ジャパンエンジンコーポレーション 【東証スタンダード:6016】「輸送用機器」 へ投稿
企業概要
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
<経営理念>
○伝統と革新スピリットを融合
「永くに亘る歴史と伝統を基盤にし、革新的スピリットの融合で、機動的かつ柔軟な経営を推進する」
○社会と業界の発展に貢献
「環境対応と経済性を両立した技術と品質向上への飽くなき挑戦で、社会、海運・造船業界の発展に
貢献する」
○総合力を発揮し、世界へ飛躍
「社員の力を結集し、開発・設計・製造・販売・サービスの一貫体制で、世界に伍していける企業を
目指す」
○無災害職場の確立
「危険予知の徹底と闊達なコミュニケーションで、災害ゼロを目指す」
<経営ビジョン>
「世界的視野に立ち、伝統と革新を融合させ、日の丸舶用エンジンをお客様とともに育て、次代を拓く」
(2)経営戦略等
当社は、2017年の事業統合後、PMI(Post Merger Integration)を推進し、経営基盤を強化することで、厳しい市況にも耐えうる企業体質へと変容を遂げました。これを原動力に攻めの経営に転じ、将来の飛躍に向けた各種施策を講じたことで、次なる新たな成長ステージに移行しております。こうした当社の今後の目指す姿として、2022年5月に中期事業計画を策定しており、以下の3点について重点的に取り組みを進めることで、ESG経営を深化するとともに、新たな価値を社会に提供する持続可能な企業として業績を伸長させています。
①環境分野での新製品開発加速
環境規制の強化に適応し、既存製品の競争力を強化するとともに、アンモニア・水素燃料エンジンという新機軸の製品の、開発、製造、社会実装を世界に先駆けて進めることで、業界のゲームチェンジを実現していきます。
②ライセンス事業の伸長
新規ライセンシーを開拓するとともに、ライセンシーにおけるUEエンジンの受注、製造を支援することで、事業のグローバル展開を加速させ、市場シェアの伸長でUEライセンサーとしての飛躍を具体化していきます。
③事業基盤の深耕による収益性の更なる向上
デジタルトランスフォーメーションの推進で、製品の付加価値向上や、社内オペレーションの効率化を実現するとともに、社内リソースの再配置で、事業伸長に備えて組織を最適化してきます。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営指標としては、「経常利益」を重視し、安定した収益体質の確立を目指してまいります。
(4)経営環境
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動の両立が進み、設備投資や個人
消費などで緩やかな持ち直しの動きが見られました。その一方で、欧米各国の金融引き締めや地政学情勢に伴う
原燃料価格の上昇、更には、金融不安の顕在化など、下振れリスクを内包した不透明な状況が継続しております。
当社と関連性の高いわが国海運・造船業界は、海運業界では、世界経済の先行き不透明感とコロナウイルス
感染症の規制緩和、撤廃による船腹稼働率上昇に起因する需給の緩みを受け、海運市況が軟化し、上値の重たい
展開が続いております。造船業界では、新造船商談の成約が進み、活況を呈した後、一時的に、調整局面に突入
しておりましたが、将来的な船価の高止まり懸念や慢性的な船腹不足の解消を目的とした船主からの新造船発注が
再開される動きも出てきており、十分な手持ち工事量を確保するに至っております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2024年3月期の通期業績予想につきましては、前期比で増収・増益となる、売上高18,500百万円(前期比3,251百万円、21.3%の増収)、営業利益500百万円(前期比57百万円、13.1%の増益)、経常利益1,500百万円(前期比817百万円、119.9%の増益)、当期純利益1,100百万円(前期比291百万円、36.0%の増益)を見込んでおります。売上高および損益の見通しは以下のとおりです。
<売上高>
①主機関
造船所が手持ち工事量を確保する中、当社も積極的な営業活動を展開し受注を積み上げており、豊富な受注
残高を確保済です。今後、生産計画に沿って製造・販売を進めていきます。2024年3月期は、上半期にアンモニ
ア・水素燃料エンジン製造に向けた設備工事を引き続き進める予定であることから、年度を通じた売上高は下半期
に偏る傾向ですが、売上高合計では前期比21.3%の大幅増収を見込んでおります。
この要因として、2024年3月期についても、これまでの基調を継続して、販売台数の増加と、販売単価の上昇を
見込んでおります。販売台数については、生産計画を最適化し、同型エンジンの連続生産で生産効率を向上させる
とともに、下半期で集中した生産対応を進める予定です。また、一部案件は、国内ライセンシーへ製造委託を予定
しております。販売単価については、環境対応設備(EGR/SCR)の主機関への搭載比率が高まることや、LSJ型機関
を販売することが寄与するとともに、資機材高騰を考慮した販売単価の改善にも引き続き注力してまいります。
高い技術力を有する当社は、環境規制の強化や環境意識の高まりをビジネスチャンスと位置付けておりLSH/LSJ
型機関のラインナップ拡充などで製品競争力を強化するほか、業界内でのファーストムーバーとして、世界に先駆
けて、アンモニア・水素燃料エンジンの開発、製造、社会実装を実現する取組みを推進することで、マーケット
でのゲームチェンジを実現していきます。
②修理・部品等
1)アフターサービス
当社は、顧客密着型のきめ細かい営業活動を継続するとともに、今後の環境対応・省エネニーズに適合した
新たなソリューションを、エンジンのユーザー様にご提案しております。船舶の稼働率は引き続き一定の水準を
維持するものと見込んでおり、これをベースロードとしつつ、老齢船延命に向けた大型リハビリ工事の確実な
取込みや、今後本格化していく環境対応設備(EGR/SCR)搭載船のアフターサービス展開、海外ライセンシー製
エンジンのアフターサービス支援などにも取り組むことで、事業を伸長させていきます。
2)ライセンス/部品供給
造船事業の発展を遂げる中国市場において、UEエンジンのグローバル展開を加速させております。当社が得意と
する低速2サイクル中小型エンジンの需要は引き続き旺盛であり、海外ライセンシーでの受注・製造・販売は拡大
を続けております。また、国内ライセンシーに対しては、当社受注エンジンの製造委託や、脱炭素燃料エンジン
製造にあたっての連携を進めております。これらのエンジンに対しては、品質・性能面を担保するべく、当社から
キーコンポーネントを供給する予定であり、こうした取組みを通じてロイヤリティー収入の増加と部品供給の伸長
を図っていきます。
3)他製品向け取込み工事
上半期の設備工事期間中の工場リソース転活用を継続して進めてまいります。
<損益>
主機関では、引き続き豊富な受注残高を背景に、工場の操業は高水準で推移する見通しであり、受注残高に
基づいて生産計画を前広に策定することで、同型エンジンの連続生産を可能とするほか、工場内への部品納入
時期も最適化することで、生産性を高めていきます。修理・部品等では、引き続き増収が続くことにより増益
を見込んでおります。これらに加え、事業基盤深耕の取組みとして、デジタルトランスフォーメーション
(DX)の推進や、社内リソース再配置を通じた成長分野への投資と収益力の強化も並行して進めていきます。
DXの分野では、スマートファクトリーへの進化を目指し、システム更新・新規導入で各種業務を効率化していき
ます。また、IoT・AI技術の活用で、船舶の安全管理・保守体制の高度化や、エンジンの電子制御システムへの
新機能追加などを実現し、製品の付加価値を向上させていきます。社内リソース再配置では、事業活動領域全般
での脱炭素化実現を目指し、GX戦略推進室を立ち上げており、次世代燃料エンジンの開発・製造・社会実装を
進めるほか、製造工程における環境負荷軽減を目指し、再生可能エネルギーの活用、高効率・省エネ設備への
換装などを進めていきます。
なお、2024年3月期は、アンモニア・水素燃料エンジンの実機製造に向けた機械装置の取得等により、グリーン
イノベーション基金事業での研究開発関連費用の計上が前事業年度よりも大きく膨らむ見通しです。これにより
営業利益への影響も大きくなりますが、一方で、交付金も、それに応じて前事業年度から大きく増額すること
から、営業外収益が大きく伸びる見通しです。
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