企業兼大株主KPPグループホールディングス東証プライム:9274】「卸売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)サステナビリティに関する考え方

 当社は持続可能な社会の実現に向けた世界共通の課題、特に気候変動や海洋プラスチック汚染などに代表される環境問題を看過することのできない喫緊の課題であると考えており、環境問題が世界経済に与える中長期的な影響を低減していくには企業活動のレベルから改善を図っていく必要があると考えております。当社は、「サステナビリティ経営」を「環境・社会・経済の持続可能性へ配慮することによって、中長期で利益を出し続け、事業の持続可能性を向上させる経営」と定義するとともに、「紙でつなぐ、未来をつくる」をコーポレートメッセージとして掲げ、その実現のために、2022年にグループの理念体系である「KPPグループウェイ」を刷新いたしました。


 当社は、KPPグループウェイのもとに、環境だけでなく、社会やガバナンスにも配慮した「KPPグループサステナビリティ基本方針」を策定し、サステナブルな社会づくりに貢献することで企業価値の向上を図っています。

(2)具体的な取り組み

<KPPグループサステナビリティ基本方針>

 私たちKPPグループは「KPPグループウェイ」の基本理念に基づき、総合循環型経営の展開を通して、持続可能な社会の実現に貢献します。また、私たちは環境や社会、そしてガバナンスを経営の重要事項として捉え、事業活動に関わるマテリアリティを特定し、課題の解決に取り組みます。

① ガバナンス

 当社は、上述のとおりKPPグループウェイのもとに、KPPグループサステナビリティ基本方針を策定し、サステナブルな社会づくりに貢献することで企業価値の向上を図っています。サステナビリティマネジメントについては、会長兼CEOを委員長とするサステナビリティ委員会が責任を持ち、サステナビリティ課題の進捗を取締役会に報告しています(2022年度実績:2回)。取締役会は、当社のマテリアリティ((2)具体的な取り組み ②戦略の欄に記載)の解決に向けた取組みの、適切なモニタリングが可能なスキルを備えた人材で構成されており、監督の責務を担っています。サステナビリティ委員会の下部委員会として、コンプライアンス委員会、リスク管理委員会、環境管理委員会、労働安全員会、情報セキュリティ委員会を設置し、各委員会において課題、アクションプラン、KPIを設定し、海外グループ企業を含めてグローバルに継続的な改善を図っています。なお、サステナビリティ委員会およびその下部委員会はそれぞれ年2回開催しています。



② 戦略

 当社はサステナビリティ経営を推進するにあたって、まずは、持続的に新たな価値を生み出すために指標とするべきマテリアリティを特定しました。特定したマテリアリティは経営ビジョン「GIFT+1」(「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営の基本方針」に記載)に基づいて策定した長期経営ビジョンに組み込み、事業戦略、財務戦略、そしてサステナビリティ戦略においてアクションプランを策定し、目標達成に向けた具体的な取り組みを進めています。マテリアリティの特定にあたっては、当社内でプロジェクトチームを組成し、下記のプロセスで議論を進めました。



③ リスク管理

<リスク管理体制と管理プロセス>

 当社は、激しく変化する外部環境の中で適切に事業活動を推進していくために、グループ全体でリスクマネジメントを展開しています。当社のサステナビリティに関するリスクについては、サステナビリティ委員会下部組織である5つの委員会が当該リスクについて検証し、重大なリスクについてはサステナビリティ委員会にて報告、討議の上、必要に応じてグローバルにリスク対応を進めます。


 また、当社のリスク管理体制の維持、向上を図るため、リスク管理委員会を設置し、リスク管理委員会規則に従い、サステナビリティ委員会委員長がリスク管理委員会委員長および副委員長を任命しています。リスク管理委員会は、中核事業会社におけるリスク分析の結果を受け、グループ経営上重要なリスクの抽出・評価を行い、重点対応策を決定し、重点対応策の実行状況のモニタリングを定期的に行い、その結果についてサステナビリティ委員会へ報告を行うこととしています。

■ 当社のリスク管理体制


 当社におけるサステナビリティ関連のリスク(および機会)を含む各種リスクの識別・評価・管理体制については、「3 事業等のリスク」も併せてご参照ください。

■ 当社のリスク管理プロセス


2023年3月期は、当社グループに関連のあるESG課題として特に重要である気候変動と人的資本に関して、リスク・機会の洗い出しやシナリオ分析(気候変動に関して)、経営戦略との連動性、対応策の検討を行いました。気候変動、人的資本に関する戦略や指標・目標を含む詳細内容は以下のとおりです。

(3)気候変動への対応

 当社の「サステナビリティに関する考え方」に基づいて、当社は、気候変動による事業への影響を重要な問題と認識し、2022年6月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言への賛同を表明しました。KPPグループは紙パルプ産業における主力プレイヤーであることを自覚し、「紙」という環境に優しい素材を軸に、これからもグループ全体で、GHG(温室効果ガス)排出量の削減等、環境負荷低減に貢献してまいります。

 温室効果ガス濃度上昇にともなう気候変動により、平均気温や海水面の上昇、そしてこれによる自然環境への影響まで様々な変化が生じています。市場においても、SDGsの国連決議を背景にプラスチック・フリーの潮流が世界中に広がっており、環境負荷低減の動きが加速しています。これら気候変動による事業への影響を当社は重要な問題と認識し、2022年6月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言への賛同を表明しました。今後、気候変動が与える事業へのリスク・機会を分析して経営戦略に反映し、自然環境との共生、調和を図り、社会・経済の持続可能な発展の実現に取り組んでまいります。

① ガバナンス

 当社グループの取締役会は、気候関連課題に対する最終責任を負っており、気候変動対応を含むサステナビリティに関する事項について、サステナビリティ委員会より年2回の報告を受けております。2021年には、「GHG排出削減量」など気候変動に関わる事項について報告を受けており、それらの進捗状況を監督し、「総合循環型ビジネスモデル」の展開を図っています。

 サステナビリティ委員会の委員長には、代表取締役会長兼CEOが就任しています。サステナビリティ委員会は、環境管理委員会やリスク管理委員会より年2回、気候関連課題に関する報告を受け、GHG排出量削減やリスクマネジメントなどの課題への取り組みについて、助言・指導してまいります。


② 戦略

 当社では、事業影響、財務影響を与える気候関連リスク・機会の特定にあたり、IEA(※)の気候変動シナリオを参考に、脱炭素社会に向けた2℃シナリオと化石燃料に依存した4℃シナリオの状況を考慮し、当社に影響を与える可能性のある様々なリスクと機会の要因を抽出・整理しました。主なものは、以下のとおりです。

(※)IEA: International Energy Agency(国際エネルギー機関)

「想定シナリオと事業に影響を与える可能性のある主な気候関連リスク・機会の要因」

 

2℃シナリオ:

4℃シナリオ:

脱炭素社会に向けたシナリオ

化石燃料に依存した成り行きのシナリオ

移行リスク

規制

・カーボンプライシング等のGHG排出規制強化

市場

・環境認証製品の需要増加

評判

・気候変動問題に対する取組評価の厳格化、情報開示要請の高まり

技術

・競合する再生エネルギー価格の低下(太陽光、風力等)

・草本系バイオマス燃料の需要増加に伴う木質系からの需要の移行

物理的リスク

急性

・水害(台風・豪雨)の頻発化・激甚化

・水質悪化(取水河川等の濁度上昇)

慢性

・生態系の変化、病害虫の異常発生
・干ばつ、森林火災の深刻化
・降水・気象パターンの変化や平均気温上昇
・水資源の枯渇(水需給の変化)
・海面の上昇

移行・機会

製品

サービス

・非化石エネルギー利用拡大
・電子商取引市場の拡大
・消費者嗜好の変化
・エコ包装の普及
・循環型社会の形成
・バイオマス素材製品の普及

 抽出・整理した要因について、「事業・財務への影響度」、「リスク発現・機会実現までの期間」、「発現・実現の可能性」の観点で評価を行い、当社として重要なリスク・機会、およびそれらに対する今後の対応策・機会獲得のための施策を整理しました。

「移行リスク/物理的リスク」

 

重要なリスク

事業影響

期間

対応策

移行

リスク

規制

カーボンプライシング等のGHG排出量規制強化

・操業への炭素税の導入

・調達品への炭素税等の導入またはGHG削減対応による操業、調達コスト増加

中期

・再生エネルギーの積極的な活用と省エネの徹底/強化

・積極的な環境負荷低減製品の選定、地球環境に配慮したグリーン購入の促進

物流センター/事業所、配送車両への炭素税等の導入による輸送、保管コスト増加

中期

・他社との共同配送、配送効率の向上

・物流センター、事業所内の事業の効率化

物理的リスク

急性

激甚災害の増加

(台風・豪雨の頻発)

・自社施設/設備の毀損による復旧コスト増加

・自社操業停止による調達量、売上減少

中期

長期

・高リスク拠点の防災対策推進

・拠点間の連携体制の強化

・BCPの見直し/強化

・仕入先の被災/操業停止による調達コスト増加

・サプライチェーン寸断による調達量、売上減少

短期~

中期

サプライチェーン強化等による事業のレジリエンス向上

慢性

降水・気象パターンの変化平均気温上昇

水需給の変化による製紙会社の操業停止に伴う調達量減少、水使用料、調達価格の上昇

中期

「機会」

 

機会

事業影響

期間

機会獲得のための施策

移行

機会

製品

サービス

エコ包装の普及

包装材の化石燃料素材から紙素材への変更による売上拡大

中期

市場特性に合わせたパッケージング事業の拡大

消費者嗜好の変化

国内外法規制の変化

循環資源への切替

(例:紙製容器導入)による売上拡大

中期

環境配慮型素材や製品の開発、流通

循環型社会の形成

各種回収サービス(ecomo)を通じたビジネス機会の増加による売上拡大

長期

製品販売と古紙回収による循環型事業モデルの確立

非化石エネルギー利用拡大

バイオマス発電用木材、運転支援システムの需要増による売上拡大

中期

バイオマス発電所運転支援システムの展開

■リスク発現・機会実現までの期間(2022年を基準とする)

短期:3年以内、中期:3年超10年以内、長期:10年超

③ 分析結果を踏まえた今後の取組

 シナリオ分析を行った結果、移行リスクでは仕入先のパルプメーカーや製紙会社の炭素税、GHG削減対応の負担は小さくなく、仕入価格への転嫁も想定されることから、調達コスト増の可能性があると考えています。そのため、今後当社としても、当該影響の小さい環境負荷低減製品の選定を積極的に検討することが必要であると考えています。中長期的なサプライチェーンからのGHG排出量削減のため、足元では排出量の算定に取り組んでおります。今後、算定の精緻化ならびに具体的な目標設定、削減対策の立案・推進に、サプライチェーン全体で取り組んでまいります。

 また、物理的リスクでは、台風・豪雨といった激甚災害が増加すると、自社の施設のみならず、サプライチェーンである取引先の被災や操業停止が考えられ、商品供給に支障が生じる場合、事業・財務に大きな影響を及ぼす可能性があり、幅広い仕入ソースを引き続き確保してまいります。

 機会としては、エコ包装の普及により包装材としての紙素材の需要が増加しております。当社ではパッケージング事業をはじめ、事業領域の拡大を図っており、2022年にも紙の緩衝材ソリューションを提供するオランダのランパック社と販売代理店契約を締結し、環境負荷低減型包装資材の拡販に取り組んでいます。

 また、非化石エネルギー利用拡大や循環型社会の形成を見越し、バイオマス発電所運転支援システム「BMecomo」の開発や提供、古紙回収ソリューション「ecomo」の展開、大手企業に向けたクローズドリサイクルサービスの提供を通じた循環型事業モデルの構築を目指す等、ビジネス機会の獲得にむけた対策を積極的に進めます。

④ リスク管理

 気候関連リスク・機会を評価するプロセスとして、事業への影響度や発生可能性、事業戦略との関連性、ステークホルダーの関心度等を勘案し、重要度を評価しています。気候関連リスクの管理プロセスについては、環境管理委員会によって評価された重要度の高いリスクはリスク管理委員会に報告され、全社的なリスク管理体制として、「リスク管理規程」に基づき、経営に対して特に重大な影響を及ぼすと判断されたリスクについて、対策委員会の設置等の対応をすることで管理してまいります。


⑤ 指標及び目標

「温室効果ガス(GHG)排出量に関する目標」

 当社グループは持続可能な社会の実現に向けて、総合循環型ビジネスモデルを展開しています。気候変動の緩和に向けて、自社の事業活動による温室効果ガス排出量削減目標を設定し、再生可能エネルギーの積極的な活用と省エネの徹底や強化に取り組んでいます。2020年度を基準とし、毎年3.3%削減していくことを目標としています。また、目標設定の範囲は、まずスコープ1、及びスコープ2を対象にしております。将来的にはスコープ3にも範囲を拡大することを検討すると共に海外拠点もこの範囲に収めていけるよう準備を進めております。なお、22年度のデータにつきましては23年度上半期中にコーポレートサイト上で公開できるよう準備を進めております。

CO2排出量(2017年度~2021年度)

環境データ

2017年度

2018年度

2019年度

2020年度

2021年度

事業者のCO2排出量(t-CO2)

2,355

2,247

2,001

1,854

1,797

トンキロ法によるCO2排出量

11,572

11,593

10,476

9,635

9,115

 集計範囲:国内主要事業会社(国際紙パルプ商事㈱、KPPロジスティックス㈱)の特定事業主・特定荷主の排出量を算出。

「気候変動の緩和に貢献する製品・サービスの売上高に関する指標」

 当社グループは、サステナビリティ戦略の達成に向けた進捗の管理指標として、気候変動の緩和に貢献する製品である森林認証紙や森林認証パルプの売上高や販売量も活用しています。また、当社が定義する「グリーンプロダクト」や「グリーンソリューション」においても気候変動の緩和に貢献する製品・サービスとして、売上高や販売量を指標として、規模の拡大を目指してまいります。

環境対応紙及び森林認証パルプの販売(2017年度~2021年度)

環境データ

2017年度

2018年度

2019年度

2020年度

2021年度

環境対応紙の販売(トン)

566,503

695,032

772,484

736,562

683,582

森林認証パルプの販売(トン)

128,428

152,251

149,308

157,467

172,561

 集計範囲:国内主要事業会社(国際紙パルプ商事㈱、KPPロジスティックス㈱)

(4)人的資本

<「経営戦略と人材戦略の連動」の考え方 KPPグループの人的資本経営>

 当社は「KPPグループウェイ」の基本理念に基づき、総合循環型ビジネスモデルを通して、持続可能な社会の実現に貢献します。当社は商社として最大の資産である人材が意欲的に活躍できる環境こそが持続的な成長の基本であり、総合循環型経営を進める上での要であると考えます。

<当社の総合循環型ビジネスモデル>


 総合循環型ビジネスモデルは、製紙原料や紙・板紙などの販売から、古紙などの再生資源を供給するマテリアルリサイクルと、バイオマス発電所運転支援等による再生可能エネルギー供給等によるGHG排出量削減に貢献するビジネスの2つから構成されます。当社は持続的な成長のため、事業ポートフォリオの転換、強化を経営戦略として掲げておりますが、マテリアルリサイクルはその主軸であり、この推進にあたって必要とする人材やその育成についての知見の蓄積があります。GHG排出量削減に貢献するビジネスでは、約100年に渡り紙パルプを中心に関連する業界において培ってきた知見や幅広いネットワークを基盤に、新たに求められる要件を加え、ビジネスの成長に資する人材の育成へとつなげています。

 これらビジネスに必要とする人材を人的資本として、トップマネジメントで構成される人事委員会を中心に、組織や人的資本に関する調査や分析、人的資本に関する方針や戦略の検討と意思決定を行い、透明性のある採用・評価制度の整備や人的資本戦略に基づいた人材育成など、人材確保と社員が活躍し成果へとつながる人材戦略へと進めています。また、労働安全委員会を設置し、KPPグループ憲章に基づいて、誰もが安全・安心に働ける職場環境の充実を継続して図っています。

① 人材の育成について

 当社創立以来、100年近く関わってきた紙販売、その後の古紙回収を加えたマテリアルリサイクルビジネスの継承のために、紙と周辺素材に関する理解から販売のソリューションまでを有する人材を育成しています。また、GHG排出量削減ビジネスの開拓など、将来に向け事業ポートフォリオ改革も進めており、新規領域の開拓や成長に貢献できる専門性を有する人材の確保と育成も求められています。

 また、2019年にSpicers、2020年にAntalisが連結子会社となり、第3次中期経営計画に掲げるグローバルグループ経営の強化へとつながるグローバルに活躍できる人材の確保と育成も更に求められています。

 その他、持株会社移行に伴うガバナンス体制の整備、新規事業領域の開拓やグローバル対応といった領域は速やかな組織強化が必要であり、専門性と経験を有するキャリア人材の採用を積極的に進めています。そして既存ビジネスの成長、新規ビジネスの展開、グローバル展開の次の100周年に向けて、当社の事業ノウハウを次の世代へ継承し続けるため、新卒は10名から15名を継続的に採用していきます。

 採用人材については、新入社員からグレード(等級)毎、また昇格時の研修など、執行役員まで、各階層別研修を実施しています。今後はグローバル人材や次世代基幹人材、管理職のマネジメント力強化を主眼とした研修に加え、スキル向上ではソリューション営業スキル研修も加え、人材育成を様々に強化していきます。

 研修を通じた人材育成の他、事業年度の始まる4月に、事業戦略と人材の適材適所配置の観点から人事異動を行っています。決定に際して、ジョブローテーションを通じた人材育成なども考慮し、自己申告制度を通じて上司部下で話し合われている将来キャリアの情報も勘案しています。

 社員の能力発揮を支援するために、当社では、成果、アクティビティ、バリューの三つに分けた評価システムを運用しています。具体的には、社員を複数の職群に設定された基準に基づき職務・役割・能力レベルに応じたグレード(等級)に区分し、評価は、成し遂げた成果・結果を成果評価で評価し、目標を達成するためのプロセスはアクティビティ評価・バリュー評価で評価します。この結果を賞与、昇降給、昇降格へ反映して、社員一人ひとりが次なる目標へとチャレンジを促す制度となっています。また、社員の成果評価制度とは別に、業務上の顕著な功績や功労があった従業員あるいは組織に対して、従業員表彰制度による表彰を行い、自律的な人材の更なる活躍と組織による会社への更なる貢献を推進しています。

② 社内環境の整備について

2022年10月、事業運営の効率化や中核事業会社の経営責任を明確にすることを目的に、当社は持株会社体制に移行しました。これにあわせて、今後とも持続的に企業価値を高めていくための指針となる理念体系を刷新しました。KPPグループホールディングス発足時には、新たな理念体系についてトップメッセージを発信し、理念体系ポスターを社内で掲示するなど、様々なチャネルを通じて社員への浸透を図っています。

 社員の意識について、会社・仕事に対する意識・価値観・人間関係・将来ビジョン等についての満足度を可視化し、職場環境の改善や整備に活用するため、社員満足度調査を毎年行い、調査結果を社内公表してきました。設問項目は、経営理念、職場環境、ハラスメント、ダイバーシティ、コミュニケーション、評価/報酬、福利厚生、業務量、テレワーク、教育/研修、エンゲージメントと広範囲に約80問から構成されています。2022年度は持株会社体制へ年度途中での移行のため実施は見送りましたが、2023年度から社員のエンゲージメントを中心とした設問項目に見直し、当社の事業戦略と社員のエンゲージメントの相関を深めた内容へ変更し、今まで以上に人材戦略へ反映させていく予定です。

 働き方において、新型コロナウィルス感染症拡大時の経験より非常時の事業継続想定を見直し、また社員の多様な働き方への対応も併せ、「テレワーク勤務実施細則」を定めて全ての社員が職場や業務状況に合わせてテレワーク勤務も可能となる就労環境を整えています。

 社員の健康管理においては、心身ともに健康な状態で働き続けることができるように、全社員に年1回の定期健康診断を実施し、30歳以上の社員については生活習慣病検診を行い、検査結果に応じた健康アドバイス等を行っています。今後は、特定保健指導の実施を予定し、社員の健康管理の促進を図ります。

 健康へ影響する長時間労働の対応では、管理職も含めパソコンの稼働状況に基づく勤務実態を把握、時間管理の適正化へ向けて改善指導し、健康障害発症リスク回避より産業医による面談も行っています。また、業務改善・生産性向上を通じた長時間労働削減を目指し、IT統括本部を中心とした業務改善プロジェクトによる既存業務のワークフロー化実現を推進しています。

 ダイバーシティについて当社では3つの観点からなる「ダイバーシティ推進方針」を掲げ、社員の仕事と私生活の両立・性別・年齢・国籍・人種・民族・宗教・社会的身分などの違いを尊重し、社員一人ひとりが意欲的に活躍できる体制を整えています。

③ ダイバーシティの推進について

1.ワークライフバランスの向上

 社員が仕事と育児・介護などの私生活を両立して就業継続しながら、よりレベルの高い仕事にチャレンジできるよう、環境を整備していきます。

2.ダイバーシティの推進

 性別・年齢・職掌・障がいの有無・国籍などの区分なく、主体的なチャレンジを促進する能力開発の機会を提供し、全ての社員が最大限の活躍ができる環境を整備していきます。

3.採用の多様化

 女性幹部の登用や外国人学生の採用と中途即戦力人材の採用を継続し、人材の多様化を今後も一層進めることにより、グローバル企業としての価値向上に努めてまいります。

提出会社及び連結子会社

2023年3月末

障がい者雇用率(%)

KPPグループ

ホールディングス(株)

3.2

国際紙パルプ商事(株)

2.5

 障がい者の雇用への取り組みでは、当社は雇用環境や職域の整備を継続的に行い、法定雇用率の2.3%を上回っていますが、今後の法定雇用率改定に向けて更に努力していきます。

4.メンター制度の導入

 今後の当社を支える新入社員に対しては、社員メンター制度を導入しています。学生から社会人への第一歩を踏み出し、社会、会社、仕事、生活の変化への戸惑いを覚える社員に対して、メンターとの対話を通じて、社会人としての考え方の整理を支援し、人材の定着へと導いています。

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