企業兼大株主日東紡績東証プライム:3110】「ガラス・土石製品 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは、『日東紡グループは「健康・快適な生活文化を創造する」企業集団として社会的存在価値を高め、豊かな社会の実現に貢献し続けます。』との経営理念に基づいて、時代の要請に即応し、社会の役に立つ新しい価値を創造し提供し続けることで、株主・投資家・行政・地域社会等すべてのステークホルダーと共に喜びを分かち合い、企業価値を高めていくことを目指しております。

(2) 中長期的な経営戦略

 『中期経営計画(2021~2023年度)』の2年目となる当事業年度は、原燃料価格の上昇や半導体市場の成長鈍
化などの事業環境変化に見舞われた中、グラスファイバー事業とライフサイエンス事業への戦略的投資を着実に実行いたしました。併せて、経営資源を有効活用するため、飲料事業や当社が保有していたゴルフ練習場跡地の譲渡を行い、将来の成長に向けてグループ全体の経営基盤の強化に取り組みました。

 日東紡グループが目指す姿『Big VISION 2030』

 日東紡グループが変化の速い環境下で生き残りを図ると同時に、次の100年も持続的な成長を目指すには、中長期的な社会・経済の環境変化を踏まえて社会的課題に取り組んでいく必要があります。社会のベストパートナーとなるために、2030年に日東紡グループのありたい姿『Big VISION 2030』を再定義し、その長期戦略実行のファーストステージとなる『中期経営計画(2021~2023年度)』では、「成長戦略の実践」「経営基盤の強化」「環境課題への取組み強化」「変革を起こす人財の育成」の4つの重点施策に取り組んでいます。

2030年にありたい姿『Big VISION 2030』

持続可能な社会実現のために、

 「環境・エネルギー」「デジタル化社会」「健康・安心・安全」に貢献する

 グローバル・ニッチ№1を創造し続ける企業グループ

日東紡の目指すグローバル・ニッチ№1

市場の声を“聴き・捉え・フットワークよく対応する“「高感度№1企業」、そして

 独自の技術を磨き鍛えマーケット・ニーズにマッチした商品を提供する

 「高付加価値商品№1企業」を目指します。

グラスファイバー

・ 超スマート社会を支える電子材料分野では、技術・商品力に磨きをかけ、超極細・超極薄・スペシャルガラス分野にて世界№1企業になる

・ 複合材・産業資材分野では、提案力・対応力(スピード)・品質にてお客様の価値創造に貢献、お客様満足度№1企業となる

ライフサイエンス

・ 抗血清から試薬製造・販売を行うグローバル垂直統合事業で、免疫系血漿たんぱく診断薬分野における世界№1企業になる

繊維

・ 接着技術を活用した高機能資材の分野で世界№1企業になる

中期経営計画の概要

<成長戦略の実践>

スペシャルガラスによる収益拡大、体外診断薬分野の販路拡大、新規商品の開発力強化、顧客価値を高めるソリューション営業力の強化

<経営基盤の強化>

景気変動に負けない筋肉質経営、事業ポートフォリオの最適化、不採算事業の見直し、IT/DX導入による技術開発・生産技術の変革

<環境課題への取組み強化>

CO2排出量の削減、リサイクル・リユースの推進、環境配慮型新商品の開発

<変革を起こす人財の育成>

イノベーション人財の育成、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、働き方改革と業務改革(デジタル・ITの活用)、従業員エンゲージメントの向上

(3) 目標とする経営指標

 財務目標

 

2023年度

売上高

1,000億円

営業利益

140億円

ROE

10%

自己資本比率

55%

 環境目標

 当社グループでは、「環境に関する全社方針」を定め環境目標に取り組んでおります。

 また、一元的に環境課題を把握し、課題解決への取組みを推進するため、代表執行役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設けております。2022年度は委員会を4回開催し、省エネルギー推進、再生可能エネルギー導入、環境配慮型新商品開発等のテーマ別タスクフォースを通じて、持続可能な事業のための具体的な施策の検討と推進に取り組みました。また、2022年5月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言への賛同を表明しました。
 2023年4月には、当社ウェブサイトの「サステナビリティ」をリニューアルし、ESG(環境・社会・ガバナン
ス)に関する情報を充実させました。今後も持続可能な豊かな社会の実現に向けた当社の取組みを開示していきます。

<CO2排出量削減>

 2050年度 目標:カーボンニュートラル実現

 2030年度 目標:CO2排出量削減 ▲30%(2013年度比)

<廃棄ガラス削減>

2030年度 目標:廃棄ガラス量の実質ゼロ達成

(4) 経営環境

当連結会計年度におけるわが国経済は、社会経済活動の正常化が進んだ一方で、世界的な原燃料価格高騰の影響が続き、景気の回復が鈍化しました。また世界経済は回復基調にあるものの、半導体市場の成長鈍化や原燃料価格高騰、欧米における政策金利の引き上げなど、先行き不透明な状況は継続しました。

 このような環境の下、当社グループは2021年4月に中期経営計画をスタートさせ、持続可能な社会実現に向け、「環境・エネルギー」「デジタル化社会」「健康・安心・安全」に貢献するグローバル・ニッチ No.1を創造し続ける企業グループを目指しています。

 2023年3月期は、体外診断薬事業において米国カリフォルニア州にヤギ抗血清の新工場を完成させたほか、飲料事業の連結子会社の株式譲渡を実行するなど、成長戦略の実践と経営基盤の強化に取り組みました。

 セグメントごとの事業環境は以下のとおりです。

 グラスファイバー事業 [原繊材事業、機能材事業、設備材事業]

 当社は、1938年に日本で初めてグラスファイバーの工業化に成功して以来、業界のリーディングカンパニーとして、グラスファイバーの可能性を追求してまいりました。グラスファイバーを製造する原繊工程と、グラスファイバー加工工程の双方を備え、組成開発、原繊製造、クロス加工、複合材料開発に至る一貫した生産・開発体制を保有しております。当社独自の技術を活用した商品群を展開し、高付加価値品分野でのリーダーとして地位を築いております。

 原繊材事業

 原繊材事業においては、電子材料用途で、世界で最も細い水準にある極細ヤーンや、低誘電特性あるいは低熱膨張特性を備えた特殊な機能を持つスペシャルガラス・ヤーンを製造できる独自技術を保有しております。また、複合材用途においては、独自技術によりグラスファイバーの断面を通常の円形でなく長円形にすることで成型品の反り・ねじれを抑えるフラット・ファイバーを展開しています。

 当社はこれらの独自技術により高い競争力を有しておりますが、今後、国内外の企業の技術的キャッチアップも想定されるため、研究開発体制の一層の強化と高付加価値製品の製造能力向上を行ってまいります。

当連結会計年度においては、強化プラスチック用途の複合材及び電子材料向けEガラス・ヤーンの販売は低迷しました。また、電子材料向けスペシャルガラス・ヤーンにおいても下期に発生したサプライチェーンの在庫調整が発生しました。一方、原燃料価格の高騰などが収益にマイナスに影響しました。

 機能材事業

 機能材事業では電子材料用途のガラスクロスを展開しています。ガラスクロスは絶縁性・耐熱性・寸法安定性に優れ、電子基板の基材として利用されており、当社の極薄ガラスクロスはその薄さと均一な繊維分布により、電子機器の小型・高機能化に寄与しています。また、当社独自の組成によるスペシャルガラス・クロスは、高速大容量通信に求められる低誘電率、低誘電正接、低熱膨張等の特性を持ち、データセンターや携帯基地局の高周波部材、サーバーやスマートフォンなどの半導体パッケージ基板に使用されています。

 当連結会計年度においては、半導体需要の鈍化に伴うサプライチェーンの在庫調整により、下期は販売が停滞したものの、為替相場がプラスに影響し、収益に貢献しました。

 設備材事業

 設備材事業では産業資材用途グラスファイバー製品とグラスウール製品を展開しています。産業資材用途グラスファイバーは、当社の技術力が評価され大型建造物用の膜材から自動車用の制振材まで幅広い用途で採用されております。取引先が多岐にわたるため個別業界の市況変動が分散され安定的な収益計上が見込める一方で、他素材との競合もあり競争環境は厳しい状況にあります。

 グラスウールは、その高い断熱性能により住宅・ビルなどの断熱材として使用されて省エネルギーに貢献するとともに、空き瓶や使用済みの窓ガラス等のリサイクルガラスを原料としているため資源の再利用にも貢献しています。当社グループはグラスウールを1949年に日本で初めて製造を開始し、現在も断熱材のパイオニアとして独自技術を保有しております。グラスウールの細繊維化を進めて断熱性能を向上させることで、環境負荷の低減に貢献しています。また、ノンホルムアルデヒドのグラスウールを開発し、安全・快適な生活の実現に寄与しています。

 当連結会計年度においては、住宅向け断熱材及び設備・建設資材向けガラスクロス販売が伸長するも、原燃料価格高騰による影響を受けました。

 ライフサイエンス事業

 ライフサイエンス事業では体外診断用医薬品及びスペシャリティケミカルス製品の製造販売を行っています。

 体外診断用医薬品事業は、原料から最終製品をグループ内で一貫製造することにより高品質と安定供給を両立させ、特に免疫系の診断薬に強みを保有しています。国内市場では、高齢化の進展や医療費抑制に向けた治療から予防へのシフト等により診断薬の高機能化が求められています。また、海外市場において、先進国では高付加価値医療(高感度の免疫系試薬や感染症、遺伝子検査等)の需要増加、新興国では社会保険制度の整備に伴う診断機会の増加があり体外診断用医薬品の需要が拡大しております。当社グループは、国内において100種類以上の検査項目に対応した診断薬を販売しており、炎症マーカーや骨粗鬆マーカー等で大きな販売シェアを確保しております。

 スペシャリティケミカルス事業では、機能性ポリマーの製造販売を行っております。販売先の業種・分野はトイレタリー、製紙、金属、電子材料、ジェネリック医薬品と多岐にわたっており、競合の参入が難しい独自性の高い製品の研究開発・製造販売に取り組んでおります。

 当連結会計年度においては、第4四半期以降、飲料事業の売上は連結対象から外れたものの、体外診断用医薬品事業、スペシャリティケミカルス事業ともに国内外の販売が伸長しました。

 繊維事業

 繊維事業では、接着芯地、薄手裏地等の衣料用副資材やふきんの製造販売を行っています。接着芯地は、高級レディース向け市場で大きなシェアを持ち、薄物芯地の接着加工技術に独自性を有しています。

 当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響が落着き、人々の外出機会の増加やイベントの復活に伴う衣料品需要の回復を受け販売は増加しました。また、原材料やエネルギー価格の高騰による収益悪化の影響を受けました。

(5) 対処すべき課題

 中期経営計画の課題

『中期経営計画(20212023年度)』の2年目となる当事業年度は、原燃料価格の上昇や半導体市場の成長鈍化などの事業環境変化に見舞われた中、グラスファイバー事業とライフサイエンス事業への戦略的投資を着実に実行いたしました。併せて、経営資源を有効活用するため、飲料事業や当社が保有していたゴルフ練習場跡地の譲渡を行い、将来の成長に向けてグループ全体の経営基盤の強化に取り組みました。

 当社グループの取組みは以下のとおりです。

 グラスファイバー事業 [原繊材事業、機能材事業、設備材事業]

 拡大が見込まれるスペシャルガラスの需要に応えるべく、供給能力の増強を着実に実行するとともに、日本・台湾におけるスペシャルガラス・ヤーンの製造設備の増強計画を推し進め、各拠点における原繊工程、加工工程の最適な生産体制を構築して、顧客の要望に応えるべく安定供給に注力してまいります。需要が拡大するスペシャルガラスの増産、拡販及び高付加価値品のプロダクトミックス改善により、収益性の向上を図ります。

 原繊材セグメントにおいては、複合材の構造改革効果の最大化、スペシャルガラスの生産販売の拡大による収益向上を目指します。

 機能材セグメントにおいては、AIサーバやハイエンドのネットワーク機器向けの需要拡大期に入ること、および半導体パッケージ向けの需要がさらに拡大すると予想され、スペシャルガラス・クロスの本格的な需要増加の着実な取り込みを目指します。

 設備材セグメントにおいては、住宅省エネ基準の強化を背景に、高付加価値断熱材の拡販や、コストダウンによる収益向上などを目指します。

 ライフサイエンス事業

 体外診断薬事業においては、垂直統合ビジネスの強化を推進し、強みである免疫系診断薬の売上増を目指します。また、2022年に米国拠点の新建屋での生産を開始しており、今後の需要増加に応えていきます。

 繊維事業

 接着加工技術を活用した高機能ドット加工開発を更に強化し、生活資材・産業資材分野への展開を加速させると共に、環境配慮型商品の販売拡大による収益向上を目指します。

PR
検索