第一生命ホールディングス 【東証プライム:8750】「保険業」 へ投稿
企業概要
I.Partners Group Holdings Limited の完全子会社化について
当社は、2022年8月12日、傘下の中間持株会社である第一生命インターナショナルホールディングス合同会社(以下、「中間持株会社」)を通じ、ニュージーランドの生命保険グループの持株会社であるパートナーズ・ライフ社を買収すること(以下、「本件買収」)について、パートナーズ・ライフ社の株主と合意し、株式売買契約を締結いたしました。
1.本件買収の背景
当社は中期経営計画「Re-connect 2023」(以下、「現中計」)において、グループ戦略として「資本循環経営」を掲げ、資本コストを上回る資本効率の中期的な実現に向けて取り組んでおります。
資本コストの低減に向けては、市場リスクの削減をはじめとするリスクプロファイルの変革を通じ、当社株価の市場感応度を下げることを取組みの軸に据え、他方、資本効率の向上に向けては、既存事業の効率向上や新規事業展開によるビジネスの「深化」を図るとともに、デジタル技術等の新たな組織能力獲得に向けた「探索」にも取り組む“両利きの経営”を推進しております。
海外事業戦略においても、地理的・成長段階別に分散の効いた事業ポートフォリオ運営を推進する中で、パートナーズ・ライフ社のビジネスモデルの特徴である高資本効率、保険リスク中心、優れたテクノロジーといった点は、当社グループの戦略に合致し、その持続的成長基盤を更に強固なものにするものと考えております。
2.パートナーズ・ライフ社の概要
パートナーズ・ライフ社 (本社:ニュージーランド、オークランド) は2010年に設立され、シンプルな保障性商品の提供と同社独自のデジタルプラットフォームを活用したIFA1支援に特徴を持つ、ニュージーランドで第2位(保有年換算保険料2ベース)の新興生命保険グループであります。
創業5年で単年度黒字化を達成し、創業10年目にはニュージーランド生保市場業界第2位となるなど、急成長を遂げています。当社にとって本件買収は、保険リスクの更なる取込みによる「リスクプロファイル変革」、保障事業の「深化」、そしてデジタル等の組織能力獲得に繋がり得る「探索」の取組みの一環として、現中計の方針に沿った取組みであると考えております。
パートナーズ・ライフ社並びに傘下の生命保険会社であるPartners Life Limited(以下、「PLL」)の強みとして、①保障性商品中心の提供による収益性の確保や業界初の新商品を数多く開発・販売してきた商品開発力、②IFAネットワークから信頼の厚い高水準なIFA支援の展開、並びに業界初となる顧客満足度と連動したIFAのコミッション制度の導入等、真にお客さま・チャネルパートナーの視点に立った事業運営、③商品・システムの徹底したレガシーレス運営と保険販売デジタルプラットフォームの独自開発・運営の両立、④これらの戦略立案・実行を支える経験豊富かつ多様な経営陣等が挙げられます。経営陣は、2つの生保会社創業経験があるCEOのNaomi Ballantyne氏や会長のJim Minto氏3を筆頭に、Fintech創業者等も含め多様なバックグランドの陣容となっており、同社の革新的な成長を牽引しております。
また、PLLは2020年末に、Bank of New Zealand (以下、「BNZ銀行」) 傘下のBNZ Life (以下、「BNZライフ社」)買収を発表しております。これは、BNZ銀行との専属紹介契約(期間10年)を通じて同行顧客基盤の獲得も企図したものであり、IFAチャネルを同社事業の軸に据えつつも、チャネルの多様化、事業規模の拡大・安定化も進めております。
1 IFA(Independent Financial Advisor)とは、特定の保険会社からは独立した立場で保険等の提案・販売を行う代理人を意味します。
2 2023年3月末時点の実績ベースであります。2022年9月30日に統合を完了したBNZライフ社の業績を含んでおります。
3 Jim Minto氏は当社子会社である豪TALの元CEOであります。
3.本件買収の戦略的意義及び効果
(1)先進国市場の安定成長享受と地理的分散等を通じた海外事業ポートフォリオ強化
本件買収は、先進国市場においては、2015年の米国プロテクティブ社買収以来となる3か国目、当社海外事業全体としては9か国目の進出となります。
ニュージーランドは、先進国市場でありながら保険深度4が1%未満と相対的に低く、かつ収益性の高い保障性商品及び個人保険向け保険商品が大宗を占める市場であること、また、積極的な移民政策と日本を上回る一人当たりGDPをベースに、小規模ながらも安定成長が期待できること等から、当社事業の地理的分散を図りながら海外事業利益の補完・安定化への貢献を期待できる市場であると考えております。
(2)急成長を実現してきた特徴あるビジネスモデルによる持続的な利益成長と同社ノウハウの利活用
パートナーズ・ライフ社・PLLは、収益性の高い1年更新型の保障性商品を中心に取り扱っていることから、持続的な収益性の確保や機動的な価格設定が可能となっており、安定的かつ良好なリスク・リターンが見込める事業を展開しております。当社グループ戦略にとっては、リスクテイク全体における保険リスクが占める割合の拡大によるリスクプロファイルの改善や利益成長への貢献が見込まれます。
また、同社の急成長の原動力の一つとなっている徹底したレガシーレス運営やデジタル面での組織能力、キャピタルライト戦略、真にお客さま・チャネルパートナーに寄り添った事業運営といった要素は、経営の視点を含め非常に参考になるものと考えており、そのノウハウの当社グループ内での展開・活用等について具体的に調査・検討を進めてまいります。
(3)当社グループ傘下での更なる成長の実現や将来的なシナジー効果の追求
当社グループの下でパートナーズ・ライフ社が今後も持続的な成長を実現すべく、これまでの取組みの一層の強化に加え、当社グループ内のノウハウや事業基盤の活用を含む様々な取組可能性を検討してまいります。
BNZライフ社買収完了後の既契約者へのアクセスやグループ内での効率的な資本・財務的諸施策の検討、更には保険市場・文化に共通点を有する豪州における当社子会社であるTALとのノウハウ共有や協業についても、今後具体的に研究・検討を進めてまいります。
4 保険深度とは、生保収入保険料の対GDP比率を意味します。日本は約6%に達します。
4.本件買収のスキーム
本件買収は、当社から中間持株会社に対して増資を行い、当該中間持株会社を通じてパートナーズ・ライフ社の全株式を取得いたしました。
5.異動する子会社(パートナーズ・ライフ社)の概要
名称 | Partners Group Holdings Limited | ||
所在地 | Level 3, 1-7 The Strand, Takapuna, Auckland, 0622, New Zealand | ||
代表者の役職・氏名 | Managing Director, Naomi Ballantyne | ||
事業内容 | 傘下に生命保険事業及び関連する事業を営む会社を有する持株会社 | ||
資本金 | 486.1百万NZドル(2023年3月末時点) | ||
設立年月日 | 2010年8月23日 | ||
大株主及び持株比率 | Immortality Pte. Ltd. (Blackstone) 52.57% Partners Group Nominee Limited. 21.01% MCAF PLL Nominee Limited 9.30% Rangatira Limited 4.93% Stahl Capital Limited 4.28% Masfen Securities Limited 2.88% Waterman Fund 2 Limited Partnership 2.10% Kibo Investments Pte. Ltd. 1.15% Other shareholders 1.79% | ||
上場会社と当該会社 | 資本関係 | 記載すべき事項はありません。 | |
人的関係 | 記載すべき事項はありません。 | ||
取引関係 | 記載すべき事項はありません。 | ||
当該会社の最近3年間の連結経営成績及び連結財政状態(契約締結日現在) | |||
決算期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | 2022年3月期 |
純資産 | 496百万NZドル | 593百万NZドル | 673百万NZドル |
総資産 | 1,076百万NZドル | 1,129百万NZドル | 1,322百万NZドル |
1 株当たり純資産 | 2.91NZドル | 3.48NZドル | 3.95NZドル |
保険料等収入 | 287百万NZドル | 326百万NZドル | 370百万NZドル |
税引前利益 | 55.3百万NZドル | 18.9百万NZドル | 2.5百万NZドル |
当期純利益 | 55.3百万NZドル | 18.9百万NZドル | 2.5百万NZドル |
1 株当たり当期純利益 | 0.32NZドル | 0.11NZドル | 0.01NZドル |
1 株当たり配当金 | -NZドル | -NZドル | -NZドル |
(表示単位未満四捨五入)
6. 株式取得の相手先の概要5
名称 | Immortality Pte. Ltd. | |
所在地 | 77 Robinson Road, #13-00, Robinson 77, Singapore 068896 | |
代表者の役職・氏名 | 取締役: 1.See KwangYew 2.Chan Pey Yuan | |
事業内容 | 株式、社債等の有価証券への投資、保有及び運用 | |
資本金 | 非公表 | |
設立年月日 | 2016年4月26日 | |
純資産 | 非公表 | |
総資産 | 非公表 | |
大株主及び持株比率 | 非公表 | |
上場会社と当該会社 の関係 | 資本関係 | 記載すべき事項はありません。 |
人的関係 | 記載すべき事項はありません。 | |
取引関係 | 記載すべき事項はありません。 | |
関連当事者への該当状況 | 記載すべき事項はありません。 |
(表示単位未満四捨五入)
5 その他の株式取得の相手先として、持分比率21.01%のPartners Life Group Nominee Limitedがあります(5.異動する子会社(パートナーズ・ライフ社)の概要を参照)。Partners Life Group Nominee Limitedは、パートナーズ・ライフ社の実質的株主のために同社の株式を法的に保有する名義人であり、何らかの事業を営む事業体でなく、当社と資本関係、人的関係、取引関係はなく、関連当事者にも該当いたしません。また、その他株式取得の相手先のいずれについても、当社と資本関係、人的関係、取引関係はなく、関連当事者にも該当いたしません。
7. 取得株式数、取得価額及び取得前後の所有株式の状況
異動前の所有株式数 | 0株 (議決権の数 0個) (議決権所有割合 0%) |
取得株式数 | 173,929,123株6 (議決権の数: 173,929,123個) |
取得価格 | 買収対価7 1,006百万NZD アドバイザリー費用等(概算額8) 30百万NZD 合計(概算額8) 1,036百万NZD |
異動後の所有株式数 | 173,929,123株6 (議決権の数 173,929,123個) (議決権所有割合100% (間接所有分100%)) |
6 記載の株式数は2023年3月末時点のパートナーズ・ライフ社の発行済株式数の総数であります。
7 2023年4月末時点の金額であります。
8 PMI費用を含むアドバイザリー費用が2023年4月以降も発生しているため、概算額を記載しております。
8. 日程
2022年8月12日 | 株式売買契約等の締結決定日 |
2022年11月30日 | クロージング |
II.アイペットホールディングス株式会社に対する公開買付けによる子会社化
当社は、2022年11月7日開催の取締役会において、アイペットホールディングス株式会社(以下、「対象者」という。)の株券等を金融商品取引法に基づく公開買付け(以下、「本公開買付け」という。)によって取得することを決議し、本公開買付けを2022年11月8日から2023年1月10日の期間で実施したことにより、2023年1月17日(本公開買付けの決済の開始日)付で対象者は当社の連結子会社となりました。なお、当社は、株式売渡請求により、2023年3月3日付で対象者に対する議決権比率を100%といたしました。
買付け等の概要及び結果は以下の通りであります。
(1) 本公開買付けの概要
① 買付け等に係る株券等の種類
a 普通株式
b 新株予約権
② 買付け等の期間
2022年11月8日から2023年1月10日まで(40営業日)
③ 買付け等の価格
a 普通株式1株につき、金3,550円
b 新株予約権1個につき、金6,460円
④ 決済開始日
2023年1月17日
(2) 本公開買付けの結果
① 公開買付けの成否
本公開買付けにおいては、本公開買付けに応募された株券等(以下、「応募株券等」という。)の数の合計が買付予定数の下限(7,326,900株)に満たない場合は、応募株券等の全部の買付け等を行わない旨の条件を付しましたが、応募株券等の数の合計(10,906,101株)が買付予定数の下限(7,326,900株)以上となりましたので、公開買付開始公告及び公開買付届出書(その後提出された公開買付条件等の変更の公告及び公開買付届出書の訂正届出書により訂正された事項を含む。)に記載のとおり、応募株券等の全部の買付け等を行いました。
② 買付け等を行った株券等の数
普通株式10,906,101株
③ 買付け等を行った後における株券等所有割合
99.23%
④ 買付価格総額
38,716百万円9
9 なお、株式売渡請求による株式取得の対価やアドバイザリー費用を含めた金額は以下のとおりであります。
公開買付けによる取得価額 38,716百万円
株式売渡請求による取得価額 298百万円
株式の取得価額の合計 39,015百万円
本買収に係るアドバイザリー費用等 751百万円
株式の取得価額および諸費用の合計 39,766百万円
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