三井住友建設 【東証プライム:1821】「建設業」 へ投稿
企業概要
当社グループにおける経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針、経営環境
当社は、経営理念として「顧客満足の追求」「株主価値の増大」「社員活力の尊重」「社会性の重視」「地球環境への貢献」を掲げ、安全で快適な社会の実現に取り組んでいます。
<理念と経営計画の体系>
(2) 中期的な経営戦略と目標とする経営指標
当社グループは、2022年3月に策定した「中期経営計画2022-2024」では、テーマを「新たな成長へ~サステナブル社会の実現に向けて~」と設定し、計画に掲げた具体施策を展開しています。
しかしながら、国内大型建築工事の度重なる損失発生や建設資材価格の上昇などの影響を受け、建築工事の利益水準の大幅な改善が困難であることにより、計画最終年度である2024年度の利益水準は当初計画には届かない見通しとなりました。
このことから、2023年5月に今般の国内建築事業の大幅な業績悪化を受けた各種の追加施策を策定し、これらを反映させた経営数値目標の見直しを行うとともに、当該施策の効果が発現すると見込まれる2027年度までの向こう5か年の経営数値目標を新たに示すこととしました。
①受注力の強化
・デジタル技術の積極活用や協力会社組織との連携強化などにより競争優位性を創出し、優位技術、得意分野を軸に需要拡大が見込まれる分野に注力。
②現場力の強化
・現場管理体制の強化
現場が「コア業務(安全・品質・工程・原価管理)」に集中できる体制を構築し、工事リスクへの対応力を向上すべく、現場業務のバックアップ体制を強化。
受注前の検討体制の強化を目的としたフロントローディング体制を構築し、早期に工事リスクを把握することで、対策を施工計画に反映。
・技術者教育の強化
リスク検知能力や課題解決力の向上、若手技術者の早期育成。
・デジタル化の推進
③国内建築事業の業績改善
・施工体制逼迫の改善と現場支援体制の再構築
施工体制逼迫の改善に向けた受注量の管理、事前検討・支援体制の強化。
・受注プロセスにおけるガバナンス強化と最適な受注ポートフォリオの構築
取組みの初期段階における取組判断の厳格化と受注プロセスにおけるガバナンス強化。顧客、工事規模、用途、地域特性等を鑑みた受注方針の再設定と運用の徹底。
・利益を重視した目標管理の徹底
受注時における利益の確保を最重要指標と位置づけ、これ以降の各段階において利益を最優先とした目標管理を徹底。
①サステナブル社会に向けた取り組みの強化
・新たに生まれる社会ニーズに対し、技術とサービスで応え続けることで成長を実現。
②海外事業の拡大~拠点の自立とネットワーク強化~
・事業を通じて持続可能な地域社会の発展に貢献し、地域とともに成長を実現。
③建設生産システムの深化
・デジタル化の推進を中心とした取り組みにより、建設現場の工業化や自動化を推進し、当社グループの競争力を強化。
①ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の実現
・D&Iの実現を通じて、社員の幸福度の向上を企業の成長につなげる。
②エンゲージメントの向上
・「社員の幸福」「企業の成長」と社員のエンゲージメントがお互い高め合う関係性を構築。
③人材の育成
・「新たな成長」の実現を牽引するデジタル人材、グローバル人材など多様な人材育成、確保に注力。
(経営数値計画)
経営数値目標の見直し(2024年度目標)及び2027年度目標の設定
・業績目標
| 2024年度(見直し前) | 2024年度(見直し後) |
| 2027年度 |
連結売上高 | 5,000億円 | 4,670億円 |
| 4,500億円 |
連結営業利益 | 200億円 | 160億円 |
| 200億円 |
・財務目標
| 2024年度(見直し前) | 2024年度(見直し後) |
| 2027年度 |
ROE | 10%以上 | 9%以上 |
| 10%以上 |
総還元性向 | 50%程度 | 50%程度 |
| 50%程度 |
・非財務目標
安全 | 死亡・重大災害「ゼロ」 度数率:0.6以下(施工部門)、0.5以下(全社) | |
品質 | 品質不具合ゼロ | |
カーボン ニュートラル | CDP評価 | A |
Scope1+2 | △20% (基準:2020年) | |
Scope3 | △10% (基準:2020年) | |
人権 | 人権DD | 人権DDの定着(人権リスクへの対応) |
救済メカニズム構築 | 2023年度から運用 | |
生産性 | 社員総労働時間あたりの完成工事高 5%向上 | |
エンゲージメント | 4.0以上(5点満点の平均)※ |
※「組織診断サーベイ」におけるワークエンゲージメントに関する指標
(事業戦略)
1.国内土木事業戦略
(1)収益力強化 (2)新たな価値の創出
2.国内建築事業戦略
(1)受注力の向上 (2)現場力の向上 (3)社員教育・人材活用の強化
3.海外事業戦略
(1)海外建設事業の成長 (2)成長を支える事業基盤の強化 (3)社会変化に対応した取り組み推進
4.周辺領域事業戦略
(1)既存周辺領域事業(再エネ発電、エンジニアリングサービス等)の拡大による収益貢献
(2)新規周辺領域事業創出への取り組み
(3)周辺領域事業の裾野拡大のための「新規事業創出プロセス」の構築
(4)M&A・アライアンスを活用した戦略的なポートフォリオ変革の実現
(基盤戦略)
1.安全・品質
2.人材(=人財)戦略
3.技術開発戦略
4.グループ経営戦略
5.ガバナンス及び内部統制
(環境、社会面における取り組むべき事項)
1.環境面
(1)気候変動、カーボンニュートラル (2)資源循環 (3)生物多様性
2.社会面
(1)人権 (2)ダイバーシティ&インクルージョン
(3) 対処すべき課題
① 当社が現在施工中の国内大型建築工事において、当期に多額の工事損失を追加計上しました。全てのステークホルダーの皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。要因といたしましては、鋼材を中心とした資材価格等の上昇、工事進捗に伴う施工計画の見直し、及び工場製作部材の製品不具合等を受け、追加費用等の発生が見込まれたことによるものであります。当該工事の度重なる損失発生を受け、特別対応チームを組成して施工全般に対する支援や技術的な指導を行うとともに、調査委員会により原因究明及び再発防止策を策定しています。なお、調査委員会においては外部有識者から客観的な立場での助言を得る予定です。当社といたしましては、当該工事の施工管理体制を更に強化し、品質の確保、工程の回復に向けて全力で対応してまいります。
これに加え、一部の国内建築工事において工事採算が大きく低下したことなどを受け、以下の国内建築事業の業績改善に向けた施策を強力に推し進めてまいります。
(1) 施工体制逼迫の改善と現場支援体制の再構築
施工体制逼迫の改善を図るため、短期では新規着工工事の受注量を抑制し、また中長期では施工体制確保を前提とした受注方針を堅持します。これにより手持ち工事を着実に消化し、施工体制逼迫を解消することで事前検討・支援体制の強化を図ります。
(2) 受注プロセスにおけるガバナンス強化と最適な受注ポートフォリオの構築
取組みの初期段階における取組判断の厳格化と受注プロセスにおけるガバナンス強化により、低採算の回避・損益悪化リスクの排除を徹底します。また顧客、工事規模、用途、地域特性等を鑑みた受注方針を再設定し、運用を徹底することでリスク分散と受注機会の拡大を図ります。
(3) 利益を重視した目標管理の徹底
案件毎の利益の最大化を図るため、受注時における利益の確保を最重要指標と位置づけ、これ以降の各段階において利益を最優先とした目標管理を徹底します。
② 当社施工の横浜市所在マンションの事案につきましては、2017年11月28日付にて、本件マンションの発注者の1社である三井不動産レジデンシャル株式会社(以下、「レジデンシャル社」といいます。)が、本件マンション全棟の建替え費用等の合計約459億円(その後2018年7月11日付にて約510億円に増額、2022年9月30日付けにて約510億円から約506億円に減額)を当社並びに杭施工会社2社に対し求償する訴訟を提起していますが、レジデンシャル社の請求は、根拠、理由を欠くものであると考えており、引き続き裁判において、当社の主張を適切に展開してまいります。
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