企業兼大株主岩手銀行東証プライム:8345】「銀行業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

当行グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当行は、1932年5月の創業以来、基本姿勢である「地域社会の発展に貢献する」ならびに「健全経営に徹する」の2つを経営理念として堅持し続けております。

(2)前中期経営計画の総括

 前中期経営計画(以下、「前中計」といいます。)は、2013年4月に掲げた10年間の長期ビジョンの最終ステージとして、地域における「CSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)の実践」をテーマに掲げ、2019年4月にスタートさせました。4年計画の前半2年を、「経営体質強化プロジェクト」による収益体質強化と事業領域の拡大に向けた基盤整備に取り組む期間とし、後半2年を、前半2年の施策効果を収益に結び付ける期間として位置付け、各種施策を進めました。

 営業体制の面では、預り資産業務の営業人員を統括店に集約させることで効率的な運営体制としたほか、「事業性理解に基づく法人営業業務」を将来的な収益増強分野と位置付け、優先的に人員を配置しました。

 業務改革の面では、新端末の全店導入や、相続業務や個人ローン分野の本部集中の拡大など、営業店業務のスリム化を進めました。

 グループ戦略の面では、コンサルティング会社と地域商社を設立し事業の領域を拡大した一方、不採算部門の解散や譲渡、拠点の集約など、経営の面からもコスト構造改革に取り組みました。

 これらの取組みにより、前中計における以下4つの主要計数目標は、全ての項目を達成しました。

指標 

2022年度(最終年度)計画

2022年度実績

連結当期純利益 

50億円

53億円

OHR ※1

70%台

74.8%

連結自己資本比率 ※2

10%以上

11.64%

事業承継・M&A支援先数(累計)

2,400先

2,723先

※1 経費(除く臨時処理分)÷コア業務粗利益

※2 自己資本の額÷リスクアセット等の額

(3)経営環境

現在の地域金融機関を取り巻く環境は、低金利の長期化により預金と貸出を主体とする従来のビジネスモデルが先細りしていることに加え、異業種からの参入、ネット銀行の拡大など変化への対応が求められる状況にあります。また、気候変動への取組みがグローバル化しているほか、食料や燃料、資材などの価格高騰、キャッシュレスの進展やAIをはじめとした新技術の発展など、環境は目まぐるしく変動し予測が困難となっています。

当行が主要な営業基盤とする岩手県におきましては、都市部への人口流出や働き手不足、事業の後継者不在等を理由とした廃業・解散が増加し事業所数が減少するなど課題がより顕在化・深刻化しています。一方で、岩手県は豊かな自然を有するほか、食料自給率も100%以上を維持する数少ない県として食料やエネルギーの生産・供給拠点としての存在感が高まっています。また、県南部では半導体・自動車産業などの産業集積が進み、県北部では地域エネルギーや森林・海洋資源を活用した地域循環共生圏の実現に向けた動きが加速するなど、県内全域で産業構造変革や社会経済の変革が進みつつあります。このほか観光面では、世界遺産の登録数が3件と都道府県単位では一番多いほか、NYタイムズ紙の「2023年に行くべき52か所」に県庁所在地である盛岡市が選出されるなど、大きな魅力があります。

(4)対処すべき課題

① 長期ビジョン

 このような環境の下、当行グループは、2023年度から向こう10年の長期ビジョン「お客さまの課題解決と地域社会の持続的成長を牽引する価値共創カンパニー」を掲げました。今回策定した長期ビジョンは、地域の賑わいや安心、魅力ある企業、身近で便利な金融インフラなど、当行が抱く、地域社会やお客さまにとっての「理想的な地域像」が起点となっており、こうした地域像を実現していくため10年先に当行グループがありたい姿を表現しております。

当行グループは、地域の事業者や行政自治体と連携しながら、産業構造変革によって生じる好機を逃すことなく、再生可能エネルギー、農林水産、観光など、岩手特有の地域資源の強みを活かしさらなる可能性を引き出していくことで、地域に新たな価値を生み出し、豊かで活力ある、そしてサステナブルな地域社会を実現していきたいと考えております。



② 新中期経営計画
○ 新中期経営計画の位置付け

長期ビジョンの実現を目指し、2023年4月から3年間の新中期経営計画(以下、「新中計」といいます。)「第21次中期経営計画~地域価値共創プラン~」をスタートさせました。新中計では、前中計において取り組んだグループの基盤整備や事業の再構築等を通じて備わった経営基盤を土台として、CSV(共通価値の創造)の理念を踏襲し、「金融サービス領域の深化」と金融の枠を超えた「新たな事業領域への挑戦」を推し進める期間と位置付けています。そして長期目標である連結当期純利益100億円、ROE5%の到達に向けた第1フェーズとして、高い水準にある自己資本の有効活用と事業ポートフォリオの変革を通じて、利益成長軌道をつくり出します。

○ 新中期経営計画の基本方針と主な取組内容

新中計は「地域を支える進化した金融のカタチをつくる期間」として、以下の3つの基本方針を掲げております。

[基本方針Ⅰ:ソーシャルソリューションビジネスの高度化]

 コア事業である金融仲介機能を最大限に発揮しながら地域経済の再生・発展を主導し、包括的なソリューションメニューを提供できる体制を構築するほか、良質なデータの利活用と異業種連携による付加価値の高い金融サービスを提供するとともに、事業ポートフォリオを地域の脱炭素への取組みや新たな事業領域に拡大していきます。

 主な取組内容は以下のとおりです。

<資金繰りや本業支援>

お客さまの事業内容や成長可能性などを理解するとともに、経営課題を把握し解決策を提案する「事業性理解」を通じて、保証や担保に依存しない融資に取り組みます。また、グループ会社機能の活用や外部事業者・団体等との連携を深めることで、包括的ソリューションを一層強化し、お客さまの多様化・複雑化するニーズに対応していきます。

<データ利活用>

 お客さまとの接点であるアプリをもう一段階進化させ、豊富なお客さまの情報をもとに、行動を先回りした情報提供(レコメンドサービス、ダイレクトマーケティング)を行うことで、アプリやサービスの価値向上を図っていきます。また、将来的な取組みとして、ソーシャルメディア、決済、送金、医療や自治体サービスなど日常生活のあらゆる場面で利用できる統合的なアプリである「スーパーアプリ」の導入を目指します。

 データ利活用による新事業の展開としては、広告・マーケティング支援事業を伸長させていくほか、データ分析事業を展開していきます。

<CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)の活用>

 投資専門子会社を設立し、協業を目的とした、スタートアップや異業種への出資を通じて、新規事業開発・オープンイノベーションの推進体制を構築します。

CVCの活用イメージとしては、先端技術・新規事業立上げを得意とするスタートアップ企業と協業することで、当行グループのDX・データ利活用、新規事業を加速させるほか、人材派遣や協業を通じて人材育成や事業ノウハウを蓄積し、次の新規事業を興すなど、中長期的な視点での事業領域拡大に向けた足掛かりを作ることにつなげます。

[基本方針Ⅱ:地域を支える盤石な経営基盤の確立]

 キャピタルアロケーションの最適化によるアセットビジネスの強化とDX推進による経営効率の向上、事業リストラクチャリングとコスト構造改革を断行します。また、現状の総合金融グループ体制を基盤として、地域の循環型経済を支える新たな企業群を形成し、ステークホルダーの皆さまとの対話を重視するほか、高い水準のコーポレートガバナンスを確立します。

 主な取組内容は以下のとおりです。

<ストラクチャード・ファイナンスの強化>

ストラクチャード・ファイナンスの取組みを強化するため、企画・立案・推進等のフロント業務や案件管理、人材育成までを一気通貫で統括する専担部署「ストラクチャード・ファイナンス室」を2023年4月に新設しました。今後、さらなる残高の積み上げを図り、新中計の主要計数目標項目の一つである「顧客向けサービス業務利益」の黒字化に向けた収益の柱の一つに成長させていきます。

<業務運営体制>

 人口減少に伴う来店客の減少や過疎の進行など、広い県土の岩手県を地盤とする当行が直面している環境変化に対応しつつ、「地域への金融インフラ維持」と「生産性向上」を両立させた持続可能な営業店経営を実現させるため、地域統括型店舗運営体制を導入します。

 営業店経営の単位を「個店」から「地域」へ移行し、地域統括店に人員と業務を集約することで、コンサルティング機能と生産性を高めます。また、地域特性に応じた業務方針・予算を策定し、地域単位で施策を展開することで、営業店が地域再生と地域産業の成長支援に専念して取り組める体制を整備します。

[基本方針Ⅲ:多様な人材が働きがいを持ち続ける組織づくり]

 地域課題を解決できるプロフェッショナル人材の育成と個人の成長を促す人材投資を積極的に行うとともに、チャレンジ性にあふれた企業風土を組織全体に浸透させ、全ての従業員が誇りと働きがいを持ち続け、安心して活躍できる組織づくりに取り組んでいきます。

 主な取組内容は以下のとおりです。

<人材育成とチャレンジ性にあふれた企業風土への変革>

 コンサルティングスキルを高める研修会の新設やグループ内留学制度の実施のほか、データ利活用の基盤の一つであるデータ分析人材やマーケティング人材の育成にも積極的に投資を行っていきます。

 また、チャレンジ性にあふれた企業風土へ変革する取り組みとして、ジョブチャレンジ制度(社内公募制度)を新設するほか、チャレンジを後押しする企業風土変革に向けた管理職育成にも取り組んでいきます。

<ダイバーシティ&インクルージョンの推進>

 新しい人事制度の導入により、上司・部下間の対話を通じ「人材育成」が主眼となる仕組みを構築し、職員の働きがいやエンゲージメントを高め、一人ひとりの実力を最大限に引き出す組織の実現を目指します。また、職員のライフプランや価値観などに応じた柔軟な働き方の実現に取り組みます。

○ 主要計数目標(新中期経営計画、長期目標)

 長期目標達成に向けた第1フェーズとして、以下の主要計数目標を設定し、各種施策に取り組みます。

指標

2022年度実績

2025年度計画

長期目標(2032年度まで)

連結当期純利益 

53億円

70億円

100億円

連結ROE(株主資本ベース) ※1

3.0%

4%以上

5%以上

連結自己資本比率 ※2

11.64%

10%程度

OHR(単体) ※3

74.8%

60%台

顧客向けサービス業務利益 ※4

△9億円

10億円以上

※1 連結当期純利益÷株主資本平均残高

※2 自己資本の額÷リスクアセット等の額

※3 経費(除く臨時処理分)÷コア業務粗利益

※4 貸出金平残×預貸金利回り差+役務利益-営業経費


 当行は、「地域社会の発展に貢献する」「健全経営に徹する」の経営理念を堅持し、地域との共存共栄を目指してまいりました。創立100周年に向かうこれからも、豊かで活力ある、そしてサステナブルな地域社会の実現に向け当行の使命を果たしてまいります。

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