他社比較

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書 貸借対照表(B/S)
  • 決算書 損益計算書(P/L)
  • 決算書 キャッシュフロー計算書(C/F)
  • 企業概要
  • 大株主
  • 役員
  • 就職・採用情報

星2つ 企業兼大株主日立製作所  企業概要

 日立は、サステナビリティを事業戦略の中核に据えた「サステナブル経営」を実践しており、社会イノベーション事業を通じたサステナブルな社会の実現に向けて取り組んでいます。

 日立のサステナビリティに関する考え方及び具体的な取り組みは以下のとおりです。

(1)ガバナンス及びリスク管理

 日立は、2022年4月から、当社経営における重要事項について審議する経営会議の中に、「成長戦略会議」、「リスクマネジメント会議」及び「人財戦略会議」を設け、それぞれ以下の重要事項について審議しています。このうち、リスクマネジメント会議においては、執行役社長を議長、CRMO(Chief Risk Management Officer)を副議長として全社的リスクに係る重要事項の議論・決定を行っており、リスクを一元的・横断的に把握することで、成長戦略と連携した盤石な経営基盤の実現をめざしていきます。また、人財戦略会議は、組織・人財に関する決裁における執行役社長の諮問機関であり、日立グループの成長に向けた組織・文化の醸成及び人財の確保・育成のために必要な事項の議論をする場として開催されています。

 サステナビリティに関する重要事項はこれらの会議体での議論を経て、経営会議で審議・決定され、必要に応じて取締役会に附議されます。

 また、Chief Sustainability Officer及び各ビジネスユニット(BU)、主要グループ会社・地域統括会社のサステナビリティ責任者などをメンバーとするサステナビリティ全体に関する会議等を通じて、サステナビリティ経営の深化に努めています。

 カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミー、人権デュー・ディリジェンス(HRDD)、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)、労働安全衛生、サプライチェーン、品質保証などの個別のサステナビリティテーマについては、各BU及び主要グループ会社等の責任者をメンバーとする会議体を設け、グループ横断での施策の検討や情報共有などを通じて日立グループ全体のサステナビリティを推進しています。

 さらに、執行役の報酬においては、サステナビリティに関する定量又は定性的な目標に対する成果を評価基準として導入しています。

(2)重要課題に対する取組

 2024中期経営計画においては、「データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現して人々の幸せを支える」ことをめざす姿として新たに掲げました。

 日立は、地球を守ることと、一人一人が快適で活躍できる社会が両立する未来を実現するための社会課題の解決をめざし、サステナビリティに関する取り組みを推進していきます。

 サステナビリティ重要課題である「脱炭素・気候変動」及び「人的資本」に関する日立の取り組みは以下のとおりです。

①脱炭素・気候変動に関する取り組み(TCFDに基づく開示)

 日立は、2018年6月、金融安定理事会(FSB)「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明し、TCFDの提言に沿って気候変動関連の財務関連の重要情報をサステナビリティレポートにおいて開示しています。

 本項目は、抜粋を掲載しています。

(イ)ガバナンス

 気候変動に関するガバナンスは、前項のガバナンス及びリスク管理に準じて実施しています。

 日立は、気候変動を含む環境課題への対応を重要な経営課題の一つと認識しています。

 気候変動対策を含む「サステナビリティ戦略」についての重要事項は、経営会議にて審議・決定され、必要に応じて取締役会に附議されます。CO2 排出量削減目標を含む環境長期目標「日立環境イノベーション2050」は、策定及び改訂の際にも、取締役会への報告を経て策定、公表しています。

(ロ)戦略

 日立は、2016年度に「環境ビジョン」を策定し、このビジョンのもと、IPCC 第5次評価報告書の「RCP2.6シナリオ(注)」「RCP8.5シナリオ(注)」などを踏まえて、世界全体で求められるCO2削減量を参考に、グローバル企業に求められる脱炭素社会実現への貢献を果たすため、環境長期目標「日立環境イノベーション2050」を策定しました。その後のIPCC「1.5℃特別報告書」を踏まえて気温上昇を1.5℃以内に抑えるため、日立の事業所(ファクトリー・オフィス)において2030年度までにカーボンニュートラル達成、バリューチェーンにおいて2050年度までにカーボンニュートラル達成という目標に改訂しました。グローバルでの脱炭素社会の実現に貢献するため、より高い目標を策定し、目標達成に向け推進しています。

 (注)RCP2.6シナリオ:産業革命前に比べて21世紀末に世界平均気温の上昇幅が2℃未満に抑えられるシナリオ

    RCP8.5シナリオ:産業革命前と比べて4℃前後上昇するシナリオ

気候変動関連のリスク(日立グループ)

 気候変動に関するリスクは、「脱炭素経済への移行リスク(主に1.5℃シナリオに至るリスク)」及び、「気候変動の物理的影響に関連したリスク(4℃シナリオに至るリスク)」に分類されます。

(ⅰ)脱炭素経済への移行リスク(主に1.5℃シナリオに至るリスク)

 脱炭素社会への移行リスクは、炭素税、燃料・エネルギー費への課税、排出権取引などの導入に伴う事業コスト負担増や、脱炭素社会に向けた製品・サービスの技術開発の遅れによる販売機会の逸失などが想定されます。

 このリスクは、「脱炭素社会が実現した世界では、現状のままで存続できない事業」において存在し、化石燃焼が使えなくなるリスクに該当します。現在の日立の事業では、電気をエネルギー源とするものが多いため、脱炭素社会に移行することに起因する重大なリスクは、ほとんど見つかりませんでした。

 また、脱炭素社会にむけた製品開発の遅れのリスクについては、機会と表裏一体であり、脱炭素社会に貢献する事業をすすめることで、リスク回避が可能です。

(ⅱ)気候変動の物理的影響に関連したリスク(主に4℃シナリオに至るリスク)

 気候変動に関する物理的リスクに関しては、気候変動の影響と考えられる気象災害、例えば台風や洪水、渇水などの激化(急性リスク)や、海面上昇、長期的な熱波など(慢性リスク)による事業継続のリスクが考えられます。

 こうしたリスクの回避としては、工場新設時には洪水被害を念頭に置いて立地条件や設備の配置などを考慮する対策を行っています。

気候変動関連の機会(日立グループ)

 日立グループでは、気候変動に関連する多くの機会が考えられます。

 環境長期目標や「2024中期経営計画」に掲げたCO2排出量の削減目標を達成するには、事業所の脱炭素化はもちろん、バリューチェーン全体の排出の多くを占める、販売された製品・サービスの使用に伴うCO2排出の削減が重要です。省エネルギー化等による、CO2削減に貢献する製品・サービスの開発・提供は、お客さまニーズへの対応であり、社会の脱炭素化への貢献になります。また、お客さまとの協創によるカーボンフリーソリューションやサービスの普及のような脱炭素化に貢献するビジネスの拡大にも機会があります。GX(グリーントランスフォーメーション)への取り組みは、日立の経営戦略として推し進めている「社会イノベーション事業」の大きな柱であり、短・中・長期にわたる大きな事業機会になります。

日立グループの気候変動関連のリスクと機会について

 これらのリスクと機会の検討の結果から、日立では気候変動関連の重大で対応が困難なリスクは現段階では見つかりませんでした。

 1.5℃及び4℃いずれのシナリオ下においても、市場の動向を注視し柔軟かつ戦略的に事業を展開することで、日立は、中・長期観点から、脱炭素社会への移行において高いレジリエンスを有していると考えています。

(ハ)リスク管理

 日立は、気候変動関連リスクについては、BU及びグループ会社ごとに環境負荷などを把握し、評価・査定しています。評価結果は、当社サステナビリティ推進本部にて集約し、日立全体として特に重要と認識されたリスクと機会がある場合には、経営会議で審議・決定され、必要に応じて取締役会で審議されます。

(ニ)指標と目標

 日立は、環境長期目標「日立環境イノベーション2050」において、「中期目標:日立の事業所(ファクトリー・オフィス)において2030年度までにカーボンニュートラル達成」、「長期目標:バリューチェーンにおいて2050年度までにカーボンニュートラル達成」を掲げています。

 さらに、環境長期目標の実現に向けて、中期経営計画の期間(3年間)にあわせた指標と目標を設定した「環境行動計画」を策定し、進捗管理しています。

 気候変動の緩和と適応に関する指標のうち、ファクトリー・オフィスにおけるCO2排出量総量削減率に関する目標と実績は以下のとおりです。

指標

目標

2022年度

実績

2030年度(中期)

2024年度(短期)

2022年度

ファクトリー・オフィスにおけるCO2排出量総量削減率

(2010年度比)

100%削減

(カーボンニュートラル)

50%削減

32%削減

40%削減

(注)本目標は、2024環境行動計画の目標です。詳細はサステナビリティレポート2023で公開予定です。

日立グループのCO2排出量 (2022年度)

Scope1   459kt-CO2

Scope2  1,079kt-CO2

※ Scope1:日立グループ内での燃料使用による直接排出

  Scope2:日立グループが購入した電気・熱の使用に伴う間接排出

※ Scope1、2ともに、日立グループのなかで環境負荷が大きいA区分事業所及び影響の大きい自動車部品系会社を対象としています。日立は、日立の定める「環境管理区分判定基準」に基づき、日立グループ全事業所をA・B・Cの3区分に分類して管理しています。また、当連結会計年度末時点(2023年3月末)において在籍している会社を集計対象としています。

②人的資本・多様性に関する取組

(イ)戦略

 日立は、人的資本、すなわち人こそが価値の源泉であると考えており、世界中の従業員の力を結集することでお客さまと社会に価値を提供し、サステナブルな社会の実現に貢献することをめざしています。

 多様な人財が国・地域・事業体を越えてOne Teamでプロアクティブに業務遂行をし、変化が絶えない世の中に速やかに適応できる人財・組織を求めており、その実現に向けて、以下の方針のもと人財の育成と社内環境の整備に取り組んでいます。

ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進

 日立は、事業のサステナブルな成長に向け、経営戦略としてDEI(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)を実践しています。

 日立のDEI戦略では、バックグラウンド、年齢、性別、セクシャリティ、家族構成、障がい、人種、国籍、民族、宗教など、あらゆる多様性を尊重しており、特にグローバルに共通する下記の3つのグローバルDEIテーマに注力していきます。

 日立のグローバルDEIテーマ:

1. ジェンダーバランス:女性リーダーの育成支援等、グループ全体で女性活躍を推進

2. 文化的多様性:グローバルな人財の文化的多様性を反映した組織づくり

3. 世代の多様性:年齢に関係なく、コンピテンシーに基づいて従業員を評価

グローバル人財マネジメント

 社会イノベーション事業を推進するためには、お客さまや社会の課題を探索し、これまでになかった新しいソリューションをお客さまと協創していくことが重要です。2024中期経営計画に基づいて策定した「2024人財戦略」では、社会貢献を志向する人財が集まり、生き生きと活躍する組織となるために、グローバル市場における“Employer of choice(選ばれる会社)”となることをビジョンに掲げ、その実現に向け、「People」 「Mindset」「Organization」の3つの戦略の柱と「Foundation」を定め、以下施策を推進しています。

・デジタル人財の確保・育成

 デジタル技術を活用した社会イノベーション事業を加速し、日立の成長のドライバーであるLumada事業の成長を実現するために、デジタルトランスフォーメーション(DX)をけん引する人財(デジタル人財)の確保と育成に力を入れています。デジタルエンジニアリングサービスのリーディングカンパニーであるGlobalLogic社などにおけるグローバルでの人財獲得に加え、日立独自のDX研修体系や実務経験を通じた育成プログラムの拡充などによる内部人財育成により、事業成長に必要なデジタル人財の強化を加速していきます。

・従業員エンゲージメントの向上

 日立の持続的な成長には従業員のウェルビーイングが不可欠であるという考えのもと、人的資本経営の一環として、従業員エンゲージメントの向上をひとつのKPIとして定めています。グローバル従業員サーベイ「Hitachi Insights」を通じて従業員エンゲージメントを毎年モニタリングし、その向上に向けた人財マネジメント施策の企画・推進に取り組んでいます。具体的には、経営層及び各職場のマネージャーが、自組織のサーベイ結果をメンバーと共有して組織課題を把握し、対策となるアクションの立案・実行を通じたPDCAサイクルを継続することで従業員エンゲージメントの改善につなげています。グローバルにより適切なマネジメントを行っていくために、今後も従業員サーベイを活用していきます。

・経営リーダー層の育成

 日立は、経営トップと指名委員会を中心に、変化・変革をけん引する経営リーダーの中長期的な育成(Global Leadership Development Program: GLD)に取り組んでいます。次期・次々期のCEO、事業部門長など経営リーダー候補の育成にあたっては、世界中の日立グループの人財から数百名の候補を選抜し、タフアサインメントを取り入れたOJT(On-the-job Training)及びOff-JT(社外トレーニング・コーチング)を実施しています。

 さらに、経営リーダー候補のタレントプールである「GT+」、若手優秀層を選抜した「Future 50」プログラムによって、経営者ポジションを含むアサインメント、社外取締役と直接議論する機会の提供などによる集中的な教育を実施しています。

・人財統合プラットフォームによる適所適財の人財配置

 日立は、グローバルに最適な人財の確保・配置・育成を行うため、グローバル共通の人財マネジメント統合プラットフォームの構築を進めてきました。本プラットフォームを通じて、従業員のスキルやキャリア志向などの最新の人財情報データをクラウドシステムで共有しています。グローバルでの人財検索や情報の収集、チームマネジメントへの活用、パフォーマンス管理や育成計画・キャリア開発など、さまざまなプロセスを一元管理でき、その運用範囲をグローバルに順次拡大しています。

・グローバルでの日立カルチャーの醸成

 日立は、近年の複数の大型M&Aにより約10万人の仲間を新たに迎えました。この新たに加わった仲間と日立のMission・Values(創業の精神)を共有するとともに、それぞれの良さ・強みを融合していくことで成長・イノベーションを実現する、グローバル日立カルチャーの醸成に取り組んでいます。特に、経営層と従業員が直接対話し、双方向での理解を深めるための機会として、経営陣幹部(執行役社長、執行役副社長、BUや各事業部門の責任者、連結子会社社長)によるタウンホールミーティングを継続的に実施しており、2022年度においては、計277回実施しました。2024中期経営計画の達成に向けて、各事業部門が主体となって事業戦略を推進していきます。

・ジョブ型人財マネジメントへの転換

 日立では職務(ジョブ)と必要なスキル・経験を明確化し、その職務を担える人財を、本人の意欲・能力に応じて登用する「ジョブ型人財マネジメント」への転換を日本においても加速させています。従業員一人一人の能力や意欲に応じた適所適財の人財配置を実践することで、個人と組織のパフォーマンスの最大化とエンゲージメント向上につなげ、イノベーションを生み出す組織と人財の実現をめざしています。具体的には、各従業員の適性やキャリア志向を踏まえた配置・育成を検討する「タレントレビュー」や「ジョブディスクリプション(職務記述書)」を導入しています。また、2022年度からは自律的なキャリア形成を支援する取り組みとして、新キャリア研修の展開や「学習体験プラットフォーム(LXP)」を導入する等、「制度・仕組みの整備」及び「意識・行動の変容」の両面で取り組みを進めています。

心身の健康と安全の確保

 日立は、「安全と健康を守ることは全てに優先する」を基本理念とする「日立グループ安全衛生ポリシー」を世界の全グループ会社と共有し、コントラクターや調達パートナーを含む関係するすべての会社と連携しながら、グループ一丸となって事業活動に関わる全ての人にとって安全・ 安心・快適で健康な職場づくりに努めています。

 日立は、事故のない安全な職場の構築をめざし、事業に適した労働安全衛生マネジメントシステムの構築・導入、定期的なリスクアセスメントや監査の実施、労働安全衛生に関する教育の展開等にグローバルで取り組んでいます。

(ロ)指標及び目標

 人的資本・多様性に関する取り組みにおける、日立の主な指標及び目標と当年度の実績は以下のとおりです。

 なお、「役員層における外国人比率」及び「従業員サーベイにおける従業員エンゲージメントの設問に対する肯定的回答率」については、当年度において前倒しで目標を達成することができました。今後もさらなる向上を図るべく、継続して取り組んでまいります。

 

指標

目標

2022年度 実績

役員層における女性比率及び外国人比率

(グローバルDEI目標)(注)1

2024年度までにそれぞれ15%

女性比率:11%

外国人比率:20%

デジタル人財数

2024年度までに97,000人(注)2

83,000人

従業員サーベイにおける従業員エンゲージメントの設問に対する肯定的回答率

2024年度までに68%

69.5%

死亡災害件数

年間0件

5件

TRIFR(総災害発生率)(注)3

2024年度までに2021年度比半減(注)4

0.26

(注)1.当社単体の目標及び実績

2.日立Astemoは除きます

3.TRIFR:Total Recordable Injury Frequency Rate(20万労働時間当たりの死傷者数)

4.2021年度実績:0.27

PR
検索