企業兼大株主テクマトリックス東証プライム:3762】「情報・通信業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

(1)経営方針・経営戦略等

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

① 経営方針

 当社グループのビジネスは、(1) クラウドコンピューティング時代に技術革新をもたらす、情報基盤技術をインテグレーションする「情報基盤事業」、(2) 最先端のアプリケーション・ソフトウェア技術と、蓄積されたベストプラクティスにより、顧客の抱える問題にソリューションを提供する「アプリケーション・サービス事業」、(3) 患者と医師、家族と地域社会を結ぶ医療環境づくりを目指す「医療システム事業」の三つの事業セグメントにより構成されております。

 情報基盤(ネットワーク、サイバーセキュリティ、サーバ、ストレージ等)事業では、個別企業(エンタープライズ)向けのビジネスに加え、クラウドサービスを提供する事業者(通信キャリア、データセンター、大手システム・インテグレーター等)へのビジネス展開を加速させます。グループ企業と一体となって、保守、運用・監視を含むシステムのライフサイクル全てに跨るソリューションの提供を行います。

 アプリケーション・サービス事業では、特定市場、特定業務向けのアプリケーション・パッケージの開発を加速し、パッケージ販売のみならず、クラウドサービス(SaaS)事業を積極的に推し進めます。CRM、ビジネスソリューション(学術、ビジネスインテリジェンス、金融等)、教育の各分野で特徴ある製品とサービスの創出に努めます。また、組込み分野を中心にソフトウェアの品質(機能安全)を高めるための様々な技術とサービスも積極的に展開して行きます。

 医療システム事業では、医療情報クラウドサービスを推し進めます。また、一般生活者をターゲットとしたPHR(Personal Health Record)サービスの開発や、医療機関、AIベンチャー・外部企業との連携による共同開発等の新規事業も継続して取り組んでいきます。

 目標とする経営指標としては、当社グループが経営の最重要課題の一つに掲げる「株主価値の向上」のための事業規模拡大が挙げられますが、収益力の強化及び収益の安定性向上も必要と考えております。収益力の指標として売上収益(売上高)営業利益率を、安定性向上の指標としてはストック比率を重視しており、当該指標の向上を目指しております。

■売上収益(売上高)営業利益率(%)

 

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

全体(グループ連結)

11.6

10.2

11.1

 情報基盤事業

13.1

12.4

10.7

 アプリケーション・サービス事業

8.4

△0.7

△0.3

 医療システム事業

16.0

21.3

※IFRS基準ベースで記載しております。

※売上収益(売上高)営業利益率(%)の表示については以下のとおりです。
情報基盤事業においては、グループ連結の数字を表示しております。アプリケーション・サービス事業においては、2021年3月期は、グループ連結の数字を表示しており、医療分野(現在の医療システム事業)を含んだ数字を表示しております。同事業における2022年3月期は、医療分野(現在の医療システム事業)の数字を含んでおりません。医療システム事業においては、グループ連結の数字を表示しており、2022年3月期は、2018年に当社から分社化し連結対象子会社であった株式会社NOBORI、連結対象子会社である合同会社医知悟及び株式会社A-Lineの数字に、2022年2月に連結子会社化した旧PSP株式会社の2~3月の実績を加算した数字を表示しております。同事業は、2023年3月期からアプリケーション・サービス事業部門から分離独立しております。同事業の2023年3月期は、新生PSP株式会社(2018年に当社から分社化し連結対象子会社であった株式会社NOBORIと、2022年2月に連結子会社化した旧PSP株式会社が2022年4月1日に合併しました。以下同じ。)、連結対象子会社である合同会社医知悟及び株式会社A-Lineの数字を表示しております。

■ストック比率(%)

 

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

情報基盤事業

64.0

74.7

77.4

アプリケーション・サービス事業

55.1

60.0

62.4

医療システム事業

49.1

※ストック比率の表示については以下のとおりです。
情報基盤事業においては、当社単体の数字を表示しております。アプリケーション・サービス事業においては、2021年3月期及び2022年3月期は、当社単体の数字に加え、連結子会社であった株式会社NOBORI(2018年4月に医療システム事業を会社分割により承継)を含んだ数字を表示しております。医療システム事業においては、2023年3月期からアプリケーション・サービス事業部門から分離独立し、新生PSP株式会社(2018年に当社から分社化し連結対象子会社であった株式会社NOBORIと、2022年2月に連結子会社化した旧PSP株式会社が2022年4月1日に合併しました。以下同じ。)の数字を表示しております。

※情報基盤事業は、サブスクリプション型ビジネスモデルの伸長等により、ストック比率が拡大しております。一方、アプリケーション・サービス事業においても、同数値の拡大に取り組んでまいりました。なお、アプリケーション・サービス事業においては、従来よりクラウドサービスなどストック型ビジネスを推進しており、また、大型案件でのカスタマイズ対応(フロー型収益)が一定程度の規模を占めるため、ストック比率は微増となっております。

② 経営戦略

 当社グループは、2021年5月10日に新中期経営計画「BEYOND THE NEW NORMAL」を発表しました。新型コロナウイルスの感染拡大を契機に私たちの暮らしは「NEW NORMAL」と呼ばれる新しい様式へと変わりつつあります。今後、社会の隅々にまでデジタルがビルトインされ、デジタルを活用したビジネスモデルの変革であるDX※11(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進む状況において、当社グループはデジタル化への急激なシフトと産業構造の劇的な変化を新たな成長機会と捉え、社会課題を解決するためのサービスの提供を通して持続可能な社会の創造に貢献することを目指します。

 新中期経営計画「BEYOND THE NEW NORMAL」では、前中期経営計画「GO BEYOND 3.0」の中核的事業戦略を継続しつつ、7つの基本戦略を定めその実現を目指し、「NEW NORMAL」の先に来る新しい社会を見据えてSDGs(持続可能な開発目標)の観点も取り入れ、社会にとって必要不可欠な領域に向けて事業を加速していきます。

<中核的事業戦略>
■クラウド関連事業の戦略的・加速度的推進(継続)
■セキュリティ&セイフティ(安全と安心)の追求(継続)
 

<7つの基本戦略>

 当社グループの基本戦略については以下のとおりです。

1)取扱製品の拡大・新規サービスの立ち上げ

 サイバーセキュリティ対策の市場動向や顧客ニーズの変化を汲み取り、優れた製品の取り扱いを拡大していきます。また、CRMサービスのワンストップ化に向けた他ベンダーとの連合・グループの組成を含めたサービスの拡充、ビジネスソリューション分野における独自のビジネス分析ソリューションの開発、ソフトウェア開発基盤ソリューションの独自開発によるポートフォリオの拡充、新規事業である教育事業の垂直立上げに向けた積極的な投資に取り組んでまいります。

2)サービス化の加速(サービス比率拡大)

 統合監視セキュリティサービス(TPS)の高度化と拡販、医療分野におけるAI医療診断支援サービス事業の加速、PHR事業の拡大、ツールを活用したソフトウェアの第三者テスト/検証サービスへの参入に取り組んでまいります。

3)データの利活用 (AIの利用を含む)

AIを含む各種データの利活用、AIによる統合監視セキュリティサービス(TPS)の高度化、医療分野におけるAI医療診断支援サービス事業の加速、その他AI技術を活用した製品/サービスの創出に取り組みます。

4)多様なアライアンス・M&A (既存事業の拡充と新規事業の創出)

 資本提携、業務提携、大学・研究機関との連携、オープンイノベーション等による事業運営体制の多様化を推進し、事業を拡大していきます。また、金庫株の活用を含めた積極的なM&Aの実施に取り組みます。

5)海外市場での事業の拡大

ASEANにおけるCRM事業拡大に向けて、現地企業との業務提携も含めグローバル展開を加速させます。

6)グループ間連携の強化によるシナジーの創出

 グループ経営を通して、(a)インフラからアプリケーションまでの全てのソリューション・レイヤーをカバーしつつ、(b)要件定義から設計・開発・テスト、そして、保守、運用・監視までの全てのライフサイクルを網羅する「総合ベンダー」へと進化を図ります。ワンストップでこれらの機能を提供することにより、顧客とのグリップ力を強化することを目指します。特に、クラウドネイティブ※12領域、DevSecOps※13領域におけるグループ内のノウハウの共有、相互利用を進めます。

7)人材育成/組織開発(ダイバーシティの推進を含む)

 社員一人ひとりの多様な違いを受け入れて活かすことでイノベーションを促進するため、2022年8月に新設したD&I推進室を中心にダイバーシティを推進します。「多様性=競争優位の源泉」として事業成長へ繋がる戦略として位置付けます。具体的には女性活躍促進、障がい者活躍推進等に取り組んでまいります。また、2022年4月より運用開始した新人事制度の導入により組織の活力を高めるとともに、リーダー人材の育成、組織力の強化に取り組みます。

<目標とする経営指標>

■収益力の指標としての売上収益(売上高)営業利益率

 売上収益(売上高)営業利益率(%)

 

2022年3月期
中計1年目

2023年3月期

中計2年目

2024年3月期
中計3年目

全体(グループ連結)

11.2

9.3

11.1

 情報基盤事業

13.0

11.8

12.4

 アプリケーション・サービス事業

6.6

 医療システム事業

14.7

(ご参考)

アプリケーション・サービス事業+医療システム事業

7.0

4.8

8.8

※IFRSベースで記載しております。

※2023年3月期及び2024年3月期については、2022年5月に中期経営計画の業績計画の見直しを実施しております。

※2023年3月期に医療システム事業部門がアプリケーション・サービス事業部門から分離独立したことに伴い、2024年3月期については、アプリケーション・サービス事業部門と医療システム事業部門の各事業部門において指標を設定しております。

■安定性向上の指標としてのストック比率(2024年3月期)

 情報基盤事業:70%

 アプリケーション・サービス事業:65%

 医療システム事業:-%

※IFRSベースで記載しております。

※情報基盤事業のストック比率は当社単体の数字を表示しております。アプリケーション・サービス事業においては、当社単体の数字に加え、連結子会社であった株式会社NOBORI(2018年4月に医療システム事業を会社分割により承継)を含んだ数字を表示しており、医療システム事業の単独の指標は定めておりません。

(2)経営環境及び対処すべき課題等

① 収益の平準化

 当社グループの収益構造は、顧客企業の予算執行のタイミングや開発システムの工期との兼ね合いから、通期決算期末(3月末)に役務の提供の完了及び売上計上が集中する傾向があります。現在、ストック型ビジネスの推進により、売上収益(売上高)が特定時期に偏重する季節性は薄れてきておりますが、顧客の決算が集中する3月の売上収益(売上高)が他月と比較して依然多い状況が見られます。キャッシュ・フローを平準化し、また、技術者の業務集中及び不測の事態等により売上収益(売上高)が翌期にずれる、いわゆる期ズレを防ぐためには、受注を平準化することが課題となります。対策として以下の4点が挙げられます。

a. 前決算期に受注を確定し、翌決算期に売上収益(売上高)が計上されるような案件の受注を増加させる。
b. 特定顧客との安定的、長期的なビジネスを軸に年間を通してコンスタントに受注していく。
c. 継続的な保守サービス及びクラウドサービスの受注によりストック型ビジネスの比率を上げ、安定的な収益の計上を行う。

d. 積極的に新しいサービス(従量課金型クラウドサービス等)を立ち上げ、持続性、安定性のあるビジネスモデルを構築する。

② 人材の確保

 当社グループでは、ITサービス産業において一般的な労働集約型ビジネスではない、より高付加価値なストック型ビジネスの拡大を目指しておりますが、更なる成長に向けては、優秀な人材の確保・育成は不可欠であります。ITが全産業分野に浸透して行く中、IT人材の獲得競争は、同業者間のみならず、異業種やベンチャー企業の間でも熾烈さを増しています。今後、事業を拡大していくためには、人材の確保が生命線となり、優秀な従業員を継続的に採用していく必要があります。新卒の定期採用においては、潜在能力の高い人材を、また中途採用においては、即戦力として活用できる経験者を幅広く採用します。
 

③ 生産性の向上(コスト削減・品質向上・納期遵守)

人的リソースの量的拡充だけに頼らず、新規事業の拡大と同時に採算性を向上するためには当社PMO(Project Management Office)室を中心に、開発効率の向上(コスト削減)、サービス品質の向上、納期の順守のための努力を継続します。システムの開発にあたってはオフショア開発(開発業務を海外に委託)、ニアショア開発(開発業務を国内の遠隔地に委託)への取り組みも推進します。

④ 市場環境(ニーズ)の変化への迅速な対応

 世の中が不可逆的に変化していくことを認識し、絶えず変化する市場環境(ニーズ)に対し、当社のビジネスも迅速に対応する必要があります。当社の事業領域においては、オープンソースの普及、クラウド化の流れとともに、ソフトウェア開発の内製化が加速しており、ITは技術的専門性の高い企業だけが扱えるという時代は終焉を迎えようとしています。当社グループの対応としては以下の6点が挙げられます。

a.これまで展開してきた特定顧客向け受託開発のための技術リソースを「自社独自サービスの開発」、「自社付加価値を高める」方向へと戦略的にシフトします。

b.特定市場、特定業務をターゲットにしたベストプラクティスである自社独自クラウドサービスのビジネス展開を加速します。

c.ビッグデータ解析、BI(Business Intelligence)、AI(人工知能)等を利用し、クラウドサービスを通じて得られたデータの利活用を検討します。

d.製品販売とサービス展開における即効性のあるシェア拡大策、事業拡大策として、オープンイノベーションを意識し、ベンチャー企業を含む外部企業や大学、異業種、同業他社や当社グループの事業を補完しうる事業者に対する事業提携やM&Aについて積極的に検討を進めて行きます。

e.サイバーセキュリティ対策技術の提供形態がクラウドサービス化されていく流れの中で、当社独自の付加価値を増大させるため、統合セキュリティ監視サービスなどのサービス化を加速度的かつ高度に進めてまいります。

f.データが価値を生み、ビジネスがB2CとC2Cに収斂されていく世の中との認識のもとに、当社の専門領域において消費者向けビジネスの展開を検討します。

g.情報基盤事業においては、販売代理店(パートナー)と戦略アカウントの深堀りを推進すると共に、社内におけるプロダクト組織とアカウント組織のマトリックス化を行い、市場ニーズの的確な把握に努めています。アプリケーション・サービス事業では、国内外にわたるワンストップサービスの提供に向けた他ベンダーとの連携・企業グループの組成等により、補完的ソリューションを含めた製品戦略、セールス・マーケティング体制の最適化を推進します。

⑤ 海外市場の開拓

 国内情報サービス産業においては、クラウドサービスが普及し、IT投資に分野毎の濃淡が出始めている中、よりグローバルな視点で事業を拡大する必要があります。成長を続けるアジア新興国を中心とした海外市場に対して自社開発の製品やサービスの輸出事業を展開して行きます。

⑥ 社会構造の変化への対応

 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、テレワークの利用が急速に進んだことによって人々の働き方が大きく変化し、IT技術の利用による医療機関におけるオンライン診断、教育現場におけるオンライン授業、クラウドサービスの利用等、デジタル技術を活用した新しい社会の在り方に向け、様々な取り組みが急速に広がりました。そのため、今後世の中の生活やビジネスの基盤は、より一層オンラインにシフトすることが予想され、この流れは不可逆的なものであると認識しております。このような社会構造の変化においては、サイバー攻撃に対する防御を強化する等セキュリティリスクへの対応が重要となり、また、クラウドサービスの利用が加速するなど、当社が得意とする事業領域におけるポジティブな経営環境の変化とビジネス拡大のチャンスをもたらすものと認識しております。新型コロナウイルスの感染拡大が沈静化した後の世の中の構造は、現在と大きく異なるものとの認識に立ち、当社の事業戦略を推し進めます。

(用語解説)

 

※11

DX

DX(Digital Transformation)とは、データや進化したデジタル技術・IT技術を活用し、組織やビジネスモデルを変革し続け、価値提供の方法を抜本的に変えること。

※12

クラウドネイティブ

クラウド上での利用を前提として設計されたシステムやサービス。

※13

DevSecOps

DevOps にセキュリティ(Security)の要素を加えた概念であり、アプリケーションとインフラストラクチャのセキュリティを、開発作業の各工程において考慮しながら進めること。

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