるとともに、地権者と共同で事業を推進することにより、コミュニティ形成や地域活性化を促進する交流拠点を形成するなど地域の課題解決に貢献するまちづくりを推進しております。

当社は、「災害に強い」、「環境にやさしい」、「地域とともに」、「人にやさしい」の4つを重要課題(マテリアリティ)とし、後世まで持続可能な社会資産を提供する、「サステナビリティ経営」を実践してまいります。

 ガバナンス及びリスク管理

当社グループ全体で横断的にサステナビリティ経営を推進していくため、社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置し、サステナビリティに関するリスク及び機会を識別・評価するとともに、目標の進捗状況を管理しております。また、その下部組織である「BCP対策協議会」、「内部統制会議」、「サステナビリティ推進協議会」では、議長を務める企画本部長を責任者とし、対応する分野のサステナビリティに関する課題の抽出、解決に取り組んでおります。重要課題については、サステナビリティ委員会に諮るほか、必要に応じて取締役会に報告しております。


(2)主な取組み

 気候変動に関する取組み

イ 脱炭素への取組み方針

当社は、国際的社会課題である「2050年カーボンニュートラル」に賛同を表明するとともに、2022年5月には、2030年度までの中間目標として、パリ協定直前の2014年度対比でCO2排出量を50%削減する目標を掲げました。総合不動産デベロッパーとして、サプライヤーや事業パートナー、テナント、業界団体などの各ステークホルダーと協働し、各主力事業で省エネや創エネの普及促進を図り、消費者への訴求力を高めた商品やサービスの開発、提供を推進しております。

また、TCFDフレームワークに基づき、ガバナンス・戦略・リスク・目標の4つの観点から、気候変動がもたらす財務影響とその対応を整理・分析し、当社ホームページにて情報開示しております。

https://www.sumitomo-rd.co.jp/sustainability/pdf/TCFD_disclosure_climate_change.pdf

ロ 各事業における取組み

現在推進中の「第九次中期経営計画」では、各事業の排出量削減目標を定め、以下の具体的取組みを推進しております。当期は下表の通り順調な進捗となりました。引き続き脱炭素の取組みを事業拡大に結びつけ、目標の達成を目指してまいります。

オフィスビル

オフィスビル事業では、新規物件の開発や既存物件のリニューアルに際し、高断熱の外皮仕様や高効率設備等を積極的に導入して環境性能の高い開発により省エネ化を推進しております。また、テナント専有部においては、テナント企業の多様化するグリーン電力導入ニーズに応えるべく、一般的な非化石証書を使用した電力供給のみならず、脱炭素への貢献度が高い新設した再生エネルギー発電所からの電力供給など、複数のメニューを揃え提供する体制を整えております。

分譲マンション

第九次中計以降の設計物件は全件、現行の省エネ基準からエネルギー消費を2割抑制する高い環境性能を備えた「ZEH-M Oriented」を標準仕様とし、居住時の省エネ性能向上で脱炭素に貢献する開発を推進しております。

新築そっくりさん注文住宅

日本の既存住宅は、5,000万戸超のストックのうち9割が最新の省エネ基準を満たさず、脱炭素化に向け、大きな社会課題となっております。当社の「新築そっくりさん」事業では、2021年12月に提供開始した高度な省エネ性能を実現する「高断熱リフォーム」が好評を博し、改修による長寿命化とともに既存住宅の省エネ化を推進しております。大規模リフォームの「高断熱リフォーム」受注比率は2023年3月に31%まで上昇しております(第九次中計目標20%)。

また、初期費用負担を要因に普及が進みにくかった太陽光発電設備については、東京電力グループとの協業により、初期費用なし、居住期間中は月額サービス料のみでメンテナンス、交換も受けられる太陽光発電サービス「すみふ×エネカリ」を2021年9月に提供開始しました。注文住宅では、このサービスを組み込んだ最新のZEH(ゼロエネルギーハウス)基準を上回る高い省エネ性能を確保した「住友不動産の栖(すみか)」を2022年4月に発売、2023年3月のZEH受注比率は92%に達しました(第九次中計目標60%)。

第九次中計 各事業における数値目標と達成状況

第九次中計の目標

 

当期実績

オフィスビル

 

 

 

テナント専有部のグリーン電力 導入率30%

15%

 

テナント企業毎の意思決定で導入可能なグリーン電力導入プランメニュー

分譲マンション

 

 

 

ZEH-M Oriented 設計100%

約4,600戸

※申請中を含む

 

高水準の省エネ設計を標準化、削減寄与は対象物件が竣工する十次計画以降

新築そっくりさん

 

 

 

高断熱リフォーム商品(投入済) 受注比率20%

14%

 

既存ストックの課題「低い断熱性」を補う高水準の省エネリフォーム

注文住宅

 

 

 

ZEH住宅(標準化済) 受注比率60% ※ZEH相当を含む

57%

 

最新ZEH基準以上の断熱・省エネ性能+太陽光発電サービス「すみふ×エネカリ」

その他

 

 

 

当社グループの自己使用オフィスの電力を全量グリーン化

約7割確保

 

「すみふ×エネカリ」の太陽光発電で創出した現在価値を取得

※注文住宅、新築そっくり必要設置棟数約4,000棟

人的資本に関する取組み

イ 当社の持続的成長を支える独自の人材投資戦略

当社は、コーポレートスローガンに掲げる「信用と創造」を実践し、持続的成長による企業価値を高める源泉は従業員であると考え、持続的成長の果実はまず従業員に還元する、従業員ファーストの経営を目指しております。また、社内に異なる経験・技能・属性を反映した多様な視点や価値観が存在することは、会社の持続的な成長を確保する上での強みとなるとの認識のもと、かねてよりダイバーシティ推進に積極的に取り組み、キャリア採用による人材確保、年功によらず専ら能力・成果に基づく評価制度、専門職種毎の給与体系を並立させる給与制度など、多様性に富む強靭な組織を実現するための独自の人事制度を構築しております。

ロ 経営再建時代、事業構造転換のために進めた人事制度改革

バブル崩壊後、再建計画として第一次中期経営計画(1997-2001)を開始した頃の当社は、収益力の大幅な低下とともに不良債権や過大な有利子負債を抱えておりました。

再建計画では、不動産証券化など資金調達の多様化に取り組み、不動産業の原材料である未稼働土地の商品化(開発)を進める一方で、先行投資を必要としない「人が収益を生み出す」受注生産型の新規事業「新築そっくりさん(リフォーム事業)」等に活路を見いだし、収益力の回復を目指しました。

この事業構造転換に際して、外部から優秀な専門人材を大量に採用する必要に迫られ、旧来の“年功序列”による人事制度を廃し、“高率歩合給”などの能力、成果主義を核とする人事制度への改革を実施し、「新築そっくりさん事業」や「注文住宅事業」の収益拡大に大いに寄与しました。

その後、分譲マンションや賃貸マンション、ホテル、イベントホールなど、「実物資本」と「人的資本」をハイブリッド活用する他の事業にも、この人事制度を拡大適用し、それぞれ事業別に必要な専門職種人事制度を複数並立させる、いわば「職種別キャリアパス制度」とも言うべき人事制度を構築し、優秀な中途採用の専門人材による各事業の付加価値向上に大きく寄与しました。

当社はこうして、東京都心の再開発事業を中心としたオフィスビル賃貸事業を収益の柱に据えて長期的な安定成長基盤を構築するとともに、賃貸マンションやホテル、イベントホールなどの賃貸関連事業、分譲マンション、新築そっくりさん、注文住宅、仲介などの各主力事業において、それぞれ特徴的な事業スタイルを築きながら、現在まで持続的な成長による企業価値向上を実現してきました。

ハ 当社独自の「職種別キャリアパス制度」

当社はこの人材戦略の有効性を踏まえ、営業職や技術職に限らず、コーポレートスタッフにも専門職種のキャリア職採用を拡大、現在は主要職種だけで約30種もの職種別の給与体系を並立させる人事制度を構築しています。各専門職種は従事する事業や業務の特性に応じて、固定給、変動給の割合、昇給テーブル等を個別に設定しておりますが、全職種で共通して年齢、性別、社歴を問わず、各人の能力(職責)と成果のみで評価する公正な給与制度としており、この制度が持続的に職員の成長を促しています。

ニ 当期は7%の賃上げを実施

当期は、この人事制度のもと、個々の従業員の成長に応じてメリハリのある昇給を実施したことに加えて、光熱費を中心とした急速な物価上昇に配慮し、臨時の生活支援特別手当としてグループ従業員1万人を対象に一律10万円を支給しました。さらに、最高益更新に伴う期末一時金(一律10万円)を、従来の住友不動産本社のみの対象から、グループ従業員全体に拡大支給し、好業績の歓びをグループ全体で分かち合うこととしました。その結果、二度の一時金総額23億円を含めた当期の賃上げ率は7%となりました。今後も、持続的成長に沿った株主への還元とともに、その原動力となる従業員への人的資本投資を手厚くしてまいります。

ホ ダイバーシティに富んだ組織を実現

20年余り前から、他社での多種多様なキャリアを持つ人材を、即戦力として積極的に採用し人材確保を推し進めた結果、すでに当社職員の9割がキャリア職となり、異なる経験・技能・属性を反映した多様な視点、価値観の存在する柔軟かつ強靭なダイバーシティに富んだ組織を実現し、当社成長の源泉となっております。

さらに、職員のモチベーション向上のためには管理職登用における機会均等が最も重要であるとの考えから、性別、新卒・中途の別によらず、専ら意欲と能力・成果による登用を進めております。その結果、現在、管理職の6割以上をキャリア職出身者が占め、管理職における多様性も確保されております。

また、女性活躍推進についても積極的に取り組んでおります。まず、現場の第一線を支える営業・技術職における女性採用比率の数値目標(営業職25%、技術職13%)を公表し、将来の登用に向けてまずは社員数を厚くすべく、職員における女性比率の向上に取り組んでいます。次に、2022年に、職務給中心の人事制度を全職員に適用する改革を行い、出産、育児等のライフイベントにより中長期にわたりキャリアの中断があった職員についても、復職後、不利なく責任あるポストに即座に就くことが可能な制度とするなど、女性のキャリア形成支援に取り組んでいます。その結果、当期末時点の管理職に占める女性労働者の比率は9.4%となりました。また、女性の役員選任についても積極的に取り組んでおり、本報告書提出日時点で女性の役員は2名となっております。

なお、管理職の多様性は、上記のような公正な採用方針、公正な制度、公正な登用の結果として自ずと確保されていくべきものと考えております。管理職の多様性について数値目標を定めることは、却って、管理職登用における機会均等を歪め、職員全体のモラールを下げてしまう懸念があると考えているため、かかる数値目標は定めない方針です。

へ 制度の継続活用と深化拡大

現行の人事制度は、持続的成長を目指す当社の経営戦略において、既存事業の成長に資するだけでなく、新規事業や将来の事業構造転換においても、必要なスキルを有する人材確保、育成を推進する上で引き続き有効と考えています。

当社は、当該人事制度を継続深化、拡大させるため、各専門職種の人材マーケットに則した柔軟な給与水準の見直しや、必要な人材の厚みを確保するため職種ごとに専門的なスキルアップ教育の拡充を図るほか、有能な人材に社内転職の機会を提供する「住友不動産グループ・チャレンジ制度」によるキャリア形成支援など、様々な取組みにより制度のさらなる発展を推し進めてまいります。

人的資本の関連情報については、当社ホームページをご参照ください。

https://www.sumitomo-rd.co.jp/sustainability/society.html

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