企業兼大株主大東建託東証プライム:1878】「不動産業 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 当社は、土地所有者の皆様に建物賃貸経営を総合的にお任せいただき、その価値を高めていくために、事業効率の高い賃貸建物を提案しています。そして、多様化する入居者様ニーズに対応するため、商品開発部・技術開発部を主幹担当部門として、新工法・資材の開発を含め、商品ラインナップの充実に積極的に取り組んでいます。

 当連結会計年度の研究開発活動に係る投資総額は1,706百万円(主に建設事業セグメントで発生)であり、その主なものは以下のとおりです。

 商品開発部においては、「環境」「防災」「ライフスタイル」の3つを軸にした「新しい価値」を創造する賃貸住宅のラインナップを充実させるため、上半期8商品、下半期6商品の計14商品を新たに開発しており、一部をご紹介します。

「環境」に配慮した商品『ニューライズ』は、標準でZEHオリエンテッド基準に対応しています。加えて、太陽光パネルや建物の高断熱化、省エネ性能の高い設備のオプション設置により、ZEHからLCCM基準まで対応し、企業活動を通じて脱炭素社会の実現に貢献ができる商品です。

「防災」に配慮した『ぼ・く・ラボ賃貸』第2弾となる『エール』は、災害時に求められる「自助・共助」の必要性と、「在宅避難」へのシフトを社会課題として捉え、地域防災を後押しする商品として「備蓄」と「コミュニティ形成」をコンセプトに開発しました。災害時には非常用電源にもなる「蓄電池」を設置できる防災オプションもとりいれています。

 多様化する「ライフスタイル」で自分らしい暮らしを楽しめる『シエルパティオ』は、1階はカップル向け間取りとしプライバシーに配慮したプライベートテラスを設定。2階のファミリー向け間取りには生活空間をきれいに広く快適に生活できる約4帖の「小屋裏収納」を設置しています。また、2022年10月改正された長期優良住宅の新基準に適合する高性能・高耐久の商品です。

 多摩美術大学との産学共同研究により、Z世代の視点を通して次世代の「ライフスタイル」を反映した『ヴィジョン マイタグ』を開発しました。住人同士が相互のコミュニケーションを暮らしの価値と感じ、その価値観が街とつながることで賃貸住宅が地域活性の場として貢献します。

 その他にも、都市部における自宅の建築や建て替え時に、自宅を収益化する賃貸併用住宅『シエルオーナー』や、北海道向け『ルタンウィル(北海道)』、沖縄向け木造3階建て『ルタンⅢ(沖縄)』など全国の各地域環境にあわせた商品ラインナップを取りそろえ、社会環境変化や多様な市場・入居者様ニーズに対応できるように取り組みました。

 商品の開発以外にも将来の活用に向けた研究開発の取り組みとして、主力2×4構造の新たな工法「ミッドプライウォールシステム(MPW)改良型」をカナダ林産業協議会と共同で開発しました。合板を2×4材で挟み込み、従来の2倍の強さを発揮する強靭な高耐力壁で「木造建築新工法性能認証」を取得しました。

「賃貸×野遊び×防災」をテーマとした地域コミュニティをプロデュースする「野遊び賃貸プロジェクト」を発足しました。「防災に強い賃貸住宅」を目指す大東建託と、キャンプの分野で培った強みを活かし住宅や広場に「野遊び」の要素を取り入れた空間作りを進めるスノーピークが、それぞれの理念や取り組みに共感し、野遊び賃貸の拠点『nonoka(野の家)シェアフィールド』の開発に取り組んでいます。

 デジタル技術を活用したDX戦略の1つとしてBIMの研究開発にも着手しています。BIMによる商品開発により営業・工事・管理までコア事業で活用し、総合賃貸業の強化を図っていきます。

 技術開発部門においては、脱炭素社会の実現に向けた取り組みとして賃貸集合住宅の省エネルギー化を推進しており、今年度はこれまで一般地域(省エネ基準地域区分での4~6地域)でしか提案できなかったZEH基準(ZEH Oriented)を満たす賃貸集合住宅(以下ZEH賃貸集合住宅)について、寒冷地仕様(北海道含む省エネ基準地域区分1~3地域)の開発を完了し、運用開始しました。

 太陽光発電設備を搭載したZEH賃貸集合住宅においても、再生可能エネルギー(以下再エネ)の利用促進が進む一方、再エネ電力の固定価格買取制度(以下FIT)に伴う、再エネ賦課(ふか)金の電気料金への上乗せによる電力利用者の負担増加という社会的課題の解決のために、京セラ株式会社と電力買取契約を締結し、FITによらない電力需給スキーム(非FIT)を構築するとともに、販売エリアを拡大しました。

 さらに、LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)基準を満たす賃貸集合住宅(以下LCCM賃貸集合住宅)の開発も行い、2022年10月5日には日本初の規格型LCCM賃貸集合住宅の販売を開始するとともに、国土交通省所管の補助金事業(サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)LCCM低層共同住宅部門)にて採択を受けました。また戸建賃貸住宅においても、国内初となるLCCM住宅認定を取得したCLTパネル工法のLCCM戸建賃貸住宅が2023年1月に都内に完成いたしました。

 入居者様への付加価値向上となる内装建材・住宅設備の開発として室内の眺望および意匠性と耐久性を向上する防火サッシ仕様の新規導入を行いました。建物の外装には深堀サイディングと、職人不足への対策を兼ね備えた木目柄プレカット軒天材を一部デザインに設定し、意匠性と現場省力化建材を開発いたしました。

2021年度、埋もれていた環境価値を顕在化させる技術として当社初の取り組み、「省エネルギー住宅のCO2排出量削減量」をクレジット化する方法論が、日本で初めてJ-クレジット制度認証委員会から承認・登録され、2022年度に初めてクレジットを創出しました。創出したクレジットは「いい部屋ネットレディス」でのカーボンオフセットに充当し、カーボンゼロのゴルフ大会として開催いたしました。

 また、上述の「省エネ」Jクレジットの他に、ZEH賃貸住宅に設置した太陽光による創エネの自家消費分を「再エネ」Jクレジットとして創出する方法論を2023年1月13日に登録完了しました。この方法論によって創出されるJクレジットは非化石証書のように、通常電源に充てることにより再エネとみなすことが可能となります。再エネに切り替えられない、他社ビルのテナントとして入居している弊社グループの支店・営業所・店舗などの電力や、現場の仮設電気に充てることにより、RE100の推進に使用する予定です。

 新型コロナウイルス感染症の流行を発端としたウッドショックや、気候変動抑止に向けた森林保全、国内の林業・木材産業保護などの観点から、国産材の利活用は建設業界全体の重要課題です。木造の賃貸集合住宅を主力商品に据える当社グループにおいても、「大東建託グループ 7つのマテリアリティ」で「持続可能な木材の調達と活用」を重要課題に掲げており、2009年に当社の建設する賃貸集合住宅に初めて国産スギ材を採用したことを皮切りに、国産材利活用や森林保全の取り組みを進めてきました。今回、更なる国産材の利活用を目指して、アカマツの研究に取り組んでいます。アカマツは床を支える床根太、屋根面を構成する垂木などの横架材に必要な強度が高いと評価されていますが、2×4工法材としての材料強度試験データが少なく、2×4工法建築における構造材としての利用が進んでいませんでした。そこで、今回、けせんプレカット事業協同組合、国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所、岩手県林業技術センターの協力を得て、岩手県を中心に伐採期を迎えたアカマツを使用し、強度試験を実施しました。今回得られた試験結果をもとにアカマツを2×4工法材として利活用を進めることで、国産材100%の2×4工法建築物の実現を目指していきます。また、更なる国産材利用促進に向け、アカマツ以外の樹種についても研究を進め、建設業界の技術革新と国産材利用を国内の森林・林業保全に貢献していきます。

PR
検索