企業タツタ電線東証プライム:5809】「非鉄金属 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中における将来に関する事項は、当期末現在において、当社グループが判断したものであります。

 (1)会社の経営の基本方針

タツタ電線グループは、グループの経営理念・企業行動規範に基づき、社会の持続的な発展がグループの持続的成長の大前提であるとの認識のもと、社会に役立つ製品・サービスを提供するとともに事業活動のあらゆる段階で環境負荷の低減を図ることにより、環境・社会・経済面の企業価値を高めてまいります。

また、当社は社会に役立つ製品・サービスを提供し事業拡大を目指すとともに、当社グループが事業活動を行う中で社会や環境に与える負荷を低減することを重要課題と認識しております。特に、地球環境の保護は世界的な課題であり当社グループも社会の一員として積極的な役割を果たしてまいりたいと考えております。このために、カーボンニュートラルの達成、省資源・省エネルギー、リサイクルなどにも精力的に取り組んでまいります。

当社グループは、これらの活動を通じてより良い社会の実現とその持続的な発展に貢献してまいります。

経営理念

タツタ電線グループは、

電線・ケーブル事業及び電子材料事業をコア事業とし、次代を担う事業の開発にも継続的かつ積極的に取り組み、活力・スピード感に溢れ、公正かつ透明性の高い連結経営を推進することにより持続的に成長し、中長期的な企業価値を向上させるとともに、

②地球環境問題に配慮しつつ、顧客ニーズにマッチした特長ある製品・サービスを提供することにより、持続的な社会の発展に貢献する。

企業行動規範

タツタ電線グループは、

1 創意工夫を凝らし、不屈の精神をもって社会・顧客の求める技術・製品を開発し、有用で安全な優れた製品・サービスを提供します。

2 地球環境の保全が人類共通の最重要課題の一つであり、経営の基本であることを認識し、事業活動のあらゆる面において環境と人との調和を目指します。

3 従業員の人格・個性を尊重し、安全で働きやすい多様性に富んだ職場環境を確保します。
4 株主、取引先、地域社会等の社外における関係者との間で、健全で良好な関係を築きます。
5 国内外の法令及び社内規程を遵守し、社会規範や倫理に則って公正な企業活動を行います。
6 企業活動に関する情報を適切かつ公正に開示して、経営の透明性を高めます。

 (2)中長期的な会社の経営戦略

 当社グループの経営理念を実現すべく、当社グループは2017年から2025年までの9年間における当社の事業運営のあり方について、グループの有するコアコンピタンスや今後の社会の課題やニーズ、トレンドを踏まえ、コアビジネスである電線・ケーブル事業および電子材料事業の今後の目指すべき方向・ありたい姿(ビジネスモデル)を定めた長期事業戦略である「2025長期ビジョン」を策定いたしました。

 長期ビジョンでは、既に当社が相当以上の競争力を有する事業の更なる強化に加え、社会的ニーズが今後高まると予想されたIoTやロボット、車載機器、医療機器向けなどのフロンティアに対して当社グループが集中して取り組み、事業の拡大と事業ポートフォリオを変革していくことを目指しており、これはSDGsにおいて取り組むべき課題や新型コロナウイルス感染症問題で顕在化した社会の課題への対応にも貢献できるものと考えております。

 この実行にあたっては、当社の有する各事業の成長段階・競争力等に応じ「利益追求事業」「成長追求事業」「中長期育成事業」の3つのグループに分類したうえで、第1期(2017~2019年度)、第2期(2020~2022年度)、第3期(2023~2025年度)に区切り、事業展開を進めております。

 しかしながら、大幅な事業拡大を計画していた「成長追求事業」および「中長期育成事業」については、一定の進捗はありましたものの、特に第2期(2020~2022年度)において、新型コロナウイルス感染症問題により顧客企業との接触が制限されるとともに顧客企業側においても新規材料認定活動が停滞する等により、新規製品開発・拡販に大幅な遅れが生じております。また、「利益追求事業」についても、ロシアによるウクライナ侵攻問題に端を発した資源・エネルギー価格の高騰、半導体等部品の供給不足による生産停滞とその後のスマートフォン販売の急減等により、2022年度業績は大幅に落ち込みました。

 このような状況下、当社グループとしては、2025長期ビジョンに掲げる方向性に変更はないものの、まずは足元の2023年度の業績回復を最優先課題としてグループを挙げて集中して取り組み、2024~2025年度までの当社グループの事業計画・目標については、2023年度中に事業環境の見通しおよび業績回復の動向を見定めつつ策定することといたしました。

[2025長期ビジョン]

 2025年度には、売上高1,000億円・営業利益100億円を達成することを目標とし、電線・電子材料関連のフロンティアを開拓して、独創的な先端部品・素材を供給するニッチトップのサプライヤーとなることを目指します。
 そのために、特に市場の拡大が期待される機能性ペースト分野および医療機器部材分野においては積極的に投資を実行して成長を追求し、その他の既存事業分野においては効率化投資の推進、高機能製品へのシフト等により回収利益の最大化を追求することを基本とします。

利益追求

事業

[電線・ケーブル事業]

通信電線事業

機器用電線事業(国内)

[電子材料事業]

機能性フィルム事業

ファインワイヤ事業

[その他事業]

センサー事業

環境分析事業

効率化投資・製品改良投資の推進、高機能製品へのシフト等により、回収利益の最大化を追求する。

成長追求

事業

[電子材料事業]

機能性ペースト事業

[その他事業]

医療機器部材事業

積極的に開発投資、増産投資等を実行して、規模の拡大、利益の拡大を追求する。

中長期育成

事業

[電線・ケーブル事業]

機器用電線事業(海外)

当面事業基盤整備に注力し、基盤整備の確認後、増産投資を実行して、将来的に規模の拡大、利益の拡大を追求する。

 (3) 対処すべき課題

① 各セグメントの課題

ⅰ)電線・ケーブル事業セグメント

 カーボンニュートラル、5G、FA化・ロボット化等、社会の変化に伴う「送配電ネットワーク整備」「機能性ケーブル」へのニーズの高まりにより電線・ケーブル事業の事業機会が拡大しており、この機会獲得が重要な課題となっています。この状況を踏まえ、当社は、電線・ケーブルセグメント総体の市場対応力を強化して「新市場・海外市場への展開」「高機能・差別化新製品の開発」および「事業提携を含めた製品ラインアップ拡充と生産販売体制強化策の企画・実行」を進めるべく、2021年7月に通信電線事業本部と機器用電線事業本部を「ワイヤー&ケーブル事業本部」として統合いたしました。さらに、2022年7月には、業務の効率化、意思決定の迅速化、情報の更なる共有による市場開拓および差別化新製品の開発を加速すべく、営業機能を当社に集約するとともに管理体制を簡素化いたしました。

 また、2022年度は、2021年度に引き続き主要原料である銅地金価格が高止まりしたことにより顧客の買い控えが継続するとともに、その他の生産資材価格・エネルギー価格も上昇し製造コストが大幅に上昇しました。これに対しては、徹底したコストダウンと販売価格の見直しを進めましたが、その浸透に時間を要したこともあり収益に大きな影響がありました。生産資材価格・エネルギー価格は今後も変動が予想されることから、適切な販売価格の確保が重要課題でありこの維持に向けて引き続き注力してまいります。

 一方で、産業機器用電線についてはFA等の製造装置向けの需要が好調であり、生産能力の拡大を進めさらなる成長につなげてまいります。

 また、主要原料である銅地金価格の高騰により顧客の買い控えの傾向が顕著になりつつあるとともに、その他の生産資材価格・エネルギー価格も上昇しており収益に影響を及ぼしています。これに対しては、徹底したコストダウンに努めるとともに、サプライヤー企業・顧客企業との連携を強め収益維持に努めてまいります。

ⅱ)電子材料事業セグメント

 主力製品である機能性フィルムにつきましては、スマートフォン・タブレット等の携帯通信機器を主用途としております。2022年度のスマートフォン販売量はインフレおよび景気減速懸念等により大きく減少しました。しかしながら、携帯通信機器は今後さらなる通信高速化に向けてミリ波対応基地局・機種の普及が予想されるとともに、フォルダブルフォン(折り畳み式スマートフォン)の増加も予想されております。当社はミリ波対応の電磁波シールドフィルム、フォルダブルフォンに対応した高屈曲フィルムを既に開発しており、本格的な普及に合わせて事業機会拡大につなげてまいります。一方で、機能性フィルムの用途拡大も課題となっております。当社は、今後ますます成長が予想される車載向けセンサーやカメラ、インバーター、パワーウインドウ、ヘッドライト、計器類等の電子部品の電磁波遮断を目的にした高耐熱シールドフィルムを開発いたしました。当社としては、車載向けシールドフィルムをスマートフォン向けに次ぐ事業の柱とすべく精力的に取り組んでまいります。

 成長追求事業である機能性ペースト事業につきましては、2025長期ビジョンにおいて機能性フィルム事業に次ぐ柱の事業として事業開発に取り組んでおります。新型コロナウイルス感染症問題による顧客企業の認定活動の停滞等もあり収益貢献が大幅に遅れておりますが、顧客企業での材料認証も進展しつつあり、また、既に投資しているスタートアップ企業との協業も具体化しつつあります。引き続き精力的に取り組み、収益貢献の早期化を目指してまいります。

ⅲ)その他事業セグメント

成長追求事業である医療機器部材事業については、当社の有する樹脂形成技術と精密電線加工技術、さらにはセンサー事業により培ったセンシング技術の活用が可能であり、主要顧客のニーズに沿った開発テーマに対応することでニッチトップの製品群の開発・事業展開を進めるとの方針のもと、主要医療機器メーカーからのOEM製品群の生産を通じた基盤構築を進めつつ、当社の独自性を加えたニッチトップ製品群の開発をすすめております。特に、低侵襲医療分野は身体に与える負荷が小さく術後のQOL向上にも貢献するものであり、新たな機能の付加に対するニーズが高く新規治療法の開発も含め市場成長が期されるとともに、当社光ファイバや合金、微細電線、チューブなどのコア技術を用いることで新たな医療技術開発にも貢献できると考えております。2021年度末には当社の有する光ファイバ技術を活用した低侵襲がん治療向けPDTプローブおよび大手医療機器メーカーからのOEM製品の生産・販売を開始しており、順調に拡大しております。また、先進的な医療技術製品の開発に取り組むスタートアップ企業への出資・業務連携も進めており、両社製品の量産段階での製造受託さらには当社技術との融合による新製品開発などに取り組んでまいります。長期ビジョンに対しては遅れを生じておりますものの、今後も関係分野企業との協業等により独自性のあるグループを形成し医療機器部材事業の成長を推進してまいります

株式会社タツタ環境分析センターが行っている環境分析事業は、ダイオキシン類分析、作業環境測定、土壌・地下水調査、水質・大気などの環境分析をはじめ、製品・材料や産業廃棄物分析等の幅広い分析に対応して環境ニーズの高まりに貢献しつつ一定の収益をあげております。今後さらなる成長を目指し、ダイオキシン分析の短納期化や土壌分析等地盤環境事業のワンストップ化、分析サービス対応エリアの拡大等、成長戦略を継続するとともにDX化による効率化・サービスの品質向上を進めてまいります。

②企業・大学等とのコラボレーションによる事業強化・新規事業育成

当社の成長には既存事業の強化と新たな事業の育成が重要な課題であり、新規事業創出のカギとなる要素技術の早期拡充に向けて自社内のリソースの活用はもとより、他社・大学等とのコラボレーションによるオープンイノベーションに取り組んでいます。当社グループの強みを活かすという視点から、カーボンニュートラル・再生エネルギー関連分野、5G・IoT・AI・DX等の電子材料関連分野、メディカル関連分野、環境・センシング関連分野を中心に、当社の事業方向性に合致し、社会課題の解決に資する差別化技術を開発・保有しているスタートアップ企業への投資と協業を推進しています。2020年度以降7社のスタートアップ企業への投融資(計約6億円)を行い、各社の成長をサポートするとともに当社との連携による新規事業の創出を目指しております。2022年度には「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号)及び「金融商品会計に関する実務指針」(会計制度委員会報告第14号)に基づき、スタートアップ企業に対する投資有価証券の評価減を行いましたが、当社としては、スタートアップ企業との協業を目的として投資したものであり今回評価減としたスタートアップ企業を含め各社との協業は着実に進展しております

 研究開発分野では大学との協働も進めており、現在、複数の大学との共同研究を行っております。当社といたしましては、これらのコラボレーションを推し進め、収益力の強化と新規技術・事業の開拓を目指してまいります。


③DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進

 当社グループは、製造・開発・営業・事務の各面でのDX化を推進しております。2022年4月には働き方の変化を踏まえた人事諸制度の見直しを行うとともに、2022年7月にはDX技術の活用を前提として電線・ケーブル事業における営業拠点の集約を行いました。また、DXを企業文化として定着させ継続して推進する上では人材育成が重要課題と考えており、DX研修プログラムを体系化し大幅に拡充しました。引き続き環境整備と課題対応を進め、ビジネススタイル・ビジネスモデルの変革、そして新たな付加価値の創造へとつなげてまいります。

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