企業東邦化学工業東証スタンダード:4409】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、取引先に信頼され、株主・社員に報い、社員が誇りと意欲をもって働く企業を目指します。

小粒でも光るファインケミカル中心の中堅優良化学メーカーとして、社会に貢献するとともに、独自性のある技術・製品を擁し、環境志向等時代のニーズへの即応力を備え、CS(顧客満足度)においても高い評価を得られる企業グループとなるよう努めてまいります。

(2) 中期的な経営戦略

当社グループは、2023年3月期を初年度とする「TOHO Step Up Plan 2024」(以下、「中計」という。)に取り組んでおります。中計に掲げた数値目標と課題は、(3) 目標とする経営指標、(5) 対処すべき課題に記載のとおりです。中計においては、多岐にわたる製品群と幅広い技術を有する当社グループの特色や強みは生かしながらも、「選択と集中」を一層徹底し、経営資源を成長事業へ集中的に投入することにより、収益力を改善・強化すべく全力で取り組んでおります。

(3) 目標とする経営指標

中計では、継続的な事業規模の拡大と収益性の向上、財務の健全性確保、資本の効率的な活用、株主の皆様への還元を重視し、下記の指標を数値目標としております。

数値目標(連結) <最終年度(2025年3月期)>

 

 

2025年3月期 計画

 

2024年3月期 実績

売上高

(百万円)

60,000

 

50,596

営業利益

(百万円)

3,000

 

771

売上高営業利益率

(%)

5.0

 

1.5

純資産額

(百万円)

20,500

 

19,160

自己資本比率

(%)

28.0

 

27.3

ROE

(%)

10.0以上

 

3.0

1株当たり配当額

(円)

20

 

17

(4) 経営環境

2024年3月期は、世界的な需要の鈍化、とりわけ中国の景気低迷による需給関係悪化の影響が大きく、化学業界においては厳しい状況が続きました。2025年3月期は、半導体不況の底打ち及び回復が見込まれるなど、需要は徐々に増加に向かうことが期待されますが、一方、世界的な金融引き締めに伴う影響や中国経済の回復の遅れ、物価上昇による消費者マインドの悪化懸念、中東情勢の緊迫化等、懸念材料も多く、先行きは不透明な状況が続いております。

(5) 対処すべき課題

中計(2023年3月期~2025年3月期)の重要課題と対応状況につきましては以下のとおりです。

(最重要課題)

① 収益重視の経営の推進

製品別営業利益を強く意識する姿勢が社員に着実に浸透し、販売面では、低採算品を中心に採算是正のための売価見直しを推進するなど、収益改善に向けた取り組みが進捗しております。また、生産面においても、数々の製品で工程見直しなどの合理化を実施し、コスト削減による採算改善を進めております。低採算品かつ他社との競合があり採算是正が難しい製品については、生産・販売の継続の是非を含め、見直しを進めております。

② 電子情報材料分野の拡大で中核事業化へ

2023年度は、半導体不況の影響によって同分野の製品の販売量が減少し、2022年度に稼働を開始した新プラントの稼働率向上は計画比で遅れることとなりました。しかしながら、その間に、生産要員の教育、生産工程の自動化、適正在庫の確保、原材料の安定確保を目的とした冷蔵倉庫の新設など、需要回復時のV字回復に向けた準備を着実に進めてまいりました。先端製品の研究開発についても取り組みを強化し、先端製品の量産化等を目的とする既存プラント拡張工事が2024年6月に完工予定です。当社製品の供給能力増強に対する取引先からの期待は強く、2022年度に稼働した新プラントの二期増設工事についても、需要動向を見極め、好機を逃さないよう準備を進めてまいります。

③ 東邦化学(上海)有限公司を成長軌道に乗せる

2023年度は、中国の景気低迷により需要が振るわなかったことに加え、安全規制対応工事のために生産設備の稼働を一時停止した影響が大きく、同社の営業利益は赤字となりました。しかしながら、中国の景気低迷下、中国と日本との原料調達価格の差が拡大し、原料調達面で同社の優位性はより高まっております。同社は、大型の生産設備を有し生産性が高く、原料調達面の優位性も加わり、その利点を十分に活かすため、国内工場からの生産移管に注力しております。当社グループの生産体制の最適化を図り、競争力を高めるためには、同社の更なる活用が必須であり、それに伴って、同社の業績も早期に改善するものと見込んでおります。

(その他重要課題)

① 脱炭素化へ向けたサステナビリティ活動の取り組み強化

2023年11月に当社の重要課題(マテリアリティ)を決定し、各重要課題への具体的な取り組み内容や目標を定めて取り組んでおります。2023年度は、エネルギー消費の実態を把握するための計器の増設を概ね完了させるとともに、CO2排出量算定支援システムを新たに導入し、数値目標や長期計画の策定に向けた分析を進めております。生産工程においては、廃水削減や廃熱の回収・再利用、廃水処理場の運転最適化等の取り組みを進めております。2024年3月には労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格であるISO45001を新たに取得いたしました。また、環境負荷低減製品の開発においては、土木建築用薬剤等の製品開発に注力しており、販売実績化などの進捗がありました。

② 最適生産体制の一層の強化

千葉工場における電子情報材料事業のウエイトを高めるための生産移管や、東邦化学(上海)有限公司の活用を拡大するための生産移管など、グループ全体の競争力を高めるための最適生産体制の構築が着実に進捗しております。四日市工場においては、樹脂エマルション製品の生産性向上と増産に向けた設備が完工するなど、生産移管に必要な設備の増設も進んでおります。昨今、中国等と日本との原料調達価格の差が拡大したことから、品質面・技術面で差別化が難しい汎用製品については、競合する中国等からの輸入品との競争が一層激化しております。その対策として、競争力の乏しい汎用製品については生産を縮小し、収益性の高い製品にシフトするなど、生産品の見直しを進めております。一例としては、鹿島工場や千葉工場における香粧分野製品(一般洗浄剤)の生産を大幅に減らし、空いた生産余力を活用すべく、鹿島工場では代替製品の生産に向けた貯槽の増設を行い、千葉工場では人的資源等を電子情報材料事業にシフトするなどの対応を進めております。

③ 研究開発投資の選択と集中の徹底で高機能・高付加価値製品の開発を加速

当社の強みである多分野・多品種にわたる様々な技術の組み合わせによる課題解決に取り組んでおります。その成果としては、ガラス繊維用の新製品の生産技術を確立し生産・販売を開始したことや、塗料用薬剤の開発が進捗したことなどが挙げられます。また、電子情報材料の先端製品の開発についても着実に進捗しているほか、ライフサイエンス領域では複数の製品が新たに販売に結びつきました。

④ スリムな人員体制で人材育成に注力し、社員の待遇改善を図る

人材教育により一層注力すべく、社員研修用のインターネットサイトを新たに作成し、eラーニング用コンテンツの充実を図るなどの取り組みを進めております。また、インボイス制度の開始や電子帳簿保存法の改正に伴う事務負担の増加に対しては、新たなシステムの導入や事務作業のアウトソーシングにより、間接部門の人員増抑制を図っております。生産面においては、自動運転プログラムの作成技術向上を図り、電子情報材料をはじめとして自動運転化の範囲を拡大させているほか、生産合理化によって各製品の生産時間を短縮するなど、省人化への取り組みを継続しております。

また、中計に掲げた課題に加え、2023年2月の当社サーバーに対する不正アクセス発覚以降、二度とこのような事態を起こさぬよう、情報セキュリティの強化に全力で取り組んでまいりました。外部専門家によるコンサルティングを受け、監視の強化とログイン認証の強化、データのバックアップの堅牢化を最重要視し、対策を実施したほか、社内規程類の整備や見直し等の施策を進めております。今後は、情報セキュリティをより一層強化するための取り組みと並行して、業務効率化・利便性向上に向けたITインフラの見直しについても、外部専門家の意見を参考にしつつ、実施してまいります。

2023年6月に発生した四日市工場のC9留分漏えい事故に関しては、再発防止策として、漏えい防止対策工事を行ったほか、作業方法の見直しや作業指示書・チェックリスト等の改訂、緊急時通報体制の見直しや通報訓練実施などの対策を行いました。更に、この事故の反省点を全工場に横展開し、安全総点検を実施いたしました。

当社グループでは、不正アクセス及びC9留分漏えい事故を立て続けに発生させたことを厳粛に受け止め、万全の再発防止策を講じ、信頼の回復に全力を挙げて取り組んでまいります。

「新三ヵ年中期経営計画」(2019年度~2021年度)初年度の2019年7月1日時点では、社外取締役を除く取締役8名のうち、50歳台は2名で、6名は60歳以上でした。2024年7月1日時点では、社外取締役を除く取締役8名のうち、1名が40歳台、4名が50歳台、3名が60歳以上となり、世代交代は着実に進捗しております。また、従来3名であった執行役員に、新たに50歳台前半から半ばの3名が加わります。引き続き執行体制の強化を図るとともに、経営人材の層をより厚くし、経営の中核を担うリーダーを育成することに力を注いでまいります。

当社を取り巻く事業環境の変化のスピードはますます加速し、グローバルベースでの競争が一段と激化しております。外部環境の変化のスピードに負けないスピード感を持つ人材の登用を積極的に進め、全社一丸となって厳しい環境に立ち向かい、業績の早期改善に向けて全力で取り組んでまいります。

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