企業兼大株主五洋建設東証プライム:1893】「建設業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりである。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

(1)ESG重視のサステナビリティ経営

 当社グループは「良質な社会インフラの建設こそが最大の社会貢献」と考え、ESG重視のサステナビリティ経営を実践しています。安全、環境への配慮と技術に裏打ちされた確かな品質の提供を通じて、株主、顧客、取引先、従業員のみならず、地域社会にとって魅力ある企業を目指します。

①ガバナンス

 当社は、サステナビリティに関わる課題への適切な対応が、リスクの減少のみならず収益機会の増大につながる重要な経営課題であると認識し、代表取締役社長を委員長とするCSR委員会の下、人権委員会、カーボンニュートラル推進委員会、リスクマネジメント委員会、中央安全衛生環境委員会、品質・環境マネジメント委員会、働き方改革推進委員会を設置し、ESG重視のサステナビリティ経営を推進しています。取締役会においても、その活動を定期的に共有するとともに、中長期的な企業価値向上につながるよう議論を深めています。

 サステナビリティのガバナンス体制概要(提出日現在)は下図のとおりです。


②戦略

 当社グループは、2023年5月に公表した中期経営計画(2023~2025年度)において、「サステナビリティ経営を実践する真のグローバル・ゼネラルコントラクター~サステナブルな建設事業活動を通じて社会の持続的な発展に貢献する」を目指す姿とし、本業の成長戦略とESG(環境、社会、企業統治)重視のサステナビリティ経営を、経営の両輪として推進しています。

 サステナビリティ経営の推進に当たっては、企業の中長期の成長と、社会の持続可能性の両立を目指し、最優先でリソースを投入するべき課題をマテリアリティ(重要課題)として特定しました。 

 具体的には、①気候変動問題への対応、②豊かな環境の創造、③良質な社会インフラ・建築物の建設、④技術開発・技術力の強化、⑤D&Iの推進、⑥人権の尊重と持続可能なサプライチェーン、⑦労働安全衛生の確保、⑧実効あるガバナンスの推進の8項目のマテリアリティを特定しました。それぞれに関して、具体的な方針、体制、指標を定めて進捗を管理しています。

 当社グループのマテリアリティ(重要課題)


③リスク管理

 マテリアリティ特定のプロセスを通じて、グローバルなESG基準や規制などの動向や、ステークホルダーの要望を分析し、重要課題に関連した中長期のリスクと機会を把握しています。主要なリスクに関しては、CSR委員会等でマテリアリティ指標のモニタリングを行うと同時に、個別リスクに関しては、CSR委員会傘下の各委員会などで進捗管理を行います。中でも経営への影響が大きく、全社的な対応が必要なリスクに関しては、全社のリスクマネジメント委員会で管理を行います。

④指標及び目標

 当社グループのマテリアリティ項目の主な指標及び目標は以下のとおりです。


※ 2022年度における実績は、後日当社ホームページ内にて開示を予定しております。

(2)人的資本、多様性

①ガバナンス

 取締役会においては、使用人に関する重要な賃金制度、職務体系、重要な組織等の設置、変更及び廃止など、人材戦略に関する経営方針を審議、決議しています。同じく取締役会にて、人材戦略に関する具体的な課題や施策、すなわち、人材採用、人員数・人件費、能力開発、後継者人材の育成、障がい者雇用などの計画・実績について、四半期に一回の頻度で業務執行報告を行っています。

 取締役会の内部委員会として設置される人事委員会では、取締役、監査役、執行役員等の選任・解任に関する事項のほかに、その他重要な人事に関する事項を審議し、代表取締役に答申しています。人事委員会は、会社法に定める社外取締役全員とその他の取締役若干名で構成されており、委員の過半数は社外取締役としています。

 また、公正・透明な評価、納得性の高い適正な処遇、一段高い社員の能力発揮や一層の成果向上に向けた人材育成に資する活動を行うことを目的に、人事制度運営委員会を設置しています。人事制度運営委員会は人事担当役員を委員長とし、各部門の本部長から委員長が指名した者及び人事部長から構成されており、人事制度改定や人事評価調整の指導方針、能力開発施策など人材戦略について審議した事項について、代表取締役社長に上申しています。


②戦略

 イ.人材育成

 当社では、真のグローバル・ゼネラルコントラクターとして総合力を発揮すべく、個々人の力を伸ばすとともに、その力を結集して組織力を高める能力開発を推進しています。

 個々の能力向上は、職場教育(OJT=On the Job Training)、集合研修(Off-JT)、自己啓発援助(SDS)を3本柱として、現場力、技術力の強化に資する知識、技術、目標意識、行動力の育成について、コミュニケーションの機会を重視しながら実践しています。また、OJT、Off-JT、SDSを通じて、社員が相互に若しくは結集して能力を活用し合う環境を醸成し、組織力の向上を図っています。

(イ) 人事制度

 当社の人事制度は、社員に目指すべき人材像を明確に示し、常に一段階高いレベルの役割と行動を志向することにより、プロフェッショナル人材を継続的に創出し、その結果、業績の向上と社員の自己実現を両立させることを目指しています。

 人事制度に重要な以下の3点の実現のため、「役割等級制度」「目標管理制度」「人事評価制度」「能力開発制度」などを整備、運用しています。

(ⅰ) 社員の強み・弱み、適性を把握し、能力開発及び適正配置に結び付けられていること。

(ⅱ) 社員のやる気・意欲の向上、組織の活性化につながる仕組みであること。

(ⅲ) 公正な処遇を実現することができる仕組みであること。

(ロ) 人材育成への取組み

 建設業においては、仕事を通し成長していくこと(OJT)が重要であると考え、当社では、新入社員一人ひとりに対し、先輩社員をOJTの担当者に選任し、きめ細やかな教育を実施することで、教える方も教わる方もともに育つ、「共育風土」の醸成を図っています。

 同時に、経験だけでは得られない知識や能力、ものの見方・考え方などを習得するための集合研修(Off-JT)として、職務遂行能力の成長段階に応じた等級別研修をはじめ、専門知識の習得を目的とした各本部主催の職種別研修などを実施しています。

 また、社員には、建設業で働く上で必要な公的資格や免許取得を推進しており、社内講習会の実施をはじめ、受験料等の取得費用や資格の重要度に応じた合格報奨金を支給するなど、全面的なバックアップを行っています。その他、社員個人が外部主催研修を選び受講できる選択型研修の推奨や、通信教育等の自己啓発に対する支援など、各種の学びの場や機会を提供するのみならず、自己研鑽やリスキリングのための自己啓発支援金制度も新たに設けました。

(ハ) チャレンジする環境づくり

 当社では、社員の自己実現と業績向上の両立に向け、目標設定とそのフォローに力を入れています。

 目標は、年度当初に上司と面談を実施し、社員本人にとって挑戦的かつ実現可能なものを設定しており、その後の期中も、上司は日常業務や面談の場を通しフォローを行い、目標の達成と社員自身の成長を促します。

 期末には、目標に対する達成度や発揮された取組み(行動・姿勢)度合によって評価が決まり、その結果を本人にフィードバックし、結果に対する本人の納得性を高めるとともに、次年度以降の本人の成長課題を明確にしています。

 また、この仕組みが適切に機能しているかどうかをチェックするため、毎年、労働組合と会社が共同で人事制度の運用状況に関するアンケートを実施しており、その結果をもとに、社員の生の声が制度運営に反映されるよう改善を図っています。

(ニ) 評価者の育成

 人事制度運用の成否の最大の鍵は評価者が握っており、当社では人事評価の目的を社員に周知するとともに、評価スキルのばらつきをなくすために、新任評価者を対象とした研修を毎年継続的に実施しています。併せて、一定期間毎に全評価者・全管理職を対象とした評価者更新研修も実施しています。

(ホ) 人材採用

 当社では、新卒採用において、完全オープンエントリー制を取り入れ、学生の皆さんとの対話を重視した採用活動を展開しています。新卒採用の一環として、学生の業界理解の向上と将来の進路決定に必要となる就業体験機会を提供するために、毎年度、インターンシップ生の受け入れも実施しています。(なお、2022年度は、新型コロナウイルス感染防止を鑑み、インターンシップ先事業所内の密を避けるため、受け入れ人数を制限しながらの実施としました。)

 また、社外で様々なキャリアに裏打ちされたスキルを当社で活かし、当社の組織力向上を達成するために、積極的なキャリア採用を推進しています。

 ロ.D&Iの推進

 当社では、D&I推進のために、性別や国籍を問わない多様な人材の確保・育成に取り組んでいます。また、女性活躍推進や男性も含めたワークライフバランス向上のため、ライフイベントを迎えても働きやすい環境を整備しています。海外の現地国で働く外国人を対象に、目標管理型の人事評価、報酬制度であるグローバル人事制度を導入するとともに、外国人留学生向けにグローバル総合職を新設して定期的な採用等を行っています。

(イ) 人権尊重

 当社では、ダイバーシティ推進センターにて、一人ひとりの人権を尊重し働きやすい明るい職場づくりを目指す取組みを実施しています。毎年、同和問題、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、障がい者雇用、メンタルヘルス等をテーマにした人権関係の研修・教育(e-ラーニングを含む)を実施するほか、グループ会社社員やその家族を含めた人権啓発標語募集、人権に関するポスターやリーフレットの作成など、広く人権への理解向上を図っています。

(ロ) 女性活躍推進

 女性が配属された工事事務所では、チェックリストを用いた職場環境(更衣室・休憩室・快適トイレ等)の確認を実施するとともに、現場職員や協力業者を対象としたハラスメント研修を実施しています。

 先輩女性職員が中心となり、定期的に若手女性職員へのヒアリング(女性特有の悩みやキャリアに関する相談)や若手女性総合職研修を実施し、キャリアやロールモデルの共有、会社の制度や育児と仕事の両立に関する情報を提供しています。

(ハ) 外国籍社員の活躍推進

 日本語を母国語としない優秀な外国人留学生(日本・ASEANの大学及び大学院)を毎年採用し、入社後に日本語教育や外国籍社員向け研修を実施することで国内・海外問わず活躍できる人材として育成しています。現場の課題解決ができるエンジニアとして、日本人と現地スタッフとの橋渡し役を担い、将来的には、マネジメント人材として期待しています。

 また、2020年4月から新しい人事制度「グローバル総合職」を導入し、外国籍社員がさらに活躍できる体制を整えました。

(ニ) グローバル人事制度

2017年度から当社国際部門の主要拠点であるシンガポールと香港の外国人職員を対象とした人事評価制度を導入しており、2018年7月からは等級・報酬制度も導入しました。

 人事評価制度は、目標達成の動機づけと人材開発の促進、上司・部下のコミュニケーションの促進を目的としており、等級・報酬制度は、業績達成・目標達成に対して適切にインセンティブを持たせ、報酬に国際部門の業績や評価を反映させることで、外国人職員の目標達成に対するエンゲージメントを高めることができます。

(ホ) 障がい者の雇用

「障害者雇用促進法」の立法趣旨に則り、サテライトオフィスを利用した障がい者雇用の拡大などの取組みを行っています。現在は東京(三鷹)と神奈川(横浜)に作業室を設置しており、障がい者の方にも働きやすい環境づくりを行っています。

(ヘ) シニア職員の活躍推進

 当社では、高年齢者雇用安定法改正を受け、定年到達後も継続勤務を希望する総合職、担当職全員に新しい仕事と労働条件を提示しています。

 また、豊富な知識・経験を持ったシニア社員を安全品質教育センターでの若手社員教育の指導員とするなど、活躍の場の創出も行っています。

 ハ.ワークライフバランスの推進

2022年度に「次世代育成支援に向けた第5次行動計画」を策定し、性別に関わらずワークライフバランスを実現しながら、その能力を発揮できるようにする取組みを3か年計画で行っています。

 具体的な取組みとして、育児と仕事、介護と仕事の両立支援ハンドブックを作成し、性別に関わらず育児休業や介護休業、子の看護休暇や介護休暇を取得しやすい環境づくり、育休取得者面談シートを活用し、会社や上司と復職後の働き方やキャリアについて相互理解を深める取組みを行っています。

2022年には育児と仕事の両立のための制度を拡充するとともに、ジョブリターン制度(育児、介護、配偶者の転勤等による既退職者の再雇用推進)やテレワーク制度を通じた多様な働き方を推進しています。従業員に年5日の計画的な休暇取得を義務付け、休暇を取得しやすい環境を整備しています。また、役職員向けにダイバーシティ講演会を毎年開催し、仕事と私生活の調和のための意識醸成を図っています。

(イ) 育児休業

 出産・育児などのライフイベントを迎えても社員が仕事を継続できるように育児休業制度を設けています。2022年度より出生時育児休業中の就業を認めることで、男性の育児休業取得推進を進めています。加えて、育児支援制度として短時間勤務や始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ制度など(最大子が小学校を修了するまで)を用意し、男性・女性を問わず仕事と育児が両立しやすい環境を整えています。

(ロ) 介護休業と介護・看護休暇

 家族の介護を行う必要が生じた社員が仕事を継続できるように介護休業制度を設けています。加えて、要介護者または小学校修了前の子どもを持つ社員に家族や子の介護や看護の必要が生じた場合、その社員が年次有給休暇とは別に6日~12日の休暇を取得できる制度を整えています。

(ハ) 年次有給休暇取得

2017年度から半日単位での有給休暇の取得、2021年度から時間単位での有給休暇取得を可能としています。これにより、例えば単身赴任者は金曜日の昼から月曜日の昼までといった柔軟な休暇取得が可能となり、ワークライフバランスの推進に資することができると考えています。

③リスク管理

 当社は、経営資源の成長分野への重点的な投入、役職員の能力開発やスキル向上などを通じて、持続的な成長と生産性向上に取組み、企業価値の最大化に注力しています。その上で、生み出した収益・成果に基づいて、社会情勢や自社の状況を踏まえた適切な方法による賃金の引上げを行うとともに、従業員のエンゲージメント向上や更なる生産性の向上に資するよう、人材投資に積極的に取り組んでいます。当社の競争力の源泉たる人材の採用計画、育成計画が不達若しくは不十分だった場合、持続的な成長と生産性向上の阻害要因になりえます。採用や育成については、部門間が連携して、計画・実施・振り返りを不断に行い、成長機会の損失の最小化に努めています。

④指標及び目標

KPI

2022年度実績

目標値

(2025年度)

新卒3年以内離職率

16.2%

5%以下

障がい者雇用率

2.7%

2.7%以上

新卒入社女性総合職比率

14.8%

25%以上

女性管理職比率  ※

4.6%

15%以上

※ 海外現地採用職員含む。目標は2035年度

(3)気候変動

①ガバナンス

 当社は、気候変動問題への対応を経営上の重要課題と認識し、2021年7月、代表取締役社長を委員長とするカーボンニュートラル推進委員会と推進部署であるCN推進室を設立し、部門を超えて温室効果ガスの削減に向けた取組みを強化しています。

 当委員会は、当社のESG重視のサステナビリティ経営を統括するCSR委員会(委員長:代表取締役社長)の下部組織として、人権委員会、リスクマネジメント委員会、中央安全衛生環境委員会、品質・環境マネジメント委員会、働き方改革推進委員会と並んで設立され、当社グループの気候変動問題への対応の基本方針、戦略の企画・立案、取組状況のモニタリング結果に基づく対応策等の重要事項の審議を担っています。その審議結果はCSR委員会に報告・審議されます。決定された方針や戦略は各部門の事業計画、全社の年度計画及び中期経営計画に織り込まれ実施されます。さらに取締役会は、CSR委員会からの報告を受け、気候関連問題への対応を含むサステナビリティに関わる全ての課題について監督します。

 気候変動問題への対応の実施状況は、カーボンニュートラル推進委員会で継続的にモニタリングを行い、取組方針や戦略の見直し・改善に繋げていきます。


②戦略

 建設業は、建設工事に起因するCO2排出量は他産業に比べて比較的少ないものの、サプライチェーン全体でみると、鋼材やセメント等製造段階で多くのCO2排出を伴う建設資材を使用すること、また完成後も建物やインフラ構造物の耐用年数が長く、運用段階でCO2排出量が多いという特性があります。さらに、当社が強みを持つ海洋土木工事では、作業船を使用するため、建築や陸上の土木工事に比べてCO2の排出量が多いという特徴があります。

 海洋土木工事に強みを持つ当社は、作業船の稼働による影響で、完成工事高が同規模の同業他社に比べてCO2排出量が多くなっています。特に海外においては、複数の大型浚渫船が稼働しているため、排出量削減の基準年とした2019年度を例にとると、完成工事高は国内の約40%にも関わらず、CO2排出量は国内の約1.9倍となっています。したがって、建設事業活動においても、気候変動問題に関する政策の変化や規制の強化が、経営に与える影響は同業他社に比べて相対的に大きいため、気候変動問題に対する対応を経営上の重要課題の一つと捉えています。

 その課題解決の一環として、気候変動問題が当社グループに与えるリスクと機会を特定し、発生可能性と影響の程度を分析し、重要性が高いものについてシナリオ分析を実施しました。

 リスクは、低炭素社会への移行に伴うCO2削減のための政策や規制の強化(省エネ法の強化やZEBの義務化、炭素税の導入等)の影響による「移行リスク」と、慢性的な気温上昇や温暖化による異常気象の激甚化・頻発化等の影響による「物理的リスク」に分類しました。

 機会は、気候変動問題への対応に関する事業機会を検討し、「移行リスク」と「物理的リスク」への対応として想定される事業機会を抽出しました。シナリオ分析は、産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇を1.5~2℃未満に抑える「1.5~2℃シナリオ」と、気温上昇が4℃を超える「4℃シナリオ」の二つのシナリオ※を想定し、特定したリスクと機会が、2030年における当社グループの財務へ与える影響を定量的に分析し「大、中、小」の三段階で評価しました。

 その結果、気候変動問題への対応として、作業船のカーボンニュートラル化に向けた維持更新、新造等の設備投資の増加が見込まれますが、当社にとっては、それを上回る事業機会が創出されると考えています。土木分野では洋上風力発電建設の推進が、建築分野ではZEBの推進が挙げられます。特に、海洋土木技術に強みを持つ当社は、洋上風力建設のトップランナーとしてわが国の再生可能エネルギーの供給拡大に貢献してまいります。

 また、今回実施したシナリオ分析により特定されたリスクと機会への対応策は、年度事業計画や中期経営計画(2023~2025年度)に織り込み、着実に実行することで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 ※1.5~2℃シナリオ:IEA 持続可能な開発シナリオ(SDS)、IEA ネットゼロシナリオ(NZE)

            IPCC 代表的濃度経路シナリオ(RCP 2.6)

  4℃シナリオ   :IEA 公表政策シナリオ(STEPS)、IPCC 代表的濃度経路シナリオ(RCP 8.5)

 当社グループのリスクと機会


 当社グループの対応策


③リスク管理

 当社は、代表取締役社長を委員長とするCSR委員会の下に設置されたリスクマネジメント委員会が中心となって、事業活動において想定されるリスクを体系的に分類し、各リスクについてリスク担当部署を設定し、リスクマネジメントを実施しています。そのため事業活動を行う上で発生する気候変動を含む種々のリスクについて、リスクの発生の防止及びリスク発生に伴う損失の最小化を図ることを目的として「リスク管理規則」を制定しています。

 気候変動リスクはCN推進室が担当部署となり、長期的な視点でリスクの識別・評価・対策を行います。法規制の改定や社会経済情勢の変化等により、リスク対策に変更の必要が生じたときは、カーボンニュートラル推進委員会において、個別リスクとその対応策を適宜見直します。カーボンニュートラル推進委員会での審議結果は、CSR委員会で報告・審議されます。CSR委員会の活動状況は取締役会へ報告され、取締役会は気候変動のリスクマネジメントの実施状況を監督します。また、気候変動リスク発生時には、経営に与える影響度に応じて決められている報告先(重大リスクは取締役会報告)へ迅速に報告され、適時適切に対応する体制を整えています。

④指標及び目標

 当社は、国内の事業活動で排出するCO2を、2020年度までに1990年度(56.95t-CO2/億円)比20%削減、2030年度までに30%削減することを目標として取り組んでまいりましたが、2020年度のCO2排出量の実績(42.56t-CO2/億円)は、目標を大きく上回る25%削減を達成することができました。

 この度、2050年カーボンニュートラル実現を目指して、当社のCO2排出量の過半を占める海外事業も含め、2019年度を基準年度としてCO2排出量の削減目標を設定しました。

Scope1、2は、太陽光や風力等の再生可能エネルギーを積極的に利用するとともに、作業船・建機の電動化やICTを活用した施工の効率化、自動・自律化施工の導入推進、また作業船・建機の燃料として短期的には燃費を向上させる添加剤の活用、中期的には代替燃料(BDF、GTL)、再エネ由来の電力活用(陸電供給や大容量蓄電池の活用を含む)、長期的には加えて水素・アンモニア等次世代エネルギーの導入によりCO2排出量の削減を推進します。まずは、建設現場のCO2の見える化を図り、グリーンモデル現場で施工の効率化による省エネ化と重油・軽油用の燃費を向上させる添加剤の活用、工事事務所のZEB化(再エネ由来の電力利用)を推進し、2030年度までに全現場に展開します。

Scope3は、当社の施工する建物のZEB化、すなわち省エネと太陽光発電等の再生可能エネルギー由来の電力使用を推進するとともに、CO2吸着材料や低炭素型コンクリートの導入等の拡大によりCO2排出量を削減します。建築分野では特に当社の設計施工案件においてZEB化を推進するとともに、土木分野ではプレキャストコンクリート(PCa)や低炭素コンクリートの積極的活用を図ります。また、浚渫土の固化処理によるCO2固定化やCO2吸収コンクリートに関する研究を推進します。

 なお、当社グループのCO2排出量削減目標は科学的知見に整合しており、SBT(Science Based Targets)※1 「1.5℃水準」の認定を取得しています。

 当社グループのCO2の排出量削減目標


2022年度におけるCO2の排出量実績については、後日当社ホームページ内にて開示を予定しております。

※1 SBT   :パリ協定と科学的に整合した温室効果ガス削減目標の設定を企業に促す国際的なイニシアティブで、最新の「気候科学の知見に整合」している目標を設定することが認定の要件となります。当社の削減目標は地球上の気温上昇を産業革命前の気温と比べて、1.5℃に抑えることを目指すために必要な削減レベルと整合しています。

※2 Scope1:作業船・建機の燃料使用による直接排出

※3 Scope2:購入した電気・熱の使用に伴う間接排出

※4 Scope3:サプライチェーンにおける間接排出。なお、基準年度である2019年度は、カテゴリ11(竣工引渡後の建築物の使用時のCO2排出量)がScope3排出量の71%を、カテゴリ1(建設資材の製造時のCO2排出量)が26%、併せて97%を占めます。

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