企業テクノロジーズ東証グロース:5248】「情報・通信業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは、「テクノロジーでより面白く、より便利な世の中を創造する」というビジョンのもと、映像ソフトウェア開発・AIといった技術領域、ソフトウェアサービスの提供、企業向けSaaSといったビジネス領域において、お客様にとって最大限の価値を創造できるようなサービスの提供に取り組んでおります。

(2) 経営環境・経営戦略等

(ITソリューション事業)

2022年3月29日に経済産業省が発表した「情報通信業基本調査」によると、情報サービス業の2020年度売上高は18兆7,928億円(前年度比1.1%減)で、概ね前年同程度の水準となっております。その中で、当社グループの主要事業であるITソリューション事業が属する受託開発ソフトウェア市場は、業種別で売上高が最も大きく、受託開発ソフトウェア業の2020年度売上高は8兆7,673億円となり、前年度比3.2%減となっております。(注1)

2020年度以降についても、2023年4月4日のIDC Japan株式会社の発表によれば、「2022年の国内ITサービス市場は、既存システムの刷新/クラウド移行、企業のデジタルビジネス化に関連する案件の増加と範囲拡大に伴う支出が牽引し、6兆734億円となりました。2023年以降も堅調に推移し、2027年には7兆177億円になる見通しです。」とされております。(注2)

 エンターテイメントに関連する映像ソフトウェア開発(遊技機向け)の業界については、遊技機業界における規制、新型コロナウイルス感染症の影響で断続的な行動制限施策が続いたことによる国内経済の停滞、世界的な半導体不足によるハードウエアの調達困難等により、2018年の901万人から2023年の809万人まで利用者人口が減ったことに加え(注3)、遊技機メーカーの販売台数も2019年の963千台から2022年の1,056千台までほぼ横ばいの状況(注4)となっており、今後についても過去のトレンドに従い市場は横ばいまたは微減すると想定しております(注5)。

 また、AI等のデジタル技術の活用動向については、日本は少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少が進んでおり(注6)、労働生産性向上が国内全体で大きな課題となっており、こうした状況を解決する手段の1つとして近年注目を浴びています。株式会社富士キメラ総研「2022 人工知能ビジネス総調査」によれば、AIビジネスの国内市場は成長を続けており、2022年度には1兆3,139億円、2027年度には1兆9,787億円にまで成長するとされております。また同調査によれば、2022年度も引き続きDXへの投資が伸びており、AI開発やAIを内製化しての活用が進展しており、2023年度以降はアプリケーション機能の高度化や特定業務に特化したシステム活用への投資が増えるとみられています。AI画像認識の国内市場においては、画像認識AIは従来人間が目視で行ってきた作業の自動化を可能とし、熟練技術者の後継者不足対応、働き方改革実現のための生産性向上、老朽化が進むインフラの対策など、現在我が国が喫緊に抱えている課題の解決策として期待されており、2022年度には315億円、2025年度には680億円との高い伸び率が見込まれております。(注7)

 このような状況のもと、当社は、今後も様々な業務の効率化や働き方改革等による生産性向上を目的とした企業等によるシステム投資は底堅いニーズが予想され、受託開発ソフトウェア市場も着実に成長していくと考えております。

 上記のような経営環境のもと、当社グループのITソリューション事業については、これまでの開発実績・大手企業との顧客接点の蓄積を足掛かりとした上で、市場動向及び技術動向を適時にキャッチアップし、AI関連の受託開発を強化するとともに、より高単価の案件獲得を図ってまいります。加えて、固定費や変動費である外注費用を削減し、営業利益率の改善に努めてまいります。また、今後、当社の既存事業に関連する事業のみならず、シナジー効果等が見込まれ、企業価値向上が見込まれる案件については、異業種であっても積極的にM&Aを行ってまいります。

(注) 1.経済産業省「情報通信業基本調査」、2022年3月29日、p49「図表5-1 業種別企業数と売上高(アクティビティベース))
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/joho/result-2/r03/2021kakugaiyo.pdf

2.IDC Japan株式会社「国内ITサービス市場予測を発表」、2023年4月4日
https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ50551123

3.シーズリサーチ「パチンコ・パチスロプレイヤー調査2023」、2023年6月
https://news.p-world.co.jp/articles/24194/nippon

4.株式会社矢野経済研究所「2023年版 パチンコ関連メーカーの動向とマーケットシェア」、2023年9月
https://www.fujimarukun.co.jp/corp/ir/individuals/market.html

5.株式会社矢野経済研究所 https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3401

6.国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」によれば、日本の生産年齢人口は2015年の約7,700万人から、2056年には5,000万人を下回り、2065年には約4,500万人まで減少すると予想されております。

7.デロイト トーマツ ミック経済研究所「AI(ディープランニング)活用の画像認識ソリューション市場の現状と展望 2023年度版」、2023年8月31日
https://mic-r.co.jp/mr/02870/

(SaaS事業)

 当社グループの「jobs」について、株式会社アイ・ティ・アール「ITR Market View:人事・給与・就業管理市場2023」によれば、労務管理システムの市場は、2021年度は84億円で前年度比61.5%増と急速な伸び率を示し、2022年度も同35.7%増と引き続き高い伸びを維持すると予想されています。また、各ベンダーともに、人事システムなど各種システムとの連携機能を拡充し、利便性の向上を推進していることから、新規ユーザーの増加に加えて、既存ユーザーのシステム拡張が進みつつあります。こうしたことから、労務管理市場のCAGR(2021~2026年度)は26.3%、2026年度には270億円規模に達すると予測しています。(注8)。また、当社グループの「Circle」については、株式会社アイ・ティ・アール「ITR Market View:SFA/統合型マーケティング支援市場2023」によれば、統合型マーケティング支援市場は、ベンダー全般的に新規ユーザーが着実に増加していることに加え、大企業を中心に既存システムの拡張が進んでおり、2026年度に410億円になると予想されています(注9)。統合型マーケティング支援市場は、マーケティング活動全般を支援する製品・サービスで、マーケティング・プランニング、見込客管理、カタログ管理、パーソナライゼーション、キャンペーン管理、イベント管理などの機能を含むサービスや製品を対象にしています。

 このような状況のもと、当社グループの「jobs」及び「Circle」についても引き続き拡販を図ってまいります。

 また、当社グループの中長期的な戦略として、ストック型のビジネスであるSaaS事業を拡大させ、当社グループ全体としての利益率の向上及び収益の安定化に努めてまいります。

 当社グループの主な事業モデルは、サービスの利用に応じて収益を計上する、いわゆるSaaSモデルとなっていますが、導入時に売上の全額が計上されるモデルに比べ、黒字化までに時間を要する一方、解約率が低く、中長期では非常に収益性が高いのが特徴です。

 このような事業モデル、市場環境を踏まえ、当社は創業以来積極的に先行投資を行ってまいりました。今後とも、新規ユーザーの獲得及び新たな市場のニーズに応えるサービスの提供に注力してまいります。

(注) 8.株式会社アイ・ティ・アール「ITR Market View:人事・給与・就業管理市場2023」、2023年4月
https://www.itr.co.jp/report-library/M-23000700

9.株式会社アイ・ティ・アール「ITR Market View:SFA/統合型マーケティング支援市場2023」、2023年1月
https://www.itr.co.jp/report-library/m-23000200

(再エネソリューション事業)

2023年9月26日にIEA(国際エネルギー機関)が発表した、NZEシナリオ(ネットゼロ・エミッションシナリオ)の第2版によれば、2021年5月の初版と比較して今後太陽光発電が突出したエネルギー供給源になることが示されており、2050年における電源構成(発電電力量ベース)における太陽光発電の構成率予想は、初版では33%であったのが41%へと大幅に増加しており、風力発電の31%を大きく上回る結果となっております(注10)。また、ネイチャー誌(Nature Communications)に掲載された調査結果によると、2050年には太陽光発電が世界の電力全体の56%をカバーすると予想されており、(注11)世界的にも太陽光発電への注目が高まっております。

 日本国内においても、2020年10月に政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言し、脱炭素社会に向けた市場規模の拡大が見込まれております。固定価格買取制度(FIT)における太陽光発電に関する買取期間の終了及びNonFITへの移行により、売電価格が市場価格に左右されることとなり一定の利益減が見込まれるものの、矢野経済研究所によれば、日本の太陽光発電市場は2022年から2027年の間に9.2%以上のCAGRで推移すると予想されている等(注12)、引き続き市場規模の拡大が見込まれると考えております。また、国内PPA太陽光事業においては、2021年度の38億円から、2022年度は94億円と大きく拡大する見込みであり、2025年度には350億円、2030年度には700億円への成長が予測されております。(注13)

 このような状況のもと、当社の再エネソリューション事業については、当社子会社株式会社エコ革のこれまでの実績を足掛かりとして、当社のIT技術の活用を強みにNonFITの利益率の向上を図り、さらなる受注規模の拡大を目指します。具体的には、当社の技術力駆使した技術提供、最適化による提案力の強化、当社の営業販路を活用した売上拡大を図ってまいります。このような事業モデル、市場環境を踏まえ、2050年脱炭素社会実現にむけて急成長が見込まれる太陽光業界において、グループ全体でシナジーを効かせながら更なる事業強化及び成長を実現させて参ります。

(注) 10.日経ビジネス 、2024年2月1日
 https://project.nikkeibp.co.jp/energy/atcl/19/feature/00007/00116/

11.Nature Communications「The momentum of the solar energy transition」、2023年10月17日
 https://www.nature.com/articles/s41467-023-41971-7

12.Mordor Intelligence「日本の太陽エネルギー市場- 成長、動向、予測(2023年~2028年)」、2023年1月23日

13.矢野経済研究所「国内PPAサービス市場の推移・予測」、2022年10月4日

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、売上高と営業利益を重要な経営指標として管理しております。これらを重視する理由は、企業として一定程度の売上高規模を確立することで、事業基盤の安定性を確保するとともに、安定した利益の成長を継続させることで、新規領域への投資を機動的に行うことが重要であると考えているためであります。また、継続的な利益の確保は安定的なキャッシュ・フローにもつながると考えており、株主への安定的な利益還元を実現するとともに、今後の事業拡大を見据えM&A等への取り組み等についても、資金の状況等を勘案しながら取り組む所存であります。

 また、ITソリューション事業においては受託契約高、SaaS事業については「jobs」の売上高、再エネソリューション事業においては売上高・営業利益率をKPIとして選択しております。その採用理由としては、受注契約高、売上高・営業利益率を増やしていくことが収益に直結することから、最適であると判断したためです。

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

(1)及び(2)に記載したような経営環境のもと、当社グループが継続的な成長を遂げていくために優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は、下記のとおりと考えております。

① SaaS事業の早期拡大化

 当社グループのSaaS事業において、関連領域で強いノウハウを所持する関係企業とのアライアンス等を通じて、早期の事業拡大が重要な課題であると認識しております。関係企業とは、例えば「jobs」の場合、販売対象となる人材派遣会社が業務上で必要不可欠な求人媒体を取り扱う企業等が具体的な一例に該当します。アライアンスの基本的な契約形態(販売代理店契約など)は販売代理店契約を主としておりますが、関係企業と販売対象との関係性に応じた契約形態も必要に応じて検討すべきと考えます。引き続き、関係企業との連携強化等により拡販を図り、同事業の早期拡大化を目指します。

② ITソリューション事業における事業領域の拡大

 当社グループのITソリューション事業における取引先の拡大は、今後の事業基盤の強化を図るうえで重要な課題であると認識しております。営業は顧客開拓活動を積極的に推進するとともに、システムにおける具体的な提案活動においては、内部部門と連携を図り、顧客のニーズに対し最適で、効率の良い提案を行うことで受注確度を高めてまいります。

③ 人材の確保及び育成

 当社グループが今後も顧客にとって付加価値、満足度の高いサービスを提供し続け、事業の拡大を図るためには、デザイン、プロジェクトマネジメント、マーケティング、リサーチ等における高い技能やノウハウ等を有し、顧客の業界にも精通した優秀な人材を継続的に確保し、育成していくことが重要な課題であると認識しております。

 当社グループでは、中途採用による即戦力人材の採用を中心に積極的な採用を行うとともに、各部署での技術向上のための講習や開発作業効率化のための研修等を行うことで、人材の確保及び育成を図ってまいります。

④ 「jobs」の解約率の改善

 当社グループが競合優位性を確保しながら継続的に成長するためには、顧客満足度の向上に加えて、サービスの提供価値を高め、解約率を低く維持していくことが重要な課題であると認識しております。

 当社グループの「jobs」の平均月次解約率(代理店契約を除く)は2023年1月期では1.8%、2024年1月期では2.3%と概ね横ばいの状態となっております。今後も、カスタマーサポートの体制強化等の取り組みにより継続して解約率の改善に努めてまいります。「jobs」のカスタマーサポートでは、解約率の大きな原因となる「契約後すぐに利用開始せず、利用しないまま放置される」状態にならないよう、オンボーディング(システムの利用をユーザが問題なくできるようになるまでの状態)フェーズを手厚くサポートしており、このサポート体制が解約率低減に貢献しております。

⑤ 外注比率の低減

 当社グループのITソリューション事業では、開発業務の一部を外注により行っております。当社グループは、外注に依存することによる技術の空洞化や品質の劣化及び収益性の低下を避けるため、外注比率を低減させていくことが重要な課題であると認識しております。当社グループのITソリューション事業においては、今後も技術者のスキルアップを更に進めるとともに、人材の最適配置などを行うことで内製化を進め、外注比率の低減を図ってまいります。

⑥ 内部管理体制の強化

 当社グループは成長段階にあり、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。このため、当社グループとしては、内部統制システムの適切な運用や社内教育の充実等を通したコーポレート部門の整備を推進し、コーポレート・ガバナンスを充実していくことで、経営の公正性・透明性を確保するために、リスク管理の徹底や業務の効率化を図っていきます。

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