企業免疫生物研究所東証グロース:4570】「医薬品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

  (1) 会社の経営の基本方針

  当社グループは、生物の生命維持に不可欠である免疫機構「抗体」について研鑽することによって、人類が病気から安全に免れるような治療用医薬品、診断用医薬品の開発や生活習慣病領域での検査サービスができるよう、独自の研究開発と大学・研究機関などとの共同研究の成果を製品の品質向上に結びつけるべく、研究開発活動を行っております。また、カイコ繭中に、抗体を始めとした様々な安全性の高いタンパク質を発現させる技術を用いて製品化を行っております。

  このように、世界で難病に苦しむ人々が、1日も早く病気を克服し、明るく豊かな暮らしを営めるよう社会に貢献することを経営理念としております。

  (2) 目標とする経営指標

 当社グループは、40年以上抗体を開発し抗体作製のノウハウが蓄積され、当社のコア技術として確立されており、国内外の研究用試薬市場において製造・販売を行ってまいりました。

 当社グループは、以下の取り組みにより、収益の拡大をはかり財務を安定化し、株主の皆様への還元の早期実現を目指してまいります。

① 市場規模が大きい診断用医薬品市場へ本格参入

② 海外における研究用試薬市場の開拓

③ 医薬品シーズ関連の開発コストの削減

④ 不採算事業の黒字化

  (3) 中長期的な会社の経営戦略

 当社グループのセグメント別中長期経営戦略は、次のとおりであります。

抗体関連事業

(診断試薬サービス)

 製薬企業や大学等の研究用で使用する試薬サービスの領域は、非常に流動的であり、競争が激しいグローバル社会において、安定した収益を生み出すことが困難な領域ですが、Digital Marketingの強化をおこない、SNS等を活用した情報戦略を構築し、当社の独自技術について、日本をはじめ世界へ広め、販売拡大を目指してまいります。また、安定した収益を生み出すため、有用な協業先との連携により、体外診断用医薬品領域の製品化に注力してまいります。

 当事業の研究開発の状況につきましては、下記の通りです。

〇医薬品シーズとしての可能性がある研究開発

・ABCONTEK社と、ダニ媒介性感染症であるSFTS(重症熱性血小板減少症候群)を治療するための抗体医薬品候補「ACT101」の共同開発について

⇒予定していたカニクイザルを使用した非臨床試験を一旦中止し、現時点で取得済みの試験結果を用いて早期の導出に注力してまいります(2023年3月14日公表の「連結持分法適用会社株式会社 AIBio の子会社化に関するお知らせ」を参照)。また、SFTSにおける動物用(ネコやイヌ等のペット)体外診断用医薬品について、検討を進めております。

・国立大学法人徳島大学と胃や腸の消化管壁の粘膜下にある未熟な間葉系細胞に由来する「肉腫」の一種とされるGIST(消化管間質腫瘍)を診断、治療するための抗体医薬品の研究開発について

          ⇒提携先と抗体医薬品および体外診断用医薬品の研究開発について、協議を進めております。

〇下記の体外診断用医薬品の上市を目指します。(開発中の主なテーマと進捗状況)

・学校法人埼玉医科大学が所有する、難聴・めまいの原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP(cochlintomo-protein)」に関する発明に関して、株式会社コスミックコーポレーションに日本国内での薬事申請・販売の権利を譲渡し、2019年6月26日に体外診断用医薬品製造販売承認申請をおこない、2020年6月に体外診断用医薬品承認されたCTP ELISA「コスミック」が、2022年7月1日付で、外リンパ瘻を疑う患者に対して、診断の補助を目的として保険収載(保険点数:460点)されました。

 さらに、当社は、学校法人埼玉医科大学と簡便性・迅速性に優れたイムノクロマト法によるCTP測定試薬の開発を共同で行っております。なお、上市の時期は未定です。

・グルカゴンは、膵臓のランゲルハンス島のα細胞から分泌されるホルモンで、血糖調節因子として知られておりますが、ELISA法による測定は類似ペプチドの交叉による影響を受けやすく、正確な測定が難しいとされてきましたが、両断端に特異的な2抗体を用いた膵グルカゴン特異的測定系の開発により、血中グルカゴン濃度の正確な評価が可能となり、今後、糖尿病の病態や病気を診断するための独立した新しい指標となる可能性が示唆されています。

 当社は、群馬大学と共同で、血清中グルカゴン値を測定する体外診断用医薬品として、2024年3月期の承認、申請に向けて研究開発を行っております。

・筋ジストロフィー患者の尿中に存在するタイチンというタンパク質に対する、筋ジストロフィーの病気診断・病態のモニタリングマーカーとして測定系を開発し、研究用試薬として販売を開始いたしました。また、対象疾患を「筋ジストロフィー」から「神経筋疾患」へ変更し、体外診断用医薬品として、2025年3月期の承認申請を目指し、研究開発を行ってまいります。なお、体外診断用医薬品として承認されるまでの間、研究用試薬として販売をするために、認定試薬としての確認申請を行い、承認されましたので、認定試薬として販売を開始しております。

・赤痢アメーバ症は赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)という寄生性の原虫が原因となって引き起こされる病気で、日本国内において、2012年以降、感染症法に基づく報告数は900例を超えてきており、増加傾向にあります。そこで当社は、簡便な血液検査で赤痢アメーバ感染の有無をチェックできる体外診断用医薬品の開発を行っております。なお、2024年3月期第1四半期に体外診断用医薬品製造販売承認申請を予定しております。

・シスメックス株式会社との業務提携

 本業務提携により、両社の診断薬開発技術の相互利用を進めることで、より独創的で高品質な製品を開発し 全世界に向けて提供することを目指しております。本業務提携によりIBLは、自社の特長ある抗体ライブラリをシスメックスのHISCLTMをはじめとする測定プラットフォーム向けに最適化し、診断薬原材料として供給することが可能になります。またIBLの強みである抗体開発技術を活かしてグローバル市場の様々な診断ニーズに対応した抗体を開発し、シスメックスへの供給を通じて診断薬市場向け事業を拡大します。

(検査サービス)

当サービスにおいては、「LipoSEARCH」において、大手製薬企業等からまとまった案件の引き合いがあることや自社ELISAキットを使用した受託測定サービスの売上高が順調に増加していることにより、前年を上回ることを予想しております。一方、営業・管理部門における人的、物的資源の効率化により、経費削減を進めてまいります。

(TGカイコサービス)

  遺伝子組換えカイコにより生産された抗体は、非特異反応が低いことや動物愛護の対象とならないことなどから、大手診断薬メーカで使用する診断薬原料として採用されております。しかしながら、当該メーカの市場への供給スケジュールが、申請等の理由から数年先を予定しており、来期については、前年並みを予想しております。一方、培養足場材として開発した、組換えヒトフィブロネクチンの販売が開始され、国内外からの問い合わせが増加しており、安定した収益を見込んでおります。

  また、ヒト型コラーゲンは、欧州の医療用品メーカでの使用が注目され、海外の医療機器メーカ等からの問い合わせが増加しており、収益の拡大を見込んでおります。

・ 化粧品関連事業

〇国内販売

 国内通信販売においては、直接個人ユーザーへの販売から代理店販売に切り替え、販売代理店との情報共有を綿密に行い、販売拡大を目指してまいります。また、群馬県の温泉地において、高級旅館とコラボレーションし、SNSを活用した販売活動を行ってまいります。

〇海外販売(中国)

 中国市場へのBtoB販売につきましては、依然として直接現地代理人との情報交換が出来ず、目途がついておりませんが、中国への越境ECの構築をおこない、販売を開始しております。今後につきましては、SNSを活用して、中国国内のバイヤーの方々に直接情報発信し、販路拡大の準備をすすめてまいります。

〇海外販売(欧州・その他)

 欧州現地代理人は、Eマーケティング (SNS)やAmazonへの出店、さらに国際展示会での展示をおこない、販売網を拡大し売上増加を目指しております。

 当事業は、遺伝子組換えカイコ開発事業が開発した、化粧品原料「ネオシルク®-ヒト型コラーゲンⅢ」を使用した高級化粧品の開発に取り組み、高品質を求めるユーザーに幅広く提供できる製品を開発し、販売拡大を目指してまいります。

  (4) 当社グループをめぐる業界や市場の動向等の経営環境

・ 医薬品業界

 世界の医薬品関連事業を取り巻く環境は大きく変化し、高齢化社会、高ストレス社会の進展により、医薬品や診断薬に対する需要が伸び続けております。さらに、重症熱性血小板減少症候群やコロナウイルスなどの、治療法がない、もしくは治療満足度の低い疾患が多数あり、そのような疾患に対する治療薬の開発が待たれており、医薬品事業の重要性は、ますます高まっているといえます。

  しかしながら、創薬技術の高度化や医薬品承認要件の厳格化などにより、治療用医薬品あるいは診断用医薬品の開発には、多額の研究開発費と長い年月が必要であり、経営環境は厳しさを増しています。従って、これら医薬品や診断薬の開発には、当社グループの人的資源と効率を鑑み、自社では製品化するまでの全過程を行うことが可能かどうか注意深く検討し、製品開発においては、選択と集中により積極的な投資によって、抗体に付加価値を付け、パイプラインを充実させることで企業価値の最大化を追求いたします。

   ・ 化粧品業界

 化粧品市場は、コロナ禍においてマスク着用の定着やテレワークの普及により化粧品の消費が減少しましたが、外出規制緩和に伴い口紅などのメイク用品の需要が伸びつつあります。さらに、訪日外国人の受け入れが再開され、インバウンド消費に期待が高まっています。また、新たなビジネスチャンスとして、ECサイトへのシフトチェンジやインフルエンサーマーケティングを活用して、異業種参入が増えております。

 当社グループが販売する化粧品「フレヴァン」シリーズにつきましては、スキンケア製品を中心に安全・安心をコンセプトに製造販売を行っております。

  一方で、高齢社会や人口縮小の日本では今後市場の縮小が懸念されていることから、日本の化粧品メーカーは生き残りを賭けて海外進出を図っておりますが、当社グループにおきましても中国や欧州を中心に海外販路の開拓を行っております。

  (5) 会社の対処すべき課題

   ・ 研究開発の重点投資

当社グループは、遺伝子組換えカイコによる医薬品原料生産に向けた新規開発を中止することといたしましたが、治療用医薬品及び診断用医薬品のさらなるパイプラインの充実が、事業の安定化のためには必要となります。そのため、資源投入の集中と研究開発の効率化を図り、また、現行の共同研究先である大学などに加え、優秀な人材を採用し、研究開発のスピードアップを図ってまいります。さらに、海外企業が保有する有用なシーズの発掘も積極的に行ってまいります。

   ・ 体外診断用医薬品への取り組み

診断・試薬事業の領域は、非常に流動的であり、競争が激しいグローバル社会において、安定した収益を生み出すことが困難な領域となっております。安定した収益を生み出すためには、体外診断用医薬品の領域の製品化が必要であると認識し、体外診断用医薬品の研究開発に注力してまいります。

   ・ シスメックス株式会社との取り組み

当社とシスメックス株式会社は、両社の診断薬開発技術の相互利用を進めることで、より独創的で高品質な製品を開発し全世界に向けて提供することを目指しております。当社は、自社の特長ある抗体ライブラリをシスメックス株式会社のHISCLTMをはじめとする測定プラットフォーム向けに最適化し、診断薬原材料として供給することが可能になります。また当社の強みである抗体開発技術を活かしてグローバル市場の様々な診断ニーズに対応した抗体を開発し、シスメックス株式会社への供給を通じて診断薬市場向け事業を拡大します。

   ・ 遺伝子組換えカイコへの取り組み

遺伝子組換えカイコによる医薬品原料生産に向けた新規開発を中止することといたしましたが、カイコの繭中に目的タンパク質を産生する生産技術は、遺伝子組換えカイコの繭により産生される抗体やタンパク質は、非特異反応が低いことや動物愛護の対象とならないことから、短期的には、研究用試薬・体外診断用医薬品にて使用する抗体をはじめとした目的タンパク質の置換え利用や化粧品原料等への産業利用を推進し、具体的な生産拡大や製造方法の改良を目指してまいります。

   ・ 化粧品関連事業における販売の取り組み

中国市場におけるBtoB販売は、コロナ過の鎮静化により、販売を見込んでおりましたが、依然として、中国市場への展開が進まず、直接現地代理人との情報交換が出来ず、目途がついておりません。今後は、SNSを活用して、中国国内のバイヤーの方々に直接情報発信し、販路拡大の準備をすすめてまいります。国内市場におきましては、群馬県の温泉地において、高級旅館とコラボレーションし、SNSを活用して地域に密着した販売活動を行ってまいります。本事業については、既存製品での利益創出を重要課題ととらえ、販売拡大を目指してまいります。また、販売拡大の目途が立ち次第、遺伝子組換えカイコ事業が開発した、化粧品原料「ネオシルク®-ヒト型コラーゲンⅢ」を使用した高級化粧品の開発に取り組み、幅広いユーザーに提供できる製品を開発してまいります。

   ・ 人材の確保及び教育

当社グループは、各事業に精通した研究員及びプロジェクトを推進できる人材の確保が必要不可欠と考えており、研究開発の効率を上げるため、ハード面とソフト面の両面から研究開発に適した環境作りを行い、企業価値の最大化を目指してまいります。

研究開発型企業である当社グループにおいては、自由な発想が生み出される柔軟な組織がふさわしいと考えております。組織が硬直化し、研究開発活動が滞ることがないように、常に問題意識をもって物事に対処する集団として組織を維持運営いたします。

   ・ 財務安定性の確保

当社グループは、研究開発型企業として、積極的かつ継続的に研究開発に投資していく方針であります。投資の源泉は事業からの収益をもって行われることが望ましいと考えております。当社グループは、引き続き、収益確保のため、現製品の見直しや間接部門コストの削減に努めてまいります。また、研究テーマの選択を行い、経営資源を集中して効率的な経営を行うことが重要であると認識しております。

   ・ 経営管理体制の強化

 既存事業に加え、新規事業やサービスの展開が加速し、多角期を迎える当社グループにおきましては、経営の公正性・透明性・継続性を確保するためのさらなる管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。特に昨今におきましては、世界情勢の悪化や新型コロナウイルス感染症の影響により、物流の停滞・各種コストの増大・急激な為替の変動等、社会環境が不安定・不透明な状況となっております。その状況下においても着実に事業を継続するため、各種社内規程や関係法令等の遵守を積極的に推進し、内部統制に資する業務プロセスの整備・運用、必要に応じた是正活動を定常的に行うことで、より透明性が高く健全な経営管理体制を構築してまいります。

  (注) 用語解説については、「第4提出会社の状況  4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。

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