テクミラホールディングス 【東証スタンダード:3627】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
文中において将来について記載した事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「ライフデザイン事業」、「AI&クラウド事業」、「コネクテッド事業」の3つの事業を展開しております。知育・教育、健康、フィンテック、キャラクター利用等の分野におけるデジタルテクノロジーを活用したサービスとソリューションを提供していく「ライフデザイン事業」、AIチャットボット“OfficeBot”やクラウドアドレス帳サービス“SMARTアドレス帳”などのSaaSサービスやAWS等を活用したTechソリューションを提供していく「AI&クラウド事業」、通信デバイスの開発・製造やデバイスを使うためのプラットフォーム・アプリケーションの開発を通じて、モノとインターネットを融合した価値を提供していく「コネクテッド事業」の3つの事業において、TechnologyとCreativeの融合によりmiracle(驚き)を与えるサービス、プロダクト、ソリューションを提供することにより、豊かで新しい未来を創造していくことを標榜してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、中長期的な事業規模拡大と利益の増大、および効率的な株主資本の運用による継続的な企業価値向上を目指しております。このような観点から、当社グループの重視する経営指標は、経常利益、純利益、及び自己資本利益率(ROE)と考えており、これらの目標を設定し、その達成に向けて取り組んでまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社を取り巻く事業環境は、DX化の進展に伴うICT市場の拡大が予想される一方、政治情勢や金融市場、為替相場の変動等の不確実性に加えて、地球温暖化による災害の多発、ChatGPTに代表される業界内の技術革新や慢性的なIT人材不足等もあり、先行き不透明な状況が続くものと思われます。このような環境下、当社グループは、「ライフデザイン事業」、「AI&クラウド事業」、「コネクテッド事業」という3つの事業分野を保有しているという多様性を活かし、それぞれが補完し合い、かつシナジーを生み出すポートフォリオ経営を推進することで、現代の不確実性に満ちた時代においても継続的に企業価値を向上させてまいります。また、DX化の進展による市場ニーズの拡大を確実に捉えるため、各事業において、ハードウェア、ソフトウェア、コンテンツという競争優位性を活かしたソリューションの展開を着実に進める一方、自社プロダクト、自社サービスへの投資を積極的に推進することで、さらなる成長を実現してまいります。
「ライフデザイン事業」では、次の3つのビジネスモデルで事業を展開していきます。
①「コンシューマーサービス」において、創業当初より培ってきた豊富な“キャラクターコンテンツ資産”、版権元、通信キャリア、協力開発会社等との強固なネットワークである“パートナー資産”、コンテンツに関する知見と企画・開発力の“クリエイティブ資産”を駆使したゲーム開発、知育アプリ開発等を推進し、グローバル展開、複数のプラットフォーム展開を進めることで、事業の拡大、安定収益源の確保に努めてまいります。
②「BtoBサービス」においては、健康経営への取り組み企業増加を背景に、Renobodyウォーキングイベントの事業を拡大するとともに、DX化が進展する医療・介護業界向けに、DXプラットフォームであるKarteConnect事業を推進してまいります。FinTech事業においては、キャッシュレス市場の拡大に対し、CRM等プラスアルファの機能を有する決済アプリの導入を推進してまいります。
③「ライフデザインソリューション」においては、教育分野におけるデジタル教材の開発、ヘルスケア分野における保険・医療・介護領域のDX化支援、決済分野における店舗販促やマーケティング支援等の開発案件を深耕してまいります。
「AI&クラウド事業」では、次の2つのビジネスモデルで事業を展開していきます。
①「SaaSサービス」においてChatGPTを活用したAIチャットボット“OfficeBot”への先行投資を継続することで中長期的な成長を目指すと同時に、クラウドアドレス帳サービス“SMARTアドレス帳”の拡大にも注力してまいります。
②「AI・クラウドソリューション」においては、ChatGPT活用ニーズに応じたPOC、開発など付加価値の高い各種ソリューションを展開するとともに、これらを入り口にDX推進を図る事業者向けにトータルビジネスソリューションを展開してまいります。
「コネクテッド事業」では、次の2つのビジネスモデルで事業を展開していきます。
①「ODM事業」において、デバイス需要のさらなる拡大を捉え、小型IoT機器、モビリティデバイス、ICT用途カスタムタブレット等、従来製品の成長を図ってまいります。また、5Gをはじめとする通信環境が整う中、より幅広い高付加価値デバイスの開発も積極的に推進し、ノウハウの蓄積と事業の拡大に注力してまいります。
②「自社製品事業」に関しては、aiwa製品のラインアップ拡充と販売体制強化、ブランド認知の向上に注力し、ODMと並ぶ事業の柱となるよう経営資源を投入してまいります。
(4)会社の優先的に対処すべき課題
①グループ経営の強化
当社グループが属する情報通信市場は、急速な勢いで変化しており、近年ではChatGPTの進化など、技術革新によるDXの進展は、世界規模で進んでいくことが予想されます。こうした市場のなかで、当社グループが魅力的なプロダクト、サービスやソリューションを提供し、継続的な競争優位性を維持していくためには、グループ各社及び各事業セグメントが有する技術力やノウハウ、顧客基盤を有機的に結合するとともに、業務提携やM&A等の外部施策の展開、新規事業開拓への積極的なチャレンジ等が極めて重要であると認識しております。これらに対処するため、持株会社JNSホールディングス株式会社による資本政策の充実、新規事業やパートナー開発の推進、また、事業セグメント間の柔軟な連携やシナジーの発揮を推進し、さらなる競争力強化と事業拡大に取り組んでまいります。
②競争力の高いソリューション事業の推進
ソフトウェア開発の領域においては、近年、様々なSaaSサービスの登場やノーコード、ローコード化の進行、企業自身によるアジャイル開発指向の増加によるアウトソーシング需要の変化などの構造変化が起きつつあり、これまで当社の主軸であったスクラッチ型のソフトウェア開発という市場が大きく変わっていく可能性があります。こういった変化を見越して当社グループでは、ソリューションの事業について次の3つの方向を指向していく方針です。一つは、自社サービスの展開により、ノウハウの蓄積された、ヘルスケア、教育、決済などのライフデザイン分野でのサービスソリューションへの重点シフトです。二つ目は、これまでTechソリューションとして展開してきた強みがある、AIチャットボットやクラウドアドレス帳等の「AI&クラウド」分野への注力です。三つ目は、これまでも行ってきたコネクテッドデバイス事業を展開している優位性を活かして、デバイスと同期したプラットフォームやアプリケーション開発を展開していくという分野です。当社グループは、コンテンツ、ソフトウェア、ハードウェアという3分野にわたる技術やノウハウをクロスさせ、事業セグメント間の連携によるシナジー効果を発揮していくことで、当社ならではのトータルソリューションを提供し、収益力の強化に取り組んでまいります。
③自社プロダクト、サービス事業の拡大
当社グループの企業価値を中長期的に向上させていくためには、競争力の高いソリューション事業を確立して行く一方で、当社自身が当社の強みを活かした自社プロダクト、サービス事業を拡大していくことが不可欠であると考えております。キャラクターコンテンツにおける強みを活かしたNintendo Switchソフトやキッズアプリなどのコンシューマサービス事業、AIチャットボットやクラウドアドレス帳サービスなどのAI&クラウド分野のSaaSサービスや、ヘルスケア、プリペイド決済などのBtoBサービスに加え、近年では、デバイス分野においても、自社製品事業としてaiwaデジタルブランドの事業にも取り組んでおり、自社事業によって安定的な収益の獲得を推進し、中長期的な利益の拡大を図ってまいります。
④グローバル化の推進
ソリューションビジネスにおける熾烈な競争環境で競争優位性を維持し、自社プロダクト、自社サービスの成長拡大を図るためには、グローバルな視点にたった経営体制の構築が不可欠であると考えております。世界的な潮流を踏まえた技術開発や、コスト競争力の優位性を確保していくためには、ソフトウェア、ハードウェアともに、企画、設計段階からのグローバルな開発、製造体制の構築を推進していく必要があります。当社グループは、ソフトウェア開発ではNEOS VIETNAM INTERNATIONAL CO.,LTD、ハードウェア設計開発、製造では創世訊聯科技(深圳)有限公司、金型製作・プラスチック射出成型では創紀精工(東莞)有限公司を有しておりますが、アジア拠点間の連携によるIoTソリューション開発という新たな取り組みや、各拠点独自に開発受注、製品販売を展開する等、販売面でのグローバル化も推進しております。今後も必要に応じてグローバルな開発、製造、販売展開やパートナー展開を検討していく方針であります。
⑤プロジェクトマネジメントの強化
当社グループの成長に伴い、長期にわたるソフトウェア開発受託プロジェクトや、大規模なハードウェア製造受託プロジェクト、また大型のゲームソフト開発などが増えていく傾向にあります。これらの大型プロジェクトについては、より高度なプロジェクト管理が要求されるため、マネジメント力をさらに強化していくことが必須と捉えております。具体的には、(1)受注時、企画時における見積り精度の向上、(2)きめ細かな開発、製造要員計画の立案、(3)品質管理体制の拡充、(4)仕様決定プロセスにおける顧客確認、外注先確認の徹底、(5)顧客、外注先との緊密なコミュニケーションなどが重要と考えており、具体的には、社内ルールとしての「プロジェクトマネジメントガイドライン」や「行動原則」を整備しており、これらの定着活動を推進してまいります。
⑥有能な人材の確保及び育成
各事業の競争力強化を推進していくにあたっては、それぞれの事業に必要な人材を確保、育成していくことが重要であると考えております。有能な人材の確保に向けて多面的な採用活動を進めるとともに、職場環境の整備、モチベーション向上のための表彰制度の実施、教育、育成制度の充実などに対し、積極的かつ継続的に取り組んでまいります。
⑦セキュリティ体制の強化
当社グループの事業領域の拡大、業容の多角化に伴い、業務に関連した個人情報や、顧客の機密情報を取り扱うケースが増えております。そのため、当社グループのソリューション事業におきましては、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格である「ISO/IEC 27001:2013 / JIS Q 27001:2014」に基づくISMS認証を取得しました。また、設計、開発、製造、運用、保守の各段階におけるセキュリティ標準遵守の徹底や、グループ全体にわたるセキュリティ教育、啓蒙のさらなる推進、ソフトウェア、デバイス、社内ネットワークのモニタリング体制の拡充などを進めておりますが、情報セキュリティの確保は、企業の社会的責任であることをグループ各社が改めて再認識し、継続的にその取り組みを強化してまいります。
⑧ESG経営への取り組み
当社グループは、コネクテッド事業、AI&クラウド事業を通じたデジタル社会の産業基盤構築への貢献、ライフデザイン事業を通じたRenoBodyウォーキングイベント等による健康増進への取り組み、知育アプリ、教育コンテンツプロデュースを始めとするEdTechサービスの提供等、あらゆる事業活動を通じて、サステナブルな社会の実現に向けた課題解決に貢献してまいります。また、当社グループが、持続的に企業価値を成長させていくためには、ESGの課題に対して、より積極的、能動的に対応していく必要があると考えています。環境問題に関する取り組みとしては、電子契約の導入、ペーパーレス会議等による、コピー用紙使用量の削減に取り組むほか、リモートワーク制度、フリーアドレスの導入等によるオフィス面積縮小等に伴う電力使用量削減などを推進しております。また、深圳における製造体制では、IECQ QC0800000有害物質プロセスマネジメントの認証を取得し、使用者にも環境にも、安心、安全な製品を提供しております。引き続き、こうした環境配慮型の事業推進体制を構築してまいります。社会に関する取り組みとしては、引き続き、社会問題解決に寄与するソリューション、サービス、製品開発を推進するほか、かねてから注力しておりますワークライフバランス、ダイバーシティ、健康経営等への取り組みをより一層推進してまいります。ガバナンスに関する取り組みとしては、持続的成長を可能とする企業体質の確立に向けて、海外の拠点、子会社を含むグループ全体のコーポレートガバナンスの強化、並びに内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。グループ経営体制としては、権限委譲によりグループ各社の経営自由度を高める一方、グループ経営に関わる重要事項については、JNSホールディングス株式会社の取締役会承認とするなど、より高度な体制を構築しているほか、指名報酬委員会、独立社外取締役会の設置、コーポレートガバナンス基本方針の制定、開示等を行っており、引き続き体制強化への取り組みを推進してまいります。
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