企業三菱製鋼東証プライム:5632】「鉄鋼 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループは、いかなる経営環境の変化にも対応できる企業体質を確立することを重要課題と認識し、競争力ある事業の育成を通じて、持続的かつグローバルに発展することを経営の基本方針としております。

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
 

(1)経営環境及び対処すべき課題

①当社グループの対処すべき課題

 当社グループでは2020年度~2022年度の3ヵ年を対象とする「2020中期経営計画」を策定し、取り組みを進めてまいりました。「止血の中計」と位置付けた同計画は、「製品力のさらなる強化」や「素材から一貫生産ビジネスモデルの拡大」等、主な施策は概ね計画通りに進捗し、「海外事業の構造改革」についても北米MSSCの再建に目途が立ち、ほぼ完了いたしました。

 こうした状況の中、当社では以下の重要な課題があると認識しています。

(当社の対処すべき課題)

  ① 基盤事業の稼ぐ力の強化(国内特殊鋼鋼材・ばね事業の収益力強化)

 ② 戦略事業の育成(海外鋼材・商用車用板ばね・粉末・精密部品・環境関連製品等)

 ③ 財務基盤の強化(キャッシュフロー及びB/S項目の改善)

 ④ 非財務関連の取り組み(カーボンニュートラル、人材への投資等)

 ⑤ 資本収益性と市場評価の改善(PBR1倍割れ)

(課題に対する取り組みについて)

 当社の持続的成長を進めていくためには、特殊鋼鋼材事業に依存した当社の事業ポートフォリオの変革を進め、戦略事業の伸長を図り、収益機会の幅を増やしていく必要があると考えています。

 国内の特殊鋼鋼材事業や自動車向けばね事業といった基盤事業において、収益力強化を進めることでキャッシュを創出し、成長が期待できる戦略事業への積極投資や財務改善につなげていきます。同時に、前中期経営計画期間中に準備を進めた戦略事業の刈り取りと育成を進めてまいります。

 また、過去の大きな減損計上や借入増等で悪化した財務基盤の改善も、あわせて進めてまいります。

 サステナビリティ経営も重要な課題として認識しています。特にカーボンニュートラルの実現については、生産工程における技術革新等超えるべき課題も多いですが、実現に向けて全社一丸となって取り組んでまいります。また、自社のCO2排出量削減だけに留まらず、社会全体のCO2削減に貢献する当社製品の開発・販売を進めることで、環境負荷低減に貢献するとともに、需要構造の変化にも対応してまいります。

 当社の持続的成長を図るには、人材への投資も重要な課題です。新たな価値を創造できる人材の育成を図るとともに、安全で快適な働きやすい職場づくりを進めることで、生産性向上やイノベーションを図ってまいります。

 これらの取り組みを推進し、「稼ぐ力」の強化を図るとともに、「持続的成長のシナリオ」を示していくことで、PBRの改善も図ってまいります。

 こうした当社の課題認識と対応策を踏まえ、2023年5月に、2023年度~2025年度の3ヵ年を対象とする「2023中期経営計画」を策定・公表しました。2030年のありたい姿を「人を活かし、技術を活かし、時代の波に乗りつづける企業でありたい」と定め、そこからバックキャストした経営計画を策定しています。同計画で掲げた、基盤事業の“稼ぐ力”の強化と戦略事業の“育成”を推進し、企業価値の向上と持続的成長の実現を図ってまいります。

 ② 中長期的な経営計画

 1.2030年のありたい姿

  2.2023中期経営計画(2023年度~2025年度)

  [基本方針]

  ①  稼ぐ力の強化

 マージン維持・拡大とコスト削減で稼ぐ力を徹底して追求し、戦略事業拡大および財務基盤強化の原資とする。

    ②  戦略事業の育成

     2023中計で事業拡大に舵を切り、2030年に向けて大きく伸ばす。

 戦略事業に経営資源を積極的に配分し、事業の育成を進める。

    ③  人材への投資

     「人材への投資」を通じて、生産性向上とイノベーションを実現する。

    ④  サステナビリティ経営

      ESGなど財務項目以外の課題を明確にし、持続的企業価値向上を図る。

 これらの取り組みを通じて、 PBR=1倍以上を意識し中長期的な企業価値向上を目指してまいります。

  [重要経営指標(KPI)]

   <主な財務目標(2025年度目標)>

 売上高        : 1,850億円

 営業利益      : 110億円

   ROE           : 8%

  <非財務目標>

 エンゲージメントサーベイ : 前年以上の得点

   CO2削減(2013年度比で2030年までに):鋼材部門 原単位10%削減

 他の部門 総排出量75%削減(従来の50%削減から目標値を拡大)

「2023中期経営計画」の詳細については当社ウェブサイト(https://www.mitsubishisteel.co.jp/ir/mid-plan/)をご覧ください。

(2)各事業における重点施策

  [特殊鋼鋼材事業]

 国内事業は、販売価格の改善によりマージンの維持・拡大を進めるとともに、工場DXによる製造コスト削減や営業系DXの推進による顧客満足度の向上により、基盤事業として稼ぐ力の強化を進めてまいります。

 海外事業は、PT.JATIM TAMAN STEEL MFG.における旺盛な需要に応えるべく、フル稼働に近い生産能力の増強に向けて段階的な設備投資を進めてまいります。また将来に向けては、ばね事業とのシナジーも見据えた第3の拠点設立も視野に検討を進めてまいります。

 また、お客様の工場のCO2を削減することに資する鋼材やEV・洋上風力設備向け鋼材等への参入、海外事業では再生可能エネルギー電力等を活用したカーボンニュートラル鋼製造の検討も進める等、中長期的な需要構造変化への対応も進めてまいります。

 [ばね事業]

北米MSSCは、2023年3月期第4四半期では営業黒字化となるなど、損益が改善していることを踏まえ、今中計で北米再建の総仕上げを進めるとともに、その他の拠点においても統廃合を含めた効率化の検討を行ってまいります。また、マージンの維持・拡大とコスト低減を進めることで稼ぐ力の強化を図り、安定して利益を出し続けることのできる事業体への変革を進めてまいります。

また、商用車用板ばねと精密部品を戦略事業と位置づけ、事業規模の拡大を進めます。商用車用板ばねは、「鋼材からばねのグループ内一貫生産」の強みを生かしつつ、軽量化で拡販とマージン確保・拡大を進めるとともに、一貫生産の強みをさらに強化すべく鋼材とのシナジーが発揮できる新拠点への投資も検討してまいります。精密部品は、主力製品である機構組立品において、将来見込まれるさまざまなニーズに応えるべく技術開発を進めることにより、事業の拡大を図ってまいります。

 カーボンニュートラルに向けた対応としては、さらなる軽量化に加え、生産工程の最適化及びDXの導入により、消費エネルギーの削減を進め、競争力強化と共に環境に配慮した製品の市場投入を推進し、サステナブルな事業体への変革を図ってまいります。

 [素形材事業]

 自動車内燃機関向け部品中心の製品構成からのシフトを進め、EV化・CASEの進展に伴い需要拡大が見込まれる特殊合金粉末の新規拡販推進を重点課題としています。リソースの重点配置及び客先ニーズの取り込みのために技術開発センターと連携し、AMC(アドバンスド・マテリアルズ・センター)のガスアトマイズ設備と広田製作所の水アトマイズ設備を最大限に活用することにより、各種研究開発を加速してまいります。また、フルキャパシティの広田工場の増産投資を開始するとともに、さらなる新工場の設立も検討してまいります。

 さらに将来に向けて、顧客の脱炭素化ニーズに対応すべく、CO2フリー電力を使用したカーボンニュートラル特殊合金粉末の市場調査・準備も進めてまいります。

 [機器装置事業]

 環境課題の解決をテーマに事業拡大を目指します。再生エネルギー分野として注目を集める洋上風力発電関連製品の国産化対応や、サーキュラーエコノミーに貢献し都市鉱山から資源を取り出す磁力選別機事業を戦略事業と位置づけ、設備投資や拡販を進めてまいります。

 洋上風力発電関連機器は、国産サプライチェーンの構築に寄与すべく、製品大型化に向けた設備導入や生産技術の試験研究を推進するとともに、グループ内で素材から製品までの一貫生産の準備を進めてまいります。

 磁力選別機事業では、各種機能のパッケージ化により拡販を進めるとともに、EVバッテリーや太陽光パネルからの資源回収にも対応することで、事業拡大を図ってまいります。

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