企業兼大株主日本ペイントホールディングス東証プライム:4612】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 第2「事業の状況」1(1)①に記載されている会社の経営の基本方針のもと、当社グループは、(A)適応可能な組織の構築、(B)実現力あるコアテクノロジーの開発、(C)周辺市場・新興市場への進出、の3つの柱でイノベーション戦略を構成しています。これは技術的な視点から「株主価値最大化(MSV)」を実現するものです。当社グループは「アセット・アセンブラー」モデルのもと、世界のパートナー会社間で技術協力、知的財産の共有を行っており、パートナー会社の技術チームは、各市場や顧客ニーズに効果的に対応するため、高い自律性を維持しています。

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費用は29,996百万円(前期比6.7%増)であり、連結売上収益に占める割合は2.0%です。主な研究開発活動の概要は次のとおりであります。

 当社グループは、知的財産の付加価値を向上するため、グローバルな技術提携の強化に適応できる体制を構築しました。例えば、建築用塗料の技術チームは、グローバルな技術コミュニティを形成し、共同の技術開発プロジェクトを通じてベストプラクティスの共有と研究能力の有効活用を進めており、各国の顧客ニーズに対応する中で効果を上げてきました。また、パートナー会社間での技術共有や能力向上を目的として、LSI(Leverage, Share & Integrate)活動を開始し、基盤技術の共有やパートナー会社横断的なプロジェクトの促進を行っています。

 当社グループの技術系人材はグローバルで4,259名、このうち日本では991名に上ります。技術系人材は、ビジネスの持続的な成長を実現するための強力なイノベーションの原動力であり、競争力を生み出す中核的な存在です。技術系人材は国内外の顧客と消費者のニーズに対応するため、日本・東京と大阪、中国・上海、シンガポール、豪州・メルボルン、米国・ロサンゼルスとクリーブランド、フランスなど、世界53ヵ所の研究開発・技術施設に従事しています。2023年には新たに319件の特許を出願し、2023年末時点で登録されている特許権は1,610件に達しています。

 当社グループでは、塗料と塗装に関するコアテクノロジーを12のカテゴリーに分類しながら、知的財産を管理しています。それらは、高分子化学、色彩科学、塗料配合、硬化技術、分散技術、塗装技術、生産技術、レオロジー、耐候・腐食、計測学、人工知能、サステナビリティとなります。研究開発拠点の中核となるチームには各分野の専門技術者が従事しており、世界で展開する技術開発拠点の技術者と協力しながら、グループ全体の製品開発を支援しています。当社グループは、世界の大学や学術研究機関と、幅広いオープン・イノベーション・ネットワークを構築しています。

 日本グループは2020年に東京大学と戦略的研究に関する提携を結び、共同研究を行う枠組みを構築しました。東大との提携は、感染症のリスク低減、社会コストと環境負荷の抑制、スマート社会の基盤づくりの3分野を対象としており、革新的な塗料技術の創造を目指しています。

 NIPSEAグループはシンガポールで、数十年にわたり科学技術研究庁(A*STAR)の研究機関と提携しています。最近ではA*STARと戦略的に提携し、自律走行を可能にするスマート・サーフェース分野、塗料研究で人工知能(AI)を応用する分野で破壊的技術を開発しています。さらに、当社グループは米国マサチューセッツ工科大学と世界中の企業の互恵関係を構築・強化することを目的とする産学連携プログラム(MIT-ILP)へ参加しました。

 イノベーション創出に向けた取り組みとしては、テクノロジーを駆使して生産された製品の生産量を測定する指標の1つとして、新製品売上高指数(NPSI)を開発しました。過去3年間に製品化された新製品の総売上高に占める比率をNPSIと定義しており、NIPSEAグループでは2018年に、日本グループでは2022年にそれぞれ導入しました。日本グループとNIPSEAグループを合わせると、2023年のNPSIは25%となり、約10,000の新製品を発売しています。

 また、研究開発プロジェクトにおけるサステナブル社会実現への有効性を評価する仕組みとしては、「グリーンデザイン・レビュー」を開発しました。これは、研究開発プロジェクトの管理システムに導入されており、日本グループとNIPSEAグループのプロジェクト・ポートフォリオにおいて、研究開発費の62%がサステナブルな優位性を持つ技術や製品の創出に使用されています。

 今後も引き続き、国内外のパートナー会社の技術チームが、最新の技術情報とノウハウを共有しながら、事業を展開する各市場に向けての商品開発に取り組むとともに、さらなる製造コストの低減、安定した品質の確保に取り組んでまいります。

 なお、セグメントごとの研究開発費用は、日本が7,597百万円(前期比4.0%増)、NIPSEAが16,240百万円(前期比4.6%増)、DuluxGroupが3,778百万円(前期比21.7%増)、米州が2,380百万円(前期比9.4%増)です。

PR
検索