他社比較
小松製作所 企業概要
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものです。
当社グループ(当社及び連結子会社)では、「ものづくりと技術の革新で新たな価値を創り、人、社会、地球が共に栄える未来を切り拓く」ことを存在意義として定義し、これを実現するための基本的な考え方として、「品質と信頼性」を追求し、我々を取り巻く社会とすべてのステークホルダーからの信頼度の総和を最大化することを経営の基本としています。
この経営の基本を実行するための戦略として、中期経営計画を策定し、顧客価値創造を通じたESG課題解決と収益向上の好循環を生み出し、持続的な成長を図ります。
<中期経営計画:「DANTOTSU Value – Together, to “The Next” for sustainable growth」>
2022年4月より、3カ年(2022年度~2024年度)の中期経営計画「DANTOTSU Value – Together, to “The Next” for sustainable growth」 がスタートしています。
中期経営計画では、「安全で生産性の高い、スマートでクリーンな未来の現場をお客さまとともに実現する」という目指すべき姿に向けて、ダントツ商品(製品の高度化)、ダントツサービス(稼働の高度化)、ダントツソリューション(現場全体の最適化)が三位一体となるダントツバリュー(新たな顧客価値)の創出に取り組みます。
未来の現場の実現に向けては、モノ(機械の自動化・自律化と効率化・低排出カーボン化)とコト(顧客プロセス全体の最適化)の両面でのイノベーションに取り組んでいきます。更に、地球温暖化対策と事業成長の両立を実現するため、未来の現場へのロードマップを策定し、2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを経営目標のチャレンジ目標としています。
未来の現場へのロードマップ
<成長戦略3本柱と重点活動>
現中期経営計画では、前中期経営計画から引き続き、サステナビリティを重視し、目指す姿からバックキャスティングを行うとともに、外部環境の変化と経営課題などを踏まえ、成長戦略の3本柱として、①イノベーションによる成長の加速、②稼ぐ力の最大化、③レジリエントな企業体質の構築に取り組んでいます。
成長戦略3本柱
足元の外部環境は、気候変動などのサステナビリティリスクに加え、長期化するウクライナ情勢などの地政学リスク、半導体などの先端技術を巡る経済安全保障リスクや、サイバーセキュリティリスクの増大などにより、不確実性がますます高まっています。
主力の建設・鉱山機械事業の市場環境は、中長期的には、新興国を中心とした人口増や都市化の進展、あるいは、先進国における堅調なインフラ更新投資などにより、緩やかな成長が見込まれますが、短期的には、前述のように、様々な外部環境リスクがあり、需要のボラティリティは高いと見込まれます。
こうした環境の中、当社では、将来に向けて、電動化や自動化・自律化・遠隔操作化、コンポーネントやシステム開発などの技術分野、及びソリューションビジネスやバリューチェーンビジネス、林業機械、坑内掘りハードロックなどの事業分野を成長分野と位置付け、価値創造(イノベーション)のための重点投資を継続していきます。
また、地域・分野特性に応じた商品企画・開発などによる成長市場でのプレゼンス拡大や、内製コンポーネントとIoT(Komtrax)活用の強みを活かしたメンテナンス契約付き延長保証の拡大などのアフターマーケット事業の強化により、既存事業における収益機会を最大化し、収益性の更なる向上を図り、需要変動に左右されにくい事業構造の構築を進めていきます。
これらの活動を下支えする経営基盤については、デジタルトランスフォーメーション(DX)や構造改革の推進、環境変動に強いサプライチェーンの構築などに取り組み、事業運営の効率性の向上及び外部環境リスクへの対応力を高めていきます。この活動の一環として、パンデミックや高まる自然災害リスクへの備えを含めた事業継続性の向上とオペレーションの全体最適の観点から、本社機能の一部を、シナジーの見込める国内の他拠点に移管する取り組みを加速させていきます。また、本社ビルの建て替えを2024年1月から2026年末までかけて行うことを2023年3月の取締役会にて決定しました。グローバル本社として、今後、必要とされる機能や役割を検討し、カーボンニュートラルに向けたCO2排出量の削減やステークホルダーとのコミュニケーション機能の強化、更には、社員の多様な働き方を前提に、イノベーションを生み出す職場環境の改善に取り組んでいきます。
成長戦略における主な重点活動の当期実績と次期以降の課題
成長戦略の3本柱 | 主な活動事例 | |
1.イノベーションによる 成長の加速 | 当期の主な実績 | ・DXスマートコンストラクション:新アプリケーションの導入(SC Simulation, SC Quick 3D) ・無人ダンプトラック運行システム(AHS)の市場導入台数:累計643台 ・顧客現場における大型ICTブルドーザーの遠隔操作・自動運転トライアルを開始 ・建設機械見本市(ドイツ、アメリカ)に、20トンクラスの電動ショベルなどを出展 ・コマツNTC㈱、国内電池メーカーより、車載電池製造装置を初受注 |
次期以降の課題 | ・スマートコンストラクションの海外展開の加速 ・鉱山用オープンテクノロジープラットフォームを活用したビジネス展開 ・電動化建機の本格的な市場導入 ・森林管理ソリューションビジネスの確立 ・コマツNTC㈱における車載電池製造装置事業の強化 | |
2.稼ぐ力の最大化 | 当期の主な実績 | ・アジアを中心とした都市土木仕様の油圧ショベル(CEシリーズ)の拡販 ・メンテナンス契約付き延長保証の拡大とアフターマーケット事業の伸長 ・スウェーデン・Bracke社を買収(植林アタッチメントメーカー) ・豪マインサイトテクノロジーズ社を買収(坑内掘り鉱山向けソリューションプロバイダー) ・独GHH社の買収を決定(坑内掘り鉱山機械) ・チリ・コデルコ社と「マイニングTBM」のトライアル実施に合意 ・ギガフォトン㈱、新生産棟の建設開始 |
次期以降の課題 | ・戦略地域の特性に応じた商品戦略の推進 ・林業機械事業、坑内掘りハードロック事業の一層の強化 ・次世代KOMTRAXを活用したビジネスモデルのグローバル展開 ・リマン・リビルド事業の強化 | |
3.レジリエントな 企業体質の構築 | 当期の主な実績 | ・クロスソーシング、マルチソーシングの展開 ・坑内掘り石炭(ソフトロック)向け事業の構造改革:中国生産拠点の一部売却 ・CSIRT構築による情報セキュリティ体制の強化 ・ダイバーシティ&インクルージョンに関する教育・啓蒙活動の推進 ・AI及びDX人材育成の推進 |
次期以降の課題 | ・クロスソーシング、マルチソーシングの一層の展開によるサプライチェーンの強化 ・構造改革の継続 ・DX推進による業務改革 ・リスクマネージメント体制の強化 ・グローバルなブランド戦略の展開、社員エンゲージメント向上施策の推進 |
<成長戦略を通じたESG課題解決>
当社は、サステナビリティ基本方針に基づき、事業活動を通じて社会に貢献していくことを目指しています。中期経営計画では、持続可能な開発目標「SDGs(Sustainable Development Goals)」17のゴールの中から、当社グループの重要課題(マテリアリティ)と特に関連性の高い10のゴールを選定しました。
更に、成長戦略3本柱を通じたESG課題解決を着実に遂行していくために、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定し、その達成状況を把握し、統合報告書で開示していきます。
| SDGsとの関係 | マテリアリティ(重要課題) | ESG課題の解決に向けた活動テーマ(主なKPI) | ||
人 と 共 に | ジェンダー 平等 パートナー シップ | 働きがいと 経済成長
| 不平等を なくす
| [社員][人権] ・労働安全衛生 ・エンゲージメント向上 ・D&I推進 ・能力開発 ・人権の尊重 | 安全で安心して働ける職場環境づくり (労働災害関連指標) |
社員エンゲージメントの向上 (エンゲージメントサーベイスコア) | |||||
ダイバーシティ&インクルージョンの推進 (女性、障がい者比率) | |||||
個人の能力開発と事業成長の実現(DX・AI人材教育) | |||||
人権デューデリジェンスの推進(実績開示) | |||||
社 会 と 共 に | 産業と 技術革新 パートナー シップ | まちづくり
| つくる・ つかう責任
| [顧客][倫理・統治] [地域社会] ・ソリューション提供 ・製品安全・品質 ・ガバナンス ・コンプライアンス ・地域社会への貢献 | スマートコンストラクション推進による建設現場の 生産性向上(導入現場数) |
持続可能な資源開発を実現する製品・ソリューションの提供(AHS累積導入台数) | |||||
顧客現場の安全性・生産性向上ソリューション:技術開発 (自動化、安全装置 開発ステージ) | |||||
環境・需要変動に対応力のあるバリューチェーンの構築 (アフターマーケット事業:売上伸び率、マルチソーシング比率) | |||||
ガバナンスの充実、コンプライアンスの徹底(実績開示) | |||||
地 球 と 共 に | クリーン エネルギー 気候変動 への対策 | 産業と 技術革新 陸の豊かさ
| つくる・ つかう責任 パートナー シップ | [環境] ・低炭素・環境負荷低減へのソリューション開発 ・資源循環 ・エネルギー使用量の低減 ・事業を通じた森林保全への貢献 | 地球環境負荷ゼロ向上(CO2低減、再エネ使用、水使用量) |
顧客現場におけるCO2排出削減 (製品使用のCO2低減、電動化建機開発) | |||||
持続可能な循環型林業を支援するソリューション提供 (林業機械事業関連指標:売上伸び率、植林、スマート林業等) | |||||
循環型ビジネス(リマン)の促進 (リマン事業:売上伸び率) |
<中期経営計画の経営目標>
経営目標については、業界トップレベルの「成長性」、「収益性」、「効率性」、「健全性」とともに、「ESG」の経営目標を掲げています。「株主還元」については、成長戦略への重点投資を優先しながら、引き続き安定的な配当の継続に努め、連結配当性向を40%以上とします。
項目 | 経営指標 | 経営目標 |
成長性 | ・売上高成長率 | ・業界水準を超える成長率 |
収益性 | ・営業利益率 | ・業界トップレベルの利益率 |
効率性 | ・ROE*1 | ・10%以上 |
健全性 | ・ネット・デット・ エクイティ・レシオ*2 | ・業界トップレベルの財務体質 |
リテール ファイナンス事業 | ・ROA*3 ・ネット・デット・ エクイティ・レシオ*2 | ・1.5%-2.0% |
・5倍以下 |
ESG | ・環境負荷低減 | ・CO2排出削減:2030年50%減(2010年比) 2050年カーボンニュートラル(チャレンジ目標) ・再生可能エネルギー使用率:2030年50% |
・外部評価 | ・DJSI*4選定(ワールド、アジアパシフィック) ・CDP*5 Aリスト選定(気候変動、水リスク) |
株主還元 | ・連結配当性向 | ・成長への投資を主体としながら、株主還元(自社株買いを含む)とのバランスをとる |
・連結配当性向を40%以上とする |
*1 ROE=当社株主に帰属する当期純利益/((期首株主資本+期末株主資本)/2)
*2 ネット・デット・エクイティ・レシオ(ネット負債資本比率)=(有利子負債-現預金)/株主資本
*3 ROA=セグメント利益/((期首総資産+期末総資産)/2)
*4 ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インディシーズ:米国S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が提供するESG投資指標
*5 企業や政府が温室効果ガス排出量を削減し、水資源や森林を保護することを推進する国際的な非営利団体
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