企業大栄環境東証プライム:9336】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、実際の数値と異なる可能性があります。

(1)経営方針

 当社グループは、「われわれは、創造・改革・挑戦の信念をもって、人間生活・産業・自然との共生を目指し、社会に貢献します。」との経営理念のもと、サステナブルな明るい未来社会を実現するより良い環境づくりを目指して、「事業の永続性を高め、環境創造企業として進化する」という経営ビジョンを掲げております。また、当社グループの事業は、地域の皆さまからの「信頼」がなくては成り立たない事業であり、これまでに積み上げてきた地域の皆さまからの「信頼」により、地域に根差した事業を展開していることが当社グループの最大の「強み」です。「未来は信頼から生まれる」という創業の原点をサステナビリティ基本方針として位置付けることで、持続可能な社会の実現と持続的な企業価値の向上を目指します。さらに、これらを実現するための4つの組織行動として「DINSステートメント」(Development(進化)、Integrity(誠実)、Nature(自然)、Social contribution(社会貢献))を制定のうえ、100年企業に向けての基盤づくりを着実に進めております。

 また、当社グループの事業は、決して止めることのできない重要な社会インフラであり、政府が宣言する2050年カーボンニュートラルに向けて社会システムが急速に進化する中で、長期的視点をもって、社会課題の解決に繋がるESG(環境・社会・ガバナンス)施策に、これまで以上に取り組む必要があります。廃棄物処理・資源循環のあり方を変えていくために、多様なパートナーと共創し、地域循環共生圏を構築するとともに、脱炭素化やDXなど、必要な投資を積極的に行い、最も強みとする地域社会との関わりをより深めて、次世代に求められる新たな価値を社会に届けます。

(2)経営環境

 わが国経済は、ウクライナ情勢の悪化等によるエネルギー・資機材価格の高騰から期初に停滞が見られた経済活動も、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和に伴い、設備投資や個人消費等が緩やかな回復傾向にあります。今後も景気の持ち直しが期待される一方で、欧米に加えて日銀の金利政策による景気下押しリスク、エネルギー・資機材価格のさらなる上昇、資材納期の長期化による工事着工の遅れ等の懸念材料もあり、依然として国内景気の先行きは不透明な状況が続いております。

 当社グループの属する廃棄物処理・資源循環業界では、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃掃法」という。)が施行されて50年が経過し、循環経済や脱炭素が求められる社会状況の中で、廃棄物処理や資源循環のあり方を問い直すべき時期にあると考えております。

 人口減少が進む自治体は、財源等の課題から、公設での一般廃棄物処理施設の整備・運営が困難な状況に陥っている場合も少なくなく、民間資金を活用した廃棄物処理施設の整備・運営や一般廃棄物処理の民間処理事業者への委託が増えつつあります。また、近年、自然災害が多発・大規模化しており、大量の災害廃棄物を迅速かつ安全に処理するために、民間処理事業者が担う役割が一層重要となっております。長期的には、産業廃棄物、一般廃棄物ともに、排出量の減少が見込まれるものの、これまで自治体が担ってきた一般廃棄物処理の民間委託が進むことにより、民間処理事業者としての市場規模は拡大していくものと考えております。

 なお、当社グループは、想定するTAM(最大の市場規模)(※2)について、日本国内における各種廃棄物(産業廃棄物:主に事業活動に伴って生じる廃棄物、一般廃棄物:主に家庭から排出される廃棄物、災害廃棄物:自然災害により発生する廃棄物)・リサイクル市場規模の総計と推定しており、概要は下図のとおりです。

※1 三重県は、中部地方に含めております。

※2 TAM:Total Addressable Marketの略称。当社グループが想定する最大の市場規模を意味する用語であり、当社グループが当連結会計年度末現在で営む事業に係る客観的な市場規模を示す目的で算出されたものではありません。

 上記のTAMは、一定の前提の下、外部の統計資料や公表資料(環境省『環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書(令和4年3月)』、環境省日本の廃棄物処理(令和2年度版))を基礎に当社グループが推計したものであり、統計資料や推計に固有の限界があるため、実際の市場規模は上記の推計値と異なる可能性があります。

※3 動脈産業(製造業など製品を生み出す産業)の受入を除くリサイクルサービス・リサイクル素材の市場規模

※4 建設改良費を除いております。

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題、経営戦略

 当社グループは、経営ビジョン「事業の永続性を高め、環境創造企業として進化する」の実現に向けて、脱炭素社会や循環経済への転換に向けた世界的潮流の中、中期経営計画(2022年度-2024年度)に取り組み、人間生活・産業・自然と共生し、社会に貢献する企業であり続けるため、新たな価値の創造に努めております。

 中期経営計画では、長期的視点をもって、社会課題解決に繋がるESG施策を進め、主に廃棄物処理施設の処理能力増強や営業活動の活性化による収益の拡大と断続的なコスト削減により、さらなる売上成長と利益率の向上を目指しました。また、気候変動等の社会課題に取り組むことを目的として、2022年9月にサステナビリティ推進委員会を設置し、サステナビリティ基本方針の策定などに取り組むとともに、2023年2月に新たに大阪府泉北郡忠岡町と公民連携協定を締結し、地域循環共生圏構築に向けた取組みを進めてまいりました。

1.当期の主な成果

①成長戦略に関わるESG施策

a.E施策(環境)

(a)有機性廃棄物のリサイクルに係るメタン発酵・堆肥化施設の整備

 当社伊賀リサイクルセンターにおいて、メタン発酵施設(処理能力:320トン/日)及び堆肥化施設(処理能力:92トン/日)を2022年11月と同年10月にそれぞれ稼働開始

(b)超長期目線での最終処分場の残容量確保

 管理型最終処分場について、2022年5月に子会社の三重中央開発株式会社(三重県伊賀市)、同年7月に子会社の株式会社東北エコークリーン(福島県田村郡小野町)、同年8月に当社三木リサイクルセンター(兵庫県三木市)で供用開始し、同年12月に当社御坊リサイクルセンター(和歌山県御坊市)で産業廃棄物処理施設設置許可証の交付を和歌山県より受領

(c)カーボンニュートラル推進

 2022年8月にパートナー企業とともに国内初となる廃プラスチックのガス化及びメタノール化の実証事業を開始

b.S施策(社会)

(a)地域循環共生圏の構築

 2023年2月に大阪府泉北郡忠岡町と地域循環共生圏構築に向けた協定をパートナー企業とともに締結し、同年3月に事業実現に向けて、より詳細な調査・計画・設計を行うための新会社「忠岡エコサービス株式会社」を設立

②経営基盤強化に関わるESG施策

a.G施策(ガバナンス)

(a)コーポレート・ガバナンスへの取組み強化

 2022年9月に気候変動等の社会課題解決に取り組むことを目的に「サステナビリティ推進委員会」を設置

2.今後の重点施策

 2050年カーボンニュートラルに向かって社会システムが急速に変化する中で、持続可能な社会の実現と持続的な企業価値の向上を目指すためには、ESG施策にこれまで以上に積極的に取り組むことが重要であると考えています。多様なパートナーとの共創、地域循環共生圏、脱炭素化、DX推進など必要な投資を積極的に行い、社会に貢献する企業であり続けるために持続的成長を目指してまいります。

※1 太枠は「成長戦略に関わるESG施策」、細枠は「経営基盤強化に関わるESG施策」を表しております。

※2 必要残容量とは、資源循環システムの整備が想定どおり進んだ場合における2080年3月期までの想定埋立量を前提とした最終処分場の残容量をいいます。

※3 上記及び下記の将来数値は、様々な前提や仮定に基づいて策定した2022年5月時点における目標値であり、様々なリスクや不確定要素によって、実際の数値と大きく異なる可能性があります。詳細は下記「3 事業等のリスク」をご参照ください。

① 成長戦略に関わるESG施策

a.E施策(環境)

(a)有機性廃棄物のリサイクルに係るメタン発酵・堆肥化施設の整備

 国内有数の処理能力を持つメタン発酵施設(処理能力:320トン/日)及び堆肥化施設(処理能力:92トン/日)を伊賀リサイクルセンターにおいて2022年11月と同年10月にそれぞれ稼働開始しており、早期安定稼働を目指します。堆肥化施設は、三木リサイクルセンターにおいても現在の処理能力55トン/日から段階的に増強(2024年4月全面稼働開始)する予定です。

(b)三木バイオマスファクトリーの整備

 三木リサイクルセンターにおいて廃木材や食品残渣等のバイオマス資源と様々な廃棄物を混焼する三木バイオマスファクトリー(処理能力:440トン/日)が2023年5月に稼働開始しており、早期安定稼働を目指します。

(c)熱処理施設の処理能力倍増及びCCU(※)導入可能性の検討

 既存施設を高効率な熱回収施設へ更新するほか、地産地消による自律分散型の地域エネルギーセンター等の整備により、グループ熱処理施設の処理能力を、2022年3月期末時点の2,067トン/日から、2030年3月期末までに倍増(処理能力の計画値:4,000トン/日)することを目指します。同時に、脱炭素化との両立を目指し、CCU導入可能性の検討も進めます。

※CCUは、「Carbon dioxide Capture and Utilization」の略称であり、従来の化石燃料由来の燃料や化学品等の製品を、CO2を原料として製造した製品へと置き換えることで低炭素化を図ることをいいます。

(d)超長期目線での最終処分場の残容量確保

 埋立負荷低減を図りつつも、埋立せざるを得ない廃棄物は残るため、最終処分場の計画的な整備は、資源循環システムを構築する上で必要不可欠です。当社では、創業から100年となる2080年3月期までに必要な残容量を確保するため、継続的に最終処分場の増設・新設を行いつつ、循環経済が進展する2030年以降は資源化可能物・有機性廃棄物の埋立ゼロによる埋立量の抑制を目指すことにより、「100年企業の基盤づくり」を着実に進めます。

(e)研究開発の強化

 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの受託研究開発事業として取り組んできたプラスチック資源循環に貢献する高度選別技術や石油化学原料化技術の開発、高効率な資源循環システム構築に寄与する自動選別プラントによる作業工程の自動化・高度化検討の成果も踏まえ、循環経済の構築に貢献してまいります。

(f)M&A戦略

 日本の廃棄物処理市場においては、欧米と比較して、各過程において多くの中小規模の処理事業者が分散する業界であることから、業界再編に繋がるM&Aの機会が豊富にあると考えております。これまで多くの子会社をM&Aによりグループ化(2023年3月末時点で連結子会社30社中17社)してきた実績を背景に、シナジーの獲得を狙い、M&Aを推進していく予定です。

(g)カーボンニュートラル推進

 素材産業の各社が炭素循環型製造プロセスへ移行する中、廃プラスチックのケミカルリサイクル及びCO2・バイオマスの原料利用等に素材産業と連携して取り組むことは、当社コーポレートメッセージにもある「資源に変える」事業を拡大するチャンスであると考えております。素材産業との連携を深めるため、デジタル技術を活用した自動化・省力化サービスの提供や、CO2の見える化・トレーサビリティサービスの導入など、資源循環のあり方を変革していきたいと考えております。

 今後も、当社グループが持続的に成長するために必要となる「地域循環共生圏」、「脱炭素化」、「デジタルトランスフォーメーション」への投資を継続してまいります。多様なパートナー企業との共創を通じて、脱炭素社会・循環経済への転換に向けて、ESG施策にこれまで以上に積極的に取り組み、決して止めることのできない重要な社会インフラを提供する企業としての存在意義を高めてまいります。

 また、カーボンニュートラルに向けて廃棄物処理・資源循環のあり方を変革していくため、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」に基づき「再資源化事業計画」の認定を取得し、プラスチックの資源循環に積極的に取り組んでまいります。パートナー企業と進めている廃プラスチックのガス化及びメタノール化の実証事業は2024年3月に終了し、商用化検討ステージへ移行する予定であるほか、日用品の詰め替えパックを回収してリサイクルし、再び詰め替えパックに戻す実証事業をパートナー企業と開始しております。さらに、NEDOプロジェクトである革新的なプラスチック資源循環プロセス技術の開発に取り組んでおります。

b.S施策(社会)

(a)地域循環共生圏の構築

 日本の人口が減少する中、行政における財政健全化への歳出改革は喫緊の課題です。民設民営による効率的なインフラ整備は、その課題の解決に繋がると考えております。また、自治体に処理責任のある一般廃棄物は、自治体保有の焼却施設での処理が大部分であり、今後は民間が整備する焼却施設等へ処理委託する公民連携(PPP)への移行を成長機会と捉えております。

 当社は、2023年3月期において、全国の自治体(1,788自治体(※1))の2割を超える425の自治体との取引があります。このネットワークを活かして、2021年10月に熊本県上益城郡5町及び兵庫県相生市と、2023年2月に大阪府泉北郡忠岡町とそれぞれ公民連携協定をパートナー企業とともに締結しております。

 一般廃棄物処理における公民連携については、民間委託の機運が高まっているため潜在的な市場は大きく、また、自治体においてもコスト削減が実現できる等当社グループ及び自治体の双方にとってメリットのある取組みであると考えております。そこで、今後さらに公民連携協定の締結を拡大していく予定であり、地域循環共生圏を構築してまいります。当社グループの連結売上高のうち、約20%は自治体に対するものであり、自治体と強固な関係性を構築していることに加え、当社グループが保有する施設の総許可能力(※2)のうち、約70%は一般廃棄物処理が可能な許可も保有している強みを活かし、一般廃棄物と産業廃棄物の一体的処理により事業エリアの拡大を目指します。自治体に対しては、住民サービス向上とごみ処理経費削減という新たな価値を提供いたします。

※1 2023年4月1日時点の全国の自治体1,718(東京23区除く)に、東京23区と47都道府県を合算したものであります(出所:政府統計の総合窓口(e-Stat))。

※2 総許可能力とは、各項目において都道府県等から許可を取得している処理能力をいいます。

※ 取引自治体数には都道府県、東京23区を含み、また広域連合に関しては、構成する各市町村をそれぞれ1自治体としてカウントして算出しております。

(b)災害への備え

 地球温暖化により、激甚化する災害への備えは、社会全体にとって喫緊の課題です。当社グループは、広域処理を可能にする収集運搬体制、短期間に大量の災害廃棄物を受入可能な施設群を有しており、これまでの処理実績もあり、2023年3月末時点において154の自治体との災害支援協定締結に繋がっております。機動的な支援を可能にする協定エリアの拡大に向けて、今後さらに災害支援協定の締結数を拡大することを目指すとともに、災害・一般廃棄物処理計画策定支援等を通じて、社会的使命を果たしてまいります。

(c)最終処分場跡地の活用

 当社グループは、最終処分場を埋め立てた跡地も「資源」と考え、形を変えて地域のために活用しております。当社の創業の地で1988年に埋立を完了してから13年後の2001年、「和泉リサイクル環境公園」として、最終処分場が地域の憩いの場に生まれ変わり、現在では大阪府和泉市観光ガイドブックに掲載される観光スポットとなっております。また、2014年、東日本大震災以降の電力不足や、再生可能エネルギー比率目標を引き上げる国の施策などの社会情勢に対応するため、ソーラーパネル9,000枚超を擁するDINSメガソーラーを大阪府和泉市に建設し、2018年には同規模のメガソーラーを増設し、年間約550万kWhの発電を行っております。

②経営基盤強化に関わるESG施策

a.S施策(環境)

(a)人財育成

 定期的な人事ローテーションにより、実効性のある相互牽制を図りつつ、適材適所で人財を配置することで能力開発を促し、全社的な生産性向上を図り、100年企業の基盤づくりを支えます。

b.G施策(ガバナンス)

(a)TCFD(※)に基づく情報開示

 気候変動を抑制するために、当社グループとして、気候変動に関する2030年や2050年の目標に向けてどう行動するのか、急速に変化する社会システム等にどう対応するのかについて、TCFD提言に基づく情報開示を開始いたしました。今後も開示情報の充実により、全てのステークホルダーへの説明責任を果たしてまいります。

※TCFDは、「Task force on Climate-related Financial Disclosures」の略称で、各国の中央銀行総裁等からなる金融安定理事会の作業部会で投資家等に適切な投資判断を促すための気候関連財務情報開示を企業等へ促す民間主導の組織をいいます。

(b)資本配分

 当社グループは、今後も継続してオーガニック成長のための設備投資を実施する方針ですが、今後キャッシュ・フローに対するオーガニック成長のための設備投資の比率を下げ、インオーガニック成長のためのM&Aや公民連携への投資比率を高めるとともに、将来にわたって安定的な株主還元を可能にする資本配分のバランスを実現することを目指してまいります。

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 事業の永続性を高め、環境サービス産業のリーディングカンパニーとしての地位を確立するために、企業の成長を評価する客観的な指標として、売上高、営業利益、EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)を重視しており、設備投資による既存事業の拡大や公民連携事業の強化等の施策により、中長期的に、より高い売上高年平均成長率、営業利益率及びEBITDAマージンを目指します。

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