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星2つ 企業兼大株主富士フイルムホールディングス  企業概要

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みの状況は、次のとおりであります。

(1) 気候変動への対応

 当社グループは、脱炭素社会の実現に向け、2021年12月に新たなCO2排出削減目標を設定しました。新たな目標では、2040年までに、エネルギー利用効率の最大化と再生可能エネルギーの導入を両輪で進めることで、自社が使用するエネルギー起因※1のCO2排出を実質的にゼロとすること(カーボンゼロ)を目指すとともに、原材料調達から製造、輸送、使用、廃棄に至るまでの自社製品のライフサイクル全体において、2030年度までにCO2排出量を50%削減(2019年度比)します。今回当社グループが策定した新たな脱炭素目標は、パリ協定で定められている「1.5℃目標」に整合したものです。

 当社グループでは本目標達成に向け、当社グループ環境戦略「Green Value Climate Strategy※2」を新たに策定しました。電力のみならず合成メタンや水素等のCO2排出を実質伴わない燃料の導入と実装による環境負荷の少ない生産活動や、優れた環境性能を持つ製品・サービスの創出・普及を推進していきます。また、これら施策の遂行を加速させるために、インターナルカーボンプライシング(社内炭素価格)制度の運用を2022年度より開始しました。当社グループはこれら戦略や施策を通じて、国際社会の喫緊の課題である気候変動への対応を強力に推進していきます。

※1 製品の製造段階における自社からの直接排出(Scope1)と他社から供給された電気・蒸気の使用に伴う間接排出(Scope2)。

※2 Green Value Climate Strategyについては下記をご覧ください。

「2022年4月13日 環境戦略説明会」

https://ir.fujifilm.com/ja/investors/ir-materials/presentations/main/0118/teaserItems1/0/tableContents/
019/multiFileUpload2_0/link/ff_presentation_20220413_001j.pdf

① ガバナンス

 当社グループの気候変動に対する活動は、社長を委員長として定期的に開催されるESG委員会で審議・決定され、取締役会に報告されます。取締役会はESG委員会からの報告に対し指示・助言を行い、そのプロセスの有効性を担保します。気候変動対応に関する課題は、その他のコンプライアンスやリスク課題とともに重点リスクとしてESG委員会で審議されます。これまで、CO2排出削減目標や再生可能エネルギー導入目標設定のほか、TCFD提言への賛同、RE100加盟やSBT認定取得等気候変動に関するイニシアチブへの参加の意思決定がなされています。

 近年のESG委員会では、インターナルカーボンプライシング制度の導入やTCFD提言に準拠した情報開示について審議・決定されるとともに、取締役会に報告・議論がなされました。また脱炭素目標達成率の中期業績連動役員報酬への反映についても、ESG委員会での審議を経て、取締役会にて決定しました。

② リスク管理

 当社グループでは、気候変動に対するパフォーマンスをグローバルで監視するシステムを導入しています。本システムにより、CO2排出量・フロン等の温室効果ガスの排出量や、使用エネルギー量等を各国・地域の拠点毎に監視し、リスクの抽出に活用しています。これらリスクはエネルギー戦略推進委員会で要因分析を行い、重要なリスクについてはESG委員会に報告がなされ適切な対応が決定されます。気候変動に対するリスク評価のために、インターナルカーボンプライシングを活用し、想定される影響と今後の対応を検討しています。また、TCFD提言に準拠したシナリオ分析を行うことで、自社の環境パフォーマンスに起因するリスクに加え、サプライチェーンや事業場の所在地域で発生するリスクも特定し、必要事項について対策がなされます。

③ 戦略

 TCFDシナリオ分析では、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書の中で示された代表濃度経路(Representative Concentration Pathways:RCP)2.6~8.5をもとに、脱炭素社会に向けた厳しい対策がなされ2100年までの気温上昇が産業革命時期比で1.5℃に抑えられる「1.5℃シナリオ」と、現状を上回る対策が講じられず産業革命時期比で3.2~5℃上昇する「4℃シナリオ」を設定し、評価しました。

ⅰ)シナリオ分析結果

「4℃シナリオ」

 現状を上回る対策が講じられず、2100年までに平均気温が産業革命時期比で3.2~5℃上昇する

・事業リスク(物理リスク)

 4℃シナリオでは異常気象による生産設備への影響や製品原材料の供給停止、停電による工場停止等のリスクがあることが分かりました。これらリスクに対しBCPの策定による生産拠点や原材料調達先の分散化、安定電源の確保等の対策を進めています。特に近年、異常気象に起因する台風や豪雨により、重要なライフラインである送電網の寸断による被害が各地で発生しています。当社グループは安定的な電源確保のために、1960年代から主要生産拠点に自家発電設備を順次導入することで、停電による操業停止リスクを回避しています。

 その他気温や降水パターンの変化により動植物の生息地域の変化、個体数の減少や死滅が発生するリスクがあります。これらの影響により、植物由来原料の不安定化・価格高騰が発生するほか、化石燃料の枯渇により石油由来原料の供給不安定化や価格高騰も想定されます。当社グループでは植物由来の原材料を使用するフィルムの薄手化、またビジネスイノベーション領域では複合機の再生活用(リユース)を進める等、原材料使用量の削減によりこれらリスクの低減を図っています。

・事業機会

 気温の上昇に伴い極端な高温、海洋熱波、大雨、干ばつ、熱帯性低気圧の発生頻度や強度が増します。このような異常気象や、異常気象に伴う生態系や健康への影響に対して、社会が適応するための製品・サービスの需要が高まると予測しています。

『社会インフラの強靭化』

 異常気象が頻発する状況において、社会インフラの強靭化は重要な課題の一つです。当社グループは、レンズの高精度加工製造技術を活用し、夜間や荒天時でも河川や海面を監視できる高感度カメラの提供や、高精度画像解析・AI技術を用いた橋梁、堤防等の劣化診断技術により、気候変動への適応に貢献できると考えています。また、災害発生時における自治体の罹災対応プロセスのデジタル化により、自治体業務と住民の早期生活再建支援に貢献するソリューションはその必要性が高まると予測しています。

『飲料水と農業用水の確保』

 気候・生態系の変化により飲料水と食料の確保が困難になり、飲料水製造や植物工場での生産が増加すると想定しています。世界的なリスクとなりつつある水不足の問題に対しては、イオン交換膜等のフィルトレーション技術により、かん水や海水の淡水化等飲料水や農業用途の確保に貢献できるものと考えています。

『医療従事者の負担軽減及び医療アクセスの向上』

 気温上昇は人々の健康にも大きな影響を与えます。感染症等想定外の疾病拡大による医療従事者の負担増加や、台風や集中豪雨、熱波の発生頻度の増加により患者や医療従事者の往来が困難になり、医療従事者が少ない国地域において医療崩壊につながる可能性があります。当社グループは、医療IT技術や医用画像診断・AI技術をグローバルで展開することで、医療従事者の負担軽減や遠隔診断等の医療アクセス向上に貢献していきます。

「1.5℃シナリオ」

 脱炭素社会に向けた厳しい対策が講じられ、2100年までの気温上昇が産業革命時期比で1.5℃に抑えられる

・事業リスク(移行リスク)

 1.5℃シナリオでは、脱炭素社会へ移行する過程で、化石燃料の使用を制限し技術革新を促す政策としての炭素税や、各国・地域の炭素税額格差による産業移転を抑制するための炭素国境調整措置の導入による財務リスクがあります。2021年度に当社グループが直接及び間接排出したCO2は1,053千トンでした。炭素税額を2022年度上期に設定した社内炭素価格11,000円/トン-CO2とした場合、約116億円の財務リスクとなります。

 当社グループは2021年12月に、CSR計画「SVP2030」の気候変動対応目標を引き上げ、2040年度に自社で使用するエネルギーによるCO2排出量ゼロを目標とし、省エネルギーの推進と再生可能エネルギーの導入を両輪で推進しています。2021年度に自社で直接排出するCO2排出量については、省エネや再生可能エネルギーの導入により、本目標の基準年である2019年度に対し、3%削減しました。

・事業機会

 人為的に排出されるCO2は主にエネルギー起因であるため、エネルギー利用効率を究極的に高め、CO2排出を伴わない自然エネルギー(風力・太陽光・水力等)を主に利用する社会に移行することが予想されます。

『省エネルギー』

 社会全体のエネルギー利用効率を高めるためには、まず製品やサービスにおいてエネルギー効率の高い方式が優先して採用されます。当社グループは、データ保存時のCO2排出を削減する大容量磁気テープによるデータアーカイブストレージシステムや、省電力性能を高めた複合機を提供することで、お客様使用先でのCO2削減に貢献しています。

『創エネルギー』

 自然エネルギーを利用するために様々なインフラ整備が進みます。そのうち海上も含め世界的に設置拡大が予想される風力発電設備は、高所や遠隔地等点検が困難な環境に設置されるため、設備の劣化診断や点検に対する技術向上が必要となります。当社グループは、撮像技術や精密成型技術を活用した高性能防振・超望遠カメラと、高精度画像解析・AI技術の組み合わせにより、風の強い海岸や洋上等の過酷な環境下でも、風力タービンのブレード欠陥を稼働中に点検診断可能な技術開発を風力エネルギー供給会社と協働で進めており、風力発電設備の普及・安定稼働に貢献していきます。

『蓄エネルギー』

 自然エネルギーを利用する場合、電力の供給量が天候・時間・季節により変動するため、電力の安定供給のために蓄エネルギー技術が必須となります。当社グループの分散・塗布技術や素材技術を活かし、従来の液体リチウムイオンバッテリーに対して低コスト・高容量化が期待できる準固体電池の開発を他社と連携して進めることで、電気自動車や定置用蓄電池での実用化に貢献できるものと考えています。

『CO2の回収・固定化』

 脱炭素社会に移行する過程では、CO2を排出する化石燃料の使用が避けられない産業においてCO2捕捉や大気中のCO2固定化が必要になります。この領域ではバイオエンジニアリング技術によるCO2を原料とした有用物質のバイオ生産が貢献できると考えています。

『分散型社会に適応したソリューション・サービス』

 自然エネルギーとの親和性を高めるためには、大都市への集中型社会から地方への分散型社会へ移行することが求められ、分散型社会での生活や事業活動を支えるソリューションが普及すると考えています。

 当社グループが提供している業務プロセスのデジタル化・自動化、ペーパーレス化を促進するソリューション・サービスは、リモートワークやハイブリッドワークといったビジネス面での分散型社会への対応と、省移動・省時間・省スペースによるCO2排出削減の両面で必要となり、今後さらに需要は高まるものと思われます。

 また、生活を支える医療の側面では、4℃シナリオと同様、「医療IT、医療画像診断・AI技術活用による医療従事者支援や医療アクセス向上に貢献するソリューション」が地域毎に必要不可欠であり、大きな事業機会になると考えています。メディカルシステム事業(2030年度売上目標1兆円)を通じて、分散型社会に対応した地域医療への貢献を行っていきます。

 当社グループは、今後もコア技術を磨き、レジリエントなエネルギー社会の実現に必要となる様々な製品・サービスの開発を進めていきます。

ⅱ)シナリオ分析結果詳細

「4℃シナリオ」

※1 環境配慮製品の社内認定制度(Green Value Products)を活用し、気候変動の緩和・適応に貢献する製品を開発・提供。

※2 アイコンは、当社保有技術を支える独自のコア技術を示す。

「1.5℃シナリオ」

※1 炭素税額を2022年度上期に設定した社内炭素価格11,000円/トン-CO2とした場合、2021年度製造段階で排出したCO2は1,053千トンであり、1,053千トン×11,000円/トン≒116億円/年となる。

※2 2021年度製造段階でのCO2排出量は1,053千トン。SVP2030による製造段階での2030年CO2排出目標は542千トンでありこの目標を達成すると、2030年には2021年に対し(1,053-542)千トン×11,000円/トン(※1同等)≒56億円/年の炭素税削減となる。

※3 環境配慮製品の社内認証制度(Green Value Products)を活用し、気候変動の緩和・適応に貢献する製品を開発・提供。

※4 アイコンは、当社保有技術を支える独自のコア技術を示す。

④ 指標と目標

 当社グループは、SVP2030にて気候変動に対する上記目標を設定し、省エネルギーと再生可能エネルギーの導入を推進するほか、環境負荷低減に優れた製品・サービスを社内認定する「Green Value Products」制度を運用し、社会でのCO2排出削減貢献を今後も進めていきます。

 なお、最新の実績値については2023年7月発行予定の「サステナビリティレポート2023」にて公表いたします。

ⅰ)製品ライフサイクル全体でのCO2排出削減目標と進捗

長期: 目標:2030 年度末までにCO2排出量50%削減(2019年度比)

    進捗:2021年度末時点で7.5%削減(2019年度比)

ⅱ)自社が使用するエネルギー起因CO2排出削減目標と進捗

長期: 目標:2030年度末までにCO2排出量50%削減(2019年度比)

    進捗:2021年度末時点で3%削減(2019年度比)

短期: 目標:2023年度末までにCO2排出量11%削減(2019年度比)

ⅲ)再生可能エネルギーの導入目標

•2030年度までに購入電力の50%を再生可能エネルギー由来の電力に転換

•2040年度までには全ての購入電力を再生可能エネルギー由来電力に転換し、さらに水素等のCO2排出を伴わない燃料を使用する自家発電システムへの切り替え等により、当社が使用する全てのエネルギーでCO2排出量ゼロを目指す

•本目標は、RE100の趣旨に沿った取組みとしてRE100を運営するNPO「The Climate Group」より認められ、当社は2019年4月にRE100に加盟しました。

ⅳ)製品・サービスを通じた社会でのCO2排出削減貢献の目標

•2030年度までに社会でのCO2排出削減累積量90百万トンに貢献

(2) 人的資本

 当社グループでは、イノベーションの源泉は従業員の力と位置づけ、経営戦略と連動した人事戦略を進めています。長期CSR計画(SVP2030※1)、中期経営計画の実現に向け、「人材育成」「多様性」「健康経営®※2」の3つを人材戦略の重点領域と位置付け各種施策を推進しています。また、本重点領域での施策をさらに加速させていくため、エンゲージメントサーベイを活用し継続的にエンゲージメントを高める取組みを進めています。

「人材育成」

仕事の基盤となる課題形成力を強化するための「See-Think-Plan-Do(STPD)※3」の浸透と、従業員の自己成長の基盤となる「+STORY(プラストーリー)※4」の展開。さらに、多種多様な教育プログラムによる人材育成を行っており、特にDX人材を強化しています。

「多様性」

多様な従業員一人ひとりが個性や能力を最大限発揮することが変化を作り出す企業のイノベーションの源泉です。管理職に占める女性比率の向上や外国籍従業員の基幹ポストへの登用等、目標値を設定し推進しています。

「健康経営®」

従業員が心身ともにいきいきと働ける健康増進は経営の重要な課題です。健康推進施策の展開を通じて、5つの重点領域のKPIの実現に向け7つの健康行動を実践し、ワークエンゲージメントの向上に繋げます。

※1 2017年8月発表の長期CSR計画「Sustainable Value Plan 2030」

※2 健康経営®は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

※3 富士フイルム独自のマネジメントサイクル「S(See:情報収集)-T(Think:分析)-P(Plan:計画)-D(Do:実行)」

※4 自己成長の基盤を身に付けるための支援プログラム

①人材育成 ~変化を成長のチャンスと捉えて、挑戦し、主体的に成長する意欲の高い従業員の育成~

 「オープン、フェア、クリア」な企業風土のもと、従業員の成長と組織の成長がスパイラルアップし、従業員エンゲージメントが向上することを目指しています。そのために仕事の基盤と自己成長の基盤をしっかり身に付けていることを重視しています。

ⅰ)仕事の基盤となる課題形成力を強化する「See-Think-Plan-Do(STPD)」の浸透

 当社グループでは、すべての事業、機能において仕事をしていくうえで大事にする共通の基盤をFFメソッドと定め、展開しています。具体的には事実情報を大切にして(SEE)、深く考えて本質を見抜き(THINK)、計画をたてて(PLAN)、実行する(DO)というSTPDという業務サイクルです。新入社員から海外現法の社員までFFメソッドを身に着ける教育を行い浸透させています。

ⅱ)従業員の自己成長の基盤となる+STORY(プラストーリー)展開

 当社グループでは、従業員一人ひとりが「変化を成長のチャンス」と捉えて挑戦し、主体的に成長する意欲を高めることを目的に自己成長支援プログラム「+STORY」を展開しています。本プログラムのひとつである「+STORY対話」では、すべての経験を自分の糧としながら自分のストーリーを積み重ねることを大切にするために、一年に一度、上長との対話を通じて経験を振り返ります。上長は対話を通じて部下の+STORYをサポートし挑戦意欲を引き出します。100人いれば100通りの+STORYが紡がれ、従業員の多様な+STORYが当社グループの原動力になると考えています。

ⅲ)DX人材育成強化

 当社グループでは、基幹人材育成プログラムやグローバル人材育成プログラム等、多種多様な教育プログラムによる人材育成に力を入れています。特に、2022年度はDX人材の育成に力を入れ、育成体系を整備し体系的な人材育成に取り組みました。当社がDXに取り組む必要性を理解し、知識武装やスキル習得を通して、成果を創出するという段階を踏むことで、一人ひとりが自らの仕事にDXを取り込むことを目指しています。基盤領域の施策として、DX基礎教育を展開し、「DXリテラシー講座」及び「セルフBI初級講座」をそれぞれ約4万人の従業員が受講終了しました。専門人材育成としては、新規ビジネスを立案する「ビジネスプランナー」や「アーキテクト」の育成のため、3か月間実課題に集中的に取り組み、学びと実践のサイクルを回すブートキャンプを実施しています。DXの実践を担うコア人材として活躍を促し、変革のスピードアップにつなげていきます。

②多様性 ~多様な従業員が活躍できるための仕組み・職場づくり~

 当社グループは、多様な従業員一人ひとりが個性や能力を最大限発揮できる環境づくりに取り組んでいます。2022年11月に人事部に「DE&I推進グループ」を立ち上げ、「多様な+STORYを認め合い、支援し合う」というコンセプトのもとで、女性社員の活躍推進、仕事と育児・介護の両立支援・男性の育児参画などの施策を展開しています。育休明けの従業員とその上長を対象にした「仕事と育児の両立セミナー」や、従業員同士の交流の場「+STORY子育てサロン」等の施策を展開し、従業員のDE&Iへの理解を深め、多様性推進の風土醸成を目指します。

 2022年度のグループ全体の基幹ポストにおける外国籍従業員比率は28%です。また、グループ全体で管理職に占める女性比率は17%です。国籍や性別を問わない登用の機会を設けることを推進し、2030年度までに基幹ポストにおける外国人比率を35%、管理職に占める女性比率を25%まで増やす目標を設定しています。

③富士フイルムグループならではの健康経営を推進

 従業員が心身ともにいきいきと働ける健康づくりを目指し、当社グループでは、2019年に健康経営宣言を制定し、社長を「健康経営最高責任者」、人事部長を「健康経営責任者」とする推進体制を構築して、健康経営を推進しています。健康増進の取組みは、多岐にわたっています。例えば、グループ全社の従業員を対象とした健康づくりのために、生活習慣病、喫煙、がん、メンタルヘルス、長時間労働の5つの重点領域を設け、KPIを設定しています。その実現のため、健康増進の具体的な活動を推進しています。また、健康な生活習慣を身につけるために取り組むべき行動として「富士フイルムグループ7つの健康行動」を設定し、従業員一人ひとりに実践を促しています。

 2022年4月には富士フイルムグループ健康保険組合が、従業員向けの健康診断を実施する健診施設として、「富士フイルムメディテラスよこはま」を開設しました。当社グループの最新の内視鏡やマンモグラフィ等の医療機器や、AI技術を活用した医療ITシステムを導入する等従業員に高品質な健康診断サービスを提供しています。「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人」に認定される等、積極的な取組みは社外からも高く評価いただいています。

 富士フイルムグループ 健康課題におけるKPI、中期目標と実績

重点領域

KPI

中期目標

2025年度

実績

2021年度

2022年度

生活習慣病対策

BMI値25以上(比率)

21%

26.9%

26.8%

HbA1c6.0以上(比率)

6%

7.7%

7.9%

喫煙対策

喫煙率

12%

19.6%

18.3%

がん対策

受診率

100%

99.4%

99.3%

100%

81.9%

80.0%

内)胃内視鏡

90%+

59.9%

64.1%

大腸

100%

88.8%

89.6%

90%+

77.5%

80.1%

子宮

90%+

65.9%

67.2%

※対象:富士フイルムグループ国内従業員(胃・大腸がん検診受診率は40歳以上)

④エンゲージメント

 当社グループは、従業員が会社の理念やビジョンに共感し、主体的に行動しているエンゲージメントの高い組織を維持していくことが、企業の成長に繋がると考えています。2022年12月に、グループ全体でのエンゲージメント状況を測るため、グローバルで約7万6千人の従業員を対象に「従業員エンゲージメント調査」を実施しました。調査の回答率は90%と高い水準であり、エンゲージメントスコア※5も80%で、「全体として良好である」という結果が得られました。

 今後、調査を毎年実施し、グループ全体の課題を継続的に把握するとともに、調査結果をもとに、自組織の強みや改善課題について職場でディスカッションすることで、グループ全体の従業員エンゲージメントの向上と、従業員と組織の双方の成長の実現に繋げていきます。

※5 各設問の選択肢のうち「肯定的回答(5段階の上位2つ)」を選んだ割合。この数値が高いほど、従業員の
   主体性や貢献意欲が高いことを示す。

 

回答率

回答数

エンゲージメントスコア

 富士フイルムグループ全体

(日本含むグローバルの結果)

90%

68,485

80%

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